61 鍛錬
それから4日。
武闘大会、開始前日。
ミラは、今日も仮想決闘場で沙耶ちゃんとレムの鍛錬の様子を間近で見守ってる。
凛々しいよぅ。
「アァァァァッ!」
沙耶ちゃんの裂帛の叫び声とともに白刃が煌めくと、ミサイルが2つに別れて後方へと飛んでいき、残骸は遥か後方で爆発四散した。
ついに沙耶ちゃんが、誘導ミサイルを普通の刀で真一文字にぶった斬った。ほんとに凄すぎる!
「沙耶ちゃん、格好良いっ」
爆風に煽られて、沙耶ちゃんの黒髪が泳ぐように揺れる。ミラは大興奮です。
「ありがとうミラ。しっかり見てくれた?」
沙耶ちゃんが恥ずかしそうに照れて髪をかきあげる。
「あぁっ沙耶ちゃん!」
ミラは駆け寄る。
お伝えしないといけない事が。
まだミサイルは残ってるの!
次の瞬間、やりきった表情の沙耶ちゃんに、残ったミサイル4発が突き刺ささり爆破した。
消えていく沙耶ちゃんを見ていたら、ミラの視界までホワイトアウトした。
ふえ? ミラはその誘爆に巻き込まれてこの日、初めて死に戻った。
ふえええ・・・・
「マスター!」
レムの叫び声が聴こえた。
『沙耶 VS ミラ ドロー!』
「痛ったあ。やっとどうにか斬ったのに、追加で4発とか鬼畜すぎでしょ。あれ? ドロー?なんで?」
沙耶ちゃんが首もとを擦りながら、首を傾げる。目が合った。ごめんね、近づきすぎて、被弾しちゃった。
「ミラ、大丈夫!?」
「大丈夫だよ沙耶ちゃん」
うへへ。心配されちゃった。
仮想世界では、痛覚は切ってあるから、だいじょうブイVっ。
その時、ミラに閃きがっ
「どうしたの?」
「沙耶ちゃん、少し痛いかも」
そっと頭を押さえてみた。
上目使いで、心配した表情の沙耶ちゃんを見つめてみる。
「大丈夫? 痛いの痛いの飛んでいけ〜」
作戦っ だいせいこー!!
ミラは幸せです。
死んだら天国に行けるなんて言うけど、あれは本当だったんだ。ふふーん♪死に戻りも悪くないね。
「うへへ」
沙耶ちゃんによしよしされた。嬉しい。次も死に戻ろうかな。もうこれからは積極的に死んでいくスタイルで。
「ミラ、なんか嘘ついてない?」
「沙耶ちゃん。ミラを信じて、もっと信じて」
ミラは嘘つきだけど、信じて欲しい。
駄目かな?
「疑ってごめんね、ミラ」
「良いよ沙耶ちゃん」
だって嘘だし。
それにしても野生の沙耶ちゃんの直感は、鋭すぎる。死に戻りで飛んでいけ〜計画は中止のお知らせ。
はぁー残念。
「ミラ、なんでバリア使わなかったの?」
「バリア展開してると、沙耶ちゃんの訓練にならないよ?」
変なの?
「私に近づかなければ何の問題ないでしょ?ああー、ミラにはその選択肢がまず無いのか。 でも、それならそれでレムさんみたい魔装を強化するとか?」
「えー沙耶ちゃんに護ってもらいたいから、そういうのは作らないよ?」
どう?どう?
これは、ぐっと来た?
あれれ?何だか嫌なお顔をされた。
むうう。でも護ってもらいたいのは本当なのでこれからも使いません。護ってください。気にしてください。
それにレムのは密度を上げてるだけだから魔装とは原理が違うんだけどな。
「そろそろ、ひとり立ちしなさい」
「嫌です。 でも沙耶ちゃんの分が欲しいなら魔装を作るよ?」
呆れた顔をされたけど、こればっかりは沙耶ちゃんといえどもお願いは聞けません!むうっ。
「今はいいかな。ズルだし」
「分かった」
うーん。帰ったら一応作っておこうかな。
必要な時が来るかもしれないし。
その時にお渡しすればいいのです。ミラありがとうって言われちゃうかな。うんうん。
「マスター、心配しました」
「レム、お座り」
心配症だね、ミラの発言で、きょとんとした顔になったレムが座ります。
いや、犬の真似をしろとまでは言ってないんだけど?ドン引きだよ。一応、貴女の中には優秀なミラが入ってるんだよ?
まぁいいや。
「よしよしよし」
「ますたぁー」
ご褒美なでなでをしてあげた。
きちんと、幸せはお裾分けしないとね。
うわっと、ぺろぺろ攻撃をさっと躱す。んー嫌な進化を遂げたね。戻そうかな。
「よしっ次こそは斬る!」
沙耶ちゃんが気合いを入れて大きな声を出した。うおおお、沙耶ちゃんが燃えている。
これはミラも応援せねば。
そこへお邪魔な声がする。
『一文字さん、お客様が来ています』
もう邪魔しないで。
「誰だろ?」
「もう、そんなのほっといて鍛錬しよ」
ぐいぐいと引っ張るが沙耶ちゃんは乗り気では無い。そんな、沙耶ちゃんがズバッと斬るシーンがもう1回見たいのに。
「行きましょうかミラ」
「むうう」
会ったら誰か知らないけど、文句言うんだ!沙耶ちゃんは今、忙しいの。分るよね?
敏腕ミラマネージャーの腕の見せどころだぜっ。
【次回予告】
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