58 レムの秘密6
二人の幼女の後を追って、オーバーテクノ家に帰ってきました。
「この家って・・・」
「どうしたの沙耶ちゃん?」
沙耶様が家を見て、なにやら尻込みをしています。
「何処かで見たような気が。・・分かった!一文字家の護衛対象の家だ。ミラちゃんって、実はお偉いさんの子供?」
「違うよー。特殊な家ではあるけど」
敷地に足を踏み入れると、外周警備ロボットが寄って来ました。なぜか沙耶様にテーザー銃の照準を合わせてます。え?不具合でも発生したのでしょうか?
「へー、うわっ!」
「警告警告。敷地ヨリ立チ去レ」
「あっ!忘れてた。マスターアクセス。沙耶ちゃんに、権限2レベルを付与」
マスターが設定すると、くるりと方向転換して移動していきました。
「ピピッ異常ナシ。警備に戻リマス」
「変な形の土精霊が喋った?それに足も無かったような?」
「あれは魔道具の警備ロボットだよ」
「ロボット?」
((レム、レム どこにいるの?))
あれ?再現音声ではなく、マスターの肉声が脳内に聞こえます。
((レムーーーー!))
((申し訳ありませんマスター。現在、マスターの実家で、私の生い立ちについて調べてます))
((ふーん。そんなことより、今すぐ戻ってきて))
((何かあったんですか?))
((あるよっ沙耶ちゃんが待ってる!))
((えっ・・それだけですか))
((もー早くして))
((分かりましたっ。マスター))
なんて、メイド使いが荒いのでしょう。でも、呼ばれて嬉しい自分がいたり。
走る老犬の背中が上下に揺れて、次元ゲートに突っ込み、マスターの元へ急ぎます。私の秘密なんかより、マスターのオーダーが私にとっては重要です。
沙耶ハウスに戻ると、すでにお二人の後ろ姿が。
どうやら、お二人を待たせてしまっているようです。くぅーん、これではメイド道失格です。
慌てて、液体ケースの中で目を閉ざして眠ってるような新しい自分の身体へ接続開始。
・・・接続、完了。
視界を開けると、困った顔のマスターと泣きそうな顔の沙耶様がいました。
「ごぼり」
お声をかけようとしたのですが、保護液の中だったため泡が漏れただけでした。排水を待ちます。
排水開始。完了。
過去を見たせいかイヌの本能を取り戻した私は、ぷるぷると身体を揺さぶり水気を飛ばすと、透明なケースの内側に水しぶきが跳ねました。
ケースオープン。
「ただいま帰りました」
「レムさん。遅いから心配した」
申し訳ありません。うわっ、沙耶様が裸でまだ濡れてる私に泣きそうな顔で抱きついてきました。
「沙耶様、ごめんなさい。自分の誕生について調べてたら少し夢中になってしまい」
「レムさんの生い立ち?」
「もー、レムは駄目だなあ。レムは普段頑張ってるから、沙耶ちゃん許してあげて」
私を抱きしめた沙耶様が上目遣いで不思議そうな顔で見上げてきます。
「そういえば・・・私。レムさんの事をほとんど知らない」
「申し訳ありません。調査途中だったので私も知らないため、お答え出来ません」
沙耶様の視線を、そのままマスターへとパス。
マスターお願いします。
「ほへ?知りたいの?」
2人の頷くタイミングが被りました。
沙耶様にぎゅっと抱きしめられて、なぜか興奮します。
マスターのお言葉をじっと待ちます。
「まずは、2人とも着替えてからだね」
あっ、はい。
普段ぽやっとしているマスターに思わぬ指摘を受けて、2人の顔が赤くなります。
そういえば、裸でした。私。
しかも抱きつかれていて。
わぅぅーん。
お着替えして、リビングのソファーに座ってマスターの説明をそわそわしながら待ちます。ミラ先生の授業が始まりました。
「レムは、さっき見たとおり、肉人形なの」
こくりと2人は頷き続きを待ちます。
「それでゴーレムのような自律型魔道具には、全て司令を出すための核が入っていて、当然のようにレムの中にもコアがあるの。これが壊れない限りは、大丈夫で」
「コア?コアが壊れる?」
沙耶様がコアを見た事が無いのか、顔を捻られましたので話を一旦中断。
「レム 出して」
「分かりました。マスター」
口の中から透明のびー玉のようなものを取り出して、マスターに手渡します。
「これが、コアだよ。身体が損壊しても、コアがこのように壊れない限りは何の影響も無くて」
マスターは、それをくるみ割り器に挟んで、むんっと力を入れるマスター。
マスター頑張って。
隣で座っている沙耶様の気配も強張ります。
むむむっと力をさらに入れます。
ピシリとヒビが入りました。
マスター格好良い!
「ひぃっ!レムさん」
沙耶様が誤解したのか、泣きそうな顔になられたので、慌てて抱きしめます。
「沙耶様、落ちついてください。あれはダミーコアですので。私には、何の影響もありません」
あれ?何故か口を尖らせて不機嫌な目付きで見られました。私が、何か悪い事をしたのでしょうか。えええ?
「レムの場合はこのコアが特別製で、コアの中にイヌの残滓とミラの魂の欠片が入ってるの」
「魂が??」
「もしかして、禁制魔道具のソウルイーターを使われたのですか?殺しきれない魔王を分裂させて封印したように」
ぎょっとした顔でマスターを見る沙耶様。
「そうだよ。仮想決闘場のファーストと同じ技術を流用したの。以上、説明終わり」
「え?つまりミラが出会った時より幼児退行してるのは魂が減ったせい??」
「そうです。父親が失踪したのも私のせいですよね?」
「当たらずも遠からずかな。レムは悪くないよ、悪いのはその頃のミラ」
何だか気まずそうなマスター。
「え??」
「マスター。私はマスターと再び1つになりたいです」
抱えていた謎が解けて、懇願しました。
「やだ!」
もう、マスターの分からず屋!
そうだ。マスターの敬愛する沙耶様のお言葉なら。
「沙耶様。どうかマスターを説得してください」
「やだ!やだ! 沙耶ちゃん、レムを説得して」
【次回予告】
レムの秘密7
2人に困ったお願いをされた沙耶ちゃんは、、、
※1話のつもりが長くなってしまいましたが、そろそろ決着して、学園編に戻れそうです。




