表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/69

30 沙耶はモテ期


 朝のルーレットを引き終えた私達は、学園を散策していた。いや、しようとしていたけど、それは叶わなかった。


 どうやら、2回連続で大当たりを引き当てた私は、一躍、時の人になったようで、周りの男達から猛烈にアプローチされている。


 つまり、人生初めてのモテ期が到来しちゃった。



 次々と身の程知らずの男達が群がってきて、私に申し込んでくる。

 だけど、全然知らない人だから、戸惑ってしまう。私に、貴方の事をもっと教えて。


「失礼ですが貴方の流派は?どのくらいお強いんですか? ごめんなさい。・・・それなら、お受け出来ません」


 理想が高いなんて言わないでよ、私にだってボーダーラインぐらいはある。

 もう・・何人。断っただろうか。


 断っても断っても、しつこく来る人には熱意に負けて、少しだけ付き合ってしまったけど。。泣かしてしまった。

 結末が分かってたから、私も辛い。


 あのね! 女の子に夢を見るのは勝手だけど、私に半端な想いで申し込むと後悔するよ?もうっ、泣かないで!事前に忠告したよね?

 はぁ、これが・・モテる女の悩みか。



 ふぅ。また?

 今度は、斧使いの少年が現れた。


「おいっ、ラッキーガール。俺と決闘しろ!」


 うっ。。また見るからに弱そうなのが来ちゃった。なんで勝てると思ったの?ねえ、なんで?

 こんな・・モテ期は、いらないよぉーー!

 貴方では私には勝てません。なんて言うと傷つけそうだし。


「あの・・私は一文字家ですよ」

「そんなの知らねえー、逃げんな。1回戦うまで逃がさねえぞ」


 あれ、知らないのかあ。そう来たか。さすがに、私は弱い者虐めは趣味じゃ無いんだけど。

 お兄ちゃん情報では弱い人たちは、ポイントのやりくりがかなり大変らしい。


「では、せめて2回戦。まずは模擬戦の練習モードでしませんか?その後で、やる気が残ってたなら、本戦を」

「駄目だっ駄目っ!ポイントを賭けない微温い戦いなんて馬鹿にしてるのか?さっさと、決闘を受けろ!」



 ひいっ。勢いだけは凄いな。

 たしかに、一理あるけど。

 クラン内の練習でもないかぎり、模擬戦で手の内を明かすような人はいないけど。

 でもなー。

 くいくいと、袖をひかれた。ん?何かなミラ?


「ねえ。沙耶ちゃんこの人、馬鹿なの?」


 あぁっ。なんで火に油を注ぐのかな。

 すっごい怒ってる。

 完全に同意だけど、それを口に出したら駄目だよお。あー、もう面倒くさい。


「はぁ。。分かりましたが、一つだけ条件が有ります。例え負けたとしても恨み言を言わないと誓えますか?」


 思わず、溜息が漏れた。

 これで、14人目だ。いったい、私はどうすればいいの?


「分かった。それで良いぜえ」

「決闘をお受けします」


 ルーレットで大当たりしたのを見られてるので、それを奪いたいゴロツキにモテモテになってしまった。

 モテすぎてツラい。

 カモに見えるの?

 何の面白味もないフィールドを選択し、向かい合う。

 

 一文字沙耶 VS 斧使いビリー


 ニヤニヤ笑ってる少年は、革鎧を装備して斧を持って、もういいや。




『ファイト』


「うっぎゃああ」



 勝者、一文字沙耶!


 はいっ終了。

 可哀想すぎて、こちらまで沈痛な表現になる。

 弱すぎる。圧倒的に弱すぎる。

 ちなみに普通に近寄って袈裟斬りにしただけ。この少年は、村では強かったのかも知れないけど・・・ごめん。本当にごめん。


「沙耶ちゃん、お疲れ様」


「ちくしょう、何も分からないからない内に、31Pも盗られたあ!ううううう」


 ・・安っ!?

 ええー、憤怒の目つきで睨んでくるのが、手に負えない。お願いだから、涙目で見ないで。


 ミラのせいで、ちょいちょい忘れられそうになるけど、一文字は伊達に最強の看板を背負ってはいないので、たぶん学園の中では強い方だと思う。

 忠告したのに。


 だけどこういのには慣れている。一文字家には、道場破りがよく来るからだ。ミラの挨拶が、たのもーになったのはこのせいだったりする。

 負けを受け入れられないゾンビの扱いは簡単だ。先程、誓いましたよね?なんて正論は使わない事。使ってしまったら、怒りのゾンビウォーリアに進化する。まぁ・・弱いのには変わらないんだけど、鬱陶しさが1.2倍になる。幼馴染の鋼牙みたいに。


 だから、私は学んだ。

 優しさで、浄化するの。聖女のように、汚れた心に光を当てる。お願い・・・生き返って。

 

「一応、仮想決闘場とはいえ、命を賭けてるんですよ? 貴方の命は、そんな安い値段でいいの?」


「や、安すぎたな。もちろん俺は高い。今回のは、遊びみたいなもんだった」


 少年は良い顔して、去って行った。「生活、頑張って」と心で、小さな背中にエールを送る。


「沙耶ちゃん、格好いい!」


 うわわっ。キラキラした瞳で、ミラが抱きついてきた。あぁ、頑張った私を褒めて。

 ポイント獲得より嬉しい。


「沙耶様。ここは、移動された方がいいかと」

「そうですね、敷地内を散策したかったけど無理みたいだし、諦めます。 ミラ、3階まで行こっか!」

「うんっ」


 気付いたら、それなりにポイントが貯まってたみたいで、たしかこれなら3階まで行けるよ。亡者の群れから、天界へ向けて脱出することにした。


 1,768→2,889


 アード学園の施設は、所有ポイントにより解放される。階層を上がるには、規定の所有ポイントが求められるから、さっきのような知力と戦闘力がともに足りない人は居なくなる。と思いたい。


 8F?1000000

 7F 200000

 6F 50000

 5F 10000

 4F 5000

 3F 2000

 2F 1000

 1F 50


 転移扉に入り、プレートを押し当てると、私の場合、[2,889]だから、3階まで解放されている。

 1F 2F 3F と浮かび上がるので、好きな数字を触れば、転移部屋にいる人と一緒に転移出来るらしい。


「おおー、本当に出てきた。へーこんな感じなんだ。それでは、3Fまでひとっ飛びします!」

「「ひとっ飛び!」」


 テンション上がって変な行動に出た私の真似をしてくれる二人が可愛い。



【次回予告】


 立ち塞がる敵グループ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ