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壁打ちのススメ~それぞれのAIの個性を小説で比べてみよう~「タイトル:頼られ過ぎる探偵」  作者: グーグー


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頼られ過ぎる探偵~探偵は物理に弱い~ジェミニ編4~

## 頼られ過ぎる探偵


### 第4話:探偵は物理に弱い


「奴らが来た……! 俺を殺した、黒岩の差し金だ!」


佐藤(霊)の悲鳴が、誰もいない台所に響いた。

弥太郎は、栞のノートパソコンに表示された談合の証拠データの手を止め、窓の外を盗み見た。黒塗りのセダンから、ガタイの良い男が二人、サングラス姿で降りてくるのが見える。


(……なんで、警察がいるのに来るんだよ! 警察(犬養刑事)は今、栞さんと一緒に別の部屋で話を……。そうか、警察が帰るのを待つつもりだ!)


「大垣さん、どうしたんですか?」


奥の部屋から戻ってきた栞が、弥太郎の青ざめた顔を見て不審そうに尋ねる。その後ろには、まだ疑り深い目を向けたままの犬養刑事が立っていた。


「……栞さん、犬養刑事。申し訳ありませんが、今すぐここから離れた方がいい」


「は? 何を言って……」


犬養が不機嫌そうに声を荒らげようとした瞬間、玄関のドアが、凄まじい音を立てて蹴破られた。


「警察だ! 動くな!」


犬養が瞬時に銃を抜く。

だが、踏み込んできた男の一人が、懐から何かを取り出し、床に叩きつけた。


シュアァァァ! と、凄まじい白煙が部屋中に充満する。催涙スモークだ。


「う、ぐあぁ! 目が!」


犬養が悶絶する。栞が悲鳴を上げた。

弥太郎も、涙と鼻水が止まらなくなり、眼鏡が曇って何も見えない。


「……あったぞ、パソコンだ。これを持ってずらかれ!」


男たちの声。奴らの狙いは、弥太郎が解析していた佐藤さんのUSBメモリとノートパソコンだ。


(ダメだ……あれがなくなったら、佐藤さんの無念も、栞さんの生活も……!)


弥太郎は、視界が真っ白な中で、這いつくばりながらパソコンの方へ手を伸ばした。だが、男の一人に腹を蹴り上げられ、壁に激突する。


「う、ぐ……!」


痩せ型で運動不足の弥太郎には、抵抗する術がない。

幽霊相手なら、「警察に行ってください」と丁寧に諭すこともできる。しかし、暴力の前では、彼の誠実さは無力だった。


男たちがパソコンを奪い、玄関へ向かおうとした、その時だ。


「……俺の、娘に……。俺の大切な、通帳と証拠に……手を出すなァァァ!!」


それは、弥太郎の脳裏に直接響くような、佐藤(霊)の絶叫だった。

佐藤(霊)の姿が、これまで見たこともないほど巨大化し、黒く霧散していく。霊体の「怨念」が、物理的な力を持ち始めたのだ。


ガシャーン!!


台所にあった鍋や釜が、突然宙に浮き、男たちに向かって猛烈な勢いで飛んでいった。


「うわっ! な、なんだ!?」


「バカな、誰もいないのに……!」


男たちはパニックに陥った。

さらに、冷蔵庫のドアが勝手に開き、氷が弾丸のように降り注ぐ。電子レンジのドアがガタガタと音を立て、ありとあらゆる家電が暴走し始めた。


「……佐藤、さん……?」


弥太郎は、涙を拭いながら、その光景を呆然と見つめた。

それは、彼が今まで断り続けてきた「物理的な復讐」そのものだった。しかし、佐藤さんは自分のためではなく、娘のために、その禁忌を破ったのだ。


男たちが幽霊のポルターガイストに怯え、動きを止めた隙に、犬養刑事が催涙煙の中から飛び出し、一人を組み伏せた。


「……動くな! 岡山県警だ!」


もう一人は、恐怖に顔を歪めながら、玄関から逃げ出していった。


白煙が晴れていく中で、弥太郎は、佐藤(霊)が急速に萎んでいくのを見た。

彼の輪郭は、今にも消えそうなほど透けている。


「……やり、すぎちゃったな……。弥太郎さん、後は……頼んだ……」


佐藤(霊)は、弱々しく笑うと、そのまま霧のように消えていった。


---


「……で、つまり何だ。貴様は、その暴走した家電の隙を突いて、犯人を捕まえた、と?」


署の取調室。

犬養刑事は、弥太郎が提出したUSBメモリの中身(談合の証拠)を確認した後、じっと弥太郎を睨んでいた。


「……はい。探偵の『勘』と、奇跡的な偶然が重なりまして」


弥太郎は、真っ直ぐに犬養の目を見て答えた。

彼は嘘が嫌いだ。だが、この状況で「幽霊が鍋を投げた」と言うのは、嘘をつくよりも質が悪い。


犬養は、深い、深いため息をついた。


「……大垣。貴様のことは、未だに信じられん。だが、このUSBにあるデータは本物だ。これで建設コンサルタントの黒岩と、そのバックにいる政治家まで引っ張れる」


犬養が、デスクに何かを置いた。

それは、警察に一時没収されていた、あの床下のキャッシュボックスだった。


「通帳と現金だ。これは、証拠品としてではなく、故・佐藤氏の『遺品』として、娘さんに返却する」


弥太郎は、眼鏡の奥で目を見開いた。


「……え? でも、これは恐喝の金では……」


「……証拠データによれば、佐藤氏は黒岩から金をゆすっていたが、最後はその金を返す代わりに、談合の証拠を警察に持っていくつもりだったようだ。殺されたのは、その直前だ。……つまり、この金は、彼の『最期の給与』と解釈しても、法的にはグレーだが、人道的には……な」


犬養は、それだけ言うと、背を向けて取調室を出ていった。

ドアが閉まる間際、彼は弥太郎に聞こえないほどの小声で、「……役立たずの眼鏡が」と呟いたが、それはどこか、敗北を認めたような響きがあった。


=========

【相変わらず岡山県警が心配になる流れです(笑)。あと一話を残しているのにすっかり終わった感がでてますね。オーバーな表現が多いジェミニならではのクライマックス用に文字数を確保する計算が働いている気がする。楽しみ】


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