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0.鳥の唄
取るに足らない恐れなど存在しない。
それはかつて我々を創った神々が大地にもたらした言葉だった。
空と魔物を守りし者と崇められ、讃えられる私であっても、殆どの者に認知すらされない孤独には弱いものだった。
我が実態を知るのは運命を共にする空巫女のみ。
しかし、運命が我々ではなく悪へと偏る時代がついに訪れようとしていた。その予感を運ぶ風を感じる私に、未来への希望は現れた。
希望の名はアマリリス。
海巫女を運ぶ役目を与えられた赤い花。彼女こそが、奈落へと落ちるわが魂を救ってくれる者となるだろう。