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特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。  作者: 黄玉八重
第13章 -1stW_ナユタの世界-
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†第13章† -04話-[火精王サラマンダーとの謁見③]

最近の投稿は本当に誤字脱字が多いです。昼休憩の時に読み直して気づき次第修正はしておりますが、ご愛嬌という事でお目こぼしください。

「お目に掛かれて光栄です、サラマンダー様。

 ご存じかと思いますが改めて精霊使いと青竜の守り人を兼任しております、水無月宗八(みなづきそうはち)と申します」

「同じく水精と契約しております、アルカンシェ=シヴァ=アスペラルダです」

『アクアーリィ~!』


 俺たちの挨拶とアクアの無邪気な名乗りを受けてサラマンダー様は微笑んでくださった。

 基本的に気性が荒いと聞く火属性の大精霊であっても相性悪の水精を見てもこの反応という事はセリア先生が言っていた”紳士”というのは本当の事らしい。


『クフフ、元気な水精だ。幼子はそうでなくてはな。

 吾輩の眷族は血気盛んな者ばかりでそれはそれで困る事も多い』

「お褒め頂きありがとうございます。

 残る連れの紹介もさせていただいてよろしいでしょうか」

『かまわない。ここに連れて来たという事は火精の関係者なのであろう?

 人間が二人に無精と火精が一人ずつか……』


 こちらの意図も理解したうえで許可もいただけたので下がったまま尚も跪いている二人を立たせて並ばせる。

 先ほどサラマンダー様が顔を上げる許可を出したのは俺とアルシェだけであった事を理解していてくれて助かったな。


「こちらは勇者PTの魔法使いミリエステ。

 火属性の精霊使いを目指しているので無精の変質とサラマンダー様の目に掛かる様であれば真なる祝福もいただけると幸いです」

「恐れ多くも紹介に預かりました、ミリエステ=リテュエルセッテと申します。

 契約精霊の名は無精フォデール。よろしくお願いします」

「こっちはアルシェの近衛になったリッカ。

 私の契約精霊、火精フラムキエのサブマスターになりました。今日は顔合わせのつもりで連れて来ていますがいずれは彼女にも真なる祝福を頂けると助かります」

「りりり、リッカ=ニカイドウと申します。未熟な身ですがどうぞ良しなに願います。

 また、水無月(みなづき)様も紹介されたように火精フラムキエ様のサブマスターに就任したばかりですので、本日サラマンダー様のお眼鏡には叶わないでしょう。ですので長い目で見てくださりますよう願います」


 紹介と共に要望も伝えると一言ずつ添える二人と精霊をしっかりと見据えながら話を聞いてくれた。

 なんというか、他の大精霊たちとはまた違う安心感がある精霊だなぁ。


『うむうむ。精霊使いが連れて来る逸材なだけあって魔法への理解は深いようだな。

 というより、やはり報告通り精霊使いがこうも多いと呼び方に難儀するでな。吾輩もお主を<万彩(カリスティア)>と呼ばせてもらっていいだろうか?』


 まだ納得はしていないけど、人間界では俺の与り知らぬところで周知は順調に行われている模様なので俗世から離れているとはいえ精霊王に拒否も出来ないので諦めの表情を隠しつつ許可を出した。しかし、そこで何故かサラマンダー様はキョロキョロと主に俺の周囲を見回し誰かを探している。


「どうされましたか?」

『ああ、いや…。その…、アニマ様にご挨拶させていただきたくてな……』

「なるほど。(アニマちゃん、サラマンダー様の話聞いてんだろ?出ておいで)」

『(いいですけど、お父様に引っ付いているとはいえ出ると暑いですから制御力でもっと涼しくしてください)』


 全くもぉ!ウチの四女はワガママなんだからぁ!

 そんな訳ですぐにアニマが快適に過ごせる程度に周囲を制御して涼しくするとアニマが出てきて俺の胸の中に収まった。


『おぉ!貴女様がアニマ様でしょうかっ!そうですね!そうですよねっ!』

『お、落ち着いてください!火精王サラマンダーが眷族の前でそう興奮しては恥ずかしいですよ!』


 ずずいと身体を伸ばし凶悪な顔を近づけるサラマンダー様の行動にビビったアニマが俺を頼って抱き着きを強くしながらサラマンダー様を叱責する様子に俺は俺で興奮していた!

 いいぞ、サラマンダー様!アニマが俺を頼ってくれている!可愛い!


『すすすみませぬ!おぉ……吾輩はついにアニマ様と顔を合わせそれだけでなく叱責まで頂けるとはっ!光栄の至りでございます!』

『謝罪を受け入れます。それとお父様は頬を擦り合わせるのをやめなさい』


 あー、小さなお手手が頬にめり込む~♪

 それにしてもサラマンダー様って今までアニマを会わせた精霊王の中でも別格に大ファンなんだな。でも、多分一番は風精王テンペスト様なんだろうな……。何と言っても無精王アニマが消える時に領域割譲された一人なんだし。


『義理は果たしました。(わたしく)ぁこれにて戻ります』

『あぁっ!ご、ごほん。

 では、先に吾輩が呼び出した二人にこちらの用件を伝えよう。

 アルカンシェ。我が眷族を瘴気の魔の手より取り戻してくれた事、感謝する。何か褒美を渡したいが希望はあるか?』

「寛大なお言葉に感謝致しますサラマンダー様。ですが、助けたのは進行上の障害であった為ですし身柄の保護も魔神族に再利用されない為の側面が強く、この程度の事で偉大なる精霊王から何か施しを受けようとは考えておりません」

『予想通りの回答だな。ならば褒美の対象を自分ではなく他者に分けられるのであれば如何するか?』

「それならば、水無月宗八(みなづきそうはち)に亜神の加護を下さいませ」


 実際、アルシェが褒美を断るにも理由がある。

 事前に恩を売って好感度を稼いだ事で今後の協力が得られる可能性が高くなった今、特に欲しい物はないしサラマンダー様へ伝えた内容も実際その通りだったりもする。言ってしまうと火精を助けた報酬はサラマンダー様からの信用とも言える。

 結局、苦肉の言い訳として用意していた褒美を口にして場を濁すことにしたらしい。


『う~む……。<万彩(カリスティア)>への祝福は元より精霊の救世主なのだから協力する事に異存はない。

 アルカンシェへの褒美の話が終われば伝えるつもりであったが……。う~む、どうしたものか……』

「であれば、そうですね……。赤竜との接触をお手伝いしていただけないでしょうか?」

『赤竜か……。う~む……』


 あれ?赤竜もすでに心当たりがおありで?

 とはいえ、今はスケジュールもかつかつだから先に光竜のところに行くつもりなんだけどね。

 ナユタの世界が瘴気で汚染され尽くしていると予測している点から浄化力を向上させないと攻略どころでは無いからな。


『赤竜はここの近くに住んでおる。というよりも吾輩の語らい仲間で時折遊ぶに来るからそれも褒美としては弱いと吾輩は考えているのだが本当にそれで良いなら手を回そう』

「急ぎではありませんが近いうちに接触をお願いする際はよろしくお願いいたします」

『あいわかった。アルカンシェへの褒美は赤竜との接触の助力とする。

 続いて<万彩(カリスティア)>への褒美は先に漏らしてしまったが亜神の祝福で良いのだろうか?』

「ありがたく亜神の祝福を頂戴したく!」


 予想外に都合良く赤竜への道も示され、俺への祝福の話もサラマンダー様は事前に火精に情報収集させていたのか希望を予測済みであった。くれるというならこちらも希望通りなので頂くとしよう。それと赤竜の件は慎重に接触したいと俺とアルシェは考えている。その理由としてどこで話を聞いても火竜は血の気が多いだの狂暴だのの話が絶えなかったからだ。

 力を見せろとか言い始める事を想定して万全の準備をしてからボコボコにしたい。


『ではさっそく祝福を施そう。<万彩(カリスティア)>よ、前へ』

「よろしくお願いいたします」


 俺が一人サラマンダー様の前へ進み出ると彼は腕を上げ、指を一本俺へと向けると詠唱を始めた。


『≪(われ)大精霊(だいせいれい)サラマンダー分御霊(わけみたま)(ねが)(たてまつ)る。(ほのお)赫灼(かくしゃく)(まぼろし)開闢(かいびゃく)!彼の者に火の加護(かご)(あた)(たま)え!≫』


 詠唱と共にサラマンダー様の身体から吹き上がった赤いオーラが指先へと収束し終わるとトプンと俺に向けて放たれたそれは、シャボン玉のようにふわふわと俺の元へ辿り着くと身体全体へとオーラが纏わりつき、ゆっくり、ゆっくりと俺の中に溶けていった。


[サラマンダー亜神の加護を取得しました]


 赤いオーラが溶け切ると同時に視界に表示されるウインドウが最後の加護を取得した事を知らせてくれる。


[条件が満たされました。真なる無精の加護を取得出来るようになりました]


 ん? 真なる無精の加護?

 いや凄く気にはなるけど先にサラマンダー様へ感謝を述べねば……。


「ありがとうございました。無事に今回の加護の取得を持ってすべての属性が揃いました」

『うむうむ。現存する精霊王の加護を全て取得したのであれば……、新しい道が示されたのではないかね?』

「……知っていたのですか?」

『語り継がれてはいたが吾輩の代まで誰も複数加護を取得する者は居なかった。

万彩(カリスティア)>が現れるまで我々精霊も亜神の加護であれば複数の加護を取得出来るという事も知らなかったのだ。だから無精王無き今、無精を除くすべての加護が揃ったからといって何が起こるのかも分かってはいない。故に教えて欲しいのだ』


 真なる加護は離れている本体から祝福することで取得出来るが、亜神の加護は真なる加護持ちか精霊王の分御霊(わけみたま)もしくは高位階精霊が直接接触しなければ祝福することが出来ない。基本的に精霊信仰はあれど精霊と出会う機会のないこの世界でならば、そりゃ複数加護持ちが現れるわけもないか。


「真なる無精の加護が取得できるようになったそうです」

『真なる無精の……。だがアニマ様は<万彩(カリスティア)>の下で生まれ変わって今はまだ幼いのだろう?』

「ですね……。まぁ今すぐどうこうできる訳でもないですし、アニマが育てば何かわかるでしょうから後回しにするしかないですね」

『うぬぅ、それは残念だが致し方ないな。アニマ様の成長を願わせてもらおう。

 どれ、そろそろ後ろに控える二人の用件も消化するとするか……』


 そこからも数時間無精の変質と真なる加護の祝福などで拘束はされたものの、予定の工程は済ませる事は出来た。

 最後はアニマとの別れを惜しむ火精王サラマンダー様にまた顔を出すと約束をして俺たちは火精の里から出て、次なる準備に取り掛かるのであった。

いつもお読みいただきありがとうございます。

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