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特に呼ばれた記憶は無いが、異世界に来てサーセン。  作者: 黄玉八重
第12章 -廃都フォレストトーレ奪還作戦-
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†第12章† -28話-[水精霊と間欠泉]

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。


今年の目標は週1での投稿に戻す!です!6月くらいには戻せると良いなぁ。

「皆さん、お疲れ様でした~~~っ!!

 おかげさまで予定通りの仕事を熟すことが出来ました!」

『『『お疲れ様でした~~~っ!!』』』

「「「お疲れ様でした~~~っ!!」」」


 スタートした地点から綺麗に時計回りで合計12本。

 固い大地を水はけの良い土へと耕して周り、

 やっと先ほど全ての作業が終わった。


 土精の3名はもちろん、

 周囲の警戒と護衛で着いてきていたセーバーPTも達成感に身を震わせ、

 まだ朝も早いというのに声も高らかに俺に返事を返してくる。


「次はアルシェとアクアと水精が頑張る番なので、

 俺達は高みの見物で応援するだけだな!」

『マスターは応援するんです?

 じゃあボクは寝るですから後は頑張るですよ』

「冗談だよノイ。

 俺ももう眠いからアルシェ達と交代したら寝るさ」


 全くもぉ、ノイはぁ~!

 程良い疲れと達成感で冗談を言っただけじゃ無いか。


「アルシェ達と交代まで時間もあるし、ノイは寝ても良いよ」

『ん~~~~、じゃあお言葉に甘えて少し寝るです。

 ご飯は食べるですから起こして欲しいです』

「はいはい、おやすみ」


 人型のまま俺の腕の中でスゥースゥーと可愛い寝息がすぐに聞こえ始める。

 こっちも土精達を各国に再配置しないとな。


「余韻に浸りたいところだけど、

 パラディウム達はまたアーグエングリンと教国に分かれてもらうぞ」

『えぇ、わかっていますとも。

 そういえばアスペラルダは土精がノイ以外に居ませんよね?

 このヴィルトゲンを置いてはどうでしょう?』

「魔力も回復して体調も良さそうだけど、

 水精の守護者(しゅごしゃ)が2人居るからなぁ・・・」


 必要か不要かで言えば多分いらない。

 ただ、今回は足下に瘴気の魔石なんぞという異物が見つかったし、

 備える意味では居て貰った方が良いのかも知れない。


「じゃあヴィルトゲンさえ良ければ作戦中はうちに居て貰おうかな」

『私はかまいません。

 改めて助けていただいたアスペラルダの方にお礼も言いたいですし』


 そういえばヴィルトゲンはメリー達が戦った青鬼(インディゴオーガ)から解放されたんだったか。

 アルシェ達が戦った赤鬼(クリムゾンオーガ)からは火精(かせい)が解放されていたはず。

 あれ?存在をすっかり忘れていたな。


「(クー、火精(かせい)は気が付いてるか?)」

『(もうずいぶんと前に。

 今は手持ち無沙汰の様子だったのでフラムの相手をしていただいてます。

 外へ出しますか?)』

「(いや、土精の方は引き渡しもその後の身の置き方も出来てるけど、

 火精(かせい)はまだ知り合いもいないからとりあえず今は休んでいて貰おう)」

『(かしこまりました)』


 早めに故郷に帰してやりたい所だけど、

 まだ火の国にも入ってないしどうせ旅を勇者にさせるなら託すという手もあるか・・・。

 う~~ん、いまゴチャゴチャ考えても仕方ない。

 目先の問題を解決してからゆっくり考えよう。


 今はパラディウムとネルレントを返して、

 セーバー達を連れてアスペラルダ陣営に戻って訓練でもして交代まで時間を潰そうかな。



 * * * * *

「おはようございます、お兄さん」

『ますたー、おはおはー!ノイもおはー!』

「あぁ、おはようアルシェ。

 アクアもおはよう」

『アクアは朝から元気ですね。おはようです・・・うっ!』


 アスペラルダ陣営へ戻ってから、

 セーバー達を相手にノイのアーティファクトの具合を確かめていたが、

 ついにアルシェ達が影から出て来た。

 アクアは朝の挨拶もそこそこに生まれ変わったノイの元へと飛んでいってしまった。

 既に抱きつかれて面倒くさそうな顔のノイに合掌。


「これからお休みになるのにそんなに汗を掻いて・・・。

 寝られるんですか?

 セーバー達は先に影に入って汗を拭きなさい!風邪を引くわよ!」

「了解です。先に行ってるぜ宗八(そうはち)ぃ~♪」

「「「「失礼します」」」」


 俺は加護があるから寒さにも強いが、

 セーバー以外のセーバーPTメンバーは普通の冒険者だ。

 季節は水の月だし気温は朝という事もありかなり低い。

 幸いアスペラルダではないのでマイナスまでは行っていないようだが、

 それでも十分に白い息は吐き出されている。


「メリー達がご飯の準備をしています。

 軽く食べたらゆっくり休んで下さいね」

「ありがとう。

 その前にアルシェ様へご報告致します」

「あら、では伺いましょう。我が騎士、宗八(そうはち)

「「あははっ!」」


 恭しく跪く俺のノリにアルシェも乗ってきたのでそのまま報告は済ませてしまおう。


「予定通り城下町の大地へ干渉は行いましたが、当初の地割れは出来ませんでした」

「制御力が足りませんでしたか?」

「いえ、可能ではありましたが大地を無理矢理に裂く為、

 どうしても無駄な広範囲魔法になってしまいました。

 なので、水を吸うようにと固まっている地面を崩して砂に戻す方向にシフト致しました」

「その言い方であれば成功はしたのですね?」

「はい、無事に12本の予定ラインを全て耕しております」


 報告が終わったので立ち上がって、

 いつの間にかアルシェの後ろに立っているカエル娘に視線を向ける。


「というわけだから、土の状態は一応見ておいてくれ。

 土精からは問題ないと聞いたけど、マリエルにも確認して貰った方が俺的には安心だ」

「わっかりました~!

 次が合ったときに備えて改善点をまとめて伝えますね!」

「次は無いと思うけどな。

 先に言っておくけど窒素とかを混ぜて耕したわけじゃなくて、

 普通に掘り返しただけだからな」

「窒素?よくわかんないけど普通の畑と一緒にするなって事ですよね。了解です」


 窒素が入るとふわふわの良い土になるってどっかで聞いたことがある。

 あれ、畑だっけ?水田の話だったかも。

 美味しいご飯の生産は雷が多い地域が多く、

 雷が落ちる時に空気中の窒素を地面に吸わせるから美味しくなるとか。


 雷って漢字には田が使われてるし、

 稲妻は稲の妻と書くからそれだけ重要なんだとか、そんな薄らとした記憶・・・。

 やっぱり畑じゃ無くて水田かも。


「あとは任せて下さい。

 スィーネさんとボジャ様と上手く立ち回りますから」


 アルシェと別行動で俺は大仕事を完遂させた。

 だからなのか、今のアルシェの言葉に隠れた不安感を感じた気がして、

 思わず白い頬に手を添えてしまった。


「大丈夫か?」

「んっ・・・。ふふふ、大丈夫、と言いたいですけど。

 実は少し不安ですね」


 その手が冷たかったのか小さい声を漏らしたアルシェだが、

 自分の手もその上に重ねて不安を零す。


「お兄さんは1人でも自分の仕事を熟しましたが、

 私もその後に続けるかなって・・・」

「俺だって1人じゃ無かったさ。

 ノイに助けて貰って、土精に協力してもらって、

 ようやっと手段を見つけた結果でしかないんだぞ。

 アルシェだってアクア達に助けてもらえばいい」

「上手く出来るでしょうか?」

「横やりが入らなかったらな」


 そう口にした途端にやんわり感じていた空気は霧散。

 頬を膨らませたアルシェが俺を睨みつつ添えられた手を抓りつつ足も踏みつけてきた。


「もぉ!そこは嘘でも上手く行くって言ってください!」

「痛い痛いっ!

 でも気を抜いて不意を突かれるよりはマシだろ!?」

「馬鹿ぁ!

 合同作戦の重役を担うという事で気負っていたけれど、

 ご褒美タイムだわぁーい!って喜んでるところで本人に空気を壊されるなんてっ!酷いですっ!」

「ごめんな、ごめんな。アルシェなら大丈夫だぞぉ~!」

「遅いです!馬鹿ぁ!!」


 この後めちゃくちゃ謝った。

 一連の流れを見ていた周囲の連中(特に女性陣)からは、

 かなりご高説を賜った。空気を読めと賜った。



 * * * * *

「フリューネ様、よろしくお願いします」

『この戦いが始まってからペアを組んでばかりだねぇ。

 アルシェは宗八(そうはち)みたいに空を飛べないのぉ?』


 私への対処に失敗して散々弄られたお兄さんは夜メンバーと共に休息に入った。

 交代で私を筆頭に日中メンバーはお仕事を開始する為に、

 フリューネ様の前に集まっていた。


「残念ながら私もアクアちゃんもお兄さんみたいには出来ませんね。

 お兄さんも飛んでいる訳ではなくて、

 魔力で自分を弾いたり時空制御で足場を固めたりしているだけですから」

『仕方が無いのかぁ。

 本当は宗八(そうはち)から離れたくはないんだけど、

 アルシェもマリエルも[ユニゾン]とやらでパワーアップ出来るみたいだし、

 もしもの時はちゃんと守ってよぉ?』

「頑張ります」

「努力します!」


 私たちの返事に不満そうな顔をするフリューネ様。

 だって私自身魔神族と直接相対したことがあるのは竜の巣での氷垢(ひょうく)のステルシャトー戦が初めてだった。

 あの時は[ユニゾン]が無いなりに戦い、

 防戦に徹していたからこそ時間稼ぎをすることも出来たけれど、

 実際にダメージを与えたのはお兄さんの魔法剣だけだった。


 簡単に試して魔神族に効くと判断出来ない以上、

 今回も同じくダメージを与えられないなら相性によっては押し切られる事も考えられる。

 だからこその返事が「頑張る」や「努力する」に留まってしまう。


「隊長も影の中に居ますから、

 ピンチになっても死ぬ前に助けてくれますよ」

『あのオベリスクって刺さると痛いんだよ?

 僕たち竜種って鱗も皮も丈夫だから痛みに慣れてないんだ。

 しかも力も抜けて抵抗は何も出来なくなるし不安で仕方なくなるから本当に守ってね!』

「精一杯頑張ります」

「精一杯努力します!」


『ぐぬぬ・・・』


 さて、これからの手順を考えながらどうするか考えないと。

 私とアクアちゃんとスィーネさんの3人はブルー・ドラゴン(フリューネ)様に乗せて貰い一日中空から[アクエリアス]を流し続けるお役目。


 マリエルとニルちゃんとセリア先生は私たちの護衛で空を飛んで着いてくる。


 問題はゼノウPTが空を飛べないという事。

 例えブルー・ドラゴン(フリューネ)様に乗せることが出来ても戦闘に参加出来ないのであればまだ地上で動き回った方がマシというもの・・・。


「そういえば・・・。

 クライヴさんを勇者様の元へ送ると言っていましたね」


 手が空いているなら勇者に迎えに来て貰う方が互いに楽でしょうが、

 あの勇者魔法は拠点と判断される街への移動に特化しているらしいので、

 今回は使っていただく事が出来ません。


「ゼノウPTはクライヴさんを勇者様の元へお連れしてもらえる?」

「命令ならば連れて行くのは構いませんが・・・」

「アルカンシェ様の護衛はよろしいのですか?」


 依頼について、リーダーのゼノウとしては問題はないみたいだけれど、

 トワインが気にするのも理解出来る。


「今日の仕事は空の上ですから、

 トワインやフランザに地上に残って支援してもらう事も考えましたが、

 私たちは常に移動しながらこの城下町を廻ります。

 地上から支援しながら着いて来れますか?一日中ですよ?」


 私の確認に難しい表情で返すトワイン達。

 ゼノウは頭のキレがいいので初めから理解をしてクライヴさんを送る役を了承したのでしょう。

 1人だけ特に表情を変えていない。


「あ、あの、アルカンシェ様。私はどうすればいいのでしょうか?」

「リッカはニルちゃんの魔法で一緒に空に上がりましょう。

 戦闘は余裕があればでいいけれど、

 空を飛ぶことに慣れていかないとこれから困るから」

「か、かしこまりました」


 他のアナザー・ワンをあまり知りませんが、

 リッカはいつまでも緊張をしているかのように初めの一文字を噛みますね。

 予想でしかありませんけれど、

 おそらくお兄さんはフラム君のパートナー候補としてリッカを考えていると思う。


 なら、私もリッカの運用ついでに今後の行動に着いてこられるように梃子(てこ)入れしておきましょう。


「魔力はニルちゃんが持ちますから、

 リッカは操作方法だけでも身体に覚えさせなさい」

「かしこまりました。

 ニルチッイ様、よろしくお願いします」

『ニルにお任せですわー!

 ソウハチから[魔力付与(ギフト)]もいただいてますし、

 リッカでも操作くらいは出来るはずですわー!頑張って下さいましー!』


 お兄さんの新スキル[魔力付与(ギフト)]は慎重に試していたので気付くのが遅れたけれど、

 一日に一回しか使用出来ないスキルだった。

 発現したのが二日目でサーニャ=クルルクスへ付与。

 三日目にマリエルへ付与。

 そして本日四日目にリッカへ付与を行った。


 加護が無くても制御をしようと思えば出来るけれど、

 上級魔法(じょうきゅうまほう)を習得出来る魔法使いレベルのステータスが必要になる。

 でも、今のリッカにそこまでのステータスはない。

 精々が前に進むなどの簡単な操作しか出来ないでしょう。


「それでは行って参ります」

「姫さん、お世話になりました」

「またお会い致しましょう」


 ゼノウPTも旅立った。

 私たちもそろそろ空に上がろうかしら。


『アルシェ、空に上がる前に[アクエリアス]の改変とかしなくて良いの?』

『元は背後から発生した水が一気に高い津波となって前方の広範囲を飲み込むエフェクトですから・・・』


 確かにスィーネさんの言う通り改変は事前に行っておいた方が良いですね。

 セリア先生も呟いているように[アクエリアス]は前に向けて発動するから、

 これは全方位の方がいいのかしら?


「アクアちゃん、何か意見はありますか?」

『アクアにいい考えがあるの・・・』


 私に聞かれるまでもなくいい考えがあるらしいアクアちゃんが胸を張って宣言した。

 さっきまではノイちゃんから伝えられた[エンハンス]に興味津々だったのに、

 切り替えが早かったですね。


『《アクアタワー!》』


 しゃがむアクアちゃんが地面に手を触れながら詠唱すると、

 水の柱が出現して十数m進んで消えていった。

 私は始めて見た魔法ですし、

 おそらくは今自分で組み上げたんだと思います。


『これを基本の魔法式にしてカンケツセンっていうのを真似たいなぁって思ってるの~』

「カンケツセン?どういうものです?」

『ますたーの記憶にあったんだけどね、お湯が吹き出るみたいなの~。

 湧き水のお湯バージョンみたいな感じぃ~?』


 湧き水は先ほどの魔法のような勢いはないはず。

 ならお湯になれば吹き出す威力を上げられる?

 って、シンクロすればすぐ分かるよね。


「《シンクロ!》」


 なるほど、そういう事ですか。


 通常の[アクエリアス]だと発動しても前方広範囲を津波が飲み込めばそのまま消えていく。

 でも、アクアちゃんの構想は設置型の魔法による湧き水・・・、

 吹き出してるから噴水かしら?


『空からお水を流すよりも時間も掛からないかなって。

 見回りはマリーとセリャに任せればいいし~』

『じゃあ僕いらないね。寝てて良い?』

「まだ決定稿ではありませんから・・・。

 とはいえ、お兄さん達のように今回の為に魔法を創った方が手早さそうですね。

 とりあえず創ってみましょうか。スィーネさんも」

『はいはーい。《シンクロ!》』


 アクアちゃんは各地の水をお兄さんに飲まされているから、

 発生させる水の種類も選べるけれど、

 これは迷うまでも無くマリエルの故郷であるネシンフラ島のお水でいいでしょう。


『《氷纏(マテリアライズ)!》』

「『《ユニゾン!》』」


 規模も大きめに創ってしまおうと考え、

 アクアちゃんとユニゾンも行いスィーネさんともシンクロを完了させた。

 今回はお兄さんが参加しないから精霊達を通じてマリエルの制御力も引っ張れないし同じくボジャ様も不参加になる。

 最大人数3人なら出来る限りの事はしておきましょう。


『ねぇ~アルシェ、どこに設置するのぉ~?』

「私たちの制御範囲だと立地的にもこの辺りに3つですかね」


 お兄さんから引き継いだ地図をスィーネさんと覗き込みながら候補地を指差す。

 地図には上書きするように太い線が描かれていて、

 これがお兄さんとノイちゃん、そして土精の皆さんが働かれた成果。


 なので、この線の間の中間に3つ程設置して1時間ごとにでも次の予定地に移れば・・・。


「11時間ぐらいで完了しそうですね」

『アルシェ様、感覚がズレておられますよ・・・』

「隊長じゃ無いんですから、

 休憩も移動時間も考えてもっと短くしましょうよぉ~・・・」


 マリエルはともかくセリア先生も言うならそうしましょうか。

 念には念を入れた方がいいかと思いましたが。


『この辺りかなぁ~』

「セリア先生!空から見て丁度良い配置で3カ所雷を落として印をお願いします」

『かしこまりましたわ。マリエルとニルはあれの相手をお願いしますわね』

「あいあい」『さー!ですわー!』


 地上からは見えなくても空の敵がこちらに向かっているみたい。

 生命力が断トツで高いブルー・ドラゴン(フリューネ)様もいらっしゃるし、

 これは予想の範疇ですね。


 こちらが狙われている間に各地の兵士たちは浄化作業にある程度は集中出来るようになりますし。


「フリューネ様も結局いつもので、お願いします」

『別にいいけどね。

 マリエルとニルがユニゾンを慣らすんでしょ?僕あまり戦わなくていいよね?』

「ふふふ、マリエル達を抜いた先にセリア先生が控えますけど、

 それでも突破された場合はご対応お願いします」


 少し離れた位置に雷が落ちる音を聞きながらブルー・ドラゴン(フリューネ)様と会話を交わす。

 この戦場ならどこに居られても空を飛べる瘴気モンスターは必ずブルー・ドラゴン(フリューネ)様の元へ襲撃を行いますから、

 私たちと一緒に居れば大丈夫でしょう。


 城下町の5割程度は浄化も終わって敵の数も少なくなりました。

 兵士達も中央の城に向けて進んでいますが、

 本当に城の地下に瘴気を発する「何か」があるならあまり近寄らせたくはないですね。


 何が起こるか分からない恐怖があります。


『アルシェ、移動しましょう。思ったりよりも距離があるわ』

「はい」


 3カ所はひとつひとつの区画が大きいのでそれなりに離れていました。

 まぁ私たちだけだと遠すぎでしたけど、

 今はスィーネさんもいるので問題はなさそうです。


「では、始めますよ?」

『『はい、よろこんで~!』』


 しゃがみ、落雷跡に手を添えながら懐かしい掛け声を聞き終わるとスイッチを切り替える。

 シンクロに集中して予定通りの設置型アクエリアスに[聖水(セイントウォーター)]も混ぜ、

 終わり無い噴水を創造するために魔法式が組み上がっていく。


 発動に必要な魔力が自身のなかで消失すると同時に魔法を発動させる。


「『『《アクエリアスガイザー!!》』』」



 指先から魔力が流れ地面に魔法陣を刻みつける。

 元の[アクエリアス]と同じく増水の初動がゆっくりなうちにその場を離れ高い場所で観察する。

 数秒もしないうちに40mくらいまで成長した水の勢いに轟音が人のいなくなった城下町に響き渡った。


「水飛沫すごっ!?」

『風の国は風が良く吹きますわね-!』

「風下ぉ~、風下に移動しますぅ」


 空からマリエルの声が聞こえてきた。

 私は加護があるし、スィーネさんも水精、ブルー・ドラゴン(フリューネ)様も氷竜なので飛沫が当たっても寒くはありませんが、

 兵士たちの方へと流れてしまうと拙いですね。


 リッカも慌てて移動しているのを見ると、

 アナザー・ワンでも寒さには堪えるらしい。


『兵士も冒険者もギルドも全員に通告は出してありますわ。

 身の危険を感じれば勝手に高いところや壁のある家に避難しますわよ』

「それなら大丈夫ですね」


 1本目の[アクエリアスガイザー]が機能し始めた。

 広い街中だから水嵩は増えないけれど、

 順調に薄く広く石畳を濡らして範囲を広げていく。


『アルシェ、アクア、次もやっちゃわない?』

『さんせ~!』

「じゃあ、残り2本も設置して様子見としましょうか」


 魔力は私とアクアちゃんの魔石から利用して、

 制御力はスィーネさんから借りて発動した為まだまだ余裕がある。

 3本で問題なさそうであればこの方法で城下町を廻りましょうか。

いつもお読みいただきありがとうございます。

『続きが気になる』『面白かった』など思われましたらぜひ、

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よろしくお願いします。

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