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5 疑惑

順番を間違えました。



 今日は、仏滅。三隣亡。13日の金曜日。最悪では有りません日頃の行いです。

アルテナに捕まりました。


 魔法の練習も上手くいき、ルンルン気分で鼻歌は歌いませんが男爵邸に帰り自室のドアを開けると。

居ましたよ、悪魔が。


 部屋は、割と広くて10帖余り有り。作り付けのウオーキングクローゼットやベットに応接する為のソファー、テーブルが有ります。

その、ソファーに悪魔が黒いオーラを放ちながら座っていらっしゃいます。

今は、流石に鎧はお脱ぎになられていまして。白いブラウスと長めの黒っぽいスカートを履いて女の子らしくしていらっしゃいます。


「ケント、ここへ来て座れ!」


 問答無用とばかりに対面のソファーを指さします。


 渋々と、座ります。


「何か、言う事はないか!」


 …心当たりは有りまくりですが、脳内で言い訳、逃げ口上及び如何に誤魔化すかをフル回転で

回転している。ハムスターの遊び道具が思い浮かび、つい、ニヤついていると。


「ケント!!」


ドンッとテーブルを叩かれた。


「お姉様、何の事でしょうか?」


 と一度惚けてみる。

アルテナは、時間が経っているので冷静だ。十分考える時間は有ったはずだ。

こちらも、不用意に返事をして墓穴は掘れないから、小出しで逆に質問をして見た方が良いかもしれない。


「私より、早く走ったり、早く動ける、どうなった?」と聞いて来た。


「いやぁ〜それはですね、私くしが、成長したと言う事ですよ」


 ソファーの背もたれにふんぞり返ってみる。


「たった数日で、あれほどの事が出来るのか。不思議だ? 全くの別人みたいじゃ無いか?」


「別人と言うなら、お姉様の秘密を言いましょうか?ここなら、他に誰も居ませんから大丈夫ですよ」


「ケッ、ケッ ケント、ど、どんな事を知っていると言うのだ」


 顔色を変えている。

因みにアルテナは、俺の父。辺境伯の姉の次女である。従姉である。

俺には、女の姉妹が居ないので、お姉様と呼んでいる。

小さい頃から、遊んで貰っていたのだ。


「子供の頃に、お医者さんごっこ遊びをして、お婿に行けない体になりました、ヨヨヨ」


と言ってソファーに倒れこむ。


「な、なんだ。その位、子供の頃なら誰にでも有る事だ」


「そうでしょう、そうでしょうね。お姉様の子供の頃には裸で一緒に水浴びをしましたよね。

あんな所やこんな所に黒子や痣が有る事全て知っていますよ」


「冒険者組合に行って、アルテナ様の体の特徴を微に入り細に入り詳しく話してみたいなぁ〜。

私の口は、鳥の羽の様に軽いのですよぉ~」と言ってみた。


「グぬぬぅ〜、一言でも喋ってみろ。ものの言えない体にしてやる!」


「お姉様にも、言われたくない秘密があるでしょう。私にも、秘密が有るのですよ。お互い様です、ではこれで」


 立ち上がり部屋を出る。

これで、暫くは大丈夫かな?多分無理だろうな。


夕食を食べに、食堂に行く、皆さんお揃いである。


 爺さんが。


「ケント、調子はどうだ」



「御爺様、もう大丈夫です、ご心配をお掛けしました」


 礼を言う。


「ハマトも言っていたが、凄い速さで帰って来たみたいだな」


「はい、お姉様と帰る時に競争をしようと言う事になりまして」と誤魔化す。


 アルテナも、何も言わないので相互不可侵条約締結でしょうか?


「御爺様。オロモ様の御屋敷は、どの程度出来ていますか?」と聞いてみる。


「オロモ殿の御屋敷では無いな、ご夫婦の希望でこじんまりとした小さな家で良いと言うので建てている処だ。興味があるのなら見に行ってみろ」


と言ってくれた。


「御爺様、それなら明日は、工事現場に行って見学をさせていただきます」


「現場監督は、大工のボレスと言う男だ、見学をダメだとは言わないだろうが邪魔はするなよ」


「はい、分かりました」


 食事も終わったので、ご馳走様でしたと言って部屋に帰った。

男爵邸に風呂は無い、水で体を拭く位である。因みに、俺の子供の頃には風呂の有る家は少なかった。

風呂に入りたい時は貰い風呂をしに行っていた。

昭和30年代で物凄い田舎暮らしでしたからね。


 電気も水道も無くて、水は小川を少し堰き止めて竹の節を抜いた物をパイプ代わりにして、各家庭に配管して各自に水の濾過設備を作って水道にしていた。

蛇口は無いので水は垂れ流し状態です。

こんな生活を経験しているから。転生して中世ヨーロッパ位なら同じですよね。

それが、普通で知識も無いので苦にもならないのです。

もっと、高度な文明世界から来たのなら大変ですよね。慌てて、ポンプを作り風呂に入りたいと思いトイレで悩みご苦労様です。

一度、大災害が起きて大昔の生活に戻ればサバイバルが出来ない人はご愁傷様です。

話が、それましたが、今夜は、魔法の復習や応用を考えながら眠りにつきました。


 次の朝、朝食を食べてから工事現場に出かける。急遽オロモさん夫婦も行く事になり馬車を出して貰い馬車に乗って行く。

現地人は、貴族だから何時も乗っていただろう。俺は初めてです、実物を見るのも初めて。

前世では宮内庁位しか運用していないと思う。

乗り心地は、まあまあですね。現地人は、興味が無かったのかこの世界の歴史に疎い。まあ、馬車の歴史など製造業者かこの世界のオタクしか興味も無いでしょう。


 暫く走ると、もう着いたみたいだ。男爵邸から500m程度しか離れていない。

この辺りまで来るともう家もまばらだ、空き地が結構有る。

その内の草が刈り取られた土地に、4人で作業をしている。

其処に男爵(爺さん)が近づき、工事見学の許可を貰っている様だ。


 爺さんが、此方に来るように手招きしている。皆で、現場近くまで行く。

工事は、始まったばかりだった、そうだよな。施主が来たばかりなのに、メールもファックスも無い世界で、離れた所に図面も送れない。

ここから、王都まで馬車で一か月半程掛かる手紙でのやり取りなら決定するまで何年も掛かるだろう。


魔法での、通信手段なんて有るのかな?


《有りませんよ、と言うかやらせないのです、出来たら普通の世界になってしまいますので面白く無いでしょうフフフ》


 出来たら、中世ヨーロッパが崩れてしまう。


《この、惑星で魔法が使える人族は少ないのです、主に王族・貴族です、それでも、とんでもない魔法は使えません。貴方が練習していた程度が関の山です。遺伝が関係するように設定しましたので、貴族達が

優秀な人材を囲ってしまいます》


俺が、魔法が使える事が分かれば種馬にされそう。


《そうですよ、隠れて上手くやりなさい。見つかった場合は、見られた人の記憶を消しなさい、消し方は、後で教えます》


有難う御座います。


 現場の方を見てみる。今回は、時間は止めていない模様だ。

作業員達が、建物の大きさと位置を施主に見て貰う為に縄張りをしている。

前世と同じだ、流石に巻き尺は無い様で、ロープに一定間隔で印が付けて有りそれで寸法を測っている。

現地人の記憶では、この大陸の国は、北の国ヴァンダル帝国・俺が居る

モルダビア王国・南の国 ネウストリア王国、この3か国は寸法を統一しているらしい。

現地人は、勉強が好きでは無かった。

だから、国際情勢などは不明である。

戦争は、ここ50年は起きていない。


 縄張りも終わり、オロモさん夫婦も確認して了承したので帰るそうだ。

俺も、魔法の練習をしに行こう。





お読みいただきありがとうございました。

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