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『やまと』 ~戦乙女との現代戦争奮戦記~  作者: Sky Aviation
最終章 ~中亜戦争終結・戦乱の終わりへ~
145/168

日台中最新鋭トリオ大集合

―同時刻 DCGやまと艦橋上―






「……はぁ~~~終わったぁ~~~~~」


 そんなことをため息つきつつ言った。

 そしてそのまま後ろからグッタリと倒れそのままあおむけになった。

 艦は指示通り止めた。もうエンジンも限界だった。もー動きたくない。


 何とかこの戦争も終戦を迎えて、やっと終わったぁ~と思ったのもつかの間。

 私にとっては新たな問題があって……、


 ……あー、






「……も~動けないわ」





 さっきまでガンガンエンジンのぶん回してたせいで、もうエンジンタービンがひどいことになって限界になっていた。もうこれ以上は回せません。というか休ませてくださいお願いします。


 ……誰か曳航してくれないかな。もう私歩けませんて。多少息切れが起きてるし。


「(……あー空がきれーだなー)」


 なお、きれいではあるけど曇りの模様。

 まあ、でも若干青空が見え始めてきてるし、もう少しで晴れると思うけど。


 ……そういえば、


「……あの時って曇り空ずっと続いてたよね……」


 まるで沈んだ私の状態を暗示するかのように。といっても、これは後々この艦の資料室勝手に読み漁って知ったんだけどね。雲量10が翌日まで続いたとかどうとか。


 ……でも、今度は晴れか。なんとなく神様こっちの動き読んでるかのごとく天気それっぽく操作してるなと思う時がまさにこれですわ。

 晴れって、明らかにこっちが生き残ること呼んでたでしょ。このドS。


「……この後どーするかー……」


 まあ、どうせ今のエンジン状況なら曳航間違いなしだけど、誰引っ張るのかな。私これでも排水量13,000トン以上あるからそれ以上の排水量もつ艦でないとスムーズに曳航できないよね? となると空母組が引っ張ってくれるパターンかな?

 ……あれ、でもあれ艦尾のどこにロープつけるんだろ。


 ……まあいいか。とりあえず今は適当に暇つぶしを……、


「お疲れ様です」


「うひゃぁぃ!?」


 と、いきなり私の顔の目の前に出てきたのは、台湾艦隊旗艦である丹陽さんだった。


 ……あー、いつの間に接舷していた。全然気づかなかったわ。


「お疲れ様でーす。……やっと終わりましたね」


「ええ……。何とか」


 あおむけで寝っ転がってる私の左で正座で座っている丹陽さんが軽くため息をつきつつ安堵の表情を見せた。

 これで母国の戦闘も終わったんだしね。まあ、安堵して当然かな。


「幸い核も落ちませんでしたし……。ほんと、やまとさんには感謝してもしきれませんね」


「はは……、感謝でしたら」


「?」


 すると、私は右手で艦橋の天井床をさして言った。


「……この下にいる、“相棒”にいってください」


「……あぁ」


 丹陽さんも一応誰をさしたか納得したみたいだった。軽く相槌を打っている。

 ……今頃、航海長の代わりで艦橋にいるかな。たぶん。


 まあ、でも暇してるでしょうね。万が一何かあった時のためにあそこに張り付かないといけないし、そんでもって特に何もすることはないし。


「……まあ、相棒っていう割には」


「?」









「さっき普通にきs」


「おっとそれ以上言ったらあなたの安全は保障できませんよ?」











 あんまり口外に出されるとまずいのでね。というか、なぜ知っているしあんた。

 いったいどこから漏れた。あの時あれをはたから見れたのって……、あ、こんごうさん? いや、ある程度遠くだったけど、あ、でもあの人これ系好きだから絶対あの人かな?


 ……後日事情聴取不可避。


「……安全保障できないっていったい何されるんですか?」


「何かです」


「……これ以上は何も言うまい」


 口調がわざとらしい。丹陽さんに最近ボケが実装されたようです。

 その今の口調がまさにそれであるという。


 ……え、私? もとからですが何か?


「……お疲れでしょう。私が介抱しますよ」


「はい?」


 介抱って、私人間じゃないんだから。

 ……傷いやしてくれるならそちらの乗員をダメコンに回して……、あ、でもこの艦のことよくわからないだろうし意味ないっぽい?

 あ、でもせめて消火作業は手伝え……、って、今私の艦内で火災起きてなかったわ。


 ……すると、


「よいしょ」


「……へ?」


 すると、丹陽さんが両手で私の背中を抱えると、


「……はい?」


「ね、これで少しは疲れ取れますよね?」


「いや……、これ、俗にいうところの、」









「膝枕ですよね?」


「そうですけど何か?」


「いや艦魂にやる必要あります!?」









 余裕でなんの躊躇もなく膝枕された。

 私の視界がさっきまでの灰色の曇り空からそれに追加で丹陽さんの顔と胸が入ってます。

 ……よかった。私と同じくらいだった。何がとは言わないけど。うん、何がとは。それ以上は聞かない約束。


 ……で、これいつまでやれば……、


「少し休んできます?」


「膝の上でですか?」


「膝の上で」


「はぁ……、まあ、疲れてますし……」


 ……もういいか。とりあえず好意でさせてもらってるんだし。あと少し休憩するには案外気持ち良かったりするし。


 ……でもこれ、なんとなくだけどどちらかというと……、






「(……私と、しいて言うなら大樹さんあたりがやるタイプだよねこれ?)」






 アニメとかなら私が膝枕で大樹さんがそこに寝るっていうパターンはよく見るけど、あれだとなんとなくしっくりくるけどこれ女同士っていうね。あ、百合スキーなこんごうさんがホイホイされるわこれ。

 ……はぁ、ま、どっちにしろこれで休めるならお言葉に甘えますか。

 でも、あんまりほかに見られると変に勘違いが……。


「……あ、」


 すると、とたんに右のほうから声が聞こえた。


「?」


 そこには……、










「……これ、私いないほうがいいですね失礼しました」


「待ってちょっと待って誤解だからお願いちょっと待って」












 右からのその声の主は、同じく右舷側にいつの間にか接舷していたらしい成都さんだった。

 艦橋上にある衛星通信用角型フェアリングの陰に隠れて少し逃げようとしていたところを必死に止める。

 まずい、これでは私がこんごうさんよろしく百合好きに思われる。私はそんな趣味ないから!


「成都さんもお疲れ様です。どうぞ」


「あ、すいません……。なんか、いずらくて」


「お構いなく。艦同士ですから遠慮はこの際取っ払って、どうぞ」


「はい、ではお言葉に甘えて」


 成都さん合流。

 私の右隣にきて、力を抜くように長いため息を吐きつつ足を艦首の方向に向けて伸ばして座った。


 ……と、


「……ほう、ここにきて日台中3ヶ国の最新鋭艦が勢ぞろいですか」


「あー、そういえば」


「確かに」


 ここにいる3隻ともそれぞれの国の最新鋭艦である艦だった。

 ……尤も、就役時期は異なりますがね。


 成都さんは少し「あー」と思い出したように言った。


「そうはいっても私就役ですら2年前ですよ?」


「ずいぶん遅かったですよね?」


 確かに。進水したのは確か少し遅れての2015年後半だったはず。そこからさらに就役までに3年もかかった。

 ……向こうだと長くてもせいぜい2年くらいだったって聞いてたけど、いくらなんでもかかりすぎな気がするけども、いったい何があったのやら。


 しかし、成都さんはやはり本人だけに即行で答えた。


「艤装のための予算が下りなかったってところですかね」


「ありゃ」


「そうか、確かこのころ中国は……」


「ええ、例の経済危機です」


「あー……、そっかー……」


 予算ってもう艤装する前というか、建造完了する前の段階で終わりそうな気もするけど、中国で搬送ではないのかな。

 艤装に3年もか……。それだけ経済やばかったのになんで軍拡しちゃったのやら。


「ま、でもほとんど最新鋭ですね。……南海艦隊の中では」


「まあ、確かに」


 東海だとこれよりも新しいのがあった気が。

 ……とはいっても、沖縄戦の時は見なかったから、たぶん温存のために本土防衛に回されたか、またはそもそもの問題艤装自体が済んでなかったか。


 ……まあ、いずれにしろいなくてよかったと思う私がいる。あんな最新鋭相手にしてたまるかって話であってですね。


「……ん?」


 と、ふと成都さんのほうを横目に見たら、何やら空を遠目に見ていた。

 なにその懐かしむような目。……まるで私が昔を思い出すようである。


「どうしたんです成都さん。まるで過去になくした親友を懐かしむような目ですね」


「私の親友死んでないです」


 丹陽さんが割と本気でボケを実装したようです。

 いったいどこから学んだのか。え、私? 教えた覚えはないですよ。


「いえ……、なんか、さっきまでの騒がしいのがウソみたいでして」


「あぁ……」


 ……さっきまでの、か。

 考えてみれば、たった数十分前まで戦争してたんだっけ……。何の躊躇もなくこうやって3ヶ国が集ってますけど。


 ……終わったんだよなぁ~、戦争。今回は生き残ったか。

 前世では最後の最後で沈んだし……。


 ……またこの空を見れたか。何とも感慨深い。


「……何とか、互いに生き残れましたね……」


「ええ……、なんとか。しかし、あんなことしてくるとは……」


「え?」


 すると、成都さんは少し苦笑いしていった。


「……こんな現代で競り合いをするとは思わなかった」


「ギクッ」


 ……まあ、向こうからやってきたとはいえ、その勝負を受けることになるとは思わなかった。

 こんな平成現代で競り合いとか、この艦自体そこまでのことを考慮してるはずもなく。……私よ、よくぞ耐え抜いた。


 すると、丹陽さんは少し首をひねった。


「……あの、競り合いって何のことですか?」


「あー……、文字通りです」


「へ?」


「……競り合いました。物理的に」


「……え」


「物理的に。舷側ぶつけて」


「……えー」


 状況を想像したに違いない。

 軽く汗を流しつつ絞り出した言葉がそれだった。

 ……まあ、普通に考えて絶句ものです。ほんとに。


「まあもとはといえばやまとさんが主砲ぶっ壊しちゃうから……」


「スナイプごちそうさまです」


「よく狙えますねあんな状況で……」


 そんなこといわれても。それがコンセプトなにが私でして。

 どんなときにも完璧な撃墜率。ないし命中率をとる。

 ……まあ、あの鈍足ミサイルには対応しきれませんでしたがね。


「……で、この後そちらはどうするんです? 艦隊規模で氾濫しちゃいましたけど」


 ふと丹陽さんが聞いた。

 そういえばねぇ……。数隻規模ならまだ相手側了承のもとの拿捕とかそういう形で受け入れをしたりできないことはないだろうけど、こんな艦隊規模でなんて無茶が過ぎるというね。


 そう考えると割と本気で後処理が面倒な状態になってしまったなぁ……。このまま本国に返すにしても一応反乱勢力だから受け入れてくれるかどうか……。

 まあ、共産党体制が倒れるからそこら辺はまだ希望はあるかな。でもそれが無理な場合は……。一時的に日台に分けて保護かな。で、ほとぼりが冷めたら返す的な。


 ……でもこれもこれで無理やりな気が。マジでそうすんのこれ。


 成都さんも少し「う~ん」と悩みつつ言った。


「……とりあえず、そちらの司令部に任せる形になるかと。でも、こんな大規模なもの受け入れれるわけがないのでたぶん送り返すことになると思います。いくら米軍でもこれは持て余すかもしれませんし」


「ですよね……」


 前代未聞だもんなぁ、これ。

 艦隊全部まとめても20隻という大艦隊。全部を受け入れれるわけないしまとめれるわけでもないし。


 ……もう、これは私だったら本国に送り返すレベルかなぁ。向こうの軍港に連絡とって。あとは向こうでアメリカあたりに軍港に部隊送って保護してもらうって形が妥当だと思う。陸に送ったらあとはいくらかは処置ができるし。

 ……とはいっても、アメリカもアメリカでそんな余裕があるかどうか。はてさて。


「前代未聞な反乱なんて起こすとは思いませんでしたし……」


「……さすがに上の皆さんがやりすぎましたね。これは」


「敵味方無差別でしたからねぇ……」


 そのミサイルのせいで私や丹陽さんがあんな目に。


「……まあ、そんなこともあるのが戦争……、か」


「……ですね」


 ……そんなことを呟きつつ互いに空を見上げていた。

 特に意味はないが、そんな中でふと見たくなったのが空だった。

 ……空を見た時、また生き残ったって思える。私たちの場合沈んだら見れなくなるのが陸と空。そして空は常に見ていたものだけに、それが見れなくなるというのが何とも悲しいものだった。


 ……空を見ると安心感が漂うのは、やっぱり私たちが艦たる所以だろうか。


 とはいっても、未だに空は曇りがかかっていますがね。


「……と、時間的にそろそろかな」


 ふと、私がそういったのに二人は首を傾げた。


 ……と、その時だった。


“……おーす、そっち時間空いてるか?”


「お、やっぱりきた」


 この声、やっぱりこの時間だったか。


「空いてますよ。艦橋上です」


“あーい。特にすることなくて暇だからそっちいくぞー”


「え、ダメコンとかそういうのは?」


“予想以上に作業がスムーズにいってどこもかしこもほとんど終わりかけてて人員いらないって”


「あー、りょうかーい」


 なんだ、やっぱり互いにそれほど傷ないから即行で終わっちゃったか。

 それほど急いだり人員救援したりする必要なかったかな。まあ、私とて外部がやれそうなダメコンはないし、負傷者手当てももう人員十分生きとおったのかな。

 これだけいたら即行で終わっちゃうか。まあ、案の定とまではいかないけどある程度は予想できた。


 丹陽さんは今の声で即行で誰かは察することができた。


 ……でも、


「えッ!? い、今のは誰ですか!? 男性って、え!?」


 事情を知らない成都さんは唐突な男性音声にパニック中です。

 しかもこっちが問題なく反応示したことがさらにそれに拍車をかける。


 ……でも、なんかさっきミサイル迎撃するときに聞こえてきた声の中に明らかに大樹さんのこと知ってるとでも言わんばかりの声が聞こえてきたのは気のせいか。しかも日本側だけではなく台中川からも。

 たぶん近接戦闘の時に誰かがなんかの表紙に言ったのをどんどんとリレーしていったんだろうけど、まあとりあえず成都さんに対しては事情説明。


「あー、意外なことに実は私たちが見える方がいます」


「え!? 艦魂を!?」


「ええ、艦魂を」


「えぇー……。なんですかそれ……」


「私も最初はびっくりしましたよ。私はつい昨日の話ですけど」


「へぇ……。意外な人間の方もいたものですね」


 未だに驚愕の表情を崩さない成都さん。

 まあ、案の定ですね。全員が最初最低こんな感じだったし。こんごうさんなんて大樹さんいわく最初はいろんな意味で怖い人扱いされてたらしいし。


「暇だからくるっぽいですね」


「ここにですか?」


「ええ」


「あれ……。一応日本語使えばいいっぽいですかこれ?」


「一応中国語もわかるみたいですけど……、まあ、どっちでもいいですね」


 といっている今はなぜか日本語ですがね。


 ……あれ、


「(……ちょっと待って。“今からくる”?)」


 ……。





 ……あッ! ヤバッ!




「(……この状況見られたらさっきの成都さんみたいになるんじゃ……!)」


 しかし、そう思った時には残念ながら後の祭りだった。


 右側のここにつながる階段があるところから声が聞こえてきた。


「はぁ~疲れたぁ~」


 そんなダルそうな声をしながらその階段の陰から身を乗り出す。


「……え」


「……え」


 そのまま私たちは目を見合わせた。

 もちろん、“私は膝枕されながら”。


 大樹さんは頭を掻きながら登ってきたらしくその右手を頭の後頭部に回してたが、その体勢のまま……、


「……あ、ごめん、」













「ちょっと……お楽しみ中だったか……、ごめん」


「まってぇぇぇぇえええええ誤解だからちょっとまってぇぇぇえええええ!!!!」
















 そんな割と本気で申し訳なさそうな顔をして、


 後ろ向きで階段を降りようとしたところを引き留めつつ、


 すべての事情を説明するのに大体10分くらいかかった…………

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