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『やまと』 ~戦乙女との現代戦争奮戦記~  作者: Sky Aviation
第8章 ~日台vs中最終決戦! 敵本拠地高雄市陸海空軍総力戦!~
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進撃の日台連合軍。動き出すアジア戦線

―TST:AM07:20 台湾海峡南方出入口澎湖諸島七美郷西北西30海里地点

                     日台連合艦隊日本艦隊DCGやまと艦橋―







「旗艦より通信。艦隊に続け。針路、艦隊陣形そのまま、艦隊速度第1戦速」


 通信が言った。


 ついにきたか。艦長も反応した。


「了解。航海長、やろう」


 その声に航海長も意気揚々と反応した。


「了解! 軸ブレーキ脱。針路そのまま。機関第1戦速!」


「軸ブレーキ脱。針路維持、第1戦速」


「よーそろー」


 艦が動き出した。


 実に4日ぶり。哨戒の日々を送っていた俺たちが、やっと動き出すことができる。

 元気のいい甲高いエンジン音がとどろいたと思うと、少しガクンッとゆれて艦が前に動き出した。

 動きも相変わらず俊敏。いつもより一層張り切ってるのが見て取れた。速度がどんどんと上がっていき、すぐに指定速度に達してくれた。


 …4日ぶりだしね。仕方ないね。


 他の艦も動き出した。

 艦隊陣形をそのまま維持したまま、一糸乱れぬ動きであった。


「他艦航行開始。以後、艦隊陣形維持しつつポイントまで移動します」


 航海レーダーを見ていた乗員からの報告だった。

 それに「うむ」と一言言ってうなづきつつ、艦長はしみじみと言った。


「……いよいよ再開か。なんとなく長く感じたな」


「といっても、まだ4日しか経ってませんがね」


「はは、まあ、そうなんだがな」


 副長との会話だった。


 あの核宣言から4日。


 結局、台湾政府はこの要求をけるどころか、核攻撃も排除するという第3の選択をした。

 それは、俺たち日台連合艦隊のイージス艦を信じてのことだった。


 ついさっきまで、その記者会見を見ていた。そこには、台湾の馬首相さんがでていたが、まさに宣言というか、問いかけるようなものだった。

 どこぞの死んだ英雄で自分の弟を国葬するときの、3倍の早さで動く赤いのが所属する国の総帥の神演説かといわんばかりの演説ぶり。あの話し方、明らかに絶対意識しているだろうがあえてこれ以上ツッコミはしないでおこう。


 というか、あれで一番びっくりしたのが……、


「(……俺が言った一言からここまででっかくなるとは……)」


 あくまで意見提言のつもりで進言したのが、艦長から直接日本政府に、そしてどうやら台湾にも伝わったらしくて、そんでもってその日本政府が気を利かせて他の東南アジアにも伝えてエールを懇願とか……。


 ……一人の人間が動いた結果ここまで動きが膨れ上がるってヤバイと思うわ。ほんとに。


 だけど、とにもかくにも俺から伝わったことに納得が言ってくれたようで、こうしてまた動き出すことができる。

 台湾だけでなく、これに合わせて東南アジアの各戦線も動き出している。

 そして、その中で一番重要なのは俺たちだ。

 ここにいる計7隻の日台イージス艦が、どこまでこの敵からの弾道ミサイル攻撃を防げるか。

 そこに、この台湾の戦況の命運がかかっていた。


 だからこそ、ここの緊張感はいつもより高い。


「今まで好き勝手言わされていたが、ついに終止符を打つチャンスを得た。さっさと終わらせるぞ」


 艦長が決意するように言った。


 そうだ。もう2週間くらい続く戦争に、もうさっさと終止符を打たねばならない。

 もうこりごりだ。これ以上の戦闘なんて勘弁願いたい。


 だからこそ、今日ここで戦争を終わらせる。うまくいけば今日中に決着が付く。


 だから皆、うまくいけば、というより、“絶対に今日中に終わらせる”覚悟で望んでいた。


 これ以上、戦争を長引かせないために。


「見張り、他艦との間隔をしっかり見張っておけ」


「了解」


 今ここにいる艦隊は、最初とは少し違っているとはいえ、大まかには同じメンバーだ。



 簡単にはこう。



【日台連合艦隊(再編生後総戦力)】

旗艦:いずも型CVL『183“いずも”』

空母:ひゅうが型CVH『181“ひゅうが”』

ミ巡:やまと型『190“やまと”』

   丹陽級『1210“丹陽”』

      『1211“媽祖”』

ミ逐:ながと型『185“ながと”』

       『186“むつ”』

   あたご型『178“あしがら”』

   こんごう型『173“こんごう”』

        『174“きりしま”』

   旗風級『1901“旗風”』

      『1902“島風”』

   基隆級『1801“基隆”』

      『1803“左営”』

      『1805“馬公”』

汎逐:ふぶき型『123“ふぶき”』

       『124“しらゆき”』

  たかなみ型『113“さざなみ”』

  しきなみ型『121“ゆきかぜ”』

  あきづき型『115“あきづき”』

  むらさめ型『103“ゆうだち”』

       『105“いなずま”』

       『107“いかづち”』

フリ:康定級『1202“康定”』

      『1203“西寧”』

      『1205“昆明”』

      『1206“迪化”』

   成功級『1101“成功”』

      『1106“岳飛”』

      『1107“子儀”』

      『1110“田單”』

   濟陽級『932“濟陽”』

      『933“鳳陽”』

      『936“海陽”』

      『937“淮陽”』



 以上の35隻という超々大艦隊。


 ですがご安心ください。この中から軽空母の『いずも』さんにヘリ空母の『ひゅうが』さん、イージス艦の『むつ』さん、汎用駆逐艦の『さざなみ』さん、さらに台湾からは基隆級駆逐艦と成功級フリゲート、濟陽級フリゲートが後々離脱します。理由は後ほど。


 艦隊陣形は、前方にいる日本汎用駆逐艦が先行。隣には『こんごう』さんや『ながと』さんらイージス艦組。本艦の真後ろには旗艦の『いずも』さんが追従し、そのさらに後ろには『ひゅうが』さん、その両サイドを台湾イージス艦『丹陽』さんと『媽祖まそ』さんが張り付き、さらに周りを日台駆逐艦、台湾フリゲートが囲っている。


 こんな大規模な輪形陣、演習でもやったことないけど、まあ即興でやった割には結構スムーズに問題なく機能している。


 ……互いに信頼しあえる日台だからこそなせる業だろうか。普通考えたらこんな30以上の艦の大艦隊なんて組まない。まあ、すぐに一部は分離するんですがね。


 と、そのときだった。


「……ッ! 台湾司令部より通信です。“各戦線部隊に対し進軍開始を命令。日台連合艦隊は所定の行動に移れ”との指示が来ました」


 台湾司令部。正確には台湾軍最高司令部のことで、もちろんこれは台湾政府が指揮ってる。


 どうやら、陸海空全部隊に進軍命令を出したみたいだな。陸は今頃その進軍をはじめていることだろう。

 だが、あそこは敵中国軍が壁の如く最前線に大量の部隊を置いていると聞いているし、それをどれだけ被害を少なくしつつ突破できるかがこの戦いの一番の鍵キーポイントとなるだろう。

 それには海・空からの支援が不可欠になる。できる限り支援してやらねばならない。

 ついでに言えば、当たり前だけど陸海空総戦力。ゆえに、海軍は潜水艦も総動員、空軍は首都方面のやつも急遽最低限のを残してこっちにきていて、陸軍は今澎湖諸島にいる空挺団もすべて動員する。

 それには最前線で味方が敵軍を最大限ひきつけているうちに、手薄になった敵司令部に“海を迂回して”強襲を仕掛ける。

 これはとんでもなく危険。でも、すばやく奪還するにはやっぱり司令部の陥落は不可欠と見た台湾司令部はこれを命令した。

 これには大量のC-2輸送機とJV-22オスプレイ、さらにその護衛機を動員して、戦闘時の混乱に乗じて一気にすばやく送ることになった。


 ……とにかく、使えるものをすべて使っての超絶なる総力戦。これの一手にすべてをかける。


「きたか……。では、我々は一応……」


 副長の声に、艦長がこたえた。


「うむ。我々はひゅうがを旗艦とした前衛主力部隊のほうに付き、“例の作戦”を実行する」


「了解」


「……にしても、」


「?」


 そこに割って入ってきたのが航海長だった。

 苦笑いをしながら言った。


「司令部も司令部です。いくら中国からの核攻撃を免れるからってこんな作戦を採るなんて……」


 そして、軽くハハハッと苦笑いの表情を保ちながら笑った。


 例の作戦。


 そう。俺たちは途中で艦隊を分ける。

 さっき分離がするって言ってたのはこれのことで、さっき言った艦が抜けた代わりに、『ひゅうが』さんを旗艦に託してその残りの部隊で前衛主力部隊を構成する。

 その中でも一応このやまとがひゅうがさんについで中心的存在にもなるけど……、


「まあな……。だが、実際可能性は否めんし、そうなったらこれしかあるまい」


「そうなんですがね……。これ、へたすれば“第二次大戦以来の混戦”になりますよ」


「いつどきかの第3次ソロモン海戦状態になるな……」


「ほんとですよ……。はてさてどうなることやら」


 航海長も少しながら不安を隠せていないようだった。


 第3次ソロモン海戦といったら、ガダルカナルの戦いの趨勢を決めたともいえる海戦で、とにかく戦術云々無視の物量対物量が真正面からとにかくぶつかりまくった戦いでもある。

 ……まあ、というか日米ともに夜間戦闘ということもあって混乱しまくっていて、たとえ命令してもそれがうまく伝わらなくなったりいろいろと伝達ミスが起きた結果そんな真正面からのただただぶつかり合いのタイマン勝負に見せかけた超絶なる乱戦になっちゃったんだけど。

 これにはあの戦艦霧島が、日米で唯一の戦艦対戦艦の戦いを演じたほか、駆逐艦夕立がとんでもない無双っぷりを発揮して米軍を恐怖のどん底に陥れたいろいろとおかしいといわざるをえない戦いだった。

 ちなみに、この駆逐艦夕立、機関が死んで使えなくなったと思ったら艦長命令でいつどきかの大航海時代の帆船よろしく帆を張ってでも航行を再開して戦おうとしたというとんでもないキチガイっぷり。なお、キチガイは褒め言葉。


 ……今回のこの作戦はそれを髣髴とさせる。いったい何をしでかすのかは後々自分の目で見て確かめろとでも言っておく。


 艦長は「だが……」と一言置いていった。


「それでも、これがある意味では一番の方法なのは確かだ。向こうに混乱を与えることにもなる。……なに、簡単にはやられんよ。この艦は」


 自信満々だった。


 そう。ある意味では、この作戦は装甲が付いたやまとにはうってつけだった。

 それが試される作戦だったんだ。


 ……そんで、


「(……ある意味、“本職”だしな)」


 この“本職”がどういう意味なのか、これもこれで後で自分で見ろということにするが、まあ大体これで察したと思う。


 ……なので、


“まだかな~……、まだかな~……?”


「……やまと、気持ちはわかるが少し落ち着け」


“これで落ち着けって言うんですか?”


「うん」


“無理です”


「……」


 ……元戦艦の血が騒いだのか、さっきからそわそわしっぱなしの彼女である。


 だが、やつはまだいいさ。


 ……その、例の第3次ソロモン海戦体験艦にいたっては……。






“さて姉さん。数十年の時を経てやるんだから相応の手痛い仕打ちをしてやらないとね。準備いい?”


“いやこっちはとっくの昔に十分いいんだけどさ……、きりしま、少し落ち着こう? な?”


“今さら何を言ってるのよ。これは元戦艦の血が騒ぐでしょ? 姉さんもあの海戦参加したから結構楽しみだと思うけど?”


“私はあくまで外洋の部隊だったから……”


“でもわからないこの意気高揚感? 元戦艦なら楽しみで仕方ないでしょこれ! 早く来ないかな敵艦隊……。あのときの借りをしっかり返さなければ! 相手が違うけど!”


“……この戦闘狂めが……(汗”






“楽しみだね雷! あのときの再現くるかもよ!”


“だよね! やっぱり軍艦はこうでないといけないと思う今日この頃だよ! 乱戦もってこいだよ!”


“わ、わかったから二人とも落ち着いて……”


““ごめん、落ち着けないわ””


“……はぁ~(汗”






“なんか戦闘狂の艦たちが張り切ってるねぇ……。そういえば、あの海戦しらゆきも参加したんでしょ?”


“……(ニコニコ”


“……え、ちょ、なんですかしらゆきさんその不気味な満面の笑みは”


“……楽しみだねふぶき姉さん!(ニコッ”


“……う、うわぁ~……(戦慄”









「……あんたら……(汗」


 そうつぶやきながら俺は軽く頭を抱えた。


 この艦たちは知ってのとおり例の海戦の参加艦艇だった艦の方々なんだけど、その方達はこれの作戦内容知ったと思ったらさっきからずっとこの状態なんですわ……。

 他にも、この参加艦艇の中で第二次大戦からの転生組はやまと並に小さくはあるけどさっきから落ち着きない。

 ……やっぱりそこらへんは元リアルドンパチやりまくった軍艦どもか。今の海戦には無意識の内に満足は得られてなかったようだな。


「どうした新澤?」


 と、航海長が俺のつぶやきに気づいたのかそう話しかける。


「あ、いえ……、元軍艦の奴らが落ち着きなくて……。しかも第3次ソロモン海戦参加組はもう発狂寸前ですよ……」


「……あー(汗」


 航海長もどういうことか察したらしい。

 というか、周りもその会話を聞いて歴史知ってる奴らは大体どういうことか想像した見たいだ。まあ、別に想像するに難しいことではないしな。


 すると、艦長も反応した。


「はは……。まあ、でもある意味今回は彼女らは頼りになるかもな。ぶっちゃけ“本職”だしな」


「“元”ですがね」


「まあな」


 しかし、あの時とはまた勝手が違うと思うが……、大丈夫だろうか。


 だが、まあそこらへんは実際に彼女らに任せるとしよう。


 ……すると、


「……ッ! 旗艦いずもより通信。“作戦行動に入る。事前に通達された分派艦は分派開始。当前線主力部隊旗艦を台湾巡洋艦『丹陽』に委託”。以上です」


「始まったか……」


 作戦開始の通信だ。

 すると、周りの艦も動き出した。

 さっき言った分派艦は艦隊陣形から器用に抜け出し、そのまま左舷側に抜けていった。

 その先には台湾本土の支援に当たっている部隊が待っているはずで、そこに合流する手はずとなっていた。


 ……そして残された俺たちは、再びその抜けた分の穴を埋めるように艦隊陣形をとり……、


「台湾旗艦『丹陽』より通信。“これより本艦が当部隊の指揮をとる。全艦、艦隊を維持。取り舵20。第3戦速まで増速せよ”。以上」


 新たに臨時で旗艦を命じられた台湾イージス艦『丹陽』から指示が出た。

 増速命令。敵艦隊の動きに合わせてきたか。転針命令もそれの関係だろう。


 すぐに艦長も反応し、航海長に指示を出した。


「通信了解。航海長、頼む」


「了解。機関第3戦速。取り舵20」


「機関、第3戦速。取り舵20」


「とーりかーじ」


 俺はそのまま舵を左にまわし、艦を取り舵させた。

 各艦もそれに続く。先頭の汎用駆逐艦から準備左に回頭していき、後続もそれに続いた。


「……ついに始まるか」


“ええ。……やっと、決戦が始まるんですね”


「ああ……。少し長かったな」


 といっても、4日ほどだがな。


「……早いとこ終わらせようぜ」


“そしてさっさと帰りましょう。……もう血みどろの戦いはいやなのでね”


「帰ったら何してやr」


“おーっとそれは死亡フラグなので事前に阻止ですよ”


「チィ……」


 だが、どこかのシューティングゲームであったリア充にはなりたくないしな。少しは自重してやろう。


「……」


 俺は前方の窓から見える空を見た。

 今日は朝から晴れている。といっても、午後から曇るらしいが。

 しかし、決戦の日の天気としては悪くない。中々の天気といえるだろう。


 ……さっさと終わらせてかえろうぜ。


「……この戦争もいい加減、」











「結構長くかかっちまったしな……」













 俺は決意を新たに、その舵を握る手の力を少し強めた…………

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