皕ノ丗界ヨリ グェアイ さーしーえー
おまたんたん(●´ω`●)♪
妹乳:「────アンティっっ……!!!」
それは、雷撃に近かった。
壁に等列する無数の宝石から、
放たれた光の集中線に貫かれ、
二人は、昏倒する。
その、あまりの衝撃は、
ふたりの身体を浮き上がらせる。
次の瞬間、美しい大理石に、
落下する金と銀の、
甲高い音を生んだ──。
── ギ・キィ──……──ンンン・・・!!
妹乳:「──く……!!」
姉乳:「大聖堂で起こっていい、
"罠"じゃ、ないでしょうよ……ッ!!」
──ダッ!!
足から落下し、
後ろに倒れ行く、義賊と狂銀に、
羊雲姉妹は駆けつけ、
──抱き止める。
──ガシッ、ィ・・・!!!
妹乳:「──アンティ! 平気ですか!!」
姉乳:「あんたたちッ! 返事なさいなっっ!?」
──ガシュ──!!
────ガシャン・・・!!
──バシュ──!!
────ガブァア・・・!!
妹乳:「そ……装甲、が……ひらいて……!?」
姉乳:「──!! けむりが出てるわよッ!!」
シュぅぅうううう・・・ッ──……!!
金と銀の装甲は、
あらゆる所が持ち上がり、
内部の、ピンクとライトブルーの、
生体筋肉が露出している。
赤からは、熱気が。
青からは、冷気が溢れ。
この状態が、この二人にとって、
あまり良い事ではないと、
剣の姉妹は、理解していた。
妹乳:「は、排熱処理と、
冷気放出が、
行われている──ッ……!!」
姉乳:「──ちょっと! 神さまチームっっ!!
聞こえてんのッ!? ねぇってばっ!!」
アンティとマイスナの口は、
僅かに開かれ、
目は開けたまま、
瞼が痙攣、し続けている。
よっつの、長い睫毛が、
見ている者を、
恐ろしくさせる煌めきを、
反射していた。
姉乳:「なんで、誰も答えないの……!?
大聖堂で、神の声が聞こえないって、
話に、なんないんだからね……!?」
妹乳:「くっ……! アンティ……ッ!」
オシハが呼びかけても、
神々の声は聞こえず。
ヒキハが奥歯を噛み締める音は、
ギリリ、と、近づく皆にも、
聞こえるほどである。
──ダダダダダダ・・・!!!
熊神:「──うぉい!! 大丈夫かよ!?」
白童:「ゆすっては、いけませんよ!!!」
当然:「お前たちは、ここへ居れ!!
また……あの光線が、
出るやもしれぬぞ──!!」
封火:「ッ……!」
銅壱:「お嬢様っ……!!」
白童:「──ボクに、任せて!!!」
トウゼンローが、火の娘たちを留め、
接近する、銅の刑死者たちを、
屈んだユユユが、手で制す──。
熊神:「どうだ……?」
白童:「感電では、ない──。
外傷は、ありません。
おふたりを、近づけましょう!!!
"頭髪"を──……!!!」
妹乳:「そ、そうですわ……!!」
姉乳:「ヒキハ! 抱きあげるわよ!」
少し離れた位置の二人を、
抱き上げ、回転させ、
頭同士を、向かい合わせる。
何故だかは、わからないが──。
この二人は、頭髪を接続することで、
回復、するはず──……!
姉乳:「……!? 反応しない……?」
妹乳:「ど、どうして……!!」
黄金 と、白銀。
ふたつの奇跡のような色の髪は、
触れ合っても、まるで……交わらない。
動きのない美しさが、
周囲を、焦らせていく。
萌殺:「マジ……マズイんじゃねぇーのか……!?」
銃侍:「あ、アンティ殿! マイスナ殿……!」
獣王:「ガァオ、ガォオっ……!?!?」
白童:「やはり……治療魔法は意味がない。
壁の装置は……なんだ。
何が、起こったのだろう……」
熊神:「バカやろう、呑気に、
知恵まわしてる場合じゃ、
ないだろーがよ……!」
痙攣する瞼は、
震えながらも、
ゆっくりと、閉じていく──。
妹乳:「アンティ……! アンティ……!
しっかりして……!」
姉乳:「くっそ……!
腕が、軽く凍ってやがるわ……!
ユユユ! ヒキハにも、
治療たのむ……! たぶん、
火傷してる……!」
突然の、主人公たちの昏倒に、
焦らない訳がない、
取り巻く者たち。
不安の中で、完全に、
ふたりの目が、閉じる。
すると、言葉が、動き出す──。
金銀:『『 モハヤ シハ 、
ヒデハ ナイ 』』
妹乳:「──ッ……!?」
姉乳:「くちが──っ……」
急に、しゃべりだした二人に、
皆は驚く。
異火:『 ば、ばかなー…… 』
カラクリの異形の乙女が、
ガシャン、と一歩を踏み出す。
異火:『 どうなって、おるー…… 』
銃侍:「が、ガンゼル殿……!?
何か、わかるで、ござるか……?」
目を閉じる二人に、
近づく、火神の眷属──。
ガチャ、ガチャ、トコ──。
しゃがむ。
異火:『 ひは、しと、ともに、あり。
せかいの、ようそは、
はじまりに、むりやり、
ななつに、わかれた。
そして、ひは、しと、なった。
だがー……、この、かたがたは、
ただ、しの、ちからが、
かんしょう、している…… 』
妹乳:「"死"の、チカラ……?」
姉乳:「縁起でもないこと、
言ってんじゃないわよ……??」
異火:『 お、おかしいー……。
まったく、ひを、かんじぬ。
これは、しの、ちからなり。
だが、ふたりは、いきている。
ばかな……。ありえぬー。
この、おふたりは、
いつだつ、している── 』
妹乳:「し、んでいるのに……」
姉乳:「生きている……??」
カタコトの火神は、
しかし、戦慄しているようにも見えた。
有り得ないことが、起こっている。
そんな、実感を、目の当たりに──。
金銀:『『 コトバオロシ ニハ
シト、カオガ イル 』』
まだ、操られるよう、しゃべる。
金銀:『『 ダガ サンハ
アワサラヌ 』』
熊神:「なんだ……何を、言ってんだ」
萌殺:「マジ同時に言うから、
マジ気味ワリーって……!
おぃ、マジ叩き起こしちまえよぉ……!」
白童:「待って……。
たぶん、伝えたいん、ですよ──」
金銀:『『 カオ ガ ニ
カラダ モ ニ
ソレハ ゴ ニ
ナッテハ イケナイ 』』
妹乳:「なんなの……やめて。
何を言ってるの……!!!!!」
姉乳:「……」
金銀:『『 ダカラコソ── 』』
だれも、何も、わからなかった。
ただ、取り憑かれたような彼女たちの、
その、言葉を、聞いた。
金銀:『『 ヒトツト ナッテ
ヨン トスル 』』
妹乳:「 ひと、つ……? 」
金銀:『『 ソノ、サン ハ
ソラノ コトバヲ
ヨビヨセルダロウ 』』
白童:「 ……空の、"言葉"? 」
熊神:「……なぁ、東の街の、
ちっせえ聖女さんに、
お祓いしてもらったほうが、
いいんじゃねぇのか……!?
ヤベェぜ、こりゃ……。
この、しゃべってんのは、
いったい、何だってんだ……!?」
萌殺:「今回ばかりは、
マジ、クマ公にマジ賛同だぜ……。
マジこいつら、マジ魔力ねぇから、
ユーレイに、マジで、
取り憑かれやすいんじゃ、
ねっのか……!?」
心配する周囲の中、
黄金を抱きとめるヒキハが、
なにかに、問いかけた──。
妹乳:「……"ひとつ"になった後は、
どうなるの……?」
姉乳:「……! ヒキハ……」
──" 何か "は、ソレに答えた。
金銀:『『 シナヌ シノ カミトナル 』』
そして、空間が、震えた。
ド グ ォ オ オ オ ン ン ・・・──!!
妹乳:「 ──ッ……!! 」
姉乳:「 うわっ──……!? 」
熊神:「 うおぉおおおッ!? 」
金と、銀の、
それらから発せられた、
衝撃波のような波動は、
しかし、一瞬で収まり──、
────"瞳"が。
金娘:『 ◀◎▶ ◀◎▶ 』
銀娘:『 ◀◎▶ ◀◎▶ 』
妹乳:「 ……!! アンっ── 」
姉乳:「 なっ…… 」
──それは、一瞬のこと。
金娘:「………………………ん、……」
銀娘:「………………ぁ、……………」
妹乳:「 アンティ!!
気がついたのですか!? 」
姉乳:「 ……あんた、大丈夫なの……? 」
金娘:「………ぅ、ん。平気……」
銀娘:「もんだい、ない……」
支えられている、
女剣士たちの手を離れ、
黄金と、白銀は、起き上がる。
妹乳:「ほ、ほんとう、に……?」
姉乳:「……。……ねぇ、アンタたち、さ」
オシハは、誤魔化さない。
姉乳:「──今の、"瞳"、なに?」
金銀:「「 ……へ? 」」
妹乳:「アンティ……?」
もちろん、ヒキハも、気づいている。
たしかに、一瞬──、
しろが、くろく────。
白童:「お元気なのは、何よりですが」
熊神:「おぅ……。どうやら、
マズイやつが、居そうだぜ……?」
金銀:「「 ……!? 」」
姉乳:「……は?」
妹乳:「え……!?」
何人かの視線が、
大聖堂の、整然と並ぶ、
長椅子に、向けられている。
銃侍:「誰かが……座っておる」
それは、ゆらゆらと、ゆれて。
萌殺:「マジ……絵本の世界は、カンベンだって」
くろい、モヤの、ような。
姉乳:「……ここって、聖なる場所なんじゃ?」
ひとがたで、だが、しかし。
金娘:「……!?」
銀娘:「なんだ、あれ──……」
たちあがった、ひとかげは。
くびがなく。
異火:『 あれは、おんねん、なりー 』
場違いな、ゴーストは、
歩行を、はじめた。
(´・ω・`)!?










