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朝神煉弛 ぐぇい

祝!! 挿し絵復活!✧ \(°∀°)// ✧







 アンティが許せないものとは、なんだろうか?





 彼女は、あの街で、


 劣等感(れっとうかん)と共に育った。



 周囲の友人が、次々と魔法を使える中で、


 自分だけが、なにもないという、不安──。



 ベッドに座り、布団をかぶり、


 窓の外に見える星空は、


 美しいだけでは、なかったはずである。




 (かがや)かしいと思えるものは、


 時には、遠い、遠い、"反対(アンティ)"のもの──。





 " なぜ、自分は、こうなのだろう " 。





 さみしく、不安な時など、


 無限にあった、はずだ──。





 ──でも、アンティは、(くさ)らなかった。




 "憧れの存在(紫電の魔法使い)"の大きさも、


 もちろん、あったろう。


 


 ただ、彼女は、


 たくさんの人と、しゃべった。



 "キティラ食堂(彼女の実家)"には、


 毎日毎日、たくさんの街の人が来たし、




 食堂の一人娘は、その会話の中で、


 たくさんのことを、感じ取った。




 イヤなやつだな、と思った人でも、

 次に来た時には、いい所が見つかったり。


 話の長い奥さんは、

 でも、とてもお孫さんを大事にしていたり。


 まったく自分と違う考え方でも、

 それが、相手にとっては大切なことであったり。


 魔法が使えないことを、はげましてくれて、

 でも、それが、ちょっぴり、重荷だったり。


 誕生日プレゼントの本の間に、メモで、

 ガキンチョたちが考えた呪文が書いてあったり。


 そんなに、世の中は、

 捨てたもんじゃあないなって、思えたり──。




 彼女は、確かに、それらに、助けられた。




 学んだことは、ある。





 "正義"は、たくさんある。


 相手の考えは、自分とは、違う。


 自分が──他と違うは、" あたりまえ "だ。





「 あたり、まえ──……だ! 」






 それが、布団を かぶりながら(のぞ)く、


 星空を、少しだけ、美しくした。




 彼女が、あの食堂で学んだのは、"正義"ではない。




 彼女が、(はぐく)んで きたものは────。






「コラっ、そこっ!! あぁく、手ぇ、あらいなっっ!!」

「歯みがきしないヤツにぁ、水しか、あげませーんっ!!」

「よぉし、ポタタでキャッチボールしたやつ、整列しろ」

「おぃ、クソガキ! 食べ物は命だ! おもちゃじゃねぇ」

「ダイコンでチャンバラしたヤツ、そこへなおれ」

「なぁにを、落ち込んどんのじゃ、元気だせ」

「どうでもいい奴に、ご飯は作らねぇ。

 でも、帰ったら、ご飯があるでしょ?」

「ごめんなさいして、今日はウチで、食べなさい」






 ────" (ぜん) "の精神に、他ならない。





 

 

 アンティは、食堂娘だ。



 アンティの良いところは、

 いつも、そういうことだ。



 人として、当たり前のこと。

 それが、たくさんある中で。




 "善意"というものが、


 人、たらしめると いうことを──、




 ────大切に、する。








 アンティが、いつだって、


 迷わないのは、" ソコ " なのだ────。







 そう、



 人と、して────。



 あたりまえの──────。









 "善意"に、助けを求めた者が。



「 本当に、大丈夫なの? 」なんて、



 言 っ ち ゃ あ 、 い け な い 。


 







 ナトリの奥さんは、


 そいつを、やっちまった。






 これは、"道徳教育"の、お(はなし)である。









 アンティは、隠す。


 だが。


 (ハラ)のキマった彼女は、







 つ   よ   い   ぜ   ?










『────小ミッションを:開始します☼

 ────目の前の奥様に:

 ────自分の立場を:わからせましょう☼』

『>>>うおぉ……お(ヨメ)さんが、オコっている……!?』





 ──アンティは、そして、伝えた。





金娘:「                」




灰姫:「──……、……!? 」




 あまりにも(おだ)やかに言われたので、

 灰姫は、ケンカを売られたという事に、

 しばし、気づかなかった。





灰姫:「(わらわ)が、か……?」




 "槍を構えろ"など、

 (むすめ)たちの方に言ったのでは?

 と、思ったほどである。


 停止した思考は動き出し、

 やはり、張り付いたような()みは、

 言葉を(はっ)す──。

 



灰姫:「……ほ、ほ♪ 自分に……護衛(ごえい)など要らぬと、証明するおつもりかぇ──?」




 アンティは、優しく微笑(ほほえ)んでいる。

 とても静かに、燃えるように──。

 



灰姫:「(くや)しく、お()(もう)したか?」


銀娘:「追加で解毒薬、銅ちゃんらに、わたしとく」

金娘:「ん。あんがと──」



 ハイ姫の挑発(ちょうはつ)は、

 まるで行き場を失い、

 なんの役割も、生み出すことはない。



灰姫:「……」



 少しの無言の後──。


 灰は、クルクルと手持ちの(やり)を回し。

 手前に、刃が()くよう、(かま)え直す。


 ──スラァァア……!




灰姫:「──これで、良いかのぅ?」




 まだ、面白(おもしろ)げな、ハイ姫に。


 アンティは、そっと言う。





金娘:「それは、()(わけ)になる(かま)えですか?」


灰姫:「……ッッ!」




 アンティの(くち)にした挑発(ちょうはつ)は、

 周囲の者に、、、トウゼンローにですら、

 (ひたい)に、汗を浮かべさせた。


「負けた時に、その構えのせいに、するんですね?」


 と、そのような意味合いを、

 アンティは言い(はな)ったのである。


 ハイ姫は、少し眼光を強めたが、

 金には、まるで(ひび)く様子はない。


 義賊は、(りん)と、立っているのだ──。




灰姫:「……、……」




 領主の伴侶(はんりょ)に、(にら)まれているというのに、

 だが、まるで、動じることなく。


 世間知らずの娘なのか、、、

 はたまた、度過(どす)ぎた自信など、

 持ち合わせて、しまったのか──。




灰姫:「……よかろう。ヒナワの恩人じゃ」




 挑発(ちょうはつ)など、され()れていないハイ姫は、

 しかし、買うことにした。


 周囲の温度が、上がっていく──。





灰姫:「刮目(かつもく)せぃ。なかなか見れぬぞ? "義賊の娘"よ──」




 槍は、炎に包まれていた。




 ──ボォォオオオオオオ────……!!!!!




熊神:「が、ガチの……"エンチャント"じゃねーか……!!」

白童:「無詠唱の、"属性付与(ぞくせいふよ)"魔法ですか……♪♪♪」

萌殺:「……アレ、マジでヤベーやつだぞ……??」



 ハイ姫の槍は、

 螺旋状(らせんじょう)になった炎に(つつ)まれ、

 その色は、赤から、白へと、(うつ)り変わっていく──。


 特別な金属で出来た(ランス)は、

 ()けることなく、その、"灰の熱"に、

 染まっていく────……!




封火(ぷうか):「は──……"(はい)(やり)"……!」





 言葉の(とお)り。



 "(つらぬ)いたものを、

  灰燼(かいじん)()す、

   (しら)(ほのお)(やり)"──……!




 ハイ姫の受け継ぐ、勇者の血が成す、

 固有の魔術を(もち)いた、殲滅(せんめつ)の槍である。




萌殺:「ま、マジ、あついんだが……?」 




 その、皆の顔を、あぶる熱量は、

 表情をしかめさせる(ほど)のものである。




禍火(まがか):「母上……! そのような、本気で……!?」




 灼熱(しゃくねつ)(やり)(さま)は、

 娘たちも戸惑(とまど)うほどの、ガチさである。


 そして、炎は、完全に変質する──。

 (くれない)の色など無く、

 それは、凶暴(きょうぼう)な、


 (ハク)へと(うつ)り────。




灰姫:「──(わらわ)の体質から成る炎でな。この槍は、白き炎で焼き(つらぬ)く」




 濁流(だくりゅう)のような炎に巻かれた、

 槍を持つ、女がいた。


 七人の妹娘たちも、「あわゎ……」と、

 口を、あけている。


 ぜったい、まずいよな……?


 ──という、空気。





 だが、アンティは────。





金娘:「 タイミングは、お任せします 」



灰姫:「……?」



金娘:「 3つ、(かず)をかぞえて、いただけますか? 」



灰姫:「……!!」





 燃える槍の前に、黄金の義賊は、

 まるで、(おく)す様子はない。


 ここまでくると、灰姫は、

 大したものだ、と()みが(こぼ)れた──。




灰姫:「……小さきほうに、か? それとも、大きなほうに?」


金娘:「──お好きなほうで。でも、3からカウントするなら、(ジロ)も入れてください」


灰姫:「ふ、、。覚悟は、よいな──?」




 まだ、間合いは、かなり()いて。


 だが、すでにそこは、

 (はい)(やり)の、射程範囲(しゃていはんい)である。



灰姫:((ふところ)に入れば、何とかなる、、、などと、思っておるのでは、、、あるまいな……?)



 これでも、死線は知っておるのじゃがな。

 舐められたものじゃ──と、


 思う、ハイ姫は、しかし。



 数を、かぞえる──。






金娘:「  〇 v 〇  」






 さて、どのようなことが、

 起こるのか──……?







灰姫:「 さん…… 」





 うごかぬ。





灰姫:「 にぃ…… 」





 かまえ、すら、せぬ。

 




灰姫:「 いち・・・ 」





 ────だが、手は、抜かぬ……!










 灰の、自らの数えた"(れい)"は、



 聞こえなかった。











灰姫:「  ──    !?  」






 まず、手元に槍がない。


 はずなど、有り得なかった。




 首に、刃先(はさき)が……当てがわれて、いる。






灰姫:(  ば、か・・・な・・・!?  )






 (はな)れた場所にいたはずの黄金は、


 目の前で、槍をかまえ、


 灰の首を、落とさんとしているのだ。





灰姫:( 正面、から、じゃと・・・!? )





 ハイ姫は、万が一のことを思い、


 背後に(まわ)られた時のことは、警戒していた。




 だが────黄金の少女は、目の前にいる。


 金の視線は、灰の胸元に向けて、半目(はんめ)であり、


 まるで、坐禅(ざぜん)最中(さなか)のようである。






灰姫:( 直進(ちょくしん)が……見えなかったというのか・・・!? )




 ステップを踏み、背後から回るなら まだしも、

 まっすぐに近づいてきた者を、

 見落とすことなど、ありえぬ。



 普通、では────、、。




灰姫:( な、ぜ、(わらわ)の槍がッ……!? ──それに、"炎"、は……!? )



 先ほどまで渦巻いていた"灰の炎"は、

 ハイ姫の首に当てがわれている槍には、

 見る影もなく、消え失せている。


 それは、シンプルが(ゆえ)に、


 "奇術"とさえ、思える所業(しょぎょう)──……!




灰姫:( ──正面より()()られ……、(やり)(うば)われ……、それが、知覚できなんだ、と言うのか・・・!? そんなことは、起こり得ぬ……ッ!? しかも、炎まで、(うば)われ……──"(うば)う"!? )




 ハイ姫は、やっと気づいた。


 アンティの右手には、炎など消え失せた槍が。




 その左手には──"球体"となった、


 白い、炎────・・・!!!





 ── きゅうん、きゅうん、

  ── きゅうん、きゅうん──・・・!!





金娘:「  ──  」




 複数の歯車の輪が周回する、炎の球は、

 まるで、ヒトダマのサッカーボールのようである。




灰姫:( ──()られて、いるッ……っ!!? 槍もッ・・・!! 炎もっ・・・!? あれは、(わらわ)の作り出した魔力ぞ・・・!? ど、どうやって・・・!? )




 ──チャッ……!




灰姫:「──ッ……!?」






 アンティが、

 ハイ姫の首元から(やり)(はな)す。


 ビクッ、と(みずか)らが、戦慄(わなな)くのを、


 灰は、自覚して────、






 ──ひゅっ、



 ──ズ パ ァ ァ ァ ん ん ん !!!!!






 アンティは、地面に槍を、投げ()した。




 長槍(ながやり)は、半分ほどまでが、地面に埋まり、


 その()は、ドラゴンの筋力に負け、


 いとも容易(たやす)く、折れ曲がっている。




 その、槍を投げる仕草さえ、

 周囲の者には、光に見えた──。






封火(ぷうか):「……、……」

禍火(まがか):「……っ、……ッ」





 "灰の母"の────完全な、敗北である。




 (はな)れていた所で、見ていた者……、


 特に、おっぱいの剣士二人は、


 戦慄(せんりつ)していた。




妹乳:( は、はやい……ッ!! 以前、王太妃(おうたいひ)様と、シャンティ様の前から消えた時より……確実に、精度が上がっていますっ……!! )


姉乳:( ゃ……ふざけんじゃないわよ……。すでに、"初代様"の動きを、、、メチャクチャに、()えちゃってんじゃあ、ないのよ…… )





 アンティの"歩行"は、

 複合的な手段の、結果(アンサー)だ。



 仮面の思考加速能力も、あっただろうし、

 ドラゴンのヨロイの筋力も、あったろう。


 全身に装備する歯車が、

 空気抵抗になる風の魔素を

 すべて、格納したのかも、しれないし。


 遠心力を利用して、(あし)など、ほぼ動かさず、

 スライドするようなベクトルを、

 ()んだのかもしれない。




 ひとつ、言えることは、

 チカラは、"ひとつ"、ではない。



 彼女は──"()み合わせられる"。



 その、すべての、"技法"を。



 彼女は、もう、(あつか)いきれる──!!!

 






 ──結果は、まさに、" ページめくり "。



 (あいだ)の過程は、" (えが)かれていない "



 その場面(シーン)は、



 想像の中にだけ、あるのである──。






金娘:「  ── ─ ─  」





 アンティは、左手の盗んだ炎は、そのまま。


 さきまで、槍を持っていた右手の指を、


 ハイ姫の胸元に──、



 " トン、トン、トン" と────。







金娘:



   絵 本 か ら 、


   () () (がえ) っ た も の を 、



   ナ メ す ぎ だ わ ──

                     」






灰姫:「……ッ─、……!」





 その、オレンジ・ゴールドの、上目遣(うわめづか)いに。


 灰は、言い様のない、畏怖(いふ)を感じる。



 灰は、やっと、、、──理解する。





灰姫:( こ、この者……!? ただ、護衛(ごえい)に守られているのではない……!! (おそ)らく、一度は、全員を──……、"実力"で、(たた)き、のめしている・・・ッッ……!! )




 まるで、対応できない──"強さ"に。


 やっと、灰の思考は、温まり、はじめている。




灰姫:( "護衛対象(ごえいたいしょう)"、などでは、ない……ッッ!! この(むすめ)は、まさに……"頭領(とうりょう)"……っ!! この、暗殺集団の……"首領(トップ)"なのじゃ……!! )




 遅くも、ハイ姫の表情からは笑みが消え。

 最悪の事態を、予測できる(あたま)となる。


 間違いなく──この"絵本の正義の味方"は。

 "ものの数秒"で、ここにいる全員を、


 "皆殺(ミナゴロ)し"にできるだけの、

 実力を、持っている────ッ・・!!!




灰姫:( な、なんと、いうこと、なの、じゃあ……!! こ、こやつらは……! ここの……、ここにいる娘たちだけで、" 国盗(くにと)り "すら、できる者ぞ……!? )




 ハイ姫は、やっと、わかった。


 この……"黄金の娘"の、意思、次第では──……!




灰姫:( これは……? 娘も、(わらわ)も……、命を、(にぎ)られておるのでは、ないのか……っ? )




 生殺与奪(せいさつよだつ)(みなもと)は、


 この、美しい、黄金の、手の中に──……!!



 


金娘:「 キレイな、炎ですね 」



灰姫:「──ッ、・・・!?」





 アンティは、(みずか)らの左手の中に封じる、


 白い炎の球体を、まじまじと見ている。





金娘:「 せっかくですし、いただいても? 」



灰姫:「 ぃ、た……!? 」





 "灰の炎"は、ハイ姫だけが持つ、


 固有の魔法の特性であり、


 もちろん本来ならば、


 ()の者が(あやつ)れるはずもなく、


 その炎は、霧散(むさん)しているべきである。




 だが、アンティへの警戒度を、


 急激にハネあげていた ハイ姫は、


 ずいぶんと思考が"おざなり"となり、


 (あさ)はかなまま、答えを返す──。





灰姫:「──す、好きに、せ──  」






 ハイ姫が言い終わる前に、


 天空に、大きな、()っかが、生まれた。




 ── そうとうな、大きさである。




 それは、歯車にて作られた、


 金の、ワームホールであった。





『────頭上部:

 ────地表より7メルトルテの位置に:

 ────"時限結晶(ストレージ)":歪曲(わいきょく)面を展開☼』

『>>>うわぁー、知らないよー……? 紫外線バリア、張っとくねー……( ^_^ ;)』






 天空に空いた穴の中には。



 白い、宇宙があった。



 ──太陽が、浮いている。



 歯車と、熱で出来た────。






      オオオオオオオオ

   オオオオオオオオオオオオオオ

  オオオオオオオオオオオオオオオオ

 オオオオオオオオオオオオオオオオオオ

 オオオオオオオオオオオオオオオオオオ

 オオオオオオオオオオオオオオオオオオ

 オオオオオオオオオオオオオオオオオオ

 オオオオオオオオオオオオオオオオオオ

 オオオオオオオオオオオオオオオオオオ

  オオオオオオオオオオオオオオオオ

   オオオオオオオオオオオオオオ

     オオオオオオオオオオ








灰姫:「  ────っ……     」






 ──ハイ姫だけでは、なく。



 はじめて、" ソルギア "を見た(みな)は、


 言葉を、失った。





 あれは、 " 星 " だ。



 空間の中に、" 星 "を、飼っている。




 あの、光の星に、(くら)べれば。


 いま、アンティの持っている、


 炎のサッカーボールなど、



 まぁ・・・、ゴミみたいな、モンである。

 




金娘:「 ── 」





 アンティは、クラウンが空けた天空の穴が、


 「 いや、大きすぎだろ…… 」とも思ったが、


 何も言うこともないまま、


 左手の白い炎を、


 天へ、ささげる────。






 きゅういいいいんんん…………!!


 ──しゅぽっ、しゅるる……!!





 ちいせぇ、ボール(あそ)びみたいな炎は、



 巨大な恒星(こうせい)へと、飲まれにいった。





 ──灰は、理解する。






灰姫:( ──"炎"を……!!! いや……すべての魔素を、"格納"、できるのだ………………!!! おそらく……!! いや、確実に、こやつには…………"魔法"が、効かぬ……!!! すべて、、、どのような属性でも、吸い込まれて、、、いや、武具で、さえも──……!!? )






 天空の、でっかい、" バッグ歯車 "は、


 ぐぉおん、ぐぉおん、と、


 広い空間に(ひび)く音を吐きながら、


 ゆっくりと回りつつ、、、


 ()じ、(ちぢ)まっていく──。





 ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、ゴ、、、!!!!!




 ハイ姫の思考は、冷や汗と共にある。




灰姫:( ま、さか──"出す"、だけで、よいのか……? 魔力の、消費すら、無く……、……? そんな、、、"暗殺"、どころでは、ないではない、か──……。あんなもの、を、、、街の何処(どこ)かに、(とど)けられでも、したら── )




金娘:「 ──ご心配は、なくなりましたか? 」



灰姫:「……、……ッ!」





 灰姫は、言葉が、でない。



 ご心配、所ではない。



 この世で、もっとも逆らってはいけない者が、



 ──目の前に、立っているのだ。






金娘:「 娘さんたちのこと、お任せください 」



灰姫:「……!! ──!! そ、その……! 」





 灰の(つむ)ぐ言葉は、

 本人ですら、意外なものだ。





灰姫:「ご……ごめいわく、ならば……、

    やはり、今回、は──…… 」



金娘:「──各自、ピッタリと、対象に()り付くように行動しろ。教育方針は任せる。絶対に、そばを(はな)れるな 」


銅全:「「「「「「 ハッ 」」」」」」





 アンティは、ほぼ、

 ハイ姫の発言を無視する形で、指示を流した。


 もはや、誰の目から見ても、

 場を支配している者が誰か、歴然(れきぜん)である。



 妹たちは、プルプルと震えていたが、

 いまさら、何も言えず、

 覚悟を決めるに(いた)る。



禍火(まがか):「が、がんばろーねっ……!!」

茶火(ちゃか):「ぅ"、う"んっ……!!」




金娘:「 むちゃは、ぜったいすんなよ。

     私との約束、まもれっな?  」



妹組:

「「「「「「「 は、ハイッ!!! 」」」」」」」







 ハイ姫は、"権力者"であるが、、、



 アンティは──"君臨者(くんりんしゃ)"である。





 彼女の黄金のヨロイが、


 ジグザグのマフラーと共に、




 キラキラと、光っている────。









銀娘:「 アンティのキゲンを、そこねるなよ? 」



灰姫:「 ──ッ……!? 」







 まったく気配なく、


 そばに狂銀(きょうぎん)の娘がいたので、


 ハイ姫は、たいそう、(おどろ)いた。




 いくら、黄金に、あてられたとて、


 このような接近を、


 気づかぬ、など、あろうか──……?





 マイスナは、言う。



 それは、警告にしては、サラリとしていた。








銀娘:「 おまえの街なんか、すぐに消し飛ぶし、

     わたしも、てつだうんだぞ? 」



灰姫:「 ……、……、…… 」







 灰は、考える、


 ……………も、もし……。


 もしも、だ、、、、。





 この、白銀の娘が……、


 この…………黄金の娘と………。




 "同等"の、存在、なのだと、したら──……?






銀娘:「 おまえたちは、アンティの、

     "善意"だけを、受け取ればいいんだ 」



灰姫:「 ……、──、、、 」




銀娘:「  ミノホドヲ、ワキマエロ???

      ケケケケケケケケケケケケケケ  」





 マイスナは、立ち去り(ぎわ)に、

 地面に、ぶっ刺さった、

 くの字に折れ曲がった槍に、(ツメ)を、あてる──。



 ──スラゥアア。



 金属の槍は、スライスされたソーセージのように、

 カランカランと、地面に落ちた。




 ──かッッ、しゎああんん──……!


 ────からぁん!

 ──────からぁん!


 ────────からん、ころん──、──。




灰姫:「・・・・・・、( ゾッ )」





 奥方(おくがた)の着物は、

 もはや、汗で、ぐっちょりである。



 実力でも、(くち)ゲンカでも勝てない相手を、

 ハイ姫は、この日、ようやく知った。



 ヒナワが、近づいた。

 少し、小声である。




銃侍:「……は、母上……。……あの、王冠(おうかん)とティアラ、、、けっして、(かざ)りでは ござらぬ」


灰姫:「……………、………」







 黄金の女王と、白銀の王女。



 絵本では、敵同士のはずの、



 ふたつの、存在。





 アレらと敵対することは、


 ぜったいに、あっては、ならない。




 ハイ姫は、生きる上で大切な、



 世界のルールを、知り得たのである──。







 ── きん、きん、きん。





 アンティは、


 スタスタと、オシハの目の前まで歩き、




 当の本人の女剣士は、内心ドキドキである。




 黄金の義賊は、目の前で立ち止まり──。





金娘:「きひひ♪ ねぇ、オシ姉?」



姉乳:「……ん?」



金娘:「ちょっとは、溜飲(リューイン)、さがった?」





 と、可愛く、笑うので。





姉乳:「──ちょっと、おっぱい、あげよっか?」



金娘:「──なっ/// ナニ言ってんのよ、バカぁーっ!!!///」






 少し、しまらない"善意"が、


 " ノーサンキュー "される、結果となった。









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― 新着の感想 ―
[一言] オシ姉の一言で、姉乳のおっぱいを吸うアンティを妄想してしまった。 または、「もぐ?それとも吸いとる?」とか、こんなかえしも考えてしまった。
[一言] 気がついたら『はぐるまどらいぶ』が更新が1番楽しみな作品になってます。
[良い点] ここ最近で最高の言い回し回と言っても過言ではないかと。定期的に神回が来るのホント助かる キティラ食堂で培った腐らず挫けずの心の強さ・反骨精神(?)がアンティの強さの証か。つまり『肝っ玉母ち…
2021/08/24 03:30 ズブロッカ
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