創世互換 グェェエエイ さーしーえー
活動報告に、夏Tシャツの進捗あげてますぅ!
ヒナワの腕に、
掛かりっきりだった二人は手を止め──。
アンティは、正座する足を、
床に手をつけ持ち上げ、滑らすように、
座ったまま、体の向きを変えた。
視線は、まっすぐと、
トウゼンローに向いている。
仮面越しに見える、
恐ろしく輝く金の瞳の力に、
腕を組むトウゼンローも、
少々、身構えるほどであった。
( むぅ……! )
アンティは、まるで恐れず、
凛とした声で、厳粛に伝えた。
「
元の通りに戻そうと尽力いたしましたが、
基礎となる骨格部位が消失しているため、
一から作り直す必要があります。
製作時間を概算しましたが、
約2日ほど掛かってしまいます。
その間、ヒナワ殿には、
代わりの腕を装着いたします。
」
銀の瞳が、継ぐ。
「
ただ、この義手は、私たちが、
近くにいないと作動いたしません。
故に、新しい腕の製作の間、
こちらに滞在の許可を、
頂きたく存じます。
食事などは持ち歩いていますので、
部屋さえ貸していただければ、
ご迷惑は、お掛け致しません。
どうか、ご一考くださいまし。
」
「 む…… 」
まるで物怖じせぬ金銀の二人に、
トウゼンローは、真剣なものを感じ取った。
迷惑とは言うが、
明らかに苦労をかけるに至るは、
こちら側である。
「 ふむ…… 」
様々な想いから、
数刻前までは、
助力を悩んでいたトウゼンローも、
この申し出には、誠実に返礼するに至る。
腕を組みながらではあったが、
トウゼンローは、いやらしくなく、応えた。
「
……もし、二晩寝るだけで、
倅が万全を期す、と言うのであれば、
そのような幸福は……願う所である。
技法精通……見るより、明らか也。
一任いたす。存分に……やるがよかろう。
」
「「 ── 」」
金と銀は、言葉には返さず、
三度、ヒナワに向き直る。
変化が起こった。
それは────"蝶"が、
サナギから、かえるようであった──。
ズ ズ ズ ズ ズ ズ ・・・ !!
「「 ──!! 」」
「「「「「「「 うわわ……ッ!? 」」」」」」」
金と銀の巫女の後ろから出たるは、
それぞれの色の、カラクリなり──。
妹のひとりが、言った。
「背、なかから……、お人形が、出た……」
言葉の通りであった。
等身大の、明らかなヒトガタの人形が、
それぞれ、二人から、這い出たのである。
タネガシの一族は、三度、
度肝を抜かれることとなる。
これにはトウゼンローとハイ姫も、
表情を揺るがすほどの驚きを見せる……!
( な、なんということじゃ……! )
( あのようなモノが、体内に収まっておるか……! )
『────ゴールド・フレーム☼
────排出しています☼』
〘------シルバー・フレーム-☪︎
------自立駆動機構に移行中-☪︎.*・゜〙
金と、銀の、金属で出来たような、
二体の、骸──。
それは、まさに骸骨のようであったが、
それぞれが女性的な構造を持ち、
見るものに、裸体のような艶めかしささえ、
与えるようなシロモノである。
妹たちの数人が、的を射る──。
「兄様の……」
「腕に……似てる……!」
──そう。
もし、ヒナワの銃の腕が、
全身と、成ったのなら。
それは、この人形骸のように、
なるのでは、ないか──。
トウゼンローが、呟く。
「 よもや……、……! 」
その、まさかであった。
巫女の背より這い出た、
ふたつのカラクリ仕掛けの怪異は、
──それぞれ、片手を、ちぎったのである。
──チュゥイいぃンンン・・・ッ!!
──パぁァアアアンンン・・・ッ!!
金が、右の腕を──。
銀が、左の腕を──。
──自ら、引きちぎるという、衝撃。
『────ライトアーム:パージ完了☼』
〘------レフトアーム;パージ完了-☪︎〙
「改造に、流路系は使えるわね?」
「このままじゃムリだから、人工筋肉を作る」
『>>>あ、いや、ソレなんだが……』
〘#……うむ……効率だけを、重視するなら、ば……〙
何か、会話が発生し、
少しだけ、金と銀に、戸惑いが起こる。
「……、……それが、一番、効率がいいのね?」
「……、……しょうがないね。今回だけだ」
それを聞いて、ヒナワが眉を顰める。
「……どういう、ことでござるか……?」
返礼は、無かった。
「切断は……普通のじゃ、ムリ……か」
「たぶん、切れないね……」
『>>>あぁ……。その、済まない、んだが……』
〘#……うむ……"時の"でも、恐らくは……〙
【 ……案嬢や。それに、舞嬢── 】
優しき声が響く。
【 信念は、好きじゃ。ただ── 】
「「 …… 」」
【 人助けは、えぇことや、思いますぇ── 】
「……、……──わかったわ」
「がんばります」
いつの間にか、
アンティの手に、
黒と、金の彩り交ざる、
包丁が、握られている。
何を斬るのか、ヒナワは察し、
今にも無くなりそうな腕で、
金の巫女の腕を掴んだ。
「ならぬ」
「はなせ」
「そのような恥を晒させるのであれば……二日など、腕無しで良い……!」
「いやなら、私たちに頼まなければ良かった」
そう、銀が言った。
「……、……!! く……」
「……大丈夫よ。アンタの髪と一緒で、すぐに伸びるから」
「──、し、かし、──ッ……」
「これ以上は、怒るわよ」
「 ──…… 」
少しの沈黙の、後。
ヒナワは、観念したかのように、
しかし、険しい表情を作り、
押し黙った。
アンティは、自らの金色の髪に、
包丁を、あて────。
──……バチチチチチチッッッ・・・!!
「──ぬぁっ・・・!?」
これには、アンティ自身が、驚いた。
自分の髪を切り落としたら──・・・!
なんと、断面から、
白い火花のようなものが、
噴き出たのである。
「び、びっくりしたぁ……」
「ぅ、うん……。アンティ、次、わたし」
「あぁ、うん……。ぁ、髪は連動しないのね?」
包丁は、マイスナに渡される。
ヒナワの表情は、苦渋のものだ。
妹のひとりが、たまらず聞いた。
「なにを……するんですか」
「義手の筋肉の代わりにするのよ」
──……バチチチチチチッッッ・・・!!
銀の髪が切られた時も、
閃光のような、火花が散った。
トウゼンローとハイ姫が、思う。
( ……。あの刃も、髪も……普通では、ない…… )
( ……、……。人では、無いのか……? )
無理やり切られた髪の切り後は、
それは、無惨なものである。
気にしないように振る舞い、
アンティと、マイスナは言った。
「……よし、付け替えよっか」
「足りなくなったら……また落とせばいいね」
『C7:……んじゃ、やりますかにゃー……』
『C2:ヒナワ氏の髪の再生も……同時にやるみゃよ』
金色の小さき猫と、
髪の断たれた二人の少女によって。
赤の、崩壊した腕と、
金銀の、代用の義手が、
取り替えられた。
骸のような腕に、
金と銀の髪が接続されていき、
それは、なるほど、筋肉のように、
形成されゆく────。
「やっぱり、もうちょっと、いるわね」
「どうせなら、ちゃんと動かしたいね」
アンティとマイスナは、
足りなくなったら、
また、自分の髪を斬った。
その度に、線香花火のような、
儚げな、火花が、散る。
対照的に、ヒナワの髪は、
どんどんと、若馬の尾のように、
吹き伸びていった。
ヒナワは、目をつぶって、
何も、言えぬ。
「……、……」
「「「「「「「 ………… 」」」」」」」
ヒナワだけでなく、妹七姫さえも、
言い様のない、ショックを受けていた。
恐らく、今まで見た中で、
いちばん美しい……、
黄金と、白銀の髪が、
彼女たち自身の手により、
ブツ斬りにされていくのである。
「「「「「「「 ……、……、、 」」」」」」」
女として……恩人として。
心に、刺さるものがあった。
先の自分たちの行いを考えると、
申し訳ない気持ちで、いっぱいである。
ひざに置く手が、震えていたりした。
色んな物を……犠牲にして。
この二人は、助けに来たのである。
『────順調です☼』
〘------流路系は;ほぼ繋がったわ-☪︎
------問題ないと思う-☪︎〙
「 ……、── 」
代用品とは思えぬ、
輝かしい、両腕が──。
美しい髪、揺るる若の元に、
鼓動を始めている──。
「はい、きょうは、おわりっ……!」
「つづきは、あとでねーっ……!」
「……」
ヒナワは、礼の言葉が、紡げなかった。
.˚‧º·(ฅдฅ。)‧º·˚.










