まったくもぅ。
れれれっれっれっれれ
れんとう、れっれれれ
銅メィドさんから、
槍を持った女の子、七人だと聞いて、
ぜってえ手を出すな、と念を押す。
時限結晶には、
お持ち帰り用のサーモン丼、2人前と、
カツオのタタキ、のスライス前のヤツが、
しっかりと格納を完了している。
お弁当って、素晴らしい文化だ、
ドちくしょう。
お楽しみは、ずいぶん、
明後日の方向になりそうだ。
マイスナがキレてないか心配だったが、
どうやら、そうでもないみたいだな……。
つーか、私がキレていないか、心配してる……?
き、きひ、変なセーフティに、
互いになってるみたいね。
不思議な関係だわ……。
さて……。
説得を、試みる。
「お兄さまは、ゲロった?」
「兄には、自白の香と、唐辛子を使いました」
えげつねぇ。
「あまりに頑なに、あなたたちの事を隠すんだもの。最初の、妹くすぐり地獄で白状していれば、あんなことには……!」
「仲、いーのねぇ」
「──" 神官の格好をした、小柄な女の子ふたりを、迎えに行ってくれ "。そうとだけ、言われております」
「それは、ご丁寧に」
ま、こっちも、お城に忍び込むなんてマネ、
二度も体験したくはない。
まだ家族さんに招待された方が、
気がラクってモンよ。
「こちらとしても、お願いしたい所よ」
「「「「「「「 …… 」」」」」」」
つーか、妹さん、七人も居んのかぁ……。
ヒナワくんのお母さん、やばいなぁ……。
いや、やばいのは、お父さんもかな?
「いったい……何者ですか?」
んっ?
「仮面つきの神官は、裏の仕事が、得意と聞きます」
「……!」
「でも、兄様が言ったのは、"神官の格好をした……"です。あなたたちは、変装をしている、と取れます」
うっわ、めんどくせぇ。
つーか、コレ……、
プレミオムズ仲間って、伝わってないんじゃ……。
「いちおー、お兄ちゃんとは友達よ……」
「ご飯も一緒に食べたことあるよ」
「「「「「「「 ……ッ!? 」」」」」」」
そこまで、驚かんでええやろ……!!
あ、あんだ、その目は……?
「せっ……接待、ということですか……!?」
質問のイミがわからん。
「えっ、いや、鍋は作ったけど」
「陽気だったね」
「「「「「「「 ──手料理ですかっ!? 」」」」」」」
すげぇ、ハモったけど。
えぇ……この子ら、どうやって生まれたのよ……。
まさか、七人同時……?
いやいやぃゃぃゃ、人体の神秘すぎるわ!
あれっ……、私たち、
めっっっちゃ、睨まれてね・・・?
「……ほんとうに」
「「 ? 」」
「ほんとうに、治せるのですか? 兄様のことを……」
ホンット、今回、ヒナワくん、
やらかしてんなぁ……。
ま、トンガラシの刑は、
可哀想だとは思うけんども。
しょーがない。
いちおーじゃなくても、
この子らは身内なワケだし……。
誠実には、応えたい。
「──えぇ、髪なら大丈夫だと思うわ。だいぶ、短くなっちゃったんでしょ?」
「あまり他言はして欲しくありませんが、保証できると思います」
「──……ッ!? 髪だけっ……!? うで、はっ……!? 腕は、どうなのですかっ……!?」
「「 ! 」」
……" ウデ "……?
うで、ですって……!?
……、いや……そんな話は……、
聞いて、いないけど……。
確認を取ろう。
「……" 鳥居銃 "が、破損しているの?」
「──……ッ!! やっぱり、あなたたちはっっ!! 信用できませんっ!!」
七人姉妹ちゃんの構えた槍には、
包帯のようなものが、
グルグル巻きにしてある。
流石に、ぶった斬るつもりは無かったんだろう。
……なかったんだよね?
でも今は、なんか、アレで、
ぶっ叩かれそうだ。
「高位の神官のフリをして、兄様に近づいて……いや、そもそも兄様と、どのような関係なのですか!」
「バラすなら、そこもバラしとかんかぃ……」
「めんどくせーなーぁ……」
マイスナも、本音を隠さない。
「そっ、そのカバンの中の怪しい道具で、治療に託けて、兄様に近づく魂胆ですか!」
この中には、可愛い毛玉ちゃましか、
入ってません!
「どうにも信用なりませんっ……!! あの状態の兄様を元通りに出来るなど……いや、できたとしても……! 恐らく、普通の人じゃない……!!」
「「 ……、…… 」」
ちょっと、言い方的にクるものがあったが、
この妹ちゃんたちは……槍を構えながら、
涙ぐんでいる。
たぶん、確定だろう。
「……ヒナワくんの怪我は、けっこうヒドいのね?」
「──なっ、なにをッ! 白々しいッッ……!!」
「……信じてもらえないかもだけど、私たちは、髪のことしか聞いてないわ」
「腕がやられてるなんて、知らなかったよ」
「くッ……!! な、なら、やはり……」
……。
…………どう、思う?
『────可能性は:高いかと☼』
『>>>あの、ガンアームも修理すればいーんだろ? しょーがないね……心配してるのは、本心のようだし』
方針が決定した。
伝える。
「腕の方も、何とかなると思うわ」
「──ッ……!? なっ……!」
呆れるほど、七人、同じ顔をするわね。
「…………信じ、られるとでも?」
「兄様の……」
「うでは……神様からの、おくりもの……」
「そんじょ、そこらのヒトが……」
「たとえ、神官だとしても……」
「アレを元通りにするなんて……」
「たぶん……できない」
「もし、できるのだとしたら」
「「「「「「「 ……!! 」」」」」」」
「──あなた達が、可能性を殺していることになる」
じんわりとした、睨みを受けている。
「……やはり、あなたたちは、怪しいと思います」
「取り押さえます。一緒に来ていただきますよ」
はぁ……こまったちゃん、らやなァー……。
あっ、ロープとか持ってやがる。
「やめなさい。抵抗する気はないわ。大人しく着いてくから」
「しばるのは勘弁してください。こちらも善意で来ています」
「そんな怪しい格好で言われても、説得力がありません……何故、顔を隠しているんですか」
ジリジリと、距離を詰められる。
後ろに手をかざし、
銅色の透明メイドさん達に、
"ホンマ手ぇ出すなよ"サインを送る。
お兄ちゃん、だいしゅき妹部隊の、
一人が言う。
「私たちは、母の教育にて、Cランク相当の槍使いです。この数の差です。まず負けることは無いでしょう」
「お覚悟を──」
……。
はァ──────────。
「 ── か か れ ッ ッ ! 」
まったくもぅ。










