⚙⚙⚙ ナトリの街へGO! ⚙⚙⚙
◆今日の言いわけ的なたわごと◆
かば:「な、なにィ──……!? ぺこーら氏がッ、FFⅩの実況を始めただとッ……!? こっ、こうしちゃいられねぇぜーッッ!!!」
読者:「えっから、さっさと続きを書け貴様。全盛期の投稿速度、知ってんだぞ貴様。それはそれとして、アーカイブは見に行く」
「にょきっと、なぁああああー!!!」
「……」
「なんだこいつ」
勇者が、ストライキを起こしている。
正確に言うならば、
私のオキニの革のカバンに入りつつ、
部屋の入り口に居座っている。
なんやこいつ。
「にょきっと……、なぁあああああああー!!!」
「くゆっくゅー♪」
もぞもぞ。
一緒に入ってる花オオカミは、
楽しそうだから居るだけだなコレ。
兎に角、このままじゃ、
部屋から出られぬわ。
勇者の未知なる言語を、
太陽の女神サマが、意訳する。
『────分析完了☼
────翻訳結果:でます☼
────" つ れ て い け "☼』
「はぁ……」
あのねぇ、うさ丸……。
今回も、いちおー、お仕事なのよ。
ヘタしたら、
お城に忍び込まにゃー、
イカンかもしれないのよ。
──いやっ、やらんけどねっ!
まずは、正面から訪ねますけどもね!
場合によっては……ね? ね?
「にょ、にょにょ……、にょきっとなぁぁ〜〜……!」
泣くなや……男ん子やろ。
チッ、しょうがないわねー……っ!
「まったく、いいわねッ!? 静かにしてなさいよっ! にょきにょき! すんのもッ! 禁止だかんね──ッッ!?」
「にょきにょき♡」
かくして、たいへん丸い革のカバンを、
タスキ掛けすることとなった。
……ぅん、まるい。
まるすぎる。
パン生地のように膨らんでいる。
容量無限の空間スキル持ちとしては、
たいへん煩わしいというのが、
ホンネだけんども……。
「……やっぱり、頭に乗せる?」
「あついのイヤー( ´•ω•` )」
完全に嫁と同意見だったので、
やはり勇者は、
カバンに詰め込むに限る。
「いっきぁ、しょうかー」
「がってん、しょうち!」
──きぃいいいいいんんん!!!
足音をカチ鳴らし、
塔の上より、
星の天窓へとダイブする。
慣れたもんよ──。
── キギぃぃいいいいいい──んんん・・・──!!!
「「「「「 うおおおおおおっっっ!!! 」」」」」
やっぱり、今日も軽く、拍手喝采。
あはは、見せモンじゃねっぞ、こちくしゃー。
その音を聞きつけて、
我らがギルマスが、ヌッ、と、
顔を見せる。
「よし、来たな。こっちの部屋だ」
ヒゲイドさんは、短く言い、
私たちをギルドの一室に案内した。
私のカバンを見て一言。
「まるいな……そいつら、連れていくのか?」
「ぶーっ、ぶー!」
「だっふんだー」
「……新しい言語でも習得したか?」
正直なトコロ、
軽い、恨み節だった。
親密さにカマかけて、
吐露したりする。
「つーん……! ヒゲイドさんが、依頼する形にしてくるとは、思いませんでしたぁー……っ!」
「んだぞーっ!」
「なるほど、そこかぁ。ふッ、これでも悪いとは、思ってるんだぜ?」
──む?
今日のヒゲイドさんは、
少しフランクだぁ。
「だがな。俺から依頼する形にすれば、いざという時は、俺の責任にできる」
「「 ぁ…… 」」
「おまえ達は、名指しで助けを求められていたからなぁ。どうだ、断るのは厳しかったろ。ん?」
ッ……。
ま、まぁ……。
ヒゲイドさんが噛んでこなくても……?
チョット……。
ぃ、行こっかなー……、とは、
思っ、、、てたけど、サ……?
「ふん、やれやれ──。お人好しの義賊と狂銀が、万が一、ポカした時の後ろ盾は、必要だってことだ。今回は聖女も"担いで"くれるようだ。おまえら、個人のせいには、ならんってことだな」
「「 ……、…… 」」
『────素っ気ない言い方ですが:
────良い方だと断定できますね☼』
『>>>まったくだね。"責任逃れ"、できるようにしてくれてんのさ。気軽に動けるのもデカいよ』
〘------思った以上に;
------色々;考えてくれてるのんなぁー☆〙
〘#……くくく……。" 俺のせいにして、好きに動け "、という事なのだろう。よほど、信頼されているらしい〙
……、……!
……ん、んだよぅ……ッ///!!
……ち、ちぇー!!
ヒゲイドさん、
やっぱ、人たらし、じゃんかあっ……///!
こ、この、ハートフル巨人めぇぇぇぇぇ。
「なっ……ナマィキ、いーましたァー……っ!!」
「わかりました。精いっぱい、ヤってきます」
「──ふ。まぁ、実働は、おまえ達なのだ……そこは、すまないとは思ってる。ほれ、ソレを持っていけ」
クィっ、と──。
でっかい親指が、さす方向は──。
通された部屋の真ん中だ。
大きな木箱が3つ、置いてあった。
「バタフライ系の鱗粉を始めとした、虫系に特化した解毒薬だ。キッティが選別したマテリアルで調合した。効果は保証する」
「そんなこともできるんだ、キッティって……実はスゴい?」
「学者さんみたいだねー」
アナライズカードで透過スキャンしたろ。
それぞれの荷箱の中を確認する。
ほっそい薬ビンが、
ギッシリ入っているみたいだ。
これ……3000本!?
やばくない??
「すっごい量ですね……!?」
「ふとっぱらだー!」
「そうだなぁ。どっかの絵本の主人公たちが、ろくにクエストも受けずに、街の周りの魔物を狩りまくってるからなぁ。くっく……今のギルドは、素材面では、ぶっちゃけ儲かっている。民間まで流通して潤うレベルでな?」
マイスナと顔を見合わせ、
なんとも言えない表情をし合った。
「2箱は、ナトリに集まった者たちに渡せ。ひと箱は、おまえ達が持っていろ」
「? どゆことです……?」
「? ??」
「猛毒状態になったことは、あるか?」
ふたりで首を、横に振る。
「思っている以上に、キツいぞ。そういや、ポーション系は持っていたんだっけか……?」
そっすね。
土地ごと浄化するくらいのヤツを、
湖一杯分くらい。
「知ってると思うが、ポーションで体力を回復した場合、気力は減少する。大怪我の治療の後には、注意が必要だ。そうだな──……失神した時に、猛毒になった時の事を考えてみろ」
「「 ……、…… 」」
「だから俺は昔、ポーションは、ほとんど使わなかった。ふふふ……今、考えると、無謀もいい所だが──」
……。
それって、アレか。
タイミング、ミスって回復薬すると……。
寝落ちしたまま、
体力、減り続けるって、アレか……。
毒、コっっワ……。
マイスナと同時になったらと思うと……。
考えたくもないわ……。
「効果が高い回復薬を使うほど、陥りやすい失敗だ。ま、油断はするな。そういうことだ」
「「 はいッ! 」」
「ふ、Sランクのする返事じゃないな? ふふ、ふ……。今回も、面倒をかける。ま、行ってこい」
いや……このランクは……!
ま、まぁ、いいや。
「あ、そだ! ヒゲイドさん。出発する前に──……」
「ん? どうした」
あれま。
葉巻に指から出た炎で、
火をつけようとしている。
「毒が、そこらじゅうに、いっぱい……に、なるって現象、何が原因とか、心当たりあるもんですか」
いろんなコトが、あったけれど、
まだ……それぞれの状況に応じた、
対応の経験不足感は、否めないのよねぇ。
「よくある例は、ふたつだ」
ヒゲイドさんの回答は、
さすが先人、って感じだった。
「──ひとつは、フィールドに毒性の植物系・もしくは胞子系が大量発生する場合だ。この場合、そこらじゅうのもんが汚染される」
ふむふむ。
ほうし、って……ぁ、キノコかな??
「──もうひとつは、猛毒を持った大型の魔物が、お散歩している場合だ」
シャレにならんやつだな。
「厄介なのは……この、ふたつの要因は──それぞれが、互いの発生理由に──なりかねんという点だ」
「……??? え、っと……?」
「──毒のフィールドが発生したから、猛毒の魔物が発生したのかもしれないし──、猛毒の魔物がいるから、毒のフィールドが形成されたのかもしれない、ってことだよ、アンティ」
……っ!!
マイスナの言い方は、
超・わかりやすかった。
「……同時に起こっている、可能性が高い」
「そういう事になる。もし、その場合……。どちらかを止めねば、毒のエリアは、さらに拡大を続けることになる」
……なるほど。
結構、ややこしい事になりそうね。
「まずは、何よりも現状把握が大切だが──慌ててはいかん。ふたりだけで、先行はするな。おまえ達が、どうせ"一番のり"だろうが──数日かかっても、向こうの街で仲間を待て」
おっと……これは、
大事なこと、聞いたわね。
そう言えば、、、
ヒナワさんとマジカちゃんも、
ふたりでタイヘンだった、
っつってたな──……。
「毒の先にあるものを確認したら、一度、引き返して対策を錬れ。ふっ。昔の俺みたいな事はするなよ?」
「「 わかりました 」」
やっぱ、こーゆーのは、
ガッコーだけじゃ、
わっかんないんだわ。
「すまんな。たのむ」
葉巻には、
中々、火はつかないようだ。
「もひとつ、質問、いいですか」
お……っと。
つい、出発する流れだったが、
マイスナが、手をあげる。
うん、気になることは、
ちゃんと聞いてから、
行ったほーがいぃ。
「ヒゲイドさんって、指先から火を出せるのに、なんで、魔石ライターも持っているんですか?」
「そ、そこっ!?」
「んん……!?」
意外な質問すぎた!
ヒゲイドさんの、
でっかい肩が、震え出す──。
「く……くっくっく……! おまえ……、葉巻をやるたびに、まっくろになった指先を、洗いに行きたいと思うか? くっくっく……!」
「あ、けっこう綺麗好きなんスね……?」
「はまき、やらんから、わからんなー」
「わかったら、行ってこい。気をつけるんだぞ」
ナトリへと出発する前に見たのは、
ヒゲイドさんの、楽しそうな苦笑だった。
ライター、プレゼントしたげぇ(*´ω`*)。










