とある未来への忠告と齟齬 さーしーえー
ゴールデンウィークが
忙しかったのもあるんだ……。
ただ、その後パニグレを始めて、
ラーゼフォンを一話から見ちゃったんだ。
おまたぁ!(;´༎ຶٹ༎ຶ`).*・゜
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⟲
{{ おかしいわね……? }}
『 がるるぅ? 』
久しぶりにバイトに顔を出したら、
店に、誰もいなかった。
今、裏手口にいる。
ここも鍵が、かかっていない。
そんな事が、あるのだろうか。
こんな、開けっ放しで……。
{{ せっかく、気合いを入れて、三つ編みにしてきたのに…… }}
『 がるるぅーっ! 』
やれやれ……これじゃ、バカみたいだわ。
ただでさえ、店長には……。
……。
な、何にせよ……、
お店に誰もいないのは、マズイ。
この街は、千年前と比べれば、
治安は良い方だと思うけれど……。
いつの時代だって、
コソドロくらい、居るはずだし。
この店は、かなり高額な物も扱ってるから──。
{{ 何か、急ぎの買い出しかな……? いや……ちがう、か }}
「 がるるぅー 」
おかしい……。
工房にも、いなかったし、
書き置きなんかも、無い。
ぜったいに、変。
なんで、こんな……?
{{ まさか、裏、の……? 店長のことだから、大丈夫だとは思うけれど…… }}
考えても、しょうがないようだ。
裏手口から、結局、
また、お店の正面に、まわり込むことにする。
私は、ふぅ、と、ため息をついた。
「 ────…… 」
{{ ──……っ! }}
かなり、ビックリする。
先ほどまで、
確かに、誰もいないと、
思い込んでいた店内に──、
────銅色の、メイドが立っている。
「 ……、…… 」
{{ ………… }}
直接会うのは、初めてになる。
目を見て、心の色を読む。
あー……、やっぱり、店の2階に、
姉妹みんなで、住んでいるようだ。
うらや──……、い、いや、
家族と仲が良くって、いいコトね!
さっき見回った時も、
店内に居たのかしら……?
気づかなかったってことは、
"隠蔽のジェム" とやらの効果で、
気配を消していたんでしょうね。
音は誤魔化せないはずだから、
本人の足運びも、素晴らしい事になる。
一応、私は騎士の家の出だ。
それも今は、自分でも驚くくらい高度な、
魔力察知能力も兼ね備えている。
その私から、完全に存在を隠すなんて、
たいしたもんだと思った。
{{ さすがね。見事に気づかなかったわ }}
「 …… 」
ん?
その、表情は、なに……?
……!
" 警戒 "、されている──?
──""""" ザッ・・・!! """""
{{ ! }}
『 がるるっ!? 』
さらに、驚いた。
銅色メイドさん"…、
6人全員、いるじゃないの!
{{ せいぞろい、ね…… }}
「「「「「「 ── 」」」」」」
てっきり、何人かは、
ピエロちゃん達の配達に、
ついて行っていると思ったけど。
本当にすごいわ。
全く、感知できなかった。
素直に、称賛したい。
まぁ……、
それは今は、ともかく──……。
{{ 私は、なんで、コワーい顔で、見つめられているのかしら? }}
「「「「「「 ………… 」」」」」」
淡く光が射し込み、
少し幻想的に暗い、店内。
6人全員。
おへその前で、手を重ねて立ったまま。
一定の距離を取り、こちらを見ている。
完全に正面に構えている。
まさに……"油断ならない"、といった対応だ。
なんだろう、感じ、わるいわね。
また……ふぅっ、と短く息を吐き、
質問を追加する。
{{ 店長は、買い出しですか? 貴女達に店番を任せて? }}
「「「「「「 ………… 」」」」」」
{{ ? }}
ワケが、わからない。
何故、こんな対応をされるのかしら。
表情は変えず、相手の反応を待つ。
『 が〜〜るるぅ〜〜? がるるっ! 』
「 …… 」
正面にいるメイドが、
戸惑いを抑えつつ、
話し始めた。
「あなたは……」
{{ ? }}
「少し……おかしいと、思い……ます」
{{ ふ、ずいぶんな言われようね? }}
怒りはしない。
心が、読みにくくなった。
メイドさんが、
片手を前に差し出し、
握られた手を、ゆっくりと広げる。
{{ ……? }}
メイドさんが出した手の中で、
黒い宝石が、粉々になって割れていた。
{{ ──! へぇ……これ、"透魔石"? 今の時代もあるのねぇ }}
「「「「「「 …… 」」」」」」
近づいてきた魔族の、魔力属性と、
その強さを計測する魔石だ。
水の魔物なら青く、火の魔物なら赤く。
色と、色合いの濃さで、強さを判別できる。
昔はよく、貴族のバカ息子とかが、
持たされていたわねぇ。
あんなの色が変わったら、手遅れなのに……。
千年前からある物だけれど、
とても高価な代物のはず。
このメイドさん達……やはり、
かなり金銭的に余裕がある。
{{ へぇーっ。今は、こんなにも、ちっちゃく、できるのねぇ。安い買い物では……なかったでしょう。貴女達、お金あるのねぇ }}
「「「「「「 …… 」」」」」」
{{ で? どうするの? }}
これ、割ったの、私よね?
にらめっこで、ボコるつもり?
『 がるるぅーっ! 』
ん? ぷにぷに。
肩に乗ってるガルンが、
頭まで、登ってきた。
すると、またメイドが話す。
「……優秀な……魔族の店員の方がいる、という、お話は、……私共も、店長と、お客様から聞き及んでは、いたのです、が──……」
{{ ふふふ……あら、予想より、遥かにイカれた魔力の持ち主が来たから、ビックリしちゃった? }}
わざとらしく笑い、
煽る様に言ってやった。
初対面で、こんな腫れ物のように、
周りを取り囲まれているのだ。
それくらい、やってもいいでしょ?
「「「「「 …… 」」」」」
「この…………多重積層の……透魔石が割れるのは……おか、しい……。次元が……違う……」
{{ そりゃあね }}
今の時代の、魔王だもの。
{{ ふふ……あの子達のそばに、私の様な者がいるのは──不安? }}
「「「「「「 ッ…… 」」」」」」
ふ、くく……。
ずいぶん、楽しくなってきた。
これも、魔族になった影響かもしれない。
なるほど、確かに心の底からの忠誠のようね。
ただ、少々……煩わしくもある。
ピエロちゃんは、なんだかんだ、
優しくて、言えない。
これは──……、
────"私の役目"か。
{{ ──過保護なのは、いい。けど、勘違いしちゃいけない。人の盾を気取るなら、悔い改めなさい。痛い目を見るわよ }}
杖を出し、構える。
「「「「「「 ──!! 」」」」」」
{{ ──こんな、ふうにね? }}
メイドは、察して回避したが、
さすがに、遅いだろう。
私は黒色の煙を身体から噴き出し、
それを上回る速度で、まわりこんでいる。
「……ッ、 く……!? 」
十字杖の横から展開した、
物差しのような直角の刃で。
死神の、首狩り鎌のように、
そっと……あてがっている。
背後から、全員に聞かせた。
{{ ──もし、強大な敵が現れたとして。あの子達の代わりに戦って散ろうなど、死んでも思うなよ。犬死にをして、ただ心に傷を負わすような者は、そばには要らない── }}
「……、…、……」
「「「「「 ……、…… 」」」」」
{{ お前たちが、さっさと逃げることが、彼女たちを救う事もある。覚えておきなさい }}
鎌から杖に戻し、刃を引いてやった。
「……、……」
「「「「「……、……」」」」」
見ると、ずいぶんと怯えている。
どうやら、最高速度で回避したつもりのようだ。
ひざが、笑っていらっしゃるわ。
何よ……ちゃんと斬らなかったでしょう。
{{ そんなに震えること、ないじゃない? }}
「……、……。……死んだかと、思いまし、た、が……」
「「「「「 ……、…… 」」」」」
{{ それはよろしい。傲慢が減れば、それだけピエロちゃん達の助けになるわ }}
『 がるがるぅーっ 』
少しばかり強引だが、
上手い具合に、釘を刺す事に成功した。
{{ やれやれ、損な役回りね }}
店の壁際の椅子まで行き、座り、
杖を小さくし、胸元に隠す。
{{ 貴女達と、一緒よ }}
先に、表明することにした。
{{ 大きな、借りがあるわ。それこそ……一生、返せないような、ね? }}
「「「「「「 …… 」」」」」」
{{ 時は、流れているのよ。魔王が、いつまでも……全てを憎んでいる存在だとは、思わないで }}
さらっと、言ってやった。
メイドさん姉妹は、
少し、脱力したようだ……。
「……ドニオスは、魔境ですね」
{{ ふふふ、失礼なメイドね }}
「 がぁーるぅ〜〜♪♪♪ 」
少しばかり、和んだ様で、何よりだ。
自分の膝の上の、
ぷにぷにガルンを撫でながら、
命令する。
{{ いいか、私レベルの化け物に会ったら、迷わず逃げろ。貴女達も知っての通り、あの子たちは、優しい。もし貴女達が……内臓ひっくり返って死んでるような所でも、見られてみなさいな? あの子たちの心が壊れた後に、いちばん厄介な終わりが、やってくるわ }}
「「「「「「 …… 」」」」」」
{{ 仕え続けるなら、正しく、弁えなさい。私が言ってることは……わかるわね? }}
わずかに言葉を噛み砕く時間を要し、
銅色の姉妹たちは、ゆっくりと、一礼した。
ふ、ふ……これが、
先輩風を吹かす、ってヤツでしょうか。
{{ はぁ。販売員の先輩として、偉ぶるのは、これくらいに致しましょう。掃除をやってくれているようね……お店の手伝いも、いつも? }}
「え、えぇ……」
「交代で、やっております」
{{ よろしい。では、服の売り方も教えなくっちゃね……それと、まだ透魔石、持っているの? ピエロちゃん達に、あげたいんだけど…… }}
「それは……」
「朝、あなた様が召喚された時に、ぜんぶ、割れてしまって……」
あら、召喚って何よ。
私はただ……ピエロちゃんの歯車から、
ピョイっと、外に出ただけで……。
────しょ、召喚だぁぁあああああ!!!
「まさか……魔王様の……、御友人がいるとは、思いもせず……」
{{ ……あの子、友達、多いのよ。で? 店長は? }}
「買い出しと、新作のブリーフの刺繍の打ち合わせ、と仰っておりました」
{{ あら。エロの所に行ってらっしゃるのね }}
これは、委託販売、決定だな……。
『 がるがるがーるっ! 』
{{ 他には何か、ありましたか? }}
「ええと……セール品の価格のことで、迷っておられました。何でも……ビキニアーマーの処分価格を、どうしようか、と……」
{{ あぁー。アレ……相当なオツトメ品、ですからねぇ…… }}
ピンクとパープルの中間のカラーの、
金属質で組まれた女性的な装備。
実に……………動きやすそうな、アレですね。
間違いなく、品質の高い装備なんだけどね。
何故か……装甲の無い部位にまで、
謎の防御判定があるし……?
ただ、戦う女性の目線から言ったら、
間違いなく、野外露出・専用装備だ。
──へ? わっ、私ですか?
ほ、ほほほ……! いやですわ!
最近は、ちゃんと服を着ていますってば!
本当ですよ……!?
い、いつまでも、ハダカで、
箱庭を闊歩など、
しておりませんからね……!?///
「せくすぃーただいまであーる」
カランカラン、という音が響くと、
店長が店のドアを開けながら、
暗黒の仮面を被るところだった。
「むむっ!? これは、せくすぃー勢揃いであるな?」
{{ 店長っ! }}
『 がるるーっ♪ 』
「息災であるか。ほぅ! 本日は、三つ編みせくすぃーであるか……!」
え、えへへ……///。
「「「「「「 おかえりなさいませ 」」」」」」
「せくすぃーな留守番などさせて、すまない」
{{ 何をお買い上げに? }}
「これであーる・・・!!」
手渡されたのは、
美しい、レース編みのハンカチだった。
これは、素晴らしい……。
「レース糸を、せくすぃーに切らしてしまってな……服の装飾にも使うのだ、うーむ……まったく油断ならぬせくすぃーだった」
{{ お見事にございます。千年の職人の、誰もが羨むお手前でしょう }}
「はは、三つ編みせくすぃーは、お世辞が過ぎる」
「そうである! イニィ殿に是非、これの処分価格について、相談したいのであるが……」
あ、例のですね。
「うーむ、丹精込めて造った、せくすぃーなのであるが……。やはり、まだ装甲を削った方が良いであろうか……? しかし、これ以上、面積を無くしては、それは、せくすぃーとは言えぬ気がしてな……」
……これ以上、装甲を小さくしたら、
ヘンタイ貴族にしか、売れなさそう。
{{ 店長。恐れながら……そう安易に値引きをするものではありません。自信を持ってくださいませ。面積を削るのではなく、ここはいっそ……何かを継ぎ足してみては? }}
「 ── な 、 な に ィ ィ イ・・・?
何かを、継ぎ足す、とな・・・!?
そ、それは……新しい、せくすぃーな、
考え方であるなッ・・・!!?」
何やら、店長は思い立ったようだ。
ん、あや、店長が……、
ビキニアーマーに、レースのハンカチを、
当てがって……何か、考えている。
そ、その、組み合わせは……、
さらに……卑猥になる可能性も、
ございますですが……。
いや、ここは店長を、信じよう。
{{ 店長。久しぶりにお手伝い致す所存です。何なりと── }}
『 がるるぅ! 』
「この せくすいーな胸元に、レースを……む!? これは、さんきゅーせくすぃーである! そうさな……では、イニィ殿は、我が前に書いた、大きめの値札を探してきてもらえるであろうか」
{{ なるほど、前の値引き率に戻すのですね? 英断でございますわ。お任せください! }}
「アブノ様。私共も何か──」
「 む……、今日は全員集合せくすぃーかっぱー! であるが、他に、せくすぃーな用事があるのではないか……? 」
「「「「「「 ──何なりと 」」」」」」
「ふむ……では、お言葉に甘えよう。そことそこの商品陳列を、夏色せくすぃーに並べ替えて欲しいのであーる」
『 がるるんっ♪ 』
「おお! ガルン殿は……屋根裏から、せくすぃーマネキン17号と19号を持ってきてはくれまいか」
どうやら、皆、上手くやっているようだ。
ガルンも"ニセ着ぐるみモード"になって、
エプロンを着けると階段を登っていった。
私はビキニアーマーの値札を見つけなければ……。
奥の部屋に入る──。
布地の裁断室の奥に、
チラシやポスターの保管場所があった。
店長が書いたであろう、
歴代の素晴らしい記入物で、溢れている。
{{ ビキニアーマーの値札は……あ、これだわ }}
雑多なようで、時系列順、
商品順に、かなり、きっちりと並べられている。
値札の入った箱を引っ張りだすと、
ホコリが少し舞った。
ケホ、ケホ。
一応、もう一度見て、確かめる。
うん、これだ。
{{ ……この世には、様々な字が、あるものね }}
つい、口から出た。
私は心の色を見る能力があるが、
本当の視力を得たのは、つい最近だ。
世界は、景色は……美しい。
それと同時に……文字が読めるというのは、
とても、有り難いことだ。
この部屋は、色んな文字が書かれたもので、
溢れかえっている。
幸いなことに、私には、
そのほとんどを判別することができた。
{{ ……箱庭の学習プログラムには、感謝しなければならないわね }}
自力で文字を1から覚えていたら、
こんな流暢には、
読み取れていなかったでしょうね。
私がやった事といえば、
言語習得用プログラムコードという、
光の板のようなものを、
頭に、ぶっ刺しただけである。
{{ 今の文学など、制覇したいわね }}
ピエロちゃんは、
けっこう本を持っている方だと思う。
たまに、借りて読んでいる。
物語や学術書など、内容も素晴らしいが、
言語の移り変わりなども追えて、面白い。
{{ 千年前とは、けっこう読み方が違う字も、あるものねぇ }}
時代と共に、表現する文字や発音も、
変わっていくのだろう。
変な言葉が自然に発生し、
それが、未来では当たり前になったり、
逆に、消滅したりするのだ。
箱庭の高速教育プログラムだけで、
全ての言語を習得できているわけじゃない。
まぁ、ようするに──。
千年、引きこもってた身としては、
悶々とした、勉強意欲があるのだ。
例えば……この、
ビキニアーマーの、値札である。
──────────────────────
"ビキニアーマー"
この露出度で、驚きの防御力!!
ただ今、会員様限定、40%OFF!!
現品限り!! 時代を先取るのはキミだ!!
──────────────────────
{{ ふふ……。装甲の面積 撤去率は、40パーセントじゃないけどね……? あッ、ちがうちがうっ── }}
時代には、歩み寄っていかないと。
{{ 今の発音は──
──" パセルテルジ "、だったわね }}
私は大きな値札を掴み取り、
店内へと戻った。
(*´﹃`*)ん?










