あざやかなるおうごんのもの
※ふにゃふにゃモードで書きました。
『────分析完了☼
────対象名:〖シガノビタチ〗☼
────雌個体です☼』
『>>>奇遇なこったなぁ』
クラウンちゃんの分析結果に、そう応える。
今さら言うまでもないが、
後輩ちゃんらの配達は、
比較的、安全であろう街道をガン無視し、
思いっきり自然フィールドをド直進して進む。
王都での金属需要は、まだ継続しているらしい。
何やら、祭りのようなイベントが、
来月に持ち越されたのだとか。
うーん、ぼくの感覚では、
王都の真横にある、西と東の街では、
四季が、しっかり機能している感じがする。
えーと、ぼくらの表現の仕方で言えば、
今が……"9月"くらいの感覚だろう。
来月に王都でお祭り、ということは──、
" 収穫祭 "ってヤツなのかな?
『────なるほど☼
────キッティ・ナーメルンが言ったように:
────オロシガネの様な尾を確認しました☼』
『>>>む……けっこう大きいね。油断はすんな?』
「あいよ」
「わかっぱ。確実に殺す」
はぁ、今日もまた、受付嬢さんに報告する、
" 秘密の討伐リスト "が捗りそうだ。
「マイスナ、このマフラーと双剣、試したい。任せてくんなぃ?」
「気をつけてね。一応、ねらっとく」
クラウンちゃんは、
かなり遠距離から、その個体を感知した。
だが、足音は消していなかったからな。
向こうも、こちらに気づいている。
『>>>接近戦をする気かぃ?』
「いや、遠距離から中距離でやってみる」
双剣となれば、
かなり近くで立ち回らなければ、
ならないからな……。
心配になって声をかけたら、
意外な返答をされ、少し戸惑う。
『>>>双剣で、遠距離……?』
「やっぱ、こっちの位置バレてんな。距離とるよ!」
後ろにジャンプする後輩ちゃんを、
ジグザグのマフラーが、追従する────。
キロキロキロキロキロキロ・・・!!
キロキロキロキロキロキロ・・・!!
黄金の三角形たちが、
うるさく、光をはじく──・・・!
森の中での配達中は、
後輩ちゃんは、こっちの"無限マフラー"を、
装備することにしたようだ。
"白金の劇場幕"は、
炎の攻撃が避けやすいという能力があるが、
まぁまぁ重量が、かさんでしまう布地だし、
風の抵抗も受けやすい。
それに比べて、"無限マフラー"の方は、
"ぜったいに破壊不可能の装備"だし、
とても軽く、動きやすい。
"首元を守る防御力"の面と、"機動力"の面で。
後輩ちゃんは、合理的に判断したようだ。
「──よっと!」
いや、それだけじゃない。
後輩ちゃんが掴んだマフラーは、
質量保存の法則を無視し、
ピュ──────ンと伸びるのだ・・・!
△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△
ギュ────────────ン!!
㌔㌔㌔㌔㌔㌔㌔㌔㌔㌔……!!
幾何学模様のロープのようになった、
なっがい黄金マフラーの先が、
遠くの樹木の枝に絡まったかと思えば、
即座に、短くなる。
「──とぃ!」
引っ張られた後輩ちゃんの身体は、
横向き一直線で空中を移動し、
枝に黄金の指をくい込ませて、
無理やり、しかし滑らかに、制動した。
「これ、便利だわ」
『────手馴れてきましたね☼』
『>>>はは、まるで、" ターザンごっこ "だ。それとも、" 如意棒 "、かな?』
「にょいぼうって、なんやねん」
後輩ちゃんも、問題なく、
ぼくのマフラーを " 伸び縮み "、
させる事が可能なようだ。
理を無視した強度のロープ、
にもなると考えれば、
なるほど……それを伸縮させれば、
どんな場所にも届く、
方向を無視したエレベーターとなる。
『────アンティ!☼』
「おっと、飛び道具もあるのか」
シガノビタチが、オロシガネのような鱗を、
尻尾を振るって、飛ばしてきた!
む、器用なやつだな……!
まるで、ナイフのような鱗だ!
「──ほいしょ!」
──キィん、きぃん、ガァン──!!!
後輩ちゃんが、マフラーを鞭のようにして、
全ての鱗を弾き落とす。
先日の祭りで、
ぼくも使っていた、やり方だ。
魅せてくれるねぃ。
「驚くほど、思い通りに動くわね」
『────あなたが卓越している面も:
────あると予測しますが☼』
全くだ。後輩ちゃんは、
紫電ちゃんを天才だと言ってるけど、
十分、この子も秀才型としてイカれている。
覚えて、感覚を掴むのが、異常に早い。
たぶん、技術面だけを観察しているんじゃない。
技を使う時の、相手の心の動きなんかも、
感じ取っているんだ。
「マイスナ! 髪は通しておくから、ちょっと離れな!」
「あい!」
バッグ歯車と鎖ポケットで、
黄金と白銀の髪の一部が、
亜空間接続されている。
これで移動距離が融通されるのもそうだが、
この技術や経験が……、
お互いにインストールされる、
と思うと、末恐ろしい。
「双剣、だして」
『────アンティ:足場がありません☼
────注意を──☼』
「つくればいいでしょ」
黄金のマフラーは、
まるで意志を持っているかのように、
直線に伸び、
遠くの木の幹に刺さった。
その上を、後輩ちゃんは、走る。
両手には、まっきんきんの、
長針と、短針の剣────。
キンキンキンキンキンキン────!
「──よいしょお!」
────ブゥウウンン────パァン・・・!!
──ずしゅうあああアパッッッ!!!!!
[ グォォォオオオオオオオオオオ・・・!!? ]
ずいぶん遠くで、獣の悲鳴が聞こえた。
見ると・・・巨大な、
オロシガネのような尻尾が、
宙を舞っている……!
『>>>投げたのか……!』
「きひひ、ホントに壊れないじゃない。スゴいわねっ」
見ると、手元には、
さっき投げたはずの"短針剣"が、
すでに、握られている。
「これが、いちばん強い使い方だと思うわ」
は、呆れたな……。
確かに、そうだ。
わざわざ、双剣で接敵する必要はない。
この、ふたつの剣も……、
マフラーと一緒で、ぜったいに壊れないのだ。
ドラゴンの鎧の力で、ぶん投げ。
剣に付いているバッグ歯車で、
時限結晶空間を通して、
瞬時に回収すればいい。
手首についている歯車から、
いつだって、取り出すことができる。
実に、効率がいい方法だ。
『────残弾数を気にしなくて良い:
────貫通弾:と言った所でしょうか☼』
『>>>はは……"徹甲榴弾"の、間違いだろ?』
すっげぇ威力だ。
やってることは忍者のクナイ投げだが、
威力がケタ違いだ。
と、思ったら、
尻尾がサヨナラしちまった、シガノビタチが、
こちらに激オコで向かってきている。
「──ふっ・・・!」
後輩ちゃんは、容赦がなかった。
今度は、長針剣の方を投げると、
黄金のビームのようなエフェクトで、
シガノビタチの右前脚と、
右後ろ脚が無くなる。
さらに驚いたのは、後輩ちゃんは、
長剣のように硬化させたマフラーで、
左側の敵さんの手足も、持ってったことだ。
「けっこう斬れる!」
いやいや、
それ……剣じゃねぇから。
無限に伸びる、勇者ソードじゃないんだから……。
『──わ、私の存在意義がーっ!?❖』
元・大剣、現・ガトリング砲の、
シゼツちゃんが、悲鳴をあげてた。
ははは、不覚にも、戦闘中に笑ってしまった。
斬撃と射撃に、また新しい選択肢が、
生まれちまったようだ。
トリッキーだが──洗練された動き。
後輩ちゃんは、
あっという間に四肢が、
ぶっ壊れた、やっこさんに、
語りかける────。
「……ごめんな。でも、ここは、ちょっと近すぎるから──」
『────あっ……☼』
『>>>──" ドライブ "ッ……!!』
「──おっ……と!?」
トドメをさす前に、
すんでの所で、敵から" どらいぶ "を引き抜く。
──【 あたっくどらいぶ Lv.2 】
✕ 1 を取得しました!▼
使用後、攻撃力が一定時間上昇!●▼≦.*
「ふっ──・・・!!」
最後の手刀は、見えなかった。
すげぇ……"反射速度"を使わなくても、
かなり、正確に急所を狙えるようになってやがる……!
────ズ、ずぅぅううんん……。
即死だろう。
後ろから、首の付け根を狙って、やった。
「ふぅ……ごめん先輩、言ってくれて助かったわ」
『>>>あぁ、いや……』
即、全力で狩ろうとする姿勢は、
自身の油断を生み出さないようにするため、
むしろ、好ましい。
だが……。
『────気分が優れぬなど……:
────ありませんか?☼』
このクラウンちゃんの聞き方は、
100点だと思った。
「……命を、軽んじてるワケじゃないのよ。でもね……私、食堂の、ひとり娘だし。私たちが、どれだけ生き物の死体を、こねくり回して、生活してきたと思う?」
クラウンちゃんと、少々、顔を見合わす。
「私は聖人じゃないし、正義の味方じゃない。生きるためにゃあ、やらなきゃいけないワガママはあんのよ」
つよく……なってんだなぁ。
「……って、母さんに、叩き込まれて、育ちましたっ! 納得は?」
『────余計な心配に対する:
────謝罪を申請しても?☼』
「っ! ふふふ……! お気持ちだけで、じゅーぶんよ♪」
後輩ちゃんが、息絶えた魔物の、
背中から、地面におりる。
「ほら! 今回は魔石、壊さなかったわよ!」
『────天然装甲も:損壊は少なそうです☼』
『>>>これまった、高く売れそうじゃないかぃ?』
「んっ!? ぃ……いや、こっちで稼がなくてもいっから、とにかく、ギルドに譲るわよ」
どちらかと言うと、
守銭奴な属性の後輩ちゃんだが、
配達中に倒した大型の魔物に関して言えば、
とっても無頓着だと思う。
紫電ちゃんが、歩いて近づいてきてる。
ま……この二人の持っている素材を、
逐一、適正価格で買い取っていたら、
間違いなく、ギルドは破産するだろう。
ほぼ毎回、タダ同然で。
危険な魔物を倒し、素材まで卸しているんだ。
多少、定期の給料に、色が着きまくって、
いるようだけれど──。
何にせよ、ギルマスと受付嬢さんは、
内心、感謝しまくってるだろう。
ちょくちょく、ヒゲイドさんに、
「ぁ、おまえ、これ、持っといてくれ」と言われて、
わたされている、袋の中身。
ぜんぶ金貨だって……、
教えた方が、いいのだろうか?
「……? なんか、変なこと考えてる?」
『────アンティが良いなら:良いのです☼』
『>>>ははは、そうだねぇー』
彼女の装備には、
チリひとつの汚れさえ、付いてはいない。
金の髪は光のように流れ。
瞳は、仮面の下でも、輝いた。
スキップで、紫電ちゃんは接敵した。
もちろん、微笑ましい、ハグである。
「アンティ、あざやかー!」
〘------あれ;反則ワザだと思うのんよー☆〙
〘#……確かに、安全かつ、迅速な対応だったが……、剣を、あのように、ぶん投げるのは、な……。ぅ、うぅむ……、……〙
「わたしも今度、せんせぇのカタナで、やってみよーっ!」
先生は、少し、
切なそうな呻きを、
洩らしていた。
さて。
じゃあ、帰ろうか──……。
〘#……か、刀の、反り、というものは、だな……。業を、繰り出すための、構造で、あって……〙
「なげる」
(*´꒳`*)なげる。










