ヒゲイドさんの昔のやらかし 下 さーしーえー
◆ ナトリ民歌・肩幅巨躯赤家絵巻 ◆
歌:ナトリギルド 受付嬢の皆さん
語:五代目 配牌丸
編曲:往生外 貞光
小鼓:縁ャ堪 春彦
( 幕上、歌手一礼、拍手喝采ノ後 - )
( 手拍子 小気味良クアラズンバ - )
修 羅 な る や ( ぁ〜あゃあやァ♪ )
修 羅 な る や ( ぁ〜あゃあやァ♪ )
怪 を 劈 く
血 飛 沫 よ ( ぅおゥ♪ )
虚 空 貫 く ( ──カンっ )
大 お と こ ( 〜ぉおぉ〜ぅお〜〜♪ )
拳 引 き 抜 き
踊 り い 出 ( ──ハッ! )
果 て し 怪 異 は
屋 根 の 上 ( ィえいゑぇ♪ )
長 は 驚 き
愛 女 を 隠 し
家 は 見 事 に
赤 だ る ま ( ぁあア〜〜♪ )
村 の 若 さ が
何 事 か よ と
慌 て 集 い し
秋 の 空
そ の 目 に と ま る は
人 な ら ざ る か ( ・・・!! )
( ── ポ ン っ ♪ )
血 の 雨 ふ ら す
戦 の も の ( ォ〜おぉ〜ゥお〜〜♪ )
受嬢:「 ──ってーな歌が、ナトリに残ってるくらいには、ギルマスの黒歴史は、メッチャくちゃ有名なんですよぅぅー♪ 」
巨髭:「く、くそぅう……!」
金娘:「えぇ……っと。つまり……キッティに会う前の、若かりし頃のヒゲイドさんが──」
銀娘:「──昔、空中で殴り殺しちゃった魔物が、カタハーヴァ族の長さんの家に、直撃した……?」
受嬢:「──そのとぉおおおうッッッりぃいいいいい♪♪♪」
巨髭:「ぐぐ、むむぉぉぉおおお……!!!」
受嬢:「キャッキャ、けらけらっ……♪ その時にギルマスが倒したのって、シガノビタチっていう、全長16メルトルテくらいある、尻尾がオロシガネみたいになってるヨロイイタチ種なんですけどもねぃーっ♪」
銀娘:「でっかいなー」
受嬢:「そら、考えてみてくださいなっ? そんなのが、どてっぱらに風穴あいて、鮮血を撒き散らしながら、じぶん家に堕ちてきた長さんの気持ちをっ……!」
金娘:「うわぁー……」
受嬢:「私も実際に見たワケじゃないですけどねぃ! そりゃあ、長さんは娘さんと奥さんを地下に隠して、家の外に様子を見にいきますよねぇいッ!? じゃあ家の色はもう真っ赤っかに変わってるワケですよ! トマトジュースより真っ赤! いやっはー♪」
巨髭:「おまえッ……? それ、酒じゃないだろうな……」
金娘:「はぃっ。そのワイングラス、私じゃないです」
銀娘:「キッティ、めっちゃしゃべるなー」
受嬢:「んでもってですねっ! 村の若人たちが集まってみたらですねいっ! 頭っから返り血ぶっ被って、オールレッドになったヤングギルマスが、ニオウ立ちで、オニみたいに、ふんぞりかえっているワケですよぉ!!」
金娘:「マジなんスか……?」
巨髭:「……、……」
銀娘:「で、どーなったのー?」
受嬢:「血まみれの筋肉大男がいたら、そりゃー敵だと思いますよねぃッ!? 血気盛んな村の若者たちは、当然そのヤンチャ野郎を倒そうとして、それをギルマスは返り討ちにして、ちぎっては投げちぎっては投げ!!!」
金娘:「 ええっ……!? 」
巨髭:「──ちぎってない、ちぎってはいない!!! おっ、おまえッ、適当なことを言うんじゃないッ!!!」
銀娘:「バトルになったのは、本当なのー?」
巨髭:「そっ、それはだな……」
金娘:「……何人か、やっちゃったんですか?」
巨髭:「ぁ、アホおォッ!! ちゃんとッ、手加減はしたわ!! そっ、その……関節、はずしたりとか……」
金娘:「ぁっ……ナルホド……」
銀娘:「わかげの、いたりだなー」
受嬢:「巨人族の戦士たちを全員脱臼させるとか、人智を超えた御業ですからね?」
巨髭:「し、しかたねーだろ……! たまたまっ、家の真上に、落ちちまったんだから……!」
金娘:「なーんで、ナトリで歌になってんすか……?」
巨髭:「くっ……! その、カタハーヴァ族の集落が、たまたま、近かったんだッ……!!」
銀娘:「ヒゲさんも、有名人だったんだなーっ」
受嬢:「巨人族の村長の家を破壊した挙句、その村の若者を全員ボコボコにした荒くれもんが、有名にならないわけが、ないですよぅぅ──っ♪ キャッキャッ……! ぐびぐびっ♪♪♪」
金娘:「キッティ、そろそろ、やめときなって……」
巨髭:「あの時の俺は……どうか、してたんだっ……! くそ、ぐぉおおお……!」
銀娘:「気にするな、そんな日もある!」
金娘:「どの立場から励ましてんのアンタ……?」
巨髭:「く……! もちろん、後で、謝りには行ったんだ……!! ただ、その頃には、すでに完全に警戒されてしまっていてだな……! ……っ、アンティ。おまえどーせ、赤ワイン持っているだろ。金はらうから、ついでくれ!!」
金娘:「ぅ"えっ……!? し、知りませんよぉ……?」
銀娘:「じゃあ、ヒゲイドさん。ソルデさんの一族から、めっちゃ怖がられたままなんだねー!」
巨髭:「くっ……!」
受嬢:「キャッキャッキャ……♪♪ マスター同士の、初の顔合わせの時は、ケッサクでしたよぅ〜〜っ♪♪♪ ふわぁ〜〜ぃ……。他の方はともかく、ウチのギルマスだけは、別に呼び出されましてですねぃ〜〜♪」
金娘:「つーか、よく会ってくれましたね……?」
巨髭:「……ふんっ、あんなの、会ったとは言えん!」
金娘:「どゆこと?」
銀娘:「声は聞いたんですよね?」
巨髭:「……" 箱 "だ」
金娘:「……んむぅ?」
銀娘:「はこー??」
巨髭:「指定された部屋に行ったらな……。俺の、身長くらいの……でっかい箱が、あったんだ」
金娘:「──ブハッ……!?」
巨髭:「俺はな……箱と……しゃべったんだぞ……」
巨女:「……これから……よろしくおねがいします……」
巨髭:「ぉ…………。……、……おぅ…………」
巨髭:「──と、だけなぁぁぁあああ・・・!!!」
金娘:「──ブッ、きゅっ……!? ── き っ 、、、 き っ ひ ゃ っ ひ ゃ っ ひ ゃ っ ひ ゃ っ ダメぁ、ツボッ、たぁっ、ッ き っ 、 ひ ゃ っ ひ ゃ ッ ひ ゃ ッ ひ ゃ っ ひ ゃ っ ヒ ャ ッ ♪♪♪ 」
受嬢:「ぎゃっっっはははははははははははははははっっ☆☆☆」
銀娘:「きょだい・はこいり・おんなさんっっ・・・!!!」
巨髭:「ぜっっってぇ……!! あの、デカブツ親父の差し金だぁあ……! 娘が、ギルドマスターになると聞いて、護衛タップリの部屋に、文字通り、娘を箱入りにして、アイサツかましてきやがったんだあああああ!!!」
受嬢:「おなかいたひ、おなかいたひ、しぬ・・・!」
金娘:「き・・・ひ・・・ひ・・・まじ! で、でもっ、そんなまでしてっ、会ってくれて、よかったじゃないですかぁぁァ」
巨髭:「バカものぉ! あんなのがッ、会ったうちに・入るかぁああアァ!! まるでッッ、特設懺悔室のようだったわ!! ありえんからなあッ!?」
銀娘:「会いに行ったらバカでかい箱があるの、おもろいなーっ♪」
金娘:「き、ちょ、、、! やっ! やめてッ、ヒゲイドさんっ……、腹筋つるからっ・・・ぐふっぉ」
受嬢:「はァ、はァ……アンティさん、おかわりください」
巨髭:「それからというものだな……。数年間、必要最低限の業務連絡しか、向こうさんとは、取っておらん……どぅだ、余興が聞けて、満足か……ンクンク」
金娘:「はー笑った。ちょっと、でっかい身体で、そんなチンマく丸まってお酒飲むの、やめてくださいよー」
銀娘:「気にすんな、わかげのいたりだ!」
巨髭:「……おまえは悩み少なそうでいいよなぁ……」
受嬢:「ギルマスの若気の伝説、まだけっこーありますよ♪ 聞きますかぁ?」
巨髭:「おまえなぁ……今日、休日出勤じゃなかったら減給モンだぞキサマぁ……!」
受嬢:「ぷッ、ぴぇ〜〜ん♪( すっげぇハラ立つ変顔 )」
金娘:「やめっ、あおんな……」
受銅:「──あの、キッティさん!! すみませんでした、お休みなのに……って、あれっ? ……飲んでます? あれっ? ……ギルマスも……??」
金娘:「……あっ! ユービーちゃん、おつかれーっ♪」
銀娘:「よく来たな。ピザを食べろ!」
受銅:「っ! はいっ! どうも!! ……あれっ!?」
玉兎:「にょきっと☆」
楽しい職場。(*´꒳`*).*・゜










