ヒゲイドさんの昔のやらかし 中 さーしーえー
キッティはかわいい。(*´꒳`*)
「あー、あン時の話でふかぁーっ♪
あれは、かぁーなり、
怖がられていましたもんねぇー!
もがもがっ……♪♪」
ぅおぉう……!
キッティが、知らんウチに隣のソファに来て、
ピザにガブついとる!
この受付嬢、遠慮というモノを知らん。
いい食べっぷりすわぁー。
「お、おまえ……!」
「こんな美味しいものがあるのに、私を呼ばないとは、部下の労り方を知りませんねぇーっ?」
朝の受付のお仕事は、一段落したのかな?
「おつかれー、キッティ」
「わー、たべてるー。お仕事、大丈夫?」
「ふっふーん♪ 今のわたひには、優秀な後輩がいますからねーぃっ! ブイっ☆」
「俺のピザ、勝手に食うなよ……」
あはは、ドンマイ、ユービーちゃん……。
「キッティは、ヒゲイドさんとソルデさんの件、なんか知ってる感じ?」
「しゃべった事はあるのに、顔を知らないって、どういう事ですか?」
「それはですねぃー……もがもがもが♪」
「おいアホっ」
が っ 。
ヒゲイドさんが優しくチョップしようとして、
それをキッティは腕で防御する。相変わらず、
この2人は親戚のような感じする時あるよね。
つーか、もうピザの耳しかない。
キッティは、食べるのが早い。
もっと良く噛めと言いたい。
「──ぺろりんっ☆ いいですかぁー? ギルマスは昔の行いがアレですから、向こうの巨人さんには、メッチャ怖がられているんですよおーっ!」
「ぉ、お前がしゃべるのかよ……!」
「前に、勝手に話したくせに」
「──ぐっ!?」
「ふっ──ニヤリ……!」
キッティ、受付嬢らしからぬ眼光を放つ。
あ……アレか。
キッティの過去話のことよね……?
これ、たぶんヒゲイドさん丸め込まれたな。
割とヘヴィな内容を、
勝手に私たちに話したのは事実じゃ。
静かになった神妙なヒゲ面さんの前で、
キッティは、実に楽しそうに、語り出した。
「む、むぅ……!」
「にしししっ♪ ギルマスが昔、トチ狂って魔物を惨殺しまくってたのは、知ってますよね!?」
こ、この言い方は、
たぶんキッティにしか出来ないなぁ……!
もちろん、本人から聞いたので、
知ってはいっけど。
大きな身体の自分を恨んで、
魔物を倒し続けたら、魔族になれると、
思っていたんだっけ? ヒゲイドさん──……。
「今は比較的、穏やかですがねぃ。昔のこの人は、そりゃあもう、えげつない倒し方をするタイプだったんですよぅー!」
「お、ぉまえな……!」
「ギルマスになりたての時も、たまに助っ人に出た時は、討伐した魔物が判別できないほどでしたもん!」
えと……ヒゲイドさんとキッティって、
9〜10年くらいの付き合いだったけ?
つーか、Aランクの格闘職って、
フツーに貴重だよなぁ……超・強いじゃんね?
ギルマスに成り立ての時は、
冒険者さんを手伝ったりしてたんだね。
「素材にならないほど討伐対象を血祭りにあげる"荒くれ巨人"は、そりゃー、色んな逸話が残っているワケですよ!」
「そ、そうなのね……」
「今のヒゲさんからは、想像できないね」
「む、むぅ……モグモグモグっ」
ヒゲイドさんをチラ見すると、
しかめっ面で、次のカットピザを食べていた。
どうやら語りを黙認する系?
ま……、本気でイヤな話だったら、
ピザ食ってないで、止めてくるはずよね?
するとキッティは、
少しだけソファから乗り出して、
えらい気になる情報をカマしてきた──……!
「──王都のギルマスの、ソルデ・ゴーツィンさんは……実は、巨人族の、お姫様なんですようっ……!!」
「「 ──えッ!? 」」
「はぁ……」
えっ……えっ!?
ギルマスが……お姫様!?
どーゆーこと???
「巨人族系の派閥は、大きく分けて、3つありましてねーぃ♪ 王都のギルマスさんの本名は──" ソルデ・カタハーヴァ・ゴーツィン "さんというんですっ! カタハーヴァ族の、長の娘さんなんですよぅーっ♪♪♪」
そ、そーなんだぁー!?
ん? 村長さん的な方の……娘さん、ってこと??
「長の娘と言っても、実質、巨大な三国のひとつのお姫様、という立場に相当してたんです。太古から続く巨人族のひとグループは、まさに大国、そのものですよ」
へ、へぇ……。
相変わらず、種族系の勉強は、
あんまり、手が出せていないんだよなぁ……。
ウチの学院、あんましソッチにゃ、
チカラ、入れてないっぽいし。
たぶん、進学したら詳しく授業で、
やるトコもあるんだろーけど。
私いま、就職組だしなぁ。
キッティは、2枚目のカットピザを食べつつ、
まるで語り部のように、しゃべりまくる。
「んでも、残る2つの、タイカーク族と、コシハーヴァ族の跡取り同士が結婚して、みっつの巨人族のグループを、ひとつにまとめようとしたワケです。カタハーヴァ族は、あえて身を引きました」
「……! それって、争いになりそうだったってこと?」
「なんか、カタハーヴァ族、かわいそう」
「いえいえ♪ 確かに巨人族系は戦闘に誇りを重んじる種族ですが、それに関しては、かなり平和的に三国統一は成されたと聞きます。けっきょく、族名も、無理に消すことはないと決められ、今も銘の取り潰しにはなっていません」
そうなんだぁー。
キッティ、やっぱ知識量は凄いよなぁ。
歴史の先生みたいだわ!
「その頃には既に、人族と亜人種の交流は、かなり盛んになっていましたからねぃ。" まつりごと " は、タイカーク族とコシハーヴァ族に任せて、カタハーヴァ族は人族との交流に力を入れた、というワケですっ♪」
な、なるほどぉー!
新しい王様夫妻に役目を譲って、
カタハーヴァ族は、みんなと仲良くなるために、
外の世界に目を向けたってワケね!
「カタハーヴァ族の族長は、そりゃーえらい方ですよ! 権力に目が眩まず、ぶっちゃけ王様みたいな立場でしたのに、私たち人族の街の近くに集落を移して、文字通り、種族間の橋渡しになったんですから!」
へぇ! すごい人たちなのね、
カタハーヴァ族って!
住む場所まで変えるとか、
なかなか行動力あるわねぇ!
「んで、その移動した集落に、めっっっちゃくちゃ、ご迷惑をかけまくったのが、若かりし頃のギルマスなワケです!」
「えっ」
「そーなの?」
「む、むぅ……」
昔のヒゲイドさんは、
なーに、しちゃったんですか。
挿し絵かきたさに
話つくる時あるよね(笑)((´∀`*))










