表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
930/1216

ヒゲイドさんの昔のやらかし 上

ちと短し。(/ω\).*・゜




「正直、スマンかったとは思っている」


「……ふぁ?」

冊子(さっし)への、記載(きさい)のことですか?」



 執務室のソファで項垂(うなだ)れていると、

 ピザを食べつつのヒゲイドさんに謝られた。



「もちろん、お前たちの心労には(さっ)しがついたのだが、一応、ギルドマスターズの一人なのでな……。規則(きそく)遵守(じゅんしゅ)しているかどうか、仲間同士で見張り合っている()()()があるのだ」



 美味しそうにピザのワンカットを食べながら、

 先ほどとは打って変わって、

 ヒゲイドさんは、とても落ち着いている。



「ほおぅ、これは美味いな! (かね)は?」


「……いらないっす」

「みかじめ(りょう)だー!」


「アンティ。この呑気(のんき)な銀の姫に、よく言葉の意味を教えておけ」



 あ、はは……。

 ……。

 まぁ、そりゃそうだ。

 私も、さっきまでは取り乱したけど、

 けっこう頭が冷えてきてる。


 "至高の冒険者"、なんて人材の情報は、

 ギルドの正式な書類などに、

 記載(きさい)されて(しか)るべきだ。


 「なぜ、新しいメンバーが()っていないんだ?」

 なーんてイチャモンつけられたら、

 色々そこからポタタづる式に、

 (さぐ)られてしまう、かもしんない。


 さっきのテンションのまま、

 私はギルド執務室(しつむしつ)のソファに、

 横向きに寝転んでいた。

 左右の肘当(ひじあ)てに、それぞれ、

 頭と両足を(ほう)り出している感じだ……。


 実に、お行儀がワルい、ったらないが、

 ちょうどいい、大きさなんだよなぁ……。

 ギルドマスターの前でする態度としては、

 非常に失礼、(きわ)まりないけれど──、、。



「ふ。朝からピザなどと、初めてやもしれん」



 なんだかんだヒゲイドさんは、

 気にしていないようだったので。


 それに甘えて私は、天井を見上げながら、

 (ほう)けた感じで、質問した。



「……やっぱり、ギルドマスターって、そゆぅの、(きび)しいんすよね?」


「ん? まぁそうだな。色んな冒険者どもに規律を生むためには、まず自分が率先せねばならん」


「……」


「くっく。お前たちに関しては、色々とイレギュラーだがな?」



 ……それ、私らの立場からだと、

 どう反応していっか、わかんないすから。



「もぐもぐ、、、ごくん。ふむ。ギルドの(ちょう)たる者が規律を守るなんぞ当たり前の事だが、他のギルドマスターの中にも……特に、ソレにうるさいヤツがいてなぁ。おぃ、これ、ぜんぶ食べていいのか?」



 ジェスチャーで、ドゾ、と、手で表してから、

 疑問を上乗せする。



「そなんですね……誰だろ。会ったことある人かな?」

「まさか、リビっち??」


「ふむ……お前たちが、"兼任聖女"と仲良くなるとは、予想外だったなぁ……。アレは有能だが、まだ経験は足りんのだろう。最近まではブレイクのジィさんが口煩(くちうるさ)かったが、マイスナの件を見ると、やっと歳相応(としそうおう)の情が生まれやがったようだし……クックック」



 流石、自分のギルマスの師匠。

 仲、いいんだろうなぁ。


 うーん、ブレイクさんかぁ。

 厳しそうな、おじいちゃんだったけど、

 マイスナの件は、確実にあの人が、

 ()み消してくれてんだよなぁ……。


 あんまりルールに厳しいイメージは無いし、  

 悪い印象は、まるで無い。


 ヒゲイドさんは、モグモグやりながら、

 続けた。



「ナトリのギルドマスターは、ただの熱血バカだ。

 問題は……" 王都のギルドマスター "なのだ」


「え?」

「おうとかー」



 (みなみ)のナトリと、まんなか王都(おうと)

 この二つの街のギルマスには、

 まだ、会ったことがない。


 熱血バカ、ってのも気になったけど……。

 ヒゲイドさんが警戒してる、

 "王都のギルドマスター"ってのに、

 ずいぶんと、興味を引かれた。



「ヤバいんすか」


「ヤバい。()()は戦闘は、まるで出来ないようだが……保有している情報量と部下の質は、異常なものだ」


「──! 女のひとなんですね!」

「とし、なんさい?」


「む? ゃ……確か、20代後半だとは思ったが……」



 へー! それは知らなかった!!

 しっかし、王都のギルマスかぁ。

 お仕事、なんか大変そぉー……。



「あれは、俺や、お前たちの天敵になり得る。用心しろよ?」


「え"っ」

「どゆことですか?」


「アレに情報を(つか)まれたら、この国では、終わりなのだ……。王都ギルドの執務室の椅子に(すわ)りながら、全ての街の問題を解決すると言われている」


「な、なによ、それ……」

「さっぱりわからん」


「全ての街に、彼女の部下の目があるという(うわさ)もあってな……まったく、油断すると、えらい目にあいそうだ! 関わると、ロクなことにならんに決まっている……まったく(おそ)ろしい!」



 ぉおぅ……ヒゲイドさんにしては、

 えらく辛辣(しんらつ)だなぁー。


 なんとなく、会ったこともない、

 ギルマス・レディのフォローをする。



「そ、そこまで言わなくても……あはは」

「レディに恐ろしいとか言っちゃだめ!」


「むっ、だってなぁ……俺より大きな女かもしれんのだぞ?」


「「 へっ? 」」



 どゆこと???



「王都の、ソルデ・ゴーツィン、という女ギルドマスターは、巨人(ヒュージ)系統の血筋なのだ……」


「「 ええっ!? 」」



 そ、それって……!!

 王都のギルマスさんも、デッカいってことですか!!!



「し、しんちょう、3メルトルテの、女の人……?」

「ビッグおんなさん」


「それに俺は、あっちからは(きら)われているだろうしなぁ……たぶん、(オニ)みたいな顔してるんだぜ!」


「いやいや! さすがに──」



 ──流石に、それは言い過ぎでしょ!


 ……って、アレ? まって……。

 " たぶん "、って──。

 ……、んんっ??



 マイスナが、私の疑問を代弁する。



「ヒゲイドさんって、王都のビッグおんなさんと、会ったことがないんですか?」

「ぉ、おんなさんて、アンタ……」



 ヒゲイドさんは、

 実にバツの悪そうな顔をしている。



「むぅ……しゃべったことはある! だが……姿を見たことはないのだ」


「「 ??? 」」




 なんかの、なぞなぞ、かな?

 ヒゲイドさんは、露骨(ろこう)に変なカオである。




「この話、続けるか──……?」


「……! よう、わからんですが──」

「がぜん、気になるっ♪」





 ──きししっ♪



 私とマイスナは顔を見合わせ。


 とりあえず、三つのカップに紅茶を(そそ)いだ。





( ´∀`)σ)Д`)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『今回の目次絵』

『ピクシブ百科事典』 『XTwitter』 『オーバーラップ特設サイト』 『勝手に小説ランキングに投票する!』
『はぐるまどらいぶ。はじめから読む』
― 新着の感想 ―
[一言] つまり次の挿絵は昔の話を持ち出されて気恥ずかしそうにピザを食べる巨躯のおっさんの絵ですね……?
[一言] …あんまり関係ないけど… 両肩にアンマイコンビを乗せて歩く、ヒゲイドさんの姿がふと浮かびました。 なんか面白い構図なので、是非挿絵にしてください~(笑)   ヒゲイド「最強のボディガードを最…
[気になる点] ヒゲイドさんのおはなしが き に な る !
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ