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マザーレイズの油断

マザーにだって、そゆことある(*´ω`*)。


※フツーに高さ間違ってたので

 修正しました((´∀`;))ヶラヶラ





「こ、これは……っ!?」




 マザーは、油断した。



 数十年来の怨敵(おんてき)を、徹底的に(ほふ)()る。

 その悲願を、ついぞ成し遂げる時。

 もちろん彼女は、集中していた。


 いや、成し遂げた後の、

 (つか)の間の安堵(あんど)も、あったろう。

 鬼と化していた国創(くにつく)りの聖母が、

 やっと、、、ひと(いき)をつけた。


 ──そんな、刹那(せつな)だったのである。



「ホントに……!?」



 寝耳にウォーターブラストは、

 中央教会の、

 なんのこたぁない テーブルの上の、

 とあるチラシによって、巻き起こされた。


 ホットミルクをボーっと飲みながら、

 何の気なしに、ソレを手に取ったマザーは。


 わなわなと、ふるえだしたのである・・・!



「……クルルフェルト、、、王都(おうと)金銀祭(きんぎんさい)・・・!!」



 なにか、新しい祭りの開拓(かいたく)を、

 聖教皇(チョイヤック)が許可の元、同業が、

 ()し進めているのは、知っていたが・・・!



「おまコレふざけんなよ……! あにしてくれてんだ、あのジジィ・・・!! ピンポイントじゃないのぉぉぉおぉお!!」



 ──ブイッ☆


 かつての師匠の、ハラ立つブイサインが、

 脳内で呼び起こされる、マザーレイズである。 


 四ツ目のミスリルの瞳の下で、

 冷や汗を浮かべながら。

 マザーは出版ギルドの、

 速報ペーパーの、続きを読み込む。


 その、勇ましき姿。

 それこそ、仁王(におう)立ちであった。



「……" 王都のみんなが楽しめるお祭り、誕生へ──……開催まで、およそ、一か月弱か "・・・」



 記事の内容を、よくよく吟味(ぎんみ)するマザー。

 むむむ、と、難しい表情である。


 いや、、、まぁ、いいのか?

 このタイミングで、祝時が増えるのは、

 民衆の気持ちの底上げにはなる……。


 いっちゃん、私たちの血筋(ちすじ)が、

 バレたくなかった審議局(ヤツら)は、

 もっくそ、超・組織崩壊させてやったし。

 しかし、この祭りの名前は、、、ぅーん・・・。


 口をへの字にし、

 四ツ目ノ仮面の下で、

 まゆげは八の字であろう。



「うむむ、よりにもよって……。まぁた、あの子たちが目立ち、そう、、、な──……? 」




 続きが、ある。




 " カフェ・ド・ランドエルシエ前に 新たな王都の名所 "

 " 全長 10メルトルテ 義賊と狂銀・ふたりの少女像 "

 " クルルフェルト金銀祭に向けて 王城も資金援助 "

 " 例の大不評 アダマンタイト製 カフェ店主像より 批判一変! "

 " 新しい時代の幕開け 待ち望む王都民衆の声 今週末には完成か "



 

 ──ガッ!



「 ──── と ぅ !!! 」



 読み終えたマザーは、

 すぐさま二階の窓枠(まどわく)に足をかけ ピューンし、

 たまたま教会・中庭(なかにわ)を散歩していた孤児院組を驚かせた!


 ──くるくる、シュタァァぁぁああ!!



 なんと、あざやかな着地!

 ビビる、シスター!

 沸き立つ子供!



「ま、マザー……!? ぉッ、お二階からっ・・・!?」

「ぅわー!! マザー、登場したー!!」

「とうじょうしたー!!!」


「──ごきげんよッ、ぅ!」



 大司教とは思えぬ華麗な着地をキメ!

 マザーは颯爽(さっそう)と走り去っていく。

 向かうはモチロン、王都イチ、有名な、

 あのカフェであった──……!!!




 ── キ キ キ キキキィィイ── !!!!



 大司教とは思えないブレーキ音を、

 お上品な靴底から(ひび)かせ。


 マザーが急停止した、その視線の先に、

 カフェ・ド・ランドエルシエは、

 そびえ建っている・・・!


 先日のボヤ騒ぎなど、なんのその……!

 はやくも外装、内装ともに、

 修復・改築された有名店は、

 数日前に、とうとう営業を再開していた……!


 相も変わらず、

 たくさんのお客で(あふ)れかえる、

 店内と各階のオープンテラス……!

 この(ぶん)だと、火事(ボヤ)の原因となった、

 古い魔導装置まわりの最新化も、

 施工済みなのだろう。


 いや、それはいい。

 王都の歴史あるカフェが健在なのは、

 たいへん、喜ばしいことである。


 問題は・・・、その、

 でっかい四階建てのカフェの、まん(まえ)の──。



「こ、これですか……ごくぅり」



 クソでっかい正面広場の前に、

 突き出すように存在する、

 この、、、なんだこれ、

 10メルトルテくらいの高さで、

 四角柱状に、(リネン)の布地で覆われてやがる、

 明らかな工事現場である・・・。


 今日も大勢(おおぜい)の人通りがある王都の声が、

 マザーの耳にも、届いてきていた──。



「ねぇ、きいたー? ここの像、もうすぐ完成なんだってー!」

「おぉー、これなー! あれだろ? 火事さわぎで、こども助けたっていう、クルルカンのカッコした冒険者の像なんだろぅ?」

「いや、それがよ? それと(つい)になるように、狂銀の像も一緒に(つく)っているらしいぜ!」

「まじかー!!! おら、ワクワクすっぞ!!!」

「ぜってぇ、イカすよなぁ!!! はやく、あのでっかい工事用の(かこ)布地(ぬのじ)が取れるところが見てぇもんだぜ!」

「せやな!! ま、前の店長像よか、かっくじつに、マシな仕上がりやろげ! あれ、正直、イミわからんかったもんな???」

「あはは! アレはあれで、オモシロスポットとしては良かったわよ? でもまぁ、そうね! モチーフの義賊と狂銀の冒険者ってさ、どっちも、女の子らしいじゃない! ぜったいオシャレよ! ちょっと期待しちゃうよねー♪♪♪」

「もう、ほとんど出来てるらしいぜ? いやー、新しい祭りといい、タイミング合わせてくるよなぁ!! たっのしみだぁあー!!!」



「……、……」



 長年、情報収集と各個撃破に、

 果てが無いと思うほど、

 尽力(じんりょく)してきたマザーであったが……。


 ここまで情報弱者に成り果てたのは、

 初めてであったかもしれない。



「……多少の燃え尽き症候群で、ここまで民衆の話題から、置いてきぼりにされるって、ある・・・?」



 身体はともかく。魂はもう、

 おばあちゃんなんだろうか……と、

 ジト目・冷や汗を仮面の下に隠しながら、

 プルプルする大司教である。



「立ち入りけーんさ」



 口をとがらせたマザーは、

 ぜってー関係者以外立ち入り禁止であろう、

 布地で(さえぎ)られた四角柱の塔に、

 当然のように、入っていきよる──。



 ──スタスタ、ぺらぁ、バっサァ、、。



 暖簾(のれん)のような入口から、勝手に入る。

 さすがマザー、遠慮など無く。

 今まで散々、悪人の屋敷に不法侵入してんだ。

 工事現場への、お邪魔しますなど、

 ビビりすりゃーしない。


 いや……ビビった。


 でかい。




「 なん、と──…… 」



 休憩中なのか、作業者は、ひとりもいなかった。

 上を見ると、まぶしい青空が、

 四角く切り取られている。


 そして──。




「 ── 」




 (かがや)いていた。


 デカい。


 背中合わせの、巨大な、


 マザーの、よく知る。


 ふたりの、少女の像である。




「……、……──」



 アダマンタイトという金属は、

 決して柔らかい金属ではない。

 ミスリル銀と共に、

 崇高な武具には、重宝される硬度を持つ。


 だが、とある武具職系のスキルを極めると、

 ゆっくりとだが、確実に形を変えられる、

 加工スキルが存在するのだ。


 戦闘中には不可能だが、

 スキル到達者が日々を重ねれば。

 このような、巨大な立像の加工も可能とする。


 腕を鍛え抜いた職人のみが、

 伝説とも言われる硬度を、

 確実に、超越(ちょうえつ)するのだ。


 他でもない、この事実を普及させたのは、

 数十年前の、マザー自身である。


 それが、今────。

 


「……、── 」



 マザーは、言葉を失っていた。


 いい。


 ……良い出来(でき)だ。

 認めましょう。


 背中を互いに預ける、二人の少女の像。


 土台が3メルくらいか……。

 本体が7メルだとすると、

 全長で、ぴったり10メルトルテくらいだろう。


 間近(まぢか)で見上げると、

 それはかなりの大きさだった。


 マントを風の神のように(まと)った黄金の義賊。

 氷の爪と(すず)やかなドレス姿の、白華の狂銀。


 絵本では向かい合う敵同士の二人。

 だが、この二人は、背中を任せ合う。


 信頼する、ふたりの像。

 外の世界の敵意に、立ち向かう者たち。



「……、……」



 見事であった。

 芸術に明るくないマザーにも、

 それは、明確に感じられるものだった。


 この像には、魂がこもってやがる。


 マザーは、絶句した。



「……、……」



 見上げるマザーは、困ってしまう。

 実を言うと、個人的には、(ほこ)らしい。

 これが街のシンボルになるなら、

 なんと、嬉しいことか。


 だが……彼女たちの秘密は、

 血筋だけではない。

 個を思うと、あまり目立たせてしまっては、

 いけないのは、明白である。



「ぅ、…………ぅ、〜〜ん……」



 その出来栄(できば)えの高さに、

 マザーは(うな)っていた。

 どうしようか。

 確かに……これは芸術である。



 ──ふと、後ろに、気配を感じた。




「  ──…… 」


「 ……! ランド殿…… 」




 カフェ・ド・ランドエルシエ、王都店の、

 歳若(としわか)店主(てんしゅ)が、

 そっと・・・ひとりで立っていた。


 今日もパリっとした白いシャツに、

 ベージュのベストとズボンが、

 実に小気味よく、清潔である。


 だが、その表情は、かたい。


 ランド・セルカバーは、

 マザーが、ここに現れたことに、

 何かを、察したのである──。




「 ……、── 」


「 ・・・・・・ 」




 大司教と、カフェの店主は、

 数秒、無言を(つらぬ)き。


 口を割ったのは、マザーからであった。




「…………ダメもとで、」


「   」


「ダメ元で……聞くのですが」


「   」


「この像の建造……、、、中止……する、、、って、いうのは──」









 〈◉〈◉〉 マザーの弱点 〈◉〉◉〉

 ──────────────────

 ☆大司教マザーレイズは、どんなに身分

 が高い悪人でも、問答無用で血祭りにあ

 げるし、話も聞かないよ! まるで、悪

 魔みたいだねっ♪ ははは☆ でも実は、

 なぁんにも悪いことしてない人には、マ

 ザーは、とっても弱いんだ! 自分が清

 く品行な生き方をしてきたなら、君も、

 堂々とマザーに言い返してみようっ!!







「──なななッッ、ななななな、なななななッッ、何か事情が、おありなのは!!! 重々ッッッ、承知ですがッッッ!!!!! なにとぞ・・・!!! 何卒(なにとぞ)、この像だけはッッッ!!!!! 私の命にかえてもッッッ、どどど、どぉぉおおッおッおおぅおおおぅかッッッ・・・お目こぼしおぶぉおおああぁぁあぁぁあアァァァァァァァぁあああ〜〜〜〜〜〜……!!!!!!!!」


「わか、わかりました、わかりましたから……、だからどうか、ヘドバン土下座は、おやめになって……? 」






 マザーは 高級紅茶 を手に入れた!▼

 マザーは アップルパイ セット を手に入れた!▼

 マザーは おすすめサンドイッチ を手に入れた!▼

 マザーは クッキー詰め合わせ を手に入れた!▼

 マザーは 高級ハム を手に入れた!▼

 マザーは 初秋のケーキ セット を手に入れた!▼

 マザーは カフェカトラリーセット を手に入れた!▼


 ランドさんは 料金を 

 ビタイチモン 受け取らなかった!!▼



 うらやまC──!!! ◉▼◉.*・゜

 











 ────パタンっ。




「うぇーん、ダミだったぁ──☆」


「あっ、マザー帰ってきた。お帰りなさいまし」

「うおおお母さんてめぇえええええええ!!! 娘がギルマスに呼び出されてんのになによその大量の袋ぁ王都カフェで爆買いかコンチクショウこっちはアンタが裏でコソコソしてっから気が気じゃなく、あ!!? 何よコレ肉入ってるじゃないヒキハ湯ぅ沸かせ湯ぅ、お茶だお茶ァああ!!! あっ、わたしこのケーキねーっ♪♪」




いちごのは、かばによこせ(*´ω`*)。*・゜

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『はぐるまどらいぶ。はじめから読む』
― 新着の感想 ―
[気になる点] 691話(絵描きたちに祝福を 前)では像の高さは7mです。 [一言] いつも楽しく拝読しております。 このような報告は誤字脱字報告になるのかしら?
2021/04/17 13:08 午後の紅茶
[良い点] 926/926 ・なんてこった。  初春のケーキセットうまそう [気になる点]  マザーが急停止した、その視線の先に、  カフェ・ド・ランドエルシエは、  そびえ建っている・・・! …
[良い点] いつも楽しませてもらってます! [気になる点] ケーキが美味しそう………… [一言] かばさんへ マザーレイズがもらってたケーキ美味しそう…… と言う訳で巨峰のケーキとチョコケーキは俺が…
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