顔から行ったそうな
(●´ω`●)←たれまくり中
「誠に御見事でございました」
「んにゃァ……?」
「あっ」
マイスナの お胸で ふにゃふにゃしていたら、
銅色の装甲メイドさんに、そう言われた。
「ほんっと……気配、わかんないっふね……」
「でーたーなー、めーいーどーめぇぇぇぇぇぇー」
この人は。
いつも知らん間に。
ベッドのソバに、居らっしゃンなぁ……。
「あそこまでの御業を、民衆の娯楽のために お披露目なされるとは……。このキュイーヴルをはじめ、クレフティスの姉妹一同、感服いたしましてございます」
あぁー、イヴさんの本名、
確か、そんなんだったわ、ぬぇーっ。
「それとも……フフッ」
「「 へっ? 」」
「今回は──" ナカの方々 " に、そう、お伝えした方が、よろしいですか?」
「「 ……な──ッッ!! 」」
こっ……!!
こんのッ、メイドおおおおおお!!!
「おや──失敬……! これは、知らないていのママの方が、よろしゅうございますね……♪ ホホホホ……♪」
こ、こいつぅぅぅぅぅぅぅぅううう。
あたしは、わかったぞ!!
この仮面メイドぉぉ……!
たばかりやがったなぁァァーッ!?
だいたい、予想ツケといて、
私らに、カマかけて真実かどうか、
判定してやがるっ……!!
ちくせぅ、があぁぁぁぁああああああーッ!!!
「いやはや……世界とは、面白ぅございますねっ♪」
ねっ……じゃ、ねーんだわよぅ!!
うぇーん!!!
先輩と先生が、憑依してたの、
もっ、バレてもとるやないかぁ──い!
『>>>ははは……。ご、ごめんってマジで……』
〘#……ぅ、うーむ……、何処で情報を得ているのやら……〙
「観察力には自信があります。姉妹全員」
「「うえぇ……」」
この人ら、6人ともAランクの暗殺職だもんね……。
つーか、諜報活動を、主人に行うなよ……。
いやいや、別に主人ヅラなんて、致しませんけどもやぁ……。
「……驚くべき事です。まさか、かつての英雄の方々が、かの帝国の剣技を完全に継承していらっしゃったとは……。失われた13番目の型まで、平然と お使いになられていた御様子。流石としか言い様がございませんね」
「なんのこっちゃねん……」
「こらっ。アンティをヨシヨシするのに忙しいので、後にしてくださいっ!」
そーだそーだぁっ!
私がヨシヨシされるのは、
超・珍しいんだぞーっ!
「にょきっとにょんにょー!」
あいさつはいつも、にょきっとな。
「あら、うさ丸さま、おはようございます」
「くゆくゆくゆくゆくゆ」
きみ、回りすぎとちゃう?
今日も白い珍獣どもは、
荒ぶっておられるわね……。
ん? あっ……、今日、
朝ごはん、スルーヨシヨシしてたわ。
「やべ……その子らにゴハン上げるの忘れてるわ……」
「でも、なんか カンクル、元気だよ?」
「お嬢様方、ご心配には及びません。うさ丸さまは、僭越ながら、一番下の妹が、お食事を御用意させていただきました」
「にょきっと♪♪♪」
「カンクルさまは、塔の側面に勝手に作成したプランターで勝手に栽培した"精霊花"を適量、与えておきましたが……よろしかったですか?」
くそぉ、有能か。
「いや……有難いンだケド、アンタさ……。精霊花を"トレニアイズ"ってゆーの、けっこーな、エルフさんのガチンコ機密情報だからね……!?」
「お水だけじゃ、食べる速さに間に合わないよ」
「お任せください。ポーションで爆発的に増えるのですよね?」
どっからネタ仕入れてきやがったんだ、
スパイ・メイド姉妹め……。
「くゆくゆーっ♪♪♪」
「ガルンさまの おまんまは、よろしかったでしょうか?」
「あぁー……あの子は、たまに勝手に出てきて、私たちの"カゲ"とかパクパク、食べてるから……」
「たまに、お風呂に入れてあげればキゲン良いです」
「影、ですか……それは興味深い。かしこまりました。それと……」
あによぉー。
まだ、なんかあんのぉー……。
「これが……祭りの夜。とある屋根の上に、落ちていたのですが……」
「「 ……! 」」
イヴさんが見せてくれたのは、
緑色のフェルトでできた、
獣人さん用の帽子だった。
これって──。
「──ニョロニョロの帽子だよね?」
「あやつ、でておったかー」
「それが……姉妹のうちの二人が、見ていたのですが──」
イヴさんの、話によると。
あの祭りの夜。
劇を、屋根の上から見ていた、
ニョロニョロ事、おえかきゴーストを。
ラムさんとメーチさん(メイド部隊の2人)で、
屋根を跳び回るついでに、
警戒していたそうだ。
「いま……なんて……?」
「なんで、屋根を跳び回っていたんですか」
「劇の最中、お嬢様方の勇姿を光の魔石で照らし続けたのは、私たち姉妹めでございます」
「……」
「そんなことしてたんですか」
何をしてるんですか、あなた達は……。
「照明スタッフが余りにも不甲斐なかったので、新型のライティング魔導装置を奪取いたしました」
このメイド共、盗んで照らしとる。
『>>>そう言えば、思いっきり動き回ってたのに、ほとんど光の外には出なかったな……』
〘#……恐ろしい精度で照らされ続けていたが、屋根の上を跳び移りながら、6人で遠距離照射されていたとは……〙
「返してきたんでしょーね?」
「へんきゃくだー」
「オホホホ……♪」
「おい」
「アンティをワルモノにしたら、ゆるさんぞ」
「ご心配なく。忍び込みやすいよう細工をしつつ、教会の共有倉庫へと返却済みです」
あっっっふぉ。
教会のセキュリティを、下げてくるんじゃねぇわ……。
「それは、さて置いてですね──」
無理矢理 さて置かれたが。
続きを聞くと、どうもニョロニョロのヤツぁ、
屋根で、体のっとぅられぇた私たちを、
スケッチしていたらしい。
アイツ、歯車の火、勝手に使えたのか……。
「少しずつ、光り出したんです……体が」
しばらくすると、ニョロニョロは。
光の粒子になって、
ほどけるように、いなくなってしまったそうだ。
残ったのは、スケッチブックと──。
「この、緑色の帽子だけです」
イヴさんから、帽子を受け取る。
マイスナと、片手ずつで持った。
……なに? どゆこと?
光んなって、消えた……?
「その……あの現象を、私どもは、知っているのでございます」
「「 ? 」」
「腐りし故郷が、お嬢様方に いただいた霊薬にて、浄化された時──」
両親の魂が、笑顔で、消えた時──。
イヴさんは、そう言った。
『>>>まさか、成仏したって、いいたいのか……?』
〘#……、……。そのような、ことが……〙
「あの時の両親に、とても似た消え方だったそうです」
「──」
「アンティ、かぶってみて」
──カポッ。
「ど?」
「かわいい」
「お嬢様方、突然の別れかとは思いますが……あのようなスケベイでも、急な旅立ちは切ないものです」
「アンタも かぶってみなさいよ」
「おんなゆ、のぞきマン!」
「お嬢様方……!」
ん?
「恐れながら……少々、不謹慎かと」
……
はぁー。
やーねぇー……。
「まだまだねぇ」
「まだまだだねー」
「???」
「「 まだまだ、なーんも、わかっちゃいない……! 」」
──どれ。
真新しいベッドのサイドテーブルには、
甘栗が何個か入った、
小洒落た白い陶器のグラスが置いてあった。
私たちの時限結晶由来のモノじゃない。
きっと、イヴさん達メイド部隊が、
勝手に買ってきてくれたんだろう。
私とマイスナは、緑のフェルトの、帽子を渡す。
「それ、持っててみ?」
「見ててね?」
「 ? ?? 」
甘栗をひとつ、指でつまみ、
口んナカに、ほぅりこむ。
ん! しまった、ねぶってしまった……。
まぁいいや、噛んではいないので、
そのまま、ちっと、お行儀ワルワルだけど……、
くちびるで挟んで……?
「むゅ……?」
「んーっ♡」
あ、マイスナさん、準備万端ね。
ウェルカム? かわいいかよ。
朝のちぅ、は、マロン味。
いくでー。
「 んちぅー「♡」ぅちゅー 」
かわいいマロンには、旅をさせよ。
『 ── ニ ョ ッ ホ ゥ !!! ♡♡ 』
「うおぉお Σ(゜ロ゜;)」
ほ ぉ れ 、 や っ ぱ な 。
「フゥーッ。ほらねッ♪ 生えたでしょっ♪」
「もぐもぐ……♪ うまうま……♪」
「にょきっと、にょんやぁ……」
「くゅーっ!!」
帽子から生えた覗き魔は、
私たちをガン見しながら、
爆速でスケッチしている。
『 ニョオオオオルルルルルロロロロロホホロロロロロホロロロロロロニョロニョロにょおおおおおおおおおっっっフオオオオオオオオオ────ッッッ♡♡♡♡♡ 』
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!
「きひゃっ♪ 金はらえ、ドスケベがっ♪」
私が口移しした甘栗を、
ぜんぶ食べ終わったマイスナが、
笑顔で言った。
「えへへっ、イヴさん♪ それ、窓から捨てといてねっ♪」
「私は……!!! なんと、浅はかだったのか……!!!」
メイドは自らの間違いを改め、
ヨメの言う通りにしたと言う。
これが、" ドニオスギルド七不思議 "の一、
" 着地失敗幽霊 " である。
──── ブ ゥ ン !!!
『 ロ ッ 』
「な、なになに?///」
「つぎは、アンティ……♡///」
(●´ω`●)ごめぬて。










