語られる宴の夜
小分けでごめぬな(*´ω`*).*・゜
「ふぅ──。以前に、言っていたな。お前たちの仮面には、かつての義賊と狂銀の意思が宿っていると」
「「 …… 」」
自分では、吸わないけれど。
この煙のにおいは、嫌いじゃありません。
優しい葉の香りは。
少しだけ、アンティと私の緊張を和らげます。
「仮にだ」
ヒゲイドのおっちゃんさんは、
ザッパシ斬りこんでから、
しゃべりはじめました。
「お前たちが──……、仮面に宿る"初代"に、憑依されていた、というていで、話してやる」
「「 !! …… 」」
前に、チラリとは話していたけど。
どうやら、ガッツリ、
バレている、みたいです。
そうだ……私たちは。
真夜中の箱庭で、あの銃に──。
子供の頃に、
アンティと食堂屋さんごっこをした、
あの、幸せな夢の、裏側で。
私たちは──。
私たちが、何をしてしまったかを、
知らなくてはいけません。
「──……ふん。先に言っておくと、だ」
「「 ……?? 」」
「見世物としては、たいへん素晴らしかった!」
ヒゲさんは、とても詳細に、
私たちの蛮行を話してくれました。
「私とマイスナが、観客席の柱の上で、模擬戦闘……?」
「アンティと私が、お互いに煽り合いながら……?」
アンティは……頭を押さえ、
私は……眉間にシワがよります。
ホオおおおおおおおおおおおおおおお。
どうやら昨日の"私たち"は、
たいへんにバカ騒ぎをしたみたいです。
わ た し が っ 。
ア ン テ ィ を っ 。
煽 る だ な ん て っ !
……いや、ベッドでの煽り合いはあるある……。
こ、こほむ。
とりあえず、せんせぇ?
後でお話、聞いてください。
〘#……甘んじて、お受けしよう……〙
『>>>ああっ……、こうなる前に、話せておけばっ……!』
「ナニをやってくれてんだぁ、こんの、寝取りヤロぉー……!」
「ワタシノクチデアンティアオタワタシノクチデ」
『────ねっ:寝盗られては:いないのですよ……?☼』
〘------マイちゃん;壊れたクルミ割り人形みたいになるのやめてのん……;☆;〙
「その様子だと、本当に記憶が無いようだな」
「「 う" 」」
「くく、ビビっちまって、代役を頼んだか?」
心外な。
ちゃんとアンティといちゃラブを削ってまで、
練習しましたよ! ぷんぷんっ!
「……不慮の事故で、突発的、にです」
「散る覚悟はできてたもん」
「ははは! 散るつもりだったのか。まぁ……、お前たちは度胸もすわっている。なるようには、なっただろうが」
ヒゲさんが言うには、
会場は、相当えらいことになっていたようです。
各座席の横にある柱には霜が降りて、
ひどい所はツララが生えて、
そこから花が咲いていたそう。
「とても幻想的で、夏の夜とは思えぬ白の世界が広がっていた」
「……そこを、私たちがピョンピョン跳びはねていたワケですか」
「……お客さんの様子は、どうでしたか?」
「バカ受けに決まってるだろう。義賊と狂銀のカッコした娘2人が、あんな不安定な足場で曲芸じみた斬り合いを演じたんだぞ。アンティ、あのジグザグのマフラーはなんだ。俺の見た所、30メルトルテくらい伸びていたぞ」
「へぇ……知らなかったなぁ……。あのマフラー、伸びるんスかぁー……」
「なにそれ見たい」
「おまえな……黄金の流れ星のようになっていたぞ? ハッ、まさか、初代クルルカンが双剣使いだったとはな……。マイスナの方も、あの七本のカタナはなんだ。最後の方は、柄頭に鎖を繋いで、ヤリみたいにブン投げまくってたんだぞ?」
せせせせせせせせせせせんせせせいいいい???
あとととととででででオハナシオハナシオハナシ。
〘#……、……〙
〘------………の;のんなぁ……;☆;〙
〘++++++罪は・さばかれるわよ……?〙
『──そりゃ、そうなるよねぇ……❖』
『──ウェッヘッヘッヘ、草生えるナ ▽
──いやぁー白熱してたもんなぁー!!◎▽◎+』
「終盤近くは、もはや芸術的ですらあった。剣戟の度に、光が散らばるように、夜に輝いていた」
「「 …… 」」
せんせいも、やらかす時はあるみたいです。
「……さいご、私が、勝ったんですか……?」
「……!」
アンティが、いいます。
「む? クク、そう思うか?」
「いや……劇的には、そうなのかなって……」
「アンティ?」
何か、変なテンションだなぁ。
「ずいぶん、不服そうに言う」
「私は……たとえ劇だとしても、この子を一方的に倒すような正義のフリなんて、したくない……それだけよ……」
……──!!
「勧善懲悪は嫌いか」
「この子が悪だなんて、本気で言うヤツは私が倒すわ」
「 」
みなさん、わかりますか。
これが私が惚れた、アンティですよ。
「全世界のマイスナが泣いた」
「急にナニ言ってんのアンタわ……///」
「くくく、安心しろ。"絵本バトル"は……止まるか心配になるほど、白熱していたが──」
よっぽど、だったんだなぁ。
「くくく……。とある、イレギュラーが起きてな?」
「「 ?? 」」
ヒゲさんは、おかしそうに、
思い出し笑いをします。
シンプルな円十字の灰皿に、
うまく、葉巻が引っかかりました。
「……会場に立てられた主要な番号柱は、ほどなく氷柱と花に覆われて、とうとう、足場として使えなくなっていってな」
……せんせぃ、会場中の柱、ぜんぶ凍らしたんだね。
何してるんですか。
「凄まじかったのだ。光で斬り、氷で斬り。技で斬り……たまに、ジャンプした足の裏から雷も出てたからな?」
せえええええええんんんんんんんんんんん、
せええええええええええええええええええ。
「最後に──激しい剣舞を繰り広げたまま、お前たちが向かったのは──まだ無事だった、野外ステージだった」
「ぶ、無事って……」
「さいごは、ステージ、ちゃんと使ったんですね」
「正直、な」
「「 ?? 」」
「お前たちの戦いは、心配になるほどだった。とても真剣で、妥協なく、見事だった。あれは、どちらかが雌雄が決しないと、終わることのないような……そんな、ガチンコ勝負だった」
「どっちも、メスですが……」
「チンコないよ?」
「くくく、いや──それが、あんな終わり方をするとは、な──」
「「 ──え? 」」
グググ──。
ヒゲイドさんは、少しだけ前のめりになり、
座りながら、イタズラっ子のような笑い方になる。
「 ステージにな……、赤ん坊がいたのだ 」
「「 え っ ── ! ! ! 」」
「最前列の観客席に座っていた母親が、よく見えるようにと、ステージの端っこに乗っけて、抱きかかえていたのだろう。それが、知らぬ間に、勝手にハイハイしちまっててな──」
「そ……れっ!?」
「危ない」
バリバリに戦ってるアンティと私が、
赤ちゃんに突っ込んだってコトですか。
「かなり、大きな跳躍をしてから、お前たちは、気づいたんだ」
「「 ── 」」
「 >>> や べ え !!! 」
「 # つ か め 、カ ネ ト キ !!! 」
(((;゜Д゜)))!?.*・゜










