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リバイバル・プロローグ・・・!

※ものっそい・・・書き直しました(;´༎ຶٹ༎ຶ`).*・゜






「>>>ふぅ……」




 高校、さいごの文化祭で。


 いつもとは違う体育館。

 違うクラスの女の子は、

 実に堂々と歌っていた。


 ぼくも、生徒会の雑用で、

 学年集会の時とかに、

 よく壇上(だんじょう)に、立ったり、

 してたんだけどね……?


 みんなの前で、

 あんな風に、歌うなんて。

 自分には、とても無理だと、

 感じたもんさ。


 床のパイプ椅子に座って、

 ぼくは、見てた。


 羨望(せんぼう)と、

 尊敬(リスペクト)と、

 ちょっぴり(くすぶ)る……嫉妬(しっと)の心。


 遠くにある、さびしさと。

 純粋な感動と──。


 そして自分が。



 "主人公ではない"という、確かな実感。



 " …… "



 自分も、あんな風に堂々と、できるか?

 例えば……バンドとか組んで歌ってみたり?



 " ……はは、けっきょく、夢物語だな "




 そう、つぶやいて。

 ぼくの文化祭は、終わったんだ──。






「>>>……ハードル、高っけぇー……」






 爆発するような歓声の中で。


 ぼくは、そんなことを考えていた。






『『『『『 うおおおおおおおおおお 』』』』』

『『『『『 おおおおおおおおおおお 』』』』』

『『『『『 おおおおおおおおおおお 』』』』』

『『『『『 おおおおおおおおおおお 』』』』』

『『『『『 おおおおおおあああああ 』』』』』

『『『『『 あああああああああああ 』』』』』

『『『『『 !!!!!!!!!!! 』』』』』

 



「>>>はっは、帰りてぇー……!」

『────心中:お察しします☼』




 おーし、今なら言えるッ!!

 本当の勝ち組とは!!

 特等席で座っている、

 お客さんの方だねっ!!


 昔のぼくに、教えてやりたいよ!!

 主人公とか、

 マジ、ないですわあああああああああ!!!



「>>>うらむぜぇぇえ、ニョロニョロぉおお……!」

『────絶大な人気なのですね☼

 ────あなたの:絵本は……☼』



 まぁ、それだけが原因では無いだろうが……。


 うわぁ、例えでも、何でもない!

 街の夜は、震えている・・・ッ!!


 様々な声が、ステージまで聞こえている!

 実に好き勝手、言われていたッ……!!




「「「うひょおおおおおおおおおおおおお!!!」」」

「いよーっ!! 待ってたゼェえええいいい!!!」

「ビシッと、キメちゃってえええええ──♪♪♪」

「今日も、(かがや)いてんぞおおおおおおお!!!」




 ははは、 う る せ ぇ よ (笑)。

 なーんで、こんなに熱狂的なのさ……。


 絵本の英雄だとか、知らないが、

 こちとら……勇者くずれの、

 元・殺し屋さん、だからな……?



「>>>子供も、ホントに多いなぁー……」

『────キラキラした目で:

 ────見られていますよ☼』



 知らないって、コワイことだぁ……。

 少し、借り物のノーミソがフリーズ気味なせいか、

 思考は、ずいぶんと冷静さを(たも)っている。



『────緊張……していないのですね☼』

「>>>ああ。自分でも、驚くほどにね」



 " うっせーだまれ笑 " という素直(すなお)な感情と、

 (あき)れまみれの苦笑(にがわら)いが、

 はるかに、何かを()退()けていた。


 ま、学生時代の時のぼくなら、

 この状況は、震えあがったろうが……。


 ワリと壮絶な体験も、してきてっからなぁ。

 ぼくの心は、ワリとメンタル強者らしい。


 学校の行事の生徒会の役回りで、

 インタビューしたプロの舞台役者さんが、

 「ほどよい緊張感は、あったほうがいいな」

 とか、言ってたな。


 ……ははは、つまるトコロ。


 緊張感のない元・殺し屋ってのは、

 勇者としても、役者としても、

 だいぶ、アレな感じだよな──……。




「>>>ジャグリングとかで、許されないかなぁ……お手玉とか、けっこう上手いんだぜ?」

『────カネト:怒りますよ?☼』 




 ははっ、冗談だってば。

 そこまでピエロに、なれないさ。




「「「「「 いぇええあああああああ!!! 」」」」」




 ──つーか、コレさぁーッッッ!?


 そろそろ(しず)かにしてくれないと、

 とても、(げき)どころじゃないよなぁ……ッ!?


 地鳴り、してんぞコレ……。

 はじめられないじゃないか……!


 ああ……家族づれとか、

 めちゃくちゃ全員、こっちを見てるな……。

 うわ顔、隠してぇええええ。



「>>>……後輩ちゃんが、マフラーで首元を隠したい気持ちが、いま、心底わかったよ……」

『────理解が深まり:なによりです☼

 ────カネト:まさに:その件ですが──☼』

「>>>あっ! そうだね……」





 さぁて──。


 ぼくは緊張は、していなかったが、

 お芝居の下準備としては、

 すでに、やらかしていた。



 大切な"イッチョウラ"を装備するのを、

 すっっっかり、忘れてきたのである。




「>>>どちらに しようかな……」




 ぼくは、迷う。


 


 "白金(しろがね)劇場幕(げきじょうまく)"。


 "黄金のマフラー"。




 どっちを、羽織(はお)ればいい──?




「>>>いや……、……答えなんて、決まっているな」

『────っ……!☼』




 ── ぎ ゅ 、 い ん ん ── !!



 右手の、黄金グローブの手のひらに、

 お客さんには見えにくいよう、

 バッグ歯車を開いた。


 クラウンちゃんに……最終確認をされる。




『────本当に……☼

 ────そちらで:よろしいのですか?☼』

「>>>ああ……もちろんさ! この場所に受け入れられたのは、ぼくじゃあない。すべて……彼女の人柄(ひとがら)だよ」

『────……:……わかりました☼

 ────では:いきますよ!☼』

「>>>え"っ……!?」




 ──ブぁああっっっ、さァァああああああああ……!!!




 ──お"ぅわっ!? ちょとおォォ──ッ!?





「「「「「

     ──おおおおおおお!!!

                 」」」」」





 "白金(しろがね)劇場幕(げきじょうまく)"は、


 おおきい、とにかくデカいマントだ!!


 野外ステージの床を埋めつくしながら、


 大きく、ひろがっていく──……!!


 いやいやいやッ、ちょと待て──ぇい……!?!?




「>>> で か す ぎ る か ら な !? 」

『────おや……ふふふ☼

 ────演出は:大切ですよ?☼』



 いやいやいやいやいや、

 巨大テーブルクロス引きを、

 するわけじゃあ、ないんだぜッッ!?

 は、はやく……大きさを調整しないと……!



「>>>よっ、、、と──……!!」



 ──グィィイ・・・!!!




 ぼくに引っ張られた巨大な布地が、

 金糸(きんし)刺繍(ししゅう)に光を流しながら、

 夜に、黄金の軌跡を描き出す・・・!




 少々、強引に、それらを手繰(たぐ)り寄せ、


 ぼくは、強引に、首へと巻きつけた──・・・!!





 ──グォオオオおおンンンっっ・・・!!


 ──バサああああぁぁぁぁ……!


 ふ わ ぁ あ あ ・・・ !




  ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ ぉ 。





「「「「「 うおおおおおおおおおおお 」」」」」

「「「「「 おおおおおおおおおおおお 」」」」」

「「「「「 おおおおおおおおおおおお 」」」」」

「「「「「 おおおおおおおおおおおお 」」」」」

「「「「「 おおおおおお──ッ!!! 」」」」」

 



 いや……、

 めちゃくちゃ、盛り上がるじゃねぇか。


 客席からのリアクションは、

 予想以上のモンだ。




「か、かっこえぇー……っ!!」

「アレさ! アレさぁ!? 集荷の時に、シュルって出す、あのマントだよねッ──!?」

「でぇたぁなぁぁあい!!! " マジック・ヴェール "ぅうううううう!!!!!」

「改めて見ると、おおきいなぁー……っ!! いつも思うんだけど、アレって、どーなってるんだ??」

「いや…つーか、強者感が、スゴいンですけどッ!?」

「でかマント装備、ロマンキタコレ……」

「よく見たら、すっごく、キレイな刺繍……はいってるのよね!!」

「「「 クルルカン、待ってましたあぁあああああああァァァー!!! 」」」




 ハハハ……帰って、クラウンちゃんと、

 イチャイチャしてぇ──ッッッ!!!



『────こ:コホンっ……///☼』



 いや、まぁ、わかるよ……。

 でっかいマントって、カッコイイよなぁ。

 ぼくも、アメコミの実写映画でさ──、、、

 、、、って、んなこた、いーんだよ!



「>>>はぁ……ま! やっぱり、ぼくのマフラーじゃなくて、正解だったな」

『────! むぅ……☼

 ────私は少々:勿体(もったい)なかった気も:

 ────いたしますが☼』

「>>>え?」

『────せっかく:

 ────"ホンモノの装備":なのですから☼』



 ……ははは。

 ま、絵本の絵は、確かに……、

 アレに、近いだろうけどね──。


 いいじゃないか!

 もう……"彼女たちの時代"、なんだぜ!?

 ホラ、お客さんも、喜んでいるじゃないか──!




「「「「「 クールル、カンっ!!! 」」」」」

「「「「「 クールル、カンっ!!! 」」」」」

「「「「「 クールル、カンっ!!! 」」」」」

「「「「「 おまえが主役、だあああああああああああぁぁぁ!!! 」」」」」




 いや……てめぇら、喜び過ぎだ、ダマレ……(笑)。

 まーた、うるさくなってしまってる!!!

 ぁ、あのなぁ……プロレスじゃあ、

 ないんだぜ……?

 いい加減、ちょっとは()えようぜ、な……?



「>>>注意、した方がいいか……?」

『────オススメは:致しませんよ☼』



 ……。


 試しに、口元に指を立ててみよう。


 ……。




「>>> し──────……っ♪ 」

 


『『『『『 うおおおおおおおおおお 』』』』』

『『『『『 おおおおおおおおおおお 』』』』』

『『『『『 おおおおおおおおおおお 』』』』』

『『『『『 おおおおおおおおおおお 』』』』』

『『『『『 おおおおおおあああああ 』』』』』

『『『『『 あああああああああああ 』』』』』

『『『『『 !!!!!!!!!!! 』』』』』




 な、なぜだ……。

 おぃぃ……勘弁(カンベン)してくれよ……!


 思わずチラリと、先生の方を見た。

 ずいぶんと……落ち着いているように見える。





「#……」




 紫電(しでん)ちゃんって、静かだと、

 マジで、美人だな……。




『────むっ!!☼』



 あっ、何でもないぜ? ハハハ……。

 目をつぶり、心頭滅却していやがる。

 はぁぁ……さすが教師で、年長者ってこった。



『────まったく……☼

 ────皆さんに:手など:

 ────振り返してみては?☼』

「>>>いやいやいや……!? これ以上うるさくなったら、お芝居なんて、ムリだろ、?」

『────無理やり:始めることも:

 ────ひとつの手です☼

 ────その:"拡声"のジェムの性能は:

 ────中々:優秀のようですよ☼』

「>>>ははは……きみってたまに、すごく、強気に行くよねぃ……」



 首元に、目立たないように装着しているは、

 ぼく達の出番の前、

 アイドル・グループさんが使っていた、

 マイクのような効果のあるジェム装置だ。


 スイッチを押すと、

 充魔式で起動するのだとか、何とか……?


 このステージには、

 スピーカーの役割をする魔導装置もあり、

 どうやら、連動しているらしい。


 生活魔法の発展は、目覚(めざま)しいよな……。

 ま、こーんな野球場の、

 スポットライトみたいな装置まで、

 作っちまってる時代だし……?

 平和な世の中では、

 娯楽が発達するってコトなんだろ。



「>>>リハーサルは、あまり出来ていなかったようだが……」



 後ろを、チラリと見て、うかがうと、

 ……ずいぶん、世界観にそぐわない、

 パンクロックな見た目のヤツらも、

 「やれやれ、こいつァクールだ……!」

 みたいな感じのジェスチャーで、

 ヤレヤレしている。


 あの、槍みたいな楽器は、ギターなのか……?




『『『『『 いぇええあああああああ 』』』』』

『『『『『 おおおおおおおおおおお 』』』』』

『『『『『 おおおおおおおおおおお 』』』』』

『『『『『 おおおおおおおおおおお 』』』』』

『『『『『 おおおおおおあああああ 』』』』』

『『『『『 あああああああああああ 』』』』』

『『『『『 !!!!!!!!!!! 』』』』』



 と、とにかくさぁ……。

 これが、おさまらないと、

 何も始められない……。



『────中々……:激しいです……☼』

「>>>ははは。神さまとして、一喝(いっかつ)しようか?」



 予想以上に、ギャラリーの熱量は、凄い!


 おへそが見えているせいか、

 メチャクチャ、お腹に響いてきやがる……!

 弱ったなぁ……。



 そもそも、今回の(げき)のセリフは、  

 完全に、静かな会場に向いていた。


 台本は、一通り読んだ。

 けっこう、悪くはないモノだった!



 どう、例えればいいんだ──?

 あっ、、、アレだぁ。


 運動会の──"閉会式"……?



 台本のベースを作った人は、

 流石はプロなんだろう。


 静かな空間の中で、

 (おのれ)の本心を ぶつけ合う、

 かつての義賊と、狂い花の銀の、二人劇──。


 掛け合いは、

 とても印象に残るシーンで、

 けっして、つまらない内容ではない。


 ま、子どもウケ、するかどうかは、

 怪しいトコだが……。


 "儀式"として、"イベント"をしめくくるには、

 とても、いい劇だ。




 教会で、聖歌を歌うような。


 夏の、ツクツクボーシのような。


 夏休み前の、校長先生の説法ような。



 そんな、しめくくりの、(うたげ)──。





「>>>はやく、やっちまいたいが……」




 数十分で終わる、短い幕引きの儀式。

 だが、今年のお祭りは、

 いつもより、熱が冷めにくいようで──。




「「「 アンティ、ちゃーあああん♪♪♪ 」」」

「「「 マイスナ、さまぁああああ!!! 」」」

「いよっ! とつじょドニオスに現れた、絵本の主人公おおおーっ!!!」

「決まってんぜぇー!! レターライダーの、おふたりさんよぉー!!!」




 あの……さすがに、

 そろそろ静かに……はぁぁ。

 "閉会式"も、兼ねてるんだが……?


 どーするよ、コレ……と。

 またまた、困りつつ。


 お隣の先生を、ふたたび、

 チラリと、見ると────。





「#──(クイッ……!)」


「>>>(……っ!!)」





 アゴで、最低限のジェスチャーをされた!


 なんだ!?


 ……。


 ま、……、


 " 前へ、出ろ……? "


 ……、か……?


 ……。


 ……?



 ──あっ!




「>>>──なるほど……!」


『────カネト……?☼』




 そいつぁ……、いいかもしれないな。


 ぼくは、この時の先生の意図を、

 奇跡的に、完璧(かんぺき)に理解することが、

 できていた。



「>>>よ、し……!」



 野外ステージの周りには、

 おびただしい数の客席が、

 グルッと建造されたワケだが。


 その椅子の周りには、等間隔(とうかんかく)に、

 席順(せきじゅん)(きざ)まれた、

 首の太さくらいの丸太(まるた)が、

 地面に、打ち込まれまくっている。


 だいたい、

 成人男性の身長くらいの高さで、

 美しくすらある、それらの羅列(られつ)


 所々(ところどころ)、区画を区切る、

 大きめの丸太も、立てられているようだが──。



 あ──。


 ようするに、


 何が言いたいか、というとですねぃ──?


 




 こいつァ、ちょ──どいい、



 ──" ()() "に、なんだわ・・・!





「>>>──ハハハッ、まーた、うるさくならなきゃ、いいんだがッ、、、ッな──・・・!!」


『────ッ!? カネト!?☼

 ────な:なにを──!?☼』






   キ ン ッ 、


     キ ン ッ 、


       キ ン ッ ・・・!






 助走を、つける。



 ぼくは、ステージから──……、



 思いっきり、



 ──── と び あ が っ た !







 ── キ ィ ィ イ い ン ン ン !!!





「「「「「「「「 う 」」」」」」」」

「「「「「「「「 お 」」」」」」」」

「「「「「「「「 お 」」」」」」」」

「「「「「「「「 お 」」」」」」」」

「「「「「「「「 お 」」」」」」」」

「「「「「「「「 ッ 」」」」」」」」

「「「「「「「「 ! 」」」」」」」」

「「「「「「「「 ! 」」」」」」」」

 



 ── ぶ あ お お お ぉ・・・!!!

  



 ──おっ、とッ……!


 思った以上に、跳び過ぎてしまった!!

 ドラゴンの筋肉のチカラは、

 やっぱり、ダテじゃない……ッ!


 ぼくは、お客さんの上に、

 ダイブするようなシュミはない。


 体、一回転(いっかいてん)させた方が、

 バランス、とれるか?

 

 よっ、、、と・・・!


 

 なびくマントは、ひるがえり。

 宙空にて、クルンと、まわって──。

 ヨロイに、光を反射させつつ────……!




 ぼくは、


 客席の丸太のひとつに、


 降り立つのだ────・・・!!






 キィぃぃぃぃイイんんん・・・!!!



 ──ぶぁああさぁあああああ・・・!!!






『『『『『 うおおおおおおおおおお 』』』』』

『『『『『 おおおおおおおおおおお 』』』』』

『『『『『 おおおおおおおおおおお 』』』』』

『『『『『 おおおおおおおおおおお 』』』』』

『『『『『 おおおおおおあああああ 』』』』』

『『『『『 あああああああああああ 』』』』』

『『『『『 !!!!!!!!!!! 』』』』』

 




 ははははははは……もう、

 好きに、叫んでくれ……。


 おおっと?

 マントが客席の子供に(かぶ)さらないように、

 気をつけないとな。

 大丈夫、か……?




 ──シュルルルルルるるる……キンっ!




「やったあああああああああああぁぁぁ!!! 客席に、()ちまったァアああああああああぁぁぁ!!!!!」

「い、今の見たっ……!? 20メルトルテくらい、()んでたよねッ……!?」

「くくく……()せてくれるじゃねぇか、クルルカン……!!」

「ああーっ!! この丸太って、そのために立っていたのね!!!??」



 いやー、違いますぅー。

 足場専用に、立てられた、

 ワケじゃナイから……ナイナイぃ。


 ま、観客席に突然 主役が降り立ったら、

 そりゃ、ビックリするよなぁ。 

 あっ自分で主役って、言ってしまった。

 な、ナンだかなぁ──。



 

 ── ギ ィ ぃ い い ン ン ン ッ !!!




「>>>ッ……!!」


「「「「「「

       ッッッ!!! 

               」」」」」」





 凄まじい金属音の方を向くと、




 ──宙に、先生が舞う瞬間だった。





 ──── ── ─ ─ - 。




 ────ギィィいイイんんンンン・・・!!!!!




『『『『『 うおおおおおおおおおお 』』』』』

『『『『『 おおおおおおおおおおお 』』』』』

『『『『『 おおおおおおおおおおお 』』』』』

『『『『『 おおおおおおおおおおお 』』』』』

『『『『『 おおおおおおあああああ 』』』』』

『『『『『 あああああああああああ 』』』』』

『『『『『 !!!!!!!!!!! 』』』』』





 いや……アンタも、()んのかーぃ……!


 白き、聖なるドレスをフワリとさせつつ、

 先生は、ぼくとは(はな)れた丸太のひとつに、

 優雅に、着地をカマしてくださる。


 ミスリル銀の装甲と(あい)まって、

 まるで、天使が舞い降りたようだと、

 言われても、信じるレベル、なんだよなぁ……。




 ──シャラ、シャラララララァ──…….*・゜

 ──ふわぁぁぁ……──。




「き、きれーぇ……!」

「もはや、ワルモノには見えねーな」

「お姫様じゃんよぉ……!」

「ああ、マイスナ様!! さすがです・・・!!」




 様付(さまづ)け、されてんなぁ……。


 夜のライトに照らし出される姿は、

 なるほど……悪役というより、

 "光のプリンセス"、そのものだ。


 ありゃ、子供なら、

 誰でも(あこが)れそうだよね。

 男の子も、女の子もね──。




「#──」




 当の本人は、

 やはり、目を閉じて、

 精神を統一しているような表情をする。



 ……。

 緊張、しているのか……?


 ……いや────。




「>>>思いつめて、いないと……いいんだがな……」


『────!☼

 ────:……☼』





 ぼくたちの、絵本は、

 ぼくと……狂った先生が、

 再会したシーンで終わる。


 この劇は、ソレの続きなのだ。


 さいごの、真っ白のページの先の、

 だれも知らない、ぼく達だけの真実。



 ニョロニョロは、あの本に、 


 あえて、描かなかった。


 描かなかったのだ──。







「>>>……」


「#……」








 正解だと思う。


 未来は、誰かに考えて、もらえばいい。


 現実は……むごく、


 なさけなく……つらく。


 なにも、成し遂げられなかったのだから。




 ぼくが、彼を殺したことを。


 先生は……まだ、


 負い目に、感じているのだろうか。





 そんなことを……。

 

 ……。


 こんな時にも、


 思ってしまった。






「#……」





『────カネト……☼』


「>>>──大丈夫、さ……」





 ……いや。

 あの時とは、違う。

 大丈夫だ。

 コレには……台本が、あるのだから。


 真実とは、違うカタチが、ここにある。





 あの子たちが、引っ張りあげてくれた、


 新しい、" 未来(ストーリー) "だ────。





「>>>あの二人は──どうしてる?」


『────……"食堂屋さんごっこ":の(のち)

 ────眠ってしまったようです☼』



 ……! ふふふ、そっか。

 サキさん達が、相手をしてくれていたね。

 あのペアの精神の幼児化がとけるまで、

 あと、ゆうに9時間ほどはある。


 クニャウンズ用のアイテムを、

 彼女たちに使わないよう、

 注意、しないとな……?


 練習が、パァになったのは、

 気の毒だが……、


 この劇が存在するのは、

 ぼくの、せいでもあるからな──。





「>>>……やれやれ。セキニンは、果たさないとな──」


「#……────、ふん──」





 ────先生が、目を開けた。





「#──」


「>>>……」






 ……。


 やっぱり、ぼくには……。


 先生の、雰囲気が、


 静か過ぎるように、


 思えて、ならない。


 静かに、見られる。

 

 ぼくも、そうした。



 あの時とは……違うよ、と。


 そう、思いながら──。






「>>>……」


「#…………」






 客席より、少し高い目線で、



 見つめ合う、ぼくら。





「……お?」

「いよいよ、か……?」

「はじまるんだわ」






 観客たちが、ゆっくり・・・と。



 ぼくらの空気を、かんじとる。



 スポットライトが、照らす夜。



 徐々に。



 静かに。



 ゆるやかに。



 誰もが──。






『『『『『 ・・・・・・・・・ 』』』』』

『『『『『 ・・・・・・・・・ 』』』』』

『『『『『 ・・・・・・・・・ 』』』』』

『『『『『 ・・・・・・・・・ 』』』』』

『『『『『 ・・・・・・・・・ 』』』』』

『『『『『 ・・・・・・・・・ 』』』』』

『『『『『 ・・・・・・・・・ 』』』』』






 ──あぁ。


 あれだけ騒がしかったのに、

 もう、誰一人として、しゃべらない。


 金と、銀の、狭間(はざま)にある、

 踏み抜いてはいけない領域が、

 伝わったのだろうか。



 よし……いいぞ。


 さいしょの、セリフを読み上げるには、

 ちょうど、いい。



 ぼくは、首元のジェムを、起動する──。



 ──時が、止まった気がした。




「>>>────っ・・・!」





 なんだろう。


 思った以上に、


 感情が、湧き出ている・・・!


 思い出さない、(わけ)が無いのだ・・・!


 ロザリアが死んで……、


 泣きながら、ぼくは、探し、


 そして、たどり着いたのだから──・・・!!!






「>>>──っ・・・!」





 台本どおりに、ならなくていい。



 自然に、片手が、上がった。



 お芝居なんて、


 とても、言えない気持ちで。





 ぼくは、(さけ)んだ──。







  >>>


  ────" 彼方(かなた) " っ ・・・!!!



  悠久(ゆうきゅう)(とき)()え、


  わたしは、ここに、やって来た・・・!!!


  かつて、取りこぼしたものの全てに

 

  終わりを、(むか)える、ためだけに・・・!!!


  世界は止まり、色は消え!!!


  さいごに、白だけが、残ったッ・・・!!!


  もう、わたしと、あなただけが・・・!!!


  この世界の、すべてなのだ・・・ッッ!!!


                      」




 後輩ちゃんの声は、


 実に、空間を裂く。


 いや、もはや。


 客の反応など、どうでもいい。


 ずいぶんと、高らかに(のたま)い、


 だれも、しゃべらなかった。


 魔道具は、よい仕事をし、


 ぼくの(おろ)かな心は、


 よく、世界に(とど)いた。



 ────息を吸え。





  >>> ──っ・・・!


  今こそが、だれも、知らぬ、


  さいごの、未来・・・ッ!!


  (みな)渇望(かつぼう)する、


  けがされぬ、(しろ)・・・!!


  わたしは、ここに、宣言(せんげん)しよう・・・!!


  皆だけが知る、


  さいごの、けつまつが・・・・!!


  ここに、はじまるのだと・・・!!!


                    」



「#────……」






 観客は、聞き入っている。


 そうだ、笑うな。


 これは、決して面白くなんて、ない。


 これは……ホンモノだ。


 愚かな、ぼくらの過去。


 ただ、それだけだ。


 空に、かかげた金の腕が、


 いやに、(ふる)えている。



 闇夜(やみよ)(おと)際立(きわだ)ち。


 (たましい)は、鮮烈(せんれつ)()け。


 ヨロイは、バカみたいに、(ひか)り。


 心は、宣言する。





  >>>  ここに・・・

               」





 先生のほうを向く。




  >>>  ここから・・・

                」





  ダンスに誘うように、


  腕を、のばす。





  >>>  つづきを、はじめよう──

                     」






 ──。




 ぼくの、最初のセリフが、終わった。





 だれも、しゃべらない。


 上々(じょうじょう)、だろうか。


 後輩ちゃんたちには悪いんだが……、


 これは……任せられなかった、


 かもしれないな。


 少なくとも……、


 客観的に聞いていたら、


 箱庭で……死にたくなったに、違いない。




 これは……。


 これは、ぼくが受けるべき、


 "(みそぎ)"の、ようでもあった。




「>>>──」




 はは、なんとも、不思議な(ばつ)だが、


 しかし、そんなに、悪い気もしない。




 ぼくが、ただの(おろ)(もの)であると、


 世界に、きちんと、教えてやった。


 そんな気が、していたから──。






「# ── 」





 ──さぁて。


 次は、先生のセリフだ。


 なぁに、声を張り上げるだけの、


 簡単な、お仕事です。





 視界に表示してある、台本のページ。


 次のセリフは──、





 " おまえは何故、来てしまったのだ……? "





 ────。









 ──。












「#  ── ツ マ ラ ン 、 ナ   」









 ────は……?





 


 ──。








「>>>  ・・・っ!?  」


『────:……!?☼』





 キリリ・・・。





 ナルホド、感覚というのは。


 死んで200数年、経っていても。


 けっこう、覚えているモノで。






 とりわけ、ぼくは──。







 " 殺 気 "



 と、いうモンに、



 すんばらしく、反応するのだ────。









「>>>   ぅ  」







 無意識に、ぼくは、ジャンプする。



 有り得ないセリフが、聞こえた。







「#  ── " 射手之氷乱(イテノ・コルラン) " 」






 ──  ゾ  ン  ッ っ ・・・ !!!






 □                   □

  □                 □

   □□             □□

    □□□         □□□

     □□□       □□□ 

       □□□□□□□□□

         □□□□□







 宙空に。


 舞う身体。


 視覚の後ろで、


 何かが、通過する。






「>>>   、  」



『────そん:ッ……!?☼』








 ちゃ、


 着地を……!!









 ──きぃぃぃいいいいいいいいんんん・・・!!






 違う丸太へと跳び退き、


 手を振って、バランスを取る。






「>>> ────、…… 」


『────な:ぜ……!?☼』






 ────ズシャオオオオオオオオンンンン!!!





「>>>!!」

『────!!☼』





 後ろから、


 シャレにならない、


 ヤバい、音が聞こえた……。





 ……。


 ……。





 そろ〜〜〜〜──……?






 ゆっっっくりと、


 うしろを、見ると。







 バ──ッキ、バキバキバキバキバキ・・・!!!


 ピシピシ、バキキぃいい・・!!!!!





「>>>……、……」

『────:……☼』






 わぁー。


 丸太さんが、


 (こお)ってるー。




 まだ、ナツ、あついー。


 ナ ノ ニ 、 バ キ バ キ 。


 ナ ル ホ ド な ー 。






「>>>……」

『────:……☼』






 あの、せんせ?



 アンタ、今……、



 " (こおり)斬撃(ざんげき) "、飛ばし、ましたか……?






「 # クククククククク・・・!

  # よ う こ そ

  # 白の世界へ・・・! 

                    」





 わぁー。


 ぼくの、しらない セリフ だー。





『────ぁ……あ:ぁ……☼

 ────有り得ません……☼』






 クラウンちゃんも、驚愕(きょうがく)している。


 そりゃ、そうだろうな……。


 わぁー、ヤーな予感。


 ビッシビシ、するよなぁー。


 だって、見なよ。


 あんの、クソ教師(きょうし)──……。





 メ ッ チ ャ 、


 笑 っ て ま す も ん ね ・・・ !?






「 # ……クッ、クッ、クッ、クッ、ク……!!

  # ク──ックっクックックックック……!!! 」





 ぶ わ ぁ …… !




 遅れて ふき出す、


 冷や汗を、感じながら。




 ぼくは先生に、質問した──。








「>>>………いっこ……聞いても、いっすか……?」


「#……クククック・・・なにかな?」







 もちろん会話は、反響し。


 観客は、全てを、


 目撃していた。





 (まく)は、上がりはじめている──。







  >>> アンタって、実は・・・、

  >>> トチ狂ってんスか・・・?

                   」



  # ──フン、よく覚えておくと良い。

  # " クルルカン "よ──

                   」







 ──ジャギぃぃぃぃイイんんん・・・!!








  #  私 は


  #  (きょう) (ぎん) と


  #  呼 ば れ て い て ね ?


                    」





 ……。








「>>>……勘弁しろし……」


『────ご……ご乱心が:過ぎませんか……?☼』








 ところで、先生?





 その、二刀流の構え……、


 やめてもろて、いすかね?








((((;゜Д゜)))).*・゜

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― 新着の感想 ―
[一言] 堅苦しい演劇調のセリフを普段の口調にしちゃうんだろうな~とか初代が劇やっちゃうのかな~とか 思ってたけどまさか台本壊すのが先生とは予想外(笑)
[良い点]  やっぱり先輩本人でよかったと思う。アンちゃん頑張ってたけど。 [気になる点]  アンマイの3歳児姿、どんなんだろ?
2021/02/27 15:26 電悩過敏症
[一言] せんせいっ!ご乱心でありますか!
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