表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
901/1216

ミウチ☆ゴーストバスターズ

いいかぃ……

かばのサブタイをつける才能は、

もう、枯れたんだ( ᐛ )





「──こっちだよゥ」


「は、はやいはやい」

「ま、まってー」



 先輩のお墓への(おか)を登るバスリーさんは、

 後ろで組んだ手に横向きに杖を持ち、

 実に軽快な足取りで、

 スタスタと花畑を進んでいく。



『>>>はは、こりゃ長生きしそうだね』



 ふふ……確かに。

 もはや杖が、杖として成り立っちゃーいない。

 精霊花が生えたバババばーちゃんの杖は、

 神聖な村長(むらおさ)(あかし)のようにさえ、

 思えてくるわな。


 カンクルは絶賛・食べ放題中で、

 うさ丸は巨大ブロコロに恐れを成し、

 空へと消えた……。

 あのジャンプ力なら、海くらい渡れるんじゃね……?


 ……まぁ、お腹が減ったら帰ってくるでしょ。

 なんで、あんなブロコロが嫌いなのか、

 今度、聞いてみよっかな──……?



「なンだぃ、はやくおし?」


「ぃ、いや、でもッ……」

「お花、増えてませんか」


「この時期だからねィ」



 私とマイスナは、

 足元の精霊花を()んづけてよいものか、

 迷いながら後を()いてったが、

 花守(はなもり)の巫女でもあるバスリーさんは、

 割とお構いなしで丘を駆けのぼり、

 余裕で一等賞となった。



「見えてきたねェ」


「……! あれって?」

「木だねっ」



 ──丘のテッペン。


 先輩のお墓は相変わらず美しかったが、

 十字架と輪っかを重ねたような、

 サンクロスの墓石の後ろには、

 この前に来た時には無かった、

 ぶっとい大きな木が生えている……!



「ウチん村の子供たちが、コイツの墓でコガネリンゴを食っちまってたようでねェ。種が、いくつか落ちちまったようなのさァ」


「っ! これ、リンゴの木なんですね!」

「精霊花のチカラで、巨大化しちゃったの?」


「かっかっか! そのよォーだねェ。なかなか見事だろう!」



 う〜〜む、ほんとだわぁ。

 でっかい木だわ……!


 丘の上の花畑に、

 ポツンとある先輩の眠る場所は、

 キレイだけれど、

 この前までは少し、さみしい感じもした。


 でも今は!

 見下ろす大樹のふもとで、

 私たちを待ってたような気持ちにすら、

 させてくれる……そんな気がする。


 ふふ、ひとつ、確かなことは。

 ここは間違いなく、

 子供たちの遊び場になるだろう、ってことだ。


 私がガキンチョの時でも、

 ぜったい、こーゆートコロで遊ぶもんね。



『────なんにせよ:美しいですね☼』

『>>>ははは……。自分のお墓を褒められるのは、毎度のことながら、不思議な気分になるかな?』


〘------えへへー☆ まさしく;"勇者のお墓"のんなぁー☆〙

〘#……私としても、この墓が清らかである事は、心の救いとなっている〙



 先生やローザの立場から見ても、

 この場所は……思い入れが深いはずだ。

 先輩が生きていた頃の記憶を、

 持っているんだもん──。



「──ホレ。なかなか立派なリンゴが()っているだろゥ。よかったら持っておいき」


「ぁ、それは、超・有難いです。けど……その──ここに?」

「ユーレイさんが、出るんですか?」


「ぅーんむ、そーなんだよォう。けったいな話だろォ?」



 そりゃ、そうだなー……。


 こんだけ精霊花が"大家族"やってんだ、

 並みの魔物なら、

 近寄ることすらできないはずだわ?


 確かに、ここはお墓だから、

 ゴースト系が自然発生したり、

 すんのかなー……。


 アンデット系は実は、

 たまに森でカチ合うから、

 火事に気をつけながら、

 焼き払うんだけんども……。


 ゴースト(そっち)系は、戦闘経験が、

 ドエロ画伯(ニョロニョロ)しかないから、

 まったく勝手が、わかんないんだよなァ……。



『>>>ぼくがココに居るのに、ぼくの幽霊、ってことはないだろぅさ……』



 てしかにィ。そらぁー、そうだっぺ。

 よくよくバスリーさんから話を聞くと、

 実に奇妙な話だと思った。



「──え!? おんなのヒトのユーレイなんですか!?」

「昼間にしか出ないって本当?」


「なァ……? けったいな話だろォう! いや、あたしゃ、あの金ピカ以外にゃ女人(にょにん)なんて、誰も一緒に埋めたりなんかしちゃいないよーゥ!」



『────むっ……?☼

 ────カネト☼

 ────あなた:まさか……☼』

『>>>……──!? ぃ、いや、ちょっと待てッ!? そっ、それはなんの嫉妬だぃ!? ぼくは女の人と墓になんて埋まっていないってば!! だいたい、土の下で、どうやって乳くり合えっていうんだぃッ……!?』


〘------おっ☆ なんか;修羅場のんなぁー☆☆〙

〘#……くっくっく……今日も平和なことだ〙



 きひひ。

 パイセン、ドンマイっ☆



〘++++++ふぅーん……。ステキな場所に眠っているのね?〙

『──ぁ、そっか……❖ 私たち、もう何時(いつ)でも、死ねるっちゃ死ねるのかぁ❖ へへへっ! もし、お墓をたててもらえるなら、こーゆートコロがいいよねっ!❖』



 アーホぉ。

 縁起でもねぇコト、言うんじゃねぇわ。


 バスリーさんは、アゴを触りながら言う。



「いまンとこ、だれかが襲われた、ってハナシは聞かないンだけどねェ。夜に見張りに立ってもらったんだが、なぁーンにも、出やァしない。昼間に遊ぶ子供たちを、たンまに、ジーッと見てるって話だ。まァ、アンタたちも立派な冒険者だろゥ。相談はしてみようと思ってねェ!」


「いやぁ……バスリーさん。ワタシ達、郵送配達職(レター・ライダー)なんだけんども……」

「ユーレイの知り合いは多いけど、わからんです」


「?? どういぅことだィ?」



 こりゃーマイスナ。

 ややこしいこと、言うでねぇー。


 ……流石のバスリーさんも、

 私たちのアイテム・バッグ内が、

 神様の楽園になっているとは思うまい……。



「やー、頼むよォ。なんか、ないのかねェ。アンタたちが頼みの綱なんだよォう」


「ゃ、んなこと言われてもデスね……」

「どゆ時にでるんですか?」


「┐( •́ω•̀ )┌」



 バスリーさんの"ワカンネ"ポーズは、

 実にチャーミングだ。



「木が生えてから、出るんですよね……?」

「うーん……」



 私とマイスナは、

 なんとなーく、

 でっかいリンゴの木の(みき)に、

 触れてみる。



「ここまで太くなんのね──」

「ごりっぱだ」






    パ  キ  ン  ッ ・・・ !





『────アンティ!!☼』


「「──!!」」




 ──バッ!


 クラウンの(あせ)った声と共に、

 マイスナと振り向く。








   " ────……、 "









「……コイツぁ、驚いたねェい……」





 


 金のマフラーをした女の人が、


 宙に、浮いている。






(งᐛ )งでぇーたぁーなぁー!!

(リオちゃん風)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『今回の目次絵』

『ピクシブ百科事典』 『XTwitter』 『オーバーラップ特設サイト』 『勝手に小説ランキングに投票する!』
『はぐるまどらいぶ。はじめから読む』
― 新着の感想 ―
[一言] えっ、もとか……あ、はい
[良い点] え?センパイのユーレイがTSしたって!?英霊化すると性別変わるなんてフツーフツー
2021/01/28 06:37 ズブロッカ
[一言] おー、いきなり出ましたなユーレイさん。 彼女は何が目的で現れたんでしょうね…… そして修羅場になるのか……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ