ミウチ☆ゴーストバスターズ
いいかぃ……
かばのサブタイをつける才能は、
もう、枯れたんだ( ᐛ )
「──こっちだよゥ」
「は、はやいはやい」
「ま、まってー」
先輩のお墓への丘を登るバスリーさんは、
後ろで組んだ手に横向きに杖を持ち、
実に軽快な足取りで、
スタスタと花畑を進んでいく。
『>>>はは、こりゃ長生きしそうだね』
ふふ……確かに。
もはや杖が、杖として成り立っちゃーいない。
精霊花が生えたバババばーちゃんの杖は、
神聖な村長の証のようにさえ、
思えてくるわな。
カンクルは絶賛・食べ放題中で、
うさ丸は巨大ブロコロに恐れを成し、
空へと消えた……。
あのジャンプ力なら、海くらい渡れるんじゃね……?
……まぁ、お腹が減ったら帰ってくるでしょ。
なんで、あんなブロコロが嫌いなのか、
今度、聞いてみよっかな──……?
「なンだぃ、はやくおし?」
「ぃ、いや、でもッ……」
「お花、増えてませんか」
「この時期だからねィ」
私とマイスナは、
足元の精霊花を踏んづけてよいものか、
迷いながら後を付いてったが、
花守の巫女でもあるバスリーさんは、
割とお構いなしで丘を駆けのぼり、
余裕で一等賞となった。
「見えてきたねェ」
「……! あれって?」
「木だねっ」
──丘のテッペン。
先輩のお墓は相変わらず美しかったが、
十字架と輪っかを重ねたような、
サンクロスの墓石の後ろには、
この前に来た時には無かった、
ぶっとい大きな木が生えている……!
「ウチん村の子供たちが、コイツの墓でコガネリンゴを食っちまってたようでねェ。種が、いくつか落ちちまったようなのさァ」
「っ! これ、リンゴの木なんですね!」
「精霊花のチカラで、巨大化しちゃったの?」
「かっかっか! そのよォーだねェ。なかなか見事だろう!」
う〜〜む、ほんとだわぁ。
でっかい木だわ……!
丘の上の花畑に、
ポツンとある先輩の眠る場所は、
キレイだけれど、
この前までは少し、さみしい感じもした。
でも今は!
見下ろす大樹のふもとで、
私たちを待ってたような気持ちにすら、
させてくれる……そんな気がする。
ふふ、ひとつ、確かなことは。
ここは間違いなく、
子供たちの遊び場になるだろう、ってことだ。
私がガキンチョの時でも、
ぜったい、こーゆートコロで遊ぶもんね。
『────なんにせよ:美しいですね☼』
『>>>ははは……。自分のお墓を褒められるのは、毎度のことながら、不思議な気分になるかな?』
〘------えへへー☆ まさしく;"勇者のお墓"のんなぁー☆〙
〘#……私としても、この墓が清らかである事は、心の救いとなっている〙
先生やローザの立場から見ても、
この場所は……思い入れが深いはずだ。
先輩が生きていた頃の記憶を、
持っているんだもん──。
「──ホレ。なかなか立派なリンゴが生っているだろゥ。よかったら持っておいき」
「ぁ、それは、超・有難いです。けど……その──ここに?」
「ユーレイさんが、出るんですか?」
「ぅーんむ、そーなんだよォう。けったいな話だろォ?」
そりゃ、そうだなー……。
こんだけ精霊花が"大家族"やってんだ、
並みの魔物なら、
近寄ることすらできないはずだわ?
確かに、ここはお墓だから、
ゴースト系が自然発生したり、
すんのかなー……。
アンデット系は実は、
たまに森でカチ合うから、
火事に気をつけながら、
焼き払うんだけんども……。
ゴースト系は、戦闘経験が、
ドエロ画伯しかないから、
まったく勝手が、わかんないんだよなァ……。
『>>>ぼくがココに居るのに、ぼくの幽霊、ってことはないだろぅさ……』
てしかにィ。そらぁー、そうだっぺ。
よくよくバスリーさんから話を聞くと、
実に奇妙な話だと思った。
「──え!? おんなのヒトのユーレイなんですか!?」
「昼間にしか出ないって本当?」
「なァ……? けったいな話だろォう! いや、あたしゃ、あの金ピカ以外にゃ女人なんて、誰も一緒に埋めたりなんかしちゃいないよーゥ!」
『────むっ……?☼
────カネト☼
────あなた:まさか……☼』
『>>>……──!? ぃ、いや、ちょっと待てッ!? そっ、それはなんの嫉妬だぃ!? ぼくは女の人と墓になんて埋まっていないってば!! だいたい、土の下で、どうやって乳くり合えっていうんだぃッ……!?』
〘------おっ☆ なんか;修羅場のんなぁー☆☆〙
〘#……くっくっく……今日も平和なことだ〙
きひひ。
パイセン、ドンマイっ☆
〘++++++ふぅーん……。ステキな場所に眠っているのね?〙
『──ぁ、そっか……❖ 私たち、もう何時でも、死ねるっちゃ死ねるのかぁ❖ へへへっ! もし、お墓をたててもらえるなら、こーゆートコロがいいよねっ!❖』
アーホぉ。
縁起でもねぇコト、言うんじゃねぇわ。
バスリーさんは、アゴを触りながら言う。
「いまンとこ、だれかが襲われた、ってハナシは聞かないンだけどねェ。夜に見張りに立ってもらったんだが、なぁーンにも、出やァしない。昼間に遊ぶ子供たちを、たンまに、ジーッと見てるって話だ。まァ、アンタたちも立派な冒険者だろゥ。相談はしてみようと思ってねェ!」
「いやぁ……バスリーさん。ワタシ達、郵送配達職なんだけんども……」
「ユーレイの知り合いは多いけど、わからんです」
「?? どういぅことだィ?」
こりゃーマイスナ。
ややこしいこと、言うでねぇー。
……流石のバスリーさんも、
私たちのアイテム・バッグ内が、
神様の楽園になっているとは思うまい……。
「やー、頼むよォ。なんか、ないのかねェ。アンタたちが頼みの綱なんだよォう」
「ゃ、んなこと言われてもデスね……」
「どゆ時にでるんですか?」
「┐( •́ω•̀ )┌」
バスリーさんの"ワカンネ"ポーズは、
実にチャーミングだ。
「木が生えてから、出るんですよね……?」
「うーん……」
私とマイスナは、
なんとなーく、
でっかいリンゴの木の幹に、
触れてみる。
「ここまで太くなんのね──」
「ごりっぱだ」
パ キ ン ッ ・・・ !
『────アンティ!!☼』
「「──!!」」
──バッ!
クラウンの焦った声と共に、
マイスナと振り向く。
" ────……、 "
「……コイツぁ、驚いたねェい……」
金のマフラーをした女の人が、
宙に、浮いている。
(งᐛ )งでぇーたぁーなぁー!!
(リオちゃん風)










