花と勇者とハイカロリー
900やんけ!?∑(๑ºдº๑)!!
バババばーちゃん、ちわぁーッ!
「いよーゥ、よく来たねェい、アンタたち! ところで……ポップコーンは好きかぃィ?」
「なんだコレは」
「なにかがおかしい」
私が知っているポップコーンは集合体だが、
そいつは明らかに、オンリーワンだった。
「……これ、食えるんスよね?」
「でっかいなー」
私たちがバスリーさん宅に参上したのは、
もちろん、カンクルのご飯のためなのだが。
てか……コレさぁ……。
『────巨大:::ですね……☼』
『>>>発泡スチロール、みたいだな……』
ハハッ、こんなバケモンみたいなポップコーンを拝む日が来ようとはね……。
あっ! やめ、こらマイスナ!
食いきれないでしょ、直接かじるんじゃ、あぁー……。
「バリ、バリ、バリ、── う ま い ッ!」
「……つーかさ、バスリーさん……? この巨大なポップコーン、お家の外ん壁とかに、おんなじのが、メリ込んでたような……?」
「か──っかっかっかっか! この村の、夏の風物詩になりそうだろォ!」
……。
順調に発展しているエルフさんの村は、
夏場には、なかなかデンジャラスな聖域と化すようだ……。
「ふーむ! にしても今月は、いやに早かったじゃなィかぃ!」
「ぁ、はいっ。実は……カンクルのご飯、ちょっと不足気味になっちゃってて」
「あのこ、自分で育てたお花、あんまり食べなくなっちゃったんだー」
「ほー、そォーなのかィ? かっかっか! ま、あのコにとっちゃあ、ココは食べ放題の天国だからねェ! たまに、たぁーんと食べさせてやったらいいのさァ! かっかっかっかっか!」
「ふふ、そですね♪」
「バリバリうまうま♪」
ふと窓の外を見ると、
巨大化したカンクルが、
尻尾(×3)を揺らしながら、
モっシャモシャと精霊花を、
たらふく召し上がっていらっさる。
それを、ちょい遠巻きに、
たくさんのエルフさん達が見守ってんわね。
聖なる花を食い散らかすオオカミなんて、
もしかしたら嫌われちゃうかも……?
と心配したけど、
ギャラリーの表情を見るかぎり、
余計な心配だったみたい!
『『 くるぉん、くるぉん、くるぉん♪ モシャ、モシャ──♪ 』』
「おお……こんなことが……!」
「身体から、精霊花が生えているのか!」
「なんて、神々しいんでしょう!」
「本当だったのね……聖なる花をまとう者!」
「きれい! かわいい! だいすき!」
「素晴らしい……我らエルフは、ぐすっ……」
「どちらも草食なのですね……我らの横で、平然と食べている」
「こんな大きなラビットがいるのか……!」
「大人しいな。しっかし、でっかい耳だ……」
『『 にょんむ、にょんむ、にょんむ♪ にょっきぃー♡ バリバリバリッ 』』
これっ、そこな勇者の、ウサちゃんや……。
巨大ポップコーンそんな食って、
大丈夫なんか、おンどれィ……。
ヨメ見つける前に、
真ん丸を超越する気かキサマ。
そのうち、タレデブになんわよ……?
『『 にょっきぃぃ~~♡♡♡ 』』
「──かーっかっか! 別に月イチで来なくても良い! たァ言ったが……どうやら、今回も身内が助けられちまったようだねェーい。礼を言うよォう」
「あ! や! たまたま通りかかっただけですし。幸運でした」
「でっかいキノコが歩いてたんだよ!」
「聞いたよォ。こっちに合流した連中は、まだ軽装用の火の魔石しか持ってなくてねェぃ。乾いた木も、オイルも、人数分には、まだ足りないからねェ。風はこっちの味方だし、夏場は森が燃えにくいから、火矢さえありゃー多少のこたァ、問題はないンだが……ンーン」
バスリーさん、色々考えているんだなぁ。
「なンにせよ、助かったよォ! ありがとねェ……! リリトと、リリカも、礼を言いたがっていたから、良かったら後で聞いておやり」
リリトと、リリカ……?
あ! さっき、一番最初に話した、
弓を練習中の、エルフさんたちっぽいな。
つーか、めちゃくちゃ村人ふえてますやん!
「にしても、たくさん集まってくれましたね!」
「バリバリボーリボリ」
「──それなんだよゥ! ちょっと、聞いておくれよゥ!」
「「 ん? 」」
バスリーさんの話によると、
どうやら50人ほどにもなったエルフの皆さんは、
この、世界で一番美しいであろう聖なる花畑に、
例外なく、涙を流し──そして。
これまた例外なく、バスリーさんを村の長として、
ガッチガチに尊敬してくるのだとか──。
「身の回りを世話する係を、交代制でやってくれたりしてねェ……」
「「 ぁー…… 」」
──チラリ。
「……ふふふ♪ 私のことは、お気になさらず♪」
実は今も、
お手伝いさんのようなエルフさんが、
微笑を浮かべながら、
私たちのおそばに控えている……。
お茶は勝手に、ついでくれるようで。
ふーぅ……。
確かにここは、"村長さん"のお家のようだ。
「やンれ、やンれ……! ハーフエルフのババアなんざ、昔なら、忌み嫌われるモンの代表格だったってのに……かっか! どっかの義賊と、その二代目の嬢ちゃんのお陰で、こンとおりさァ!」
「きひひ……! バスリーさんの人柄とかもあると思いますよ?」
「むー! アンティ、半分食べてー!」
「だーからってねェー。いきなり自分が主役扱いされて、自分より年上の従者みたいなモンが、ポコポコ増えてごらんよォー……!」
「ぁ、めっっっちゃ、わかります。バリボリ……これ砕いてポタージュにできるわね」
「こんわくするよね……ナニソレうまそう」
「? なんだィ? そっちも、なんかあったのかィ」
「「ぁ"ー……」」
劇の練習は……ぶっちゃけ、
既に、ほっぽりだしている。
いや、実はセリフは、
ぜーんぶ、アタマに入ってんのよ……?
ただ、あんのカッタいセリフまわしが、
楽しみにしている子どもたちに、
はたして、受け入れられるのかどうかぁ……。
さいしょのセリフとか、
『彼方! 私は、ついにここまでやってきた』
やぞ……?
あぁ……、なんかもぅジタバタしないほぅが、
いい気さえしてきてる。
今回はカンクルご飯・回収後、
カーディフの街にも立ち寄って、
学校の試験も受けるつもりでいる!
んでもって……さいごにドニオスの劇で、
ふたりで……散るという計画だ。
ぐすん……。
食堂娘が役者のマネしても、
ダイコンにすらなれないに、決まってらぁ……。
心配事を、できるだけ片付け、
潔く玉砕する算段である。
劇の後は……ふたりで寝込むに違いない。
生まれたままの姿で、慰め合おうと思う。
我らが、"銅のメイド部隊"は、
今は姿こそ見えないけんども……。
たぶん、手を叩けば、
すぐに「命令を!」とか言って、
6人とも出てきそうだ。
こわいから、やんないけどな……ッ!?
お風呂とかでも、かんなり世話になってるので、
もはや、文句すら何も言えぬ……。
その……///、マイスナと……ゴニョゴニョ、
い、いい感じの時は……、
すぐさま、気配も消してくれるし……?
ぁ、でも、姿見えないだけで、
けっこう、ガッツリ見られてんのか……?
ハハ……泣きたくなってきたわ。
ぜってー、やめねーけどなぁ……!!?//////。
『『 ──に"ょんぎゃあ"あ"あ"ああああああああああああああああぁぁぁ!!!?? 』』
「──ん? なんだィ?」
「「 ?? 」」
勇者の悲鳴がした窓の外を見ると、
ロロロとラララを始めとする、
元気なエルフの子供たちが、
巨大なブロコロを持って、
うさ丸を追いかけていた。
ええぞ。
地の果てまで追うのだ。
勇者を、ハイカロリーから救ってくれ。
「まてええええええええええー!」
「あはははははははははははー!」
『『 ──に"ょんぎゃあ"あ"あ"ああああああああああああああああぁぁぁ!!!?? 』』
びょどごおおおおおお────────んんん!!!!!!
「と、とんだぞっ……!?」
「すごい脚力だな!!」
「なんで、あんな野菜から死にものぐるいで逃げるんだ……」
勇者にとっては、毒劇物。
「ぁ、バスリーさん。精霊花もらう代わりに、またドニオスで色々と買い込んで来ましたよ。ナナナ油もありますし、オークも何体か仕入れてますし!」
「天然ものだからね! 無料だよっ!」
「んー、アンタたち、それ、買ったンじゃなくて、狩ってるねィ……? ──や! ソレは有難い話なンだけどねィ! 実はアンタたちが来てくれたら……まっさきに、見てほしいトコロがあってねィ・・・!」
「ほへ? 見てほしいトコロってなんすか」
「なんか壊れたの??」
「いや……でるんだよォ」
「んっ?」
「なにが」
「ユーレイがねェ」
「「 えっ 」」
「あンの金ピカ野郎の墓にねェ……化けて、でるんだよォ!」
「「……」」
……。
『>>>いや……ぼく、ココで化けてますけど……』
『────:……☼』
ミョーな話に、なってきたぁー。
まだちょい忙しス(;´༎ຶٹ༎ຶ`).*・゜










