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" You me the so to POTATA thips IV "

サブタイに深い意味はないよっ?

ほっ、ホントだよっ?( ˘ω˘ ) スヤァ…





「ぁあ〜〜はぁ〜〜んンン……もやだぁー……」




 ザシャアぁ──……ガクッ。


 四角く切り取られた箱庭の、

 黒幹(こっかん)金葉(ごんば)の木の下で。

 私は……崩れおちたった。



「やって、らんにゃあ……」



 なんで食堂娘のワタクシがぁ……、

 お芝居の練習せな、あかんのじゃーい。



「ああああああ」



 月末テストも、もーすぐだしィ。

 メイドさんたち……どうやって()こうか、

 ゆっくーり、考えたいのに……。



「ぁー……。このまま、お(ウチ)かえったら、ゼッタイ食堂、特定されるのよねぇ……」



 涙、ちょちょギレてきてもた。

 もやだ。おうち帰る。



 ──シャラ シャラ シャラ──……。



 私の気持ちとは反対に、

 金色の葉の隙間から木漏(こも)れる日差しは綺麗で。


 ゴロン、とお庭に寝転がった私の上から、

 銀色の髪のシルエットが重なっていく。



「……おなかすいた」

「そうだねぇ」



 ──ふにぅっ。


 マイスナは、私のお腹を枕にして、

 倒れこんできた。

 ふふふ、()いやつめ。


 真っ黒な(みき)の巨木が、

 シャラシャラと葉を鳴らし、

 人の気も知らずに笑っている。


 つーか、そもそも……この台本!

 やっぱ、子供には……チョット難しくない!?


 妙に、かったるい言い回しが多いし、、、。

 いや、モノホンの役者さんがやったら、

 迫力とか、違うんだろーけどさぁ!



「……何が面白いのか、わかんないねー」

「おぉぅッ……! ズバッと言うわねぇー!? マイスナさぁーん……」



 ぶっちゃけ、だいたい同意だったりする。

 そもそも、会話がメインの脚本すぎるのよねぇ。


 お祭り用に、ずいぶん短くしてあるようだけど……、

 流石に、オトナ用の劇の台本、

 丸パクリ感がなぁ……。


 神官ねえちゃんめ、

 企画の大枠(おおわく)だけはチカラを入れて、

 いざ中身は、まるで考えてなかったの、

 見え見えである。


 久しぶりに、気分がおもーい感じですわぁ……。




「その……。模擬戦とか……やってみる……?」

「うっ……! そ、それは色々……なんというか……」



 マイスナが、おそるおそる提案してきたけど、

 基本的に……バトり合うのは、

 お互い、トラウマなんだよね……。


 そりゃ……ずいぶん、

 平気には、なってきたけどねっ。


 観客1000人以上の前で、よ?

 あの雪山の再現は……ツラいもんがあるわ。


 殺し合ったのは、一生、

 忘れられないんだから。



「やっぱり、いまのなし……」

「そ、うねぇ……。メンタル的に、ふたりだけの秘密にしときたい感はあるわ……」

「そだねー……」


 ぐでーっ。


 つーか、人前で(げき)ってコトは、

 つまりゼッタイ、私とマイスナは、

 "敵同士"として、演じるワケで……!

 ソコがまず、複雑だってのっ……!


 なんで、こんなに仲良しなのに、

 わざわざ大勢の前でヤリ合わにゃあならんのだ。

 ああー! ばからしー、ばからしぃー……。



「あぁっ、ダメだ、やる気がでんっ!」

「アンティ。今、現実は夜でしょう? 向こうで、ゆっくりしない?」



 む……魅力的な提案だわ。

 今日は昼夜が逆転していて、

 箱庭(こっち)では……なんだか落ち着かない。


 でも、こっちで間食(かんしょく)しても、

 太らないのは魅力的だ。

 少し、小腹は減ってるから……。

 こっちでツマミ食いしてから、

 向こうに帰って、寝ようかな……。

 ぁ、今、もう寝てるわね。


 や、ウトウト二度寝しながら、

 マイスナと、ぬくぬくするのもアリだわ。

 眠る前のウトウトって、

 すっごいキモチいいんだよなぁ……。


 体温と体温が、重なる感じもさぁ──。



「うわー、何もかも忘れて、眠りてー」

「そうだそうだー」


『────ぁはは……心中:お察しします☼』



 複雑な()みを浮かべた、

 近未来的なワンピースを着たクラウンが、

 意気消沈ぎみの私たちのそばまで、

 近づいてきた。

 

 金色の髪は、毛先で虹色に光っている。

 雨上がりの空のようだった。



「あんりゃっ……? シゼツとニョロ助、どっかいった……!?」

「ふにゃぁあぁ〜〜……アンティとイチャイチャするぅ〜〜……!」


『────ぁ……☼ さきほど:

 ────あくびを:しておりましたので……☼』



 えー!!!

 ちくしょ〜〜、どっか、逃げたなぁ〜〜……!

 うぅ、やっぱり、つまんなかったのかなぁ……。

 練習とはいえ、ちょっとショックじゃあぃ……。



「クラウン……。ぶっちゃけ、見てて……どんな感じ?」

「私たちの練習の劇、おもしろいです?」


『────ぅ:うむむぅ……☼

 ────"面白い"の概念が不明確なので:

 ────なんとも言えない:とだけ……☼』



 いや、それって、

 " よくわかんねぇ "ってコトよねぇー!!!



「なんだか、久しぶりに逃亡したくなったわ……」

「前にも、逃亡したかったことあるの?」

「ん……逃げなくて、よかったと思ったことはある」

「っ! えへへ……///」



 少し照れ合い、マイスナを()でる。



『────幸い:まだ6日間あります☼

 ────テキストは不可視表示できますから:

 ────覚える必要はありませんし……。

 ────まぁ……失敗しても:誰も死にません☼

 ────素晴らしい事です:そうでしょう?☼』


「きひひ。あんたソレ……(はげ)ましてるつもりだったり?」

「クラウンさんにしては、珍しいエールのやり方ですね?」


『────おや:そうでしょうか☼

 ────アンティの普段の行動を:

 ────リスペクトしてみた:

 ────つもりだったのですが……☼』



 きひひ、アンタの中の"私像(わたしぞう)"は、

 いったい、どーなってんのよぅ?

 誰も死にゃーしなかったら、

 何してもいいとか、思ってねっかんな──?



「ね。それよりさぁ、クラウン──」


『────はい:なんでしょう☼』


「──あれ、いいの?」



 ツンツン、と、

 私が指さした方は、

 上品な朱色の、建物の中──。


 先輩と、QQさんが、

 グラスとおつまみで一杯やりながら、

 何やら談笑していらっさる。



「なんか、仲良さげよ?」

「ほんとだー」


『────ふふふ☼

 ────付近の会話ログは:

 ────私には:筒抜けですので☼

 ──── ば っ ち し で す ☼ 』


「そゆのやめなさいアンタ……」

「あれ、うまそう……」



 クラウンの笑顔は、

 『──え? 盗聴って:なに? 美味しいの?☼』

 とでも言いたそうな、とても良い笑顔だ……。


 パイセン、ドンマイ。

 嫁さんに隠し事はムリよぅ。



『────カネトは……"ジュンヤ・オウノ"と:

 ────容姿が似通(にかよ)っているはずです☼

 ────彼だからこそ:引き出しやすい情報が:

 ────あると……予測していますので☼』


「……! ……あんたも、けっこう複雑ねぇ」

「お婿(むこ)さんがいるのも、大変ですね」




 クラウンも、思うところがあって、

 先輩とQQさんを、二人っきりにしているようだ。


 そゆことなら……これ以上、

 冷やかすのはヤボってもんね。


 少し、話題を変える。



「あれ、なに食べてんのかな。ズルいわ」

「なんかサクサクしてそう」


『────分析完了(アナライジング)

 ────"梅じそチキンフライ"と:

 ────"ポテトチップス・ノリ塩味":

 ────というもののようです☼』


「っ!」



 ちょっと、気になってしまった。



「……、ふーん……」

「いいなー」


『────?☼

 ────アンティ:どうかしましたか?☼』


「ねぇ、クラウン。前から、気になってたんだけどさぁ──」


『────?

 ────はぃ:なんでしょう☼』



 マイスナに気を使いながら、

 ゆっくりと、上体を起こす。



「クラウンって、基本的には、私たちのセカイの単位を使うわよね?」


『────!☼』


「ほら──"パセルテルジ"、とか、"メルトルテ"……とか?」


『────……☼

 ────はい……そうですね☼』


「時間の単位もさ……"時"、"分"、ってヤツに変えちゃう前は、"ジカ"、"フヌ"、を使ってたしさ?」

「クラウンさんは、そっちが基準になってるんだねー」


『────は:はい……☼

 ────そのとおり:だと思います……☼』



 とっ、とっ、そ……────。


 クラウンは、すぐそばにある、

 黒い巨木の、丈夫そうな根っこ。

 その、うねり(・・・)に、腰を下ろした。


 キョトンとして、

 私の意図がつかめないクラウンは、

 少し、可愛い。



『────詳細の入力を……お願いしても?☼』


「いや……だからね? ちょっと、気になっちゃってさ──」


『────……? えぇと……??☼』



 あ、なんか、混乱させちゃってるっぽい。

 シンプルに伝える。



「ほら、今さ? アンタ──、

 ──"ポテトチップス"って、言ったじゃない?」


『────はいッ……☼』


「おかしいよね?」


『────はい……?☼』


「──"ポテト"」


『────"じゃがいも"……?☼』



「わたしたちのセカイでは、" ポタタ "って言うよ?」



『────  ☼』


「なんか、不思議でしょう?」


『────:……、……☼』


「すっごい自然に……"先輩の時代"の名称で、野菜の名前、言ってたな、って」


『────:……、☼』


「あんたも先輩の記憶見たんだから、"パーセンテージ"も、"メートル"も、分かるんだよね?」


『────:は、ぃ……☼』



 私は、お気楽に話している。




「──なのに、なんで" パーセンテージ "は" パセルテルジ "なのに、" ポタタチプス "は" ポテトチップス "なのかなって」



『────……! ……、……☼』




 クラウンは、考え込んでいるみたいだ。




『────まったく……意識していませんでした☼』


「ぉ、よねぇ。なんか、不思議な感じ、するなって」


『────はぃ……☼』


「前の世界の"言い方"と、私たちの世界の"言い方"が、混ざってる時があんのよね、クラウンって。ホラ、こういうの……なんて言ったら、ええと── 」



「 ──" 表記ゆれ "? 」



「──!」

『────……!☼』




 マイスナが言った表現は、

 なんだか、とっても、しっくりくる。



「そうそう! そんな感じよねっ!

 ラビットと、うさぎ、──みたいな??

 ちがうか……」


『────ぃ、え:分かります……☼』




 あんりゃ。

 クラウンのやつ……えらい、考えこんじゃったわね……。



「その、ごめん。そんな、深刻な話じゃないかんねっ?」


『────いえ……☼

 ────指摘されると:自分でも……:

 ────不可思議な事象だと認識しました……☼』



 なんか、いらん事を言っちゃったみたいだ。



「クラウン、ごめんごめん! そんな……マジに悩まなくても。私、アンタの分析の時の感じ、かなり好きなんだ──」





 ────  ぴ ょ ー ん ! ! !





「 にょきっと、なぁああああああああああああああああああああぁぁぁ──っっっ !!! 」



「 ── あ ま あ あ あ い っ !!! 」



「  に" ょ っ ・・・ ッ ! ?  」




 ──ぶにゅううううううううんんん・・・!!!




 我が顔面に飛んできた球体を、

 両手で真剣・白玉(しらたま)取りする。


 き さ ま …… 。

 四つ目のマザーに鍋に入れられ、

 まだ()りぬか、コヤツめぇい。




「 にょぷっとにょめにょめ……!? 」

「顔にくんな顔に。あんなのよ、いきなりねぇ」

「どうした、うさぎさんめー。アンティは私んだぞー」

「 に"ょっき……!! に"ょっきに"ょき……!! 」



 うさ丸が、いやに興奮しているので、

 クラウンに〖 にょきっとマスター 〗を、

 起動してもらい、何を言っているか、

 確かめる事にする。




「 ──にょっき! にょきにょきにょ!!! 」


『────待ってください:すぐに出ます☼』





 ────PON!!





 ─────────────────────



   かんくる が たいへん なんだ !!



 ─────────────────────











「「 ──っ……!! 」」




 夜の中で飛び起き、

 ふたり、裸のまま、

 花の狼を探す。


 目を、暗視モードにすりゃいーのに、

 慌ててて、少しパニクっていた。


 でも、すぐ見つかる。



「──にょきっと!」

「──光の魔石ッッ!! はやくっ!!」



 ──パッと、光がつく。

 夜警当番の銅メイドさんの一人が、

 つけてくれたようだ。


 また、不法侵入されてるけんども、

 いまは、んなこたァいい。





「  くゆ・・・  」




「 ど っ し た !!! 」

「 げんきない !!! 」






 カンクルは、ぐったりしていた。







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― 新着の感想 ―
[良い点] メイドさんの事だからとっくに住所特定されてるモノかと…。定期的にカーディフに帰ってる事も調査されてるだろうし オトナ用の劇の台本…。元の脚本には義賊と狂銀の濡れ場シーンとかもあるんやろか …
2021/01/10 11:11 ズブロッカ
[気になる点] かんくる。 (ながらく放置だった、吸血姫の再登場かしら?) [一言] …どこまでが箱庭でどこからが現実か、ちと悩んだ(苦笑)
[一言] あー……真面目なら学校のノートは家庭科でもなきゃポテトチップスの文字は書かないから? って、かんくるうううううううう!!!!????
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