ふろふろほうこくかい(激震)
クリスマス・イヴなんてなかった(*´ω`*).*・゜
「あの、アンティ……」
「うん……」
金づちを持ったメイドが、
目の前で何かをしている。
とんてん、とんてん、
とんてんカン──。
「あの……なにしてんスか??」
「? 追加の魔石ランプを付けております」
……あのさぁ。
ヒトの部屋、勝手に改造しないでよね……?
「ここ……借家だかんね?」
「できました!」
「きいてる?」
つーか、カーテンも……、
なんか違うのなってるよね?
あの棚とか、昨日は無かったよね……!?
「アンティ、新しいラグマットが増えてる……」
「わぁ、不思議ね……」
「このドア、百合の花の浮かしぼりがある……」
「わぁ、不可解ね……」
改造、されまくっている。
おい、メイド。
まず家主に、おうかがい、たてれ?
「点灯してみましょう」
カチッ。
ぺかーっ。
「「 ぅおぅ…… 」」
部屋の中が、一気にムーディになった。
セピア調の色合いが強い、光の魔石のようだ。
つか……、なんか、ぇ、エロいっっ……。
〘#……アダルティな印象を受ける、暖色の間接照明ばかりだな……〙
〘------オシャレのんけど;
------いかがわしいホテルみたいのんなぁー☆☆
------やらしーっ☆〙
うるへぇーぞ、汁が。
汁でできた女が、何、ぶっこいてやがる。
「夜の雰囲気づくりに、最適かと思うのですが──」
「「 ……/// 」」
た、確かに……。真っ暗よりは、
マイスナと、その、イイ雰囲気になりそ──……、
──ぃやいやいやいや!
「窓の鍵や金具も、少々お粗末でしたので、全て交換しております」
「内装ですが、こちらの色で、よろしかったでしょうか?」
「えっ!? し、信じらんねぇ! 壁の色が、ぜんぶ綺麗ンなってるぅぅ……!?」
「いったい、いつのまに!」
メイド・アクションが、
留まる事を知らにゃい。
くやしいことに、
部屋の模様替えのセンスは良く、
今ンところ、文句の付けようが無い。
「こんなに、ガラっと変わるモンなのねぇ……?」
「セピア色の光に照らされる、夜のアンティ……///♡」
はやくも、オクさんが盛っている。
押し倒したくなるのを、ガマンしたよっ!
「つかあの、お金……払いますよぅ。ぜんぶでいくらしたんスか?」
「──お嬢様! 私共は、貴女様方の忠実な下僕です! もっと御自覚を、お持ちくださいませ!」
何故に不法侵入してきたメイドに、
私が怒られねばならぬ……。
てゆーか、既に部屋ン中では、
私もマイスナも私服で、
顔もバッチリ、見られてんだよなぁ……。
格納能力の異常さも、
察しを付けられてる感、あるしさぁ……。
月末のテスト受けに、
カーディフの街に帰っちゃったら、
地元もバレちゃうわよね……?
マイスナも、捜査が打ち切られてるとはいえ、
指名手配犯だしなぁ……。
「あの……ホント、私たち。たくさん秘密があって、けっこうヤバいんですよ……。今からでも、考え直しませんか……?」
「いつでも、出てっていーよ!」
「ふふ♪ 問題ありませんっ。口封じに死ねと言われれば、すぐに死にます♪」
「「「「「 はいっ♪ 」」」」」
そんなコト笑顔で言われても、
困ンだよ、こっちぁーよぉー……ッ!
うぅ……どうやら、この6人は、
私たちに、かなり狂信的なようだ……。
「命は大切にしろバカ……」
「ひゃくさいまで生きろ」
「お優しい。ところで、湯浴みは、どうなさいますか?」
「「 ……/// 」」
正直、ここ数日で、、。
身体のケア関連のメイドサービスには、
舌を巻いてしまった。
どうやら……貴族の女の人から情報を得るために、
この人たちは、"それ系"の技術は、
かなり高めていたようで──。
いま、隣のマイスナを見ると。
いつもより、お肌がツヤツヤで、
髪も……輝きが増しているように見える!
「アンティが……光ってる」
「おまえもな」
「お脱ぎになってください」
「「 ……/// 」」
くそ、どうにでもなれぃ!
もぅ、だいたい赤裸々に、
見られちゃってるしなぁ……。
──しゅるる……パさっ……。
──バサッ……しゅるっ……。
「……クラウン?」
『────レディ☼』
──きゅぅおおおおおんん・・・!
堂々と、時限結晶から、
ネコ足のバスタブを召喚する。
家から持ってきたラグマットの方に、
乗っける形にした。
もう、お湯は張ってあるんだけど、
ブロンズ・メイドさんの一人が、
何やら薬湯であろう手桶1杯を足し、
世界中の食堂娘には無縁であろう、
実に高級なお風呂へと成り上がる。
「いいにおいだねー」
「ねぇ……やっぱ気になんだけど、この、半身浴用のイス……超・高いんじゃないのぉ……? バスタブのヘリに、誂えたみたいにピッタシ噛み付くじゃない!」
「にこにこ♪ はやく、おかけになってください♪」
うわぁ、ぜってぇ、高ぇぞ、
この変な、天然木のイス……。
とは思いつつも、マイスナと、
まだ羞恥心アリアリの中、
ハダカ、シッダンする。
メイドさんが二人、
私たちの後ろに周り、
繋がったままの、私たちの髪を手入れをしだす。
「本日の街の情勢を報告させていただきます」
私たちが、"お湯イチャコラ"していない時は、
半身浴と髪の手入れをしながら、
メイドさんの一人が、
なぜか……我らが、ドニオスの街の情報を、
逐一、報告する流れになっている。
「先日、イーストハニーで新発売した、"ショコラうずまきタルト"ですが、やはり、早朝に完売となっております。現物はこちらに」
「「 有能か…… 」」
こまったことに、有能である。
「温かい紅茶も御用意いたしました」
「おかしぃ……私は貴族になった覚えはにゃい……」
「アンティ♪ あーん、してあげよっか♪」
見覚えのない、白いサイドテーブルに、
愛用のカップが、そっと置かれる。
もぐもぐもぐ……。ぅ、うめぇえぇ──っ……!!
ぜ、贅沢な風呂ですわ……。
あれっ、てか、いま、髪に使われてるの、
これ、なんの石鹸……、
いや、せっけんなのか……?
「むぐ、ぁの……その、髪に塗り込んでくれてふの、なンすは……」
「むぁー! 美味すぎふぅー!」
「馬油オイルでございます」
「「 ……?? 」」
食堂娘には、"バーユ"というものが、
いったい何なのかが分からん……。
……。
気にしないことにした。
「ギルドマスターのヒゲイド・ザッパーですが、昨夜、圧壊した特注ベッドの作成依頼をしに、現在は外出しております」
初耳だわ……。
ヒゲイドさん、カラダ、おっきいかんなぁ。
寝てたら、寝床がペッシャンコ! ──は、
何とも言えないキモチになったでしょうねぇ……。
「現物を拝見しましたが、何度も自身で修繕を行っていたようです。かなり年期が入っていて、床にも木片が散乱していましたし……」
「をぃ……。ギルマスの家に、ナチュラルに侵入してんじゃないわよ……」
「ホントに怒られますよ……もぐもぐ……」
「なかなか誠実な暮らしをしているようです」
ダメだ、コイツら……。
常習的に、不法侵入を繰り返してやがる……。
「キッティ・ナーメルンが自分で作ったと言って持参しているお弁当ですが、あれは隣の家の奥さんが作った余り物弁当です」
「おまえ……」
「深入りし過ぎている」
「ちなみにメニューは、野菜ハンバーグとトマトパスタでした」
キッティのお隣さんの家も、
調査対象になったようだ……。
「不法侵入は犯罪だ。決してお弁当の具を調べるために犯す罪じゃねぇ……」
「紅茶のお代わりありますか?」
「妹と、お嬢様の仕事仲間の素行を調査するのは、姉として、下僕として当然でございます」
「な……!? や、やっぱりなのね……!?」
「すすすーっ。むぐ、ユービーちゃん、あなた達の妹ですか?」
最近、キッティの後輩になった、
受付嬢のユービーちゃんは、
どうやら、この褐色へそ出しメイド姉妹の、
末っ子さんであるようだ……。
話を聞く限りだと、
ついこないだまで、土地ごと肉塊にするような、
オッソロしい呪いに、
かかっていたようなんだけれど──。
「精霊王の汁、恐るべし……」
「治ってよかったねー!」
「妹も、お嬢様方に言われたことは、何でもする、と言っております。お気軽にお申し付けください」
女の子が、何でも、とか言うんじゃねぇわ……。
そか、この前、ユービーちゃんとの初見の時に、
えらく畏まって挨拶されたのは、
それで、だったのね。
「ちなみに今日のユービー情報ですが、ギルド職員のデイビット・ベタワが、解体職のヤン・センマイに告白し撃沈したとのことです」
「妹さんに、人の恋路のスパイ活動は、自粛しろって言っといて」
「げきちんしたかー」
ドンマイ、デイビット。
「本日の新規冒険者の増加率も、お嬢様方のご活躍の噂もあり、順調に前年増を決め込んでいます」
「あんま、嬉しくにゃい……」
「物珍しさで集まっているという事ですよね?」
「中には優秀な若者も混ざっているようです。ギルドの発展には貢献しておられるかと」
「複雑だ……」
「昨日、手ぇ振られたもんね」
同年代の子は、
基本的にはニガテなんだよなぁ……。
歳上か、マイスナがいいっすわ。
他の子は魔法使える上で冒険者なってるんでしょ?
魔無しっ子としては、
なんか、感覚が合わんわ……。
「運送関連のご報告ですが、教会より依頼の出ている、木材の運搬依頼が再度、出されるようです。一週間後のお祭りの資材かと」
「ぁ、またか。その情報は、素直に有り難いわね。こっちからギルド出張所に取りにいってあげっか」
「さいきん、小さな木の丸太の配達、多いもんねーっ!」
「野外劇場の座席エリアに、等間隔に打ち込むための物のようです。劇場ステージ自体は、もう建設が終わっています。杭に番号を彫り込み、座席を分かりやすくする目的であると思われます」
「なるほど、それは子供でも座る場所とか、分かりやすいわね。さっすが教会の人ら、親切なことをするわ」
「どんな劇するんだろねーっ、楽しみだねー!」
「 ぇ……? 」
「「 ? 」」
なんや?
「……、もしかして、ご存知、ない……?」
「……??」
「なにがですか?」
「 ……、一週間後の劇の主役、お嬢様たちですよ? 」
メリクリーッ\(*´꒳`*)/.*・゜










