表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
891/1216

ふろふろほうこくかい(激震)

クリスマス・イヴなんてなかった(*´ω`*).*・゜





「あの、アンティ……」

「うん……」




 (かな)づちを持ったメイドが、

 目の前で何かをしている。



 とんてん、とんてん、

 とんてんカン──。




「あの……なにしてんスか??」

「? 追加の魔石ランプを付けております」



 ……あのさぁ。

 ヒトの部屋、勝手に改造しないでよね……?



「ここ……借家(しゃくや)だかんね?」

「できました!」

「きいてる?」



 つーか、カーテンも……、

 なんか違うのなってるよね?

 あの棚とか、昨日は無かったよね……!?



「アンティ、新しいラグマットが増えてる……」

「わぁ、不思議(ふしぎ)ね……」

「このドア、百合の花の浮かしぼりがある……」

「わぁ、不可解(ふかかい)ね……」



 改造、されまくっている。

 おい、メイド。

 まず家主(やぬし)に、おうかがい、たてれ?



「点灯してみましょう」



 カチッ。

 ぺかーっ。



「「 ぅおぅ…… 」」



 部屋の中が、一気にムーディになった。

 セピア調の色合いが強い、光の魔石のようだ。

 つか……、なんか、ぇ、エロいっっ……。



〘#……アダルティな印象を受ける、暖色の間接照明ばかりだな……〙

〘------オシャレのんけど;

 ------いかがわしいホテルみたいのんなぁー☆☆

 ------やらしーっ☆〙



 うるへぇーぞ、汁が。

 汁でできた女が、何、ぶっこいてやがる。



「夜の雰囲気づくりに、最適かと思うのですが──」

「「 ……/// 」」



 た、確かに……。真っ暗よりは、

 マイスナと、その、イイ雰囲気になりそ──……、

 ──ぃやいやいやいや!



「窓の(かぎ)や金具も、少々お粗末でしたので、全て交換しております」

「内装ですが、こちらの色で、よろしかったでしょうか?」


「えっ!? し、信じらんねぇ! 壁の色が、ぜんぶ綺麗ンなってるぅぅ……!?」

「いったい、いつのまに!」



 メイド・アクションが、

 (とど)まる事を知らにゃい。


 くやしいことに、

 部屋の模様(もよう)()えのセンスは良く、

 今ンところ、文句の付けようが無い。



「こんなに、ガラっと変わるモンなのねぇ……?」

「セピア色の光に照らされる、夜のアンティ……///♡」



 はやくも、オクさんが(さか)っている。

 押し倒したくなるのを、ガマンしたよっ!



「つかあの、お金……払いますよぅ。ぜんぶでいくらしたんスか?」

「──お嬢様! 私共(わたくしども)は、貴女様方の忠実な下僕(しもべ)です! もっと御自覚(ごじかく)を、お持ちくださいませ!」



 何故(なぜ)に不法侵入してきたメイドに、

 私が怒られねばならぬ……。


 てゆーか、既に部屋ン中では、

 私もマイスナも私服で、

 顔もバッチリ、見られてんだよなぁ……。

 格納能力の異常さも、

 (さっ)しを付けられてる感、あるしさぁ……。


 月末のテスト受けに、

 カーディフの街に帰っちゃったら、

 地元もバレちゃうわよね……?

 マイスナも、捜査が打ち切られてるとはいえ、

 指名手配犯だしなぁ……。



「あの……ホント、私たち。たくさん秘密があって、けっこうヤバいんですよ……。今からでも、考え直しませんか……?」

「いつでも、出てっていーよ!」


「ふふ♪ 問題ありませんっ。口封じに死ねと言われれば、すぐに死にます♪」

「「「「「 はいっ♪ 」」」」」



 そんなコト笑顔で言われても、

 困ンだよ、こっちぁーよぉー……ッ!

 うぅ……どうやら、この6人は、

 私たちに、かなり狂信的なようだ……。



「命は大切にしろバカ……」

「ひゃくさいまで生きろ」


「お優しい。ところで、湯浴みは、どうなさいますか?」


「「 ……/// 」」



 正直、ここ数日で、、。

 身体(カラダ)のケア関連のメイドサービスには、

 舌を()いてしまった。


 どうやら……貴族の女の人から情報を得るために、

 この人たちは、"それ系"の技術は、

 かなり高めていたようで──。


 いま、(となり)のマイスナを見ると。

 いつもより、お肌がツヤツヤで、

 髪も……(かがや)きが増しているように見える!



「アンティが……光ってる」

「おまえもな」


「お脱ぎになってください」


「「 ……/// 」」


 

 くそ、どうにでもなれぃ!

 もぅ、だいたい赤裸々に、

 見られちゃってるしなぁ……。



 ──しゅるる……パさっ……。

 ──バサッ……しゅるっ……。



「……クラウン?」

『────レディ(準備完了)☼』



 ──きゅぅおおおおおんん・・・!


 堂々と、時限結晶(ストレージ)から、

 ネコ足のバスタブを召喚する。

 家から持ってきたラグマットの方に、

 乗っける形にした。


 もう、お湯は張ってあるんだけど、

 ブロンズ・メイドさんの一人が、

 何やら薬湯(くすりゆ)であろう手桶(ておけ)1杯を()し、

 世界中の食堂娘には無縁であろう、

 実に高級なお風呂へと成り上がる。



「いいにおいだねー」

「ねぇ……やっぱ気になんだけど、この、半身浴用のイス……超・高いんじゃないのぉ……? バスタブのヘリに、(あつら)えたみたいにピッタシ噛み付くじゃない!」


「にこにこ♪ はやく、おかけになってください♪」



 うわぁ、ぜってぇ、(たけ)ぇぞ、

 この変な、天然木のイス……。

 とは思いつつも、マイスナと、

 まだ羞恥心アリアリの中、

 ハダカ、シッダンする。


 メイドさんが二人、

 私たちの後ろに周り、

 (つな)がったままの、私たちの髪を手入れをしだす。



「本日の街の情勢を報告させていただきます」



 私たちが、"お湯イチャコラ"していない時は、

 半身浴と髪の手入れをしながら、

 メイドさんの一人が、

 なぜか……我らが、ドニオスの街の情報を、

 逐一(ちくいち)、報告する流れになっている。



「先日、イーストハニーで新発売した、"ショコラうずまきタルト"ですが、やはり、早朝に完売となっております。現物はこちらに」


「「 有能(ゆぅのぅ)か…… 」」



 こまったことに、有能である。



「温かい紅茶も御用意いたしました」


「おかしぃ……私は貴族になった覚えはにゃい……」

「アンティ♪ あーん、してあげよっか♪」



 見覚えのない、白いサイドテーブルに、

 愛用のカップが、そっと置かれる。

 もぐもぐもぐ……。ぅ、うめぇえぇ──っ……!!

 ぜ、贅沢(ぜいたく)な風呂ですわ……。

 あれっ、てか、いま、髪に使われてるの、

 これ、なんの石鹸(せっけん)……、

 いや、せっけんなのか……?



「むぐ、ぁの……その、髪に塗り込んでくれてふの、なンすは……」

「むぁー! 美味すぎふぅー!」


「馬油オイルでございます」


「「 ……?? 」」



 食堂娘には、"バーユ"というものが、

 いったい何なのかが分からん……。

 ……。

 気にしないことにした。



「ギルドマスターのヒゲイド・ザッパーですが、昨夜、圧壊した特注ベッドの作成依頼をしに、現在は外出しております」



 初耳だわ……。

 ヒゲイドさん、カラダ、おっきいかんなぁ。

 寝てたら、寝床がペッシャンコ! ──は、

 何とも言えないキモチになったでしょうねぇ……。



「現物を拝見しましたが、何度も自身で修繕(しゅうぜん)(おこな)っていたようです。かなり年期(ねんき)が入っていて、床にも木片が散乱していましたし……」


「をぃ……。ギルマスの家に、ナチュラルに侵入してんじゃないわよ……」

「ホントに怒られますよ……もぐもぐ……」


「なかなか誠実な暮らしをしているようです」



 ダメだ、コイツら……。

 常習的に、不法侵入を繰り返してやがる……。



「キッティ・ナーメルンが自分で作ったと言って持参しているお弁当ですが、あれは隣の家の奥さんが作った余り物弁当です」


「おまえ……」

「深入りし過ぎている」


「ちなみにメニューは、野菜ハンバーグとトマトパスタでした」



 キッティのお隣さんの家も、

 調査対象になったようだ……。



「不法侵入は犯罪だ。決してお弁当の具を調べるために犯す罪じゃねぇ……」

「紅茶のお代わりありますか?」


「妹と、お嬢様の仕事仲間の素行(そこう)を調査するのは、姉として、下僕として当然でございます」


「な……!? や、やっぱりなのね……!?」

「すすすーっ。むぐ、ユービーちゃん、あなた達の妹ですか?」



 最近、キッティの後輩になった、

 受付嬢のユービーちゃんは、

 どうやら、この褐色へそ出しメイド姉妹の、

 (すえ)っ子さんであるようだ……。


 話を聞く限りだと、

 ついこないだまで、土地ごと肉塊にするような、

 オッソロしい呪いに、

 かかっていたようなんだけれど──。



「精霊王の汁、恐るべし……」

「治ってよかったねー!」


「妹も、お嬢様方に言われたことは、何でもする、と言っております。お気軽にお申し付けください」



 女の子が、何でも、とか言うんじゃねぇわ……。

 そか、この前、ユービーちゃんとの初見の時に、

 えらく(かしこ)まって挨拶されたのは、

 それで、だったのね。



「ちなみに今日のユービー情報ですが、ギルド職員のデイビット・ベタワが、解体職のヤン・センマイに告白し撃沈したとのことです」


「妹さんに、人の恋路のスパイ活動は、自粛しろって言っといて」

「げきちんしたかー」



 ドンマイ、デイビット。



「本日の新規冒険者の増加率も、お嬢様方のご活躍の(うわさ)もあり、順調に前年増を決め込んでいます」


「あんま、嬉しくにゃい……」

「物珍しさで集まっているという事ですよね?」


「中には優秀な若者も混ざっているようです。ギルドの発展には貢献(こうけん)しておられるかと」


「複雑だ……」

「昨日、手ぇ振られたもんね」



 同年代の子は、

 基本的にはニガテなんだよなぁ……。

 歳上か、マイスナがいいっすわ。

 他の子は魔法使える上で冒険者なってるんでしょ?

 魔無しっ子としては、

 なんか、感覚が合わんわ……。



「運送関連のご報告ですが、教会より依頼の出ている、木材の運搬依頼が再度、出されるようです。一週間後のお祭りの資材かと」


「ぁ、またか。その情報は、素直に有り難いわね。こっちからギルド出張所に取りにいってあげっか」

「さいきん、小さな木の丸太の配達、多いもんねーっ!」


「野外劇場の座席エリアに、等間隔(とうかんかく)に打ち込むための物のようです。劇場ステージ自体は、もう建設が終わっています。(くい)に番号を彫り込み、座席を分かりやすくする目的であると思われます」


「なるほど、それは子供でも座る場所とか、分かりやすいわね。さっすが教会の人ら、親切なことをするわ」

「どんな劇するんだろねーっ、楽しみだねー!」


「 ぇ……? 」


「「 ? 」」



 なんや?



「……、もしかして、ご存知(ぞんじ)、ない……?」


「……??」

「なにがですか?」




「 ……、一週間後の劇の主役、お嬢様たちですよ? 」





メリクリーッ\(*´꒳`*)/.*・゜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『今回の目次絵』

『ピクシブ百科事典』 『XTwitter』 『オーバーラップ特設サイト』 『勝手に小説ランキングに投票する!』
『はぐるまどらいぶ。はじめから読む』
― 新着の感想 ―
[一言] ほう、劇の主役……え!?出演すんの!? キッティさん……(__´(,,ェ)`)見栄ってあるよね。
[一言] 暗殺メイド隊が有能wwww どこぞの○右京メイド隊をおもいだしましたwwww
[良い点] なんとも有能な、隠密メイド隊です。 [気になる点] アマロンさんが王都で落として知らないうちに承認された企画書の話が、ドニオスでとうとう実行されるのか。 どうするアンマイ。 [一言] ブ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ