カーマン・プロミス さーしーえー
発掘したPSVITAに、
ペルソナ4Gと、
ぼくのなつやすみ4、
入れたった……(((;゜Д゜)))
メチャヂカンカカル・・・!?
目覚めた彼女の話を聞いて──。
まず、私たちは。
試してみよう、と思った。
──コォオオオオオオオオオ──……。
身体中の装甲の割れ目から突き出た、
無数のノズル・スラスターから噴き出る、
凄まじいブースト音さえも、
もはや、乾いた空気の音でしかない。
私たちは、飛ぶ。
大いなる高さの中、
誰も、語らない時間ができる。
非日常の青空が、
そうさせているように思う。
ふ、ふ。
ソレまでの距離を測っていた、
先生とローザは、
緊張していただけかもしれない。
何にせよ、私たちは、
晴れやかに、禁忌を冒していた。
この世界の誰もが、
やるべきでは無い事を、私たちは、する。
天空だけが、鮮やかに、
静かに──見つめている。
コォオオオオオオオオオ──……。
この高さに達するまでに、
呼吸は、とっくに、
体内の空間接続によって行われている。
自らの僅かな身体が燃え、
彼女の僅かな身体が凍ったが、
それは、当初の予測より遥かに少ない規模で、
お互いの温度差が、ダメージを食い殺す。
怖いくらい、順調だ。
──まだ、空は、青い。
断言する。
たくさんの神々の加護があったとしても、
私の生身ひとりで、ここに来ていたら、
ただただ、恐怖しただろう。
上に、おびえ。
思わず、下へと、振り返ったに違いない。
──でも、今は、二人だった。
お陰で、恐怖だけではない。
良く言えば、腹が据わっていたし、
悪く言えば、鈍くなっていて。
「……」
「……」
コォオオオオオオオオオ──……。
地上で過ごせば、
何のことはない、
少しの、時間だろうけれど。
今の私たちにとって、
この騒音に慣れるほどの、
長い、長い、無言の飛行は、
しびれていく、何かがあった。
お茶目な神様たちは、
加速用のスラスターを、ティーカップ、
減速用のスラスターを、コーヒーカップと、
呼称していた。
身体が恋人と共にロケットに改造されつつつも、
き、ひ、それはどうよ、と、
眉を、ひそめずにはいられない。
──ボ──ヒュゥゥゥゥゥ── ─ !
──プ・シィぃぃぃぃ── ─……!
いま、20回目の逆噴射があり、
大きく、天を突くスピードが落ちた。
先生が、皆に、アナウンスする──。
〘#……反射があった。事前情報通りだ〙
先生の担当する放射系は、
"接近する障害物"までの距離を、
正確に測ることを目的とする。
私とマイスナの、
肩や背中などに複数、
設置されたレーザーポインタが、
真っ直ぐに、進行方向に伸びている。
『>>>……卵の、中、か──』
しゃがれるような先輩の、台詞。
たぶん、私が思うより、
遥かに、皮肉めいている。
減速は、恐ろしく上手くいく。
空は、もう、
"青"とは……言えなかった。
『────ギリギリまで:接近します☼』
チューブ状になった私たちの髪が接続された、
無数のティーカップと、コーヒーカップたち。
ブーストは上下に分かれ、
私たちの上昇を、緩やかにする。
『C1:最終、逆噴射』
『C3:秒速、60セルチメルトルテ、
--:50、40、30────…… 』
『>>>両足、両肩のブースターユニットをパージする。
>>>もう……必要ない』
『C5:……了解』
『C6:Yeah. Please wait for a while 』
バシュォ! という音がして、
文字通り、私たちに食いこんでいた、
大きなキカイたちが、フレームから切り離される。
剥離したユニットは、
落下する先で、亜空に飲まれる。
身体が、すぐに軽くなり、
最低限のティーカップ・スラスター、
ホバリングする。
視界野には、
"目的地"までの距離が表示されている。
私は、マイスナを腰から抱き寄せた。
彼女も、当然そうした。
ささいな理由だ。
こんな、遠くで。
離ればなれになるのは、怖い。
──でも。
抱き寄せた片腕とは、うらはらに、
私たちの2本の腕は、
ソラ高く、伸びた。
大きく、手を広げ。
上を、見上げる。
「 接触する 」
「 ブースト権限を、こちらに 」
私たちの上昇スピードは、
秒速、10セルチになっていた。
ゆっくりと、ゆっくりと……。
──。
『>>>……』
〘#……〙
──キ、ギィン・・・。
──── あった。
本当に、あった。
ッ 。。。
私たちは、今。
世界の天井に、
ふれている。
『────高度:100ケルメル地点:到達☼
────カーマン・ラインです☼』
透明の、カベだ。
タマゴ。
たまご・・・!
青と、黒の、狭間で。
透明の障壁は、存在した。
旧い、水の女神が言う。
〘++++++プレイヤーの……"限界高度"よ。
++++++"上"から・突き破る事はできる。
++++++でも……"下"から突破することは,
++++++今の……私たちには・できないわ〙
『>>>……』
『#……』
正直に言うけんども。
こぉぉーんな、透明のカベのこと。
別に私は、どぉも思ってない。
こんな、クソ高い所にある領域なんて、
食堂娘にも、郵便屋さんにとっても、
マジ、どうでもいいし。
世界が、とうめいの殻で包まれてたって、
本当に、なんのショックも受けない。
ただ、今は──。
〘+++++++試算は・バッチリよ。
+++++++真上にあるわ──……〙
『────アンティ☼』
「構わないわ。最大望遠で、なさい」
「少し、痛くしても構いません」
私とマイスナの眼球内と、顔の正面に、
アナライズ・カード式のレンズが構成され、
はるか彼方の、天空の"座"を拝まんとする。
頭の中で、カチカチ、キュィンと、
音がした。
視界の映像が、段階を経て、
四角く、四角く、拡大化されていき。
やがて、像を結ぶ。
とおいんだ。
カクカクとした……ヒドい、画像だった。
✕ □□□□□/
〘++++++"サーズディ-ステーション"と・
++++++"フライディ-ステーション"よ。
++++++あそこに……捕らえられているわ。〙
──── " 星くず "。
それは、神さまが座す場所としては、
あんまりの、トコロ。
ぶっ壊れかけた……なにかだった。
『────露出補正をしていますが……:
────これが:解像度の限界のようです☼』
『──当然だよ……❖
──アレが、まだ高度を保っているなら、
──ここから、今、飛んできた距離の、
──三倍も……上、なんだもん……❖』
『>>>……』
『#……』
ここは、15の女じゃあ、
足がすくむだろう距離だ。
空の、限界だ。
その、さらに倍以上の距離に、
あのヒトたちは、いる。
ご丁寧に、障壁まで、あつらえてやがる。
クソが。
怖いけどさ。
私は、行ってやりたかった。
『>>>……後輩ちゃん。
>>>バカな……お願いになるだろうが──』
「破壊を試みる」
そこから、100メルトルテほど降下し、
私とマイスナが行った攻撃の爆煙は、
直径、1ケルガほどになった。
私たちは、かなり続けた。
ソルギアをガチで使おうとしたが、
クラウンに止められた。
『────環境が変わってしまいます☼
────非推奨ですよ……☼』
仕方がないので、
持てるだけのミサイル・ユニットを、
構成できるだけ作って、
ぶっぱなしてやった。
マイスナも、粒子砲を撃っている。
"星の壁"は、まるで傷つかなかった。
〘#……もうよい、やめなさい〙
『>>>わかった、後輩ちゃん、やめるんだ』
「……、……」
「……、……」
『>>>アンティ。もういい』
「……」
『>>>……ありがとう』
さいごに、いちおう確認して。
やっぱり、透明の壁は、
傷、ひとつさえ、ない。
炎が噴き出す、熱ダレした腕で、
もっきり、ぶん殴ってやった。
──ガギゴォオオオオオオオンンン・・・!!!!!
『>>>もうひとつ、頼まれてくれるか』
「言って」
『>>>肉眼で……見たい』
〘#……すまない、私も頼む〙
是非などない。
私たちは、先人に身体を譲る。
先輩と、先生は、
食い入るように、ソラを見ていた。
決意が、揺ぐ事など、ない──。
これは、誓約だった。
『>>>……戸橋。
>>>必ず、助けてやるからな……!』
〘#……ああ。必ず、だ……!!〙
『──ふふふ……▼
──期待せずに、待ってるよぉー●▼●♪』
『────アンティ:そろそろ……☼』
〘++++++星は回ってる。
++++++雲も出てきたわ〙
「もう、いいの……?」
『>>>ああ。サンキュな』
私は、マイスナと接触しながら、
もう一度、空を見た。
無関係じゃない。
必ず、届ける──。
「はっ……!
郵送配達職を、ナメんじゃないわよ?
木の神さまよぉァ──?」
「んだんだっ!」
きひひ。
私は、上空、100,000メルトルテで、
どらいぶを、起動する──。
──キィィィイイイインンン……!!!
「帰ろ。今はね……!」
「うんっ!」
準備が出来たら、
必ず、再配達だ。
ま っ て ろ 。 私 達 を 、
お も し ろ お か し く 、
見 な が ら な あ あ あ !
『────帰還ポイント:ドニオス街・中央部☼
────望遠調整完了☼
────目視により固定しました☼
────遮蔽物:無☼
────レディ・オーバー☼
────どうぞ──っ……!☼』
「 " わーぷ、どらいぶ "、
────起動ッッ・・・! 」
──どひゅぅおおおおおおおおおおんんん!!!