残暑お見舞い、ニュー・フェイス さーしーえー
今日もテケトーに書いていくぜぃ!
(ノシ 'ω')ノシ バンバン
※ユービーちゃんの挿し絵を追加。
私がドニオスの街に来て、
はや、五ヶ月が経とうとしている。
正確には、千年と五ヶ月だけど……、
まぁ……そこんトコは、気にしちゃいけない。
「アンティ、今日も飛び込みがあるかな?」
「ふふふ、そうかもね?」
"飛び込み"とは、
決して、プールにバッチャーン!!
のことでゅぁーない。
私たちが地道に、レター・ライダーとして、
活動してきた事もあり、
ドニオスの集配受付は、
それなりに繁盛しているのだ!
定額で、確実に届けてくれるという安心感が、
確実に、根付きつつあるという事ね。
お陰で、今んところ、
食いっぱぐれそうな気配はないっ。
「前より荷物、けっこう出してくれるようになったなぁー!」
「虫あみ、千本とかねー!」
ぁ……あれは、未だに謎なんだけんども。
ま、まぁ……お客さんの荷物に、
ケチつけたり、ましてや詮索やらは、
タブーよなぁ……。
「ほな、私たちも、飛び込みますか!」
「バッチャーン!!」
ふふ……ぃや、それは音、ちがうっしょ!?
最近、私たちが上空40メルトルテから、
ドニオスギルドの天窓に飛び降りる時は。
──上から3回、踏み鳴らす事にしてるわっ!
──キィ──ィイイイインンン・・・!
──ギィ──ィイイイインンン・・・!!
──クゥ──ォオオオオンンン・・・!!!
ははっ……我ながら、うっせえぇー!!
この足音……カクジツに、下まで届いてマス。
どうやら、ドニオスギルドの冒険者さん達は、
この"今から降りますよ"の合図に、
すっかり慣れていただいたらしく──、
「やべぇ! 早く天窓の下から退かないと!」
「義賊ちゃんと狂銀ちゃんが、降ってくるぜ!」
てな感じで、今ごろ下界では……、
受付カウンター前の天窓の下にゃー、
ポッカリと、人のいない空間が広がってるはず……!
『────確認しました☼
────下方部:着陸予定地に:人影:無し☼
────エントランス・ダイヴ:どうぞ☼』
「あんがと。キューキューさんは、どぅよ?」
『────順調です☼
────ですが:申し訳ありません……☼
────サポートメンバー総出で:
────こちらに:かかりっきりで……☼』
「忙しそうね。お疲れさま」
この前、夜の箱庭をウロウロしてたら、
居間の畳の上で、
クラウンが、座布団に抱きついて、
お寝んねしてた。
すぐ横では、食卓机に突っ伏して、
先輩が、ガン寝してたし……。
キューキューさんの新しいボディの再構成は、
大詰めみたいだ。みんな、頑張ってる!
「ただ、奥さん? 徹夜……お肌の天敵よ?」
『────ふふ:肝に銘じておきます☼
────足元に:ご注意ください──☼』
そうして、私たちは、
星へと、飛び降りる────。
──キィィイイイインンン・・・!!
──ギィィイイイインンン・・・!!
「「「「「 やぁー!! 」」」」」
「「「「「 ひゅー! ひゅー! 」」」」」
──パチパチパチパチパチパチパチ──!!!
「「 ……////// 」」
すっかり、この奇天烈なヨロイで、
この街を出歩くのに、慣れてしまったが。
この……いつも着地の時に、
誰かしらの拍手が、毎回、起こるのは、
何なのかしら……?///
「やぁー、今日も、一日が始まったって気がするぜ……!!」
「よう、嬢ちゃん共。今日も輝いてるなっ?」
「はぁい☆ レター・ライダー♪♪」
「「⋆。˚ᎶᎾᎾⅅ((´ω`))MᎾRℕᏐℕᎶ⋆。˚」」
ま、受け入れられてるって事だよねっ♪
居心地は、決して悪くない!
のだが────……?
「アンティ。なんか、見られてない?」
「ん? ……そういえば」
今朝も、ドニオスギルドは、
たいへん、ワイガヤと賑わっているが、
何やら……いつもと違う視線の多さを感じる??
──そ、そりゃ、いっつも、
目立ってはいるけどねぇッ!?
「み、見ろよ……! あの人たちじゃね?」
「わぁ、凄い……! 本当に、義賊と狂銀だぁ……♪」
「あれが、アンティさんと、マイスナさんか……!」
……! わ、わかったわ!
同世代の、冒険者の人たちが、多いんだ……!
私たちと、ほとんど同じ歳っぽいな……?
いや、でもあそこの子とかは、初めて見るぞ……?
「あそこの人たちも、知らない人だねー」
「ほんと……新人さん、かな??」
ゃ、つーか、私たちも、
十二分に、新人さんだが……。
何にせよ、
初めて見るパーティが、かなり居るわねぇ!?
30人くらいは、完全に、ニューフェイスだわ……。
一気に、冒険者の平均年齢が下がった感じ!
あっちの人とか、クラスメイトと歳、
変わんなぃわよ……?
その、ほぼ全員が、
こちらを好機の眼差しで眺めてきてる・・・!
「ぅッ……正直、同年代の子は、ニガテなんだが……」
「そうなのー?」
いや、アンタ、知ってんでしょ!
何、話したらいいか、
分かんなくなんのよぉー!
「──な、なぁ、アンタたち!」
うわぉっ──! 話しかけられたッ!?
かっ、彼は、17歳くらいだろーか……?
髪の毛が上にツンツンした、
ロングソード持ちの、新人さんだッ!
当然、私たちより背が高い!
な、なんの御用でしょーかっ……!?
「どんな荷物でも、届けてくれるんだって!?」
「ぇ、ええ……、そうね?」
「お金さえくれたら、ちゃんと届けるよー!」
「へー! ウワサは、本当だったんだなぁーっ!」
「……、」
「元気なやつだなー」
おぉ……。
私、久しぶりに、キョドってんなぁ……。
「オレ、親に仕送りしたいんだ!! そんときは、アンタたちに頼むから!」
「ど、どうぞ……ご贔屓に?」
「まってるよー」
「──ああ!! じゃあな!! 今から、昇格試験なんだ!」
「が、がんばって……」
「ぶち当たってこーぃ」
「──おうっ!!」
ふ、ふぅ……スタスタ、行ってしまった……。
いきなりでビックリしたが、
悪い人じゃなさそう……。
げ……向こうの黒髪の剣士さんとか、
杖を持った、ふんわり魔法使いちゃんとか、
お歳のお若い冒険者さんら、
さっきから、メッチャこっち見てるっ・・・!?
「ひえぇ……同じ歳くらいのヒト、なんでこんな増えてんのぉおお……!?」
「あいつ、アンティのこと、アンタって呼んだ。次、シメとくかー」
ぅおい、それは許してやん……いや、
つまり、マイスナにも……アンタ呼ばわり?
あ、それはギルティーっ。
私の嫁に、ナニ馴レ馴レシク──……、
「うむ──今年は、中々、粒ぞろいだな」
「「 ──うぉあっ!? 」」
隣に、ヒゲイドさんが立っていた!
きょ、巨大な黒いスーツ!!
ドニオスの父!
「いつの間にっ!?」
「でたなー巨人っ!」
「さっきから、ずっと居ただろう……この巨体で存在感なくなったら、泣けてくるわ!」
マジぽん……?
つーことは、よそ見しながら、
私たちが近づいたのか……!
ま、それはええねん。
「なんか……見ない顔、多くないですか!?」
「あいつも知らんぞ。あいつもだ」
「……。いや、お前たちのお陰だからな?」
「「 ……??? 」」
「夏期最後の、新人採用の時期だったのだ。お前ら、知らんのか。この時期の登録料は、年で二番目に安いのだ」
「「 ……っ! 」」
そ、そうなのか……知らなかった。
登録料とか、15歳までのヤツしか、
知らなかったし……。
「良い新人が増えている。ゴリルのヤツは、また安く、アイアンソードを叩き売りにくるぞ」
「あっ、それはなんか楽しみですね!」
「あのゴリラさんかー」
ドニオスギルド名物。
ゴリルさんの、想いやりソード・バーゲン。
たくさんの新人さんにとって、
すっごい助かりまくりのお店になるの確定……!
「ぇ、いや……優秀な新人さんが増えてんのと、私たちとが何か関係あります??」
「あんなやつら知らんぞー」
「義賊と狂銀のカッコした、女の子冒険者が居るらしくて楽しそう。以上」
こ、広告塔やんけぇえええええ──っ!!!
「"客寄せ絵本ツインズ"様様、ってところだ。ギルドマスターとして感謝しよう。あざーっす」
「い、いや……何それ、こわこわこわこわこわ……」
「あああああああアイツらの目的は、アンティか」
「そろそろ自覚しろ……。お前たち、すでに有名人だからな……?」
ああああああああああぁぁぁ!!!
街娘Aで居たかったぁあああああああぁぁぁ!!!
「好機の目が……たいへん、キュッとするのですが……」
「何見テやガル、金はラエえぇ・・・!!」
「鏡見ろピカピカ共」
この巨人さん、遠慮がねぇ。
「まぁ……、一応、言っておくが……。諸々は感謝している、が……どこでも、見られているぞ? ボロが出ないよう……気をつけろよ……?」
「「 ひぃぃいぃぃぃいぃぃ……! 」」
や、やめてくれ……。
私はタダ平穏に、マイスナと、
とことん、やっていきたいだけなのにィぃ……!
トホホ……。
なんか、新人さんに定期で声かけられるのは、
避けられそうに、なさそうだぁ……。
「なんか、ノリが分かんないのよねえ……」
「アンティは、わたしが守るっ! ふすーっ!」
「それより、あっちだ。面白いものが見れるぞ?」
「「 へっ? 」」
ヒゲイドさんが指さしたのは、
通常の、受付カウンタの方だ。
……??
あっちの方なんて、
うさぎの勇者にマクラ営業(物理)させてる、
ひゃわひゃわ受付嬢しか、居ないんじゃ──?
「これで、いかがでしょうかっ!
キッティせんぱいっ!」
ぶっふぉッ……!
「あ、そです、そです……バッチリですねぃ♪ 基本は、そっちのリストから引用して……で、こっちの魔物の生態表と突き合わせるわけです。クエスト受領時の紙面での警告は、けっこう面倒臭く感じられてしまう事も多いですから──簡潔に、短くまとめて言葉で伝えることは、とっても大切になりますよ? もちろん可愛く笑うのも、忘れずに! そこで印象に残させることが、冒険者さんの命を救うこともありますから──。ここまで、分からない所は?」
「──はいっ! キッティせんぱいっ!」
「げ、元気ですねぃ……これが、若さですか……」
だ、誰……? あの元気な子ぉ。
ギルドの制服、着とるやん。
「まさか、キッティに後輩ができるとはなぁ……」
「「 マ ジ っ す か …… !! 」」
聞いたところ、
ユービーちゃん、という言う子らしい。
ちょっと変わった名前だけど、覚えやすいわね。
ふ……、 フ ィ ン ガ ー !
……なんでもない。
肌が褐色の女の子で、ちっちゃい子や。
私たちより歳下っぽくて、かわええわ。
とても元気で、微笑ましいったらないわね!
今も受付カウンタ内で、実習中みたいだ。
キッティが、ずいぶんと丁寧に、
業務を教えてるわっ!
「うーん、私は10歳くらいから働いてますが、その時期だと制服は本当にすぐ小さくなります。お金とか……大丈夫ですか?」
「大丈夫です! 姉たちが工面してくれてるので!」
「ひゃわー……。御家族も了承済みなのは心強いですねぃ。あ、魔物のリストは、いきなり全部、覚えようとしなくていいです。でも、寝る前に時間を決めて、毎日、絵本のように読むのがお勧めです」
「──はいっ! ぜったいします!」
「こんな事を言うのは、なんなんですが……けっこう面白くて、寝るのを忘れたりします。必ず時間は決めて、よく眠ること! 目にクマが出来た受付嬢は、いらぬ心配を冒険者さんにかけますよ?」
「──はいっ! わかりました!」
「す、素直ですねぃ……」
いや、キッティ、アンタ……。
どの口で言っとんのや、どのクチでぇ……。
昨日もアンタ、特製うさ丸マクラ、
ヨダレで、デロンデロンにしながら、
カウンタで寝とったやろげ……。
あん時、うさ丸と、目ぇ合ってんぞぉ……。
「 ひゅこここここここ……ぷぇ……Zzz 」
「
にょん、やぁ……
」
「「 ……、…… 」」
マクラ営業、ダメ、ぜったい。
ま、その昼寝ぐーすか受付嬢が、
今や、先輩ヅラときたモンである!
そらぁ、普段のキッティを知ってる身としては、
当然、からかいたくも、ならぁな。
やったった。
「きひひーっ♪ キッティ先輩、おはよーざまーっす♪」
「えへへーっ♪ キッティ先輩、今日も可愛いねーっ♪」
やーいやーぃ♪
「──こ、こらぁー! そこなっ、義賊と狂銀さんっ!? はやく、街のパトロールに、行きなさぁーい!」
誰が、パトロールじゃい!
お仕事前に、今から2人で、
イースト・ハニー行くもんねー。
「感慨深い……まさか、キッティに憧れる者が現れるとは……」
「あれっ? ヒゲイドさんが、面接とかして採用したんじゃ?」
「どうやって幼女みつけたのー!」
「アホたれ、人聞きの悪いこと言うなっ!! いわゆる……飛び込み採用ってヤツだ。急に現れて、"キッティさんの弟子にしてください!"──と、来たもんだ」
「バッチャーン!!」
「すっご……そんな話、ホントにあるんですね」
「ふっ……まぁ、なかなか面白そうだったので、試しに、ほうりこんでみたが──」
「キッティ、誰かに仕事を教えるの、すっごく上手いもんなぁ……」
「まえ、書類整理てつだった時、指示が的確すぎてキッティの仕事なくなったよ」
「……サボるために、全力出したりするからな、アイツ」
優秀な受付嬢だってのは、
間違いないと思うんだけんどね……。
「……やれやれ。これで、あの昼寝女も、先人として、気を引き締めてくれれば良いのだが」
「昨日、うさ丸のグローブ洗濯してましたよ?」
「あれは、ひどかった。よだれでハムハムしてた」
「……っはぁー……。あの球体に、深い同情を禁じ得んな……」
「あー。そんな言い方したら、あの神官ねえちゃんが、怒りますよぉー?」
「前、うさ丸にアンティが、胡椒をふるジェスチャーしただけで、怒ったんだよ」
「なにしてんだ、お前は……。そう言えば、アマロンのヤツが、お前たちを探していた。見つかったら面倒になるぞ? 近づいてきたら逃げろ」
「「 わっかりましたーっ! 」」
さっすがは、ヒゲイドさん!
有用な情報をくれる!
やったぜ。
あの神官ねえちゃん……。
発案した お祭りの企画書おっことした次は、
いったい、ナニ企んでやがる……。
いざとなったら、うさ丸を囮にして逃げっか……。
そういや、あのウサ、どこいった……?
──と、思ったら。
新人受付嬢のユービーちゃんと目が合った。
パ チ く り 。
「 ……! 」
「「 ……?? 」」
──ん?
受付カウンタを……抜け出そうとしてる。
キッティに、何か話したようだ。
こっち来るわね。
離れた所のキッティに、
アイコンタクトをとる。
( な、なにごと?? )
( ──さ、さぁ、分かりません…… )
トタトタトタトタトタ──・・・!
やぁ、目の前まで、来た。
やっぱり、ちっちゃくて可愛いらしい。
話しかけてみようか。
「えーと……お疲れ様!」
「ちっちゃいねー!」
マイスナ、怒られっぞ。
「──。ユービー・クレフティス、と申します」
「ん、アンティ・クルルです」
「マイスナ・オクセンです」
「はい、存じ上げております」
ぁ、さいですか。
……んぅー??
なんか……ジッ、と……見られているぅ。
ぁ、あによ……!
そんなに、この姿が珍しい……っ!?
バカな仮装してる、変なヤツだって、
思われてるのかな……!?
ぅ、うっ……! さ、最近は麻痺していた、
羞恥心が、背筋をつたってくるような、
感覚がっ……!?
「 じ〜〜〜〜っ 」
「 ぇ、えと、あのぉ……? 」
「 なんだ、なんだー?」
「 ……──かならず 」
「「 えっ? 」」
──えらく、姿勢を正された。
「 ──必ず、貴方様方のお役に、
立てるように、なってみせます 」
「「 へっ……? 」」
「 ──失礼、致しますっ! 」
── ぺ こ り っ !
タッ、タッ、タッ、タッ、タッ──……。
「「 ……? ……?? 」」
制服姿のユービーちゃんは、
行って、しまわれた……。
ヒゲイドさんが、珍妙な顔をしながら、
覗き込むように、私たちに話しかける。
「……おぃ、アンティ、マイスナ。お前たち……あの褐色っ子と、知り合いだったりするのか?」
「えっ、いや……そんなはずは──」
「会ったことは、無いと思うよ……?」
「いやしかし、……、まぁ、いいか。集荷は、あっちの受取口だ。小包も、いくつかあった」
「っ! わかりました。朝食すませて、すぐやっつけます」
「今日も、がんばる!」
「うむ」
ズシンズシンと、ヒゲイドさんは、
奥の部屋に入ってった。
受付カウンタでは、
今も、キッティとユービーちゃんが、
せっせと働いている。
──。
「……ん!? まてよ……!?」
「アンティ?」
褐色の肌に……明るい、髪……。
ファミリーネームが、" クレフティス "……??
それって──……!?
「──アンティ! はやく、ハニーバターパン食べにいこうよっ♪」
「え……!? う、うんっ……!」
あの人らの妹って──。
「まさか、ね……?」
「んーっ?」
「にょんやー……」
(;^ω^)……乾くかな?