ドント・フォアゲット・サンクス
え? 前話に挿し絵が三枚ふえた?
まっかさー(´∀`*)♪
え? さらにオチが変わってる?
まっかさー(*´∀`)♪
☂️
ガチャ……。
鍵を、しめました。
玄関のドアから後ずさりしながら。
お互いに、顔を見る。
「……」
「……」
──ぶにぅ。
マイスナと、お互いのほっぺをツネり合う。
ぷにぷに。ぷにぷに。
うん……、……可愛ぃ、夢だ。
「……続き、していぃ?」
「ドンと恋ぃ♡」
ふぁああぁあぁあぁ。
両手、フルオープン・マイスナ……ッ!?
なんと……なんと可愛い、世界一の嫁!
仮面ごしでも、この威力!
いま、全アンティが泣いた!
『────震音探知に:
────まるで引っかかりません……☼』
『>>>なんだ、アイツら……魔人から助けてやった人達だよね?』
もう、いいんだ。
私は、にゃにも見ていない。
下僕セールスとか、一生、お断りッス。
とりあえず、マイスナを抱き上げて、
クルクル回ろう!
どうでぇ、これが!!
バカップル・スクリュー、だッッ!!
「あーん♡ この子は、なんでこんなにかわいーのぉー!」
「わーい♡」
「む、ビックリしたから、ちょっとだけ、のど乾いたねっ!」
「うん!」
恋人と体調が同期しているっつーのは、
こーゆぅ時は、とっても便利!
調子わるい時とか、すぐに気づくし。
お腹減るタイミングも、ピッタシ同じ。
……え?
"お花つみ"は、って……?
──アレだ……。
ソレは、考えちゃーいけない。
私たちの御手洗事情は、
永遠に……誰にも言えにゃい。
「じ、じゃ、お茶が、いっかな!?」
「ラワムギ茶ぁー!」
なんにせよ、
私とマイスナの循環のみで、
水分量が増えるはずが無い。
戦いに、水分補給はツキモノだ。
えーっと、ラワムギ茶は、
何番区画の格納スペースだったっけ──……?
「どうぞ」
「「 ぁ、ありがと 」」
ゴクゴクゴク。
──うん!
ラワムギ茶っつったら、やっぱ、コレよね!
ガラスのコップに、氷の魔石!
キンキンに……良く、冷えてるわっ!
……ふーぅ。
マイスナと、空のグラスを、
おぼんに……、乗せ、 、 て……。
トん……。
「「 …… 」」
「お粗末さまでございます」
銅色のヨロイで覆われた女が、
おぼんを持って、跪いている。
あれっ、おかしいぞ〜〜。
……。
「「 …… 」」
「 ── 」
「「「「「 ── 」」」」」
いや、全員、おるし。
……。
素直に聞いた。
「何しに……来たんスか……」
「でてけ」
「お仕えしとう、ございます」
わぁ……話が通じない。
侵入されている。
「我ら全員、貴女様方に、この身を捧げます」
……ガシャ……!!!!!!
ひざま、ずいていくぅ。
ほぁー、なんコレぇー。
誰かぁー。ヘルプみー。
もうやだー。
『────妙な事に:なりましたね……:
────申し訳ありません☼
────セキュリティを強化していれば:
────こんな事には……☼』
『>>>いや、すぐに叩き出せ! ガチな不法侵入だからね!? コイツら……!!』
この、お姉さん達──うん、
モチロン、覚えている。
つい先日、
ホールエルの北東の森を調べてた時に、
がるがるブラック装備だった私とマイスナを、
目玉ヤローの仲間とカンチガイして、
襲ってきた、お姉ちゃん達だ。
ぶっ飛ばし過ぎたので、
ヨロイを修理してあげて、
一泊、アイノスに泊めてあげたっけ……。
確か、暗殺職のクラン、6人組で。
"銅の刑死者"──だたっけ??
「急な来訪になってしまった事、お詫び申し上げます」
「ぇ、いや、うん……」
「……そこじゃないと、思います……」
カギかけて中にいるとか、
もはや、不法侵入とおりこして、
大道芸だかんね……。
ともかく、回らない頭で、
お願いしてみよう。
「あの……、ふたりっきりに、してくれません?」
「アンティと、やりたい事があるんです」
あるある。ものっそい、ある。
せっかくの、昼間お家デートなんだぞぅ……!
つーか、マジで見られたら、
ガチアウトだったっつーか……。
やっべぇ、やべぇ……。
「ご安心くださいませ。お二人の性癖について、とやかく言うつもりはございません」
「「 」」
は?
「けっこう外まで、漏れておりました」
──方針変更。
コイツら、タダじゃ帰さねぇ。
即座に歯車と鎖で6人を拘束し、
天井から吊り下げる。
──ぎゅぅいいいいいいんんん!!!!!!
──じゃらららららららららら!!!!!!
「「「「「「 ……、……っ、…… 」」」」」」
「「 ふふふ、ふふふふ……♪ 」」
私とマイスナの、屈託のない笑顔を見よ。
いいか、お前らは吊るされたハムだ。
ああ、世界よ。
私は今、笑えているか。
「き、ひひ、ひ……♪ 私は暴力が嫌いだけど……今は、お前らの記憶が無くなるまで、殴ってもイイカナ……?♪」
「ケケケケケケ……♪ アンティと私の聖戦を、邪魔した罰は大きいイィィィイイアアア……!!!」
「どうぞ、気が済むまで、おやりください」
「「 ── 」」
はぁ……?
……。あのねぇ……、……。
──ちくせぅ!
いったい、なんなのよォ!!
「……人ん家の前で、女同士で楽しんでるのを盗み聞きした挙句……オシオキ願望ってか? はぁ、勘弁してよね……チッ。すぐ消えるなら、放り出して手打ちにする。私たちも忘れる。それでいいの?」
「二度と来ないで……。私たちの邪魔、しないでほしい。私たちが、どんなに苦労して、今、一緒にいるか、わかる?」
「貴女方に、仕えとうございます。それは、どのような状況でも、変わる事はありません」
「「 ……、……?? 」」
「にょきっとなー?」
「くゆーっ?」
『 がるるーるぅ……Zzzzz 』
いったい、どうなってんの……。
思考が、まるで追いつかない。
…………//////。
あぁーぁぁぁぁああああああ。
バッチリ、聞かれちゃってんじゃないのよぉぉ……!!
ああぁぁぁぅああぁ……//////。
「配下に、お加えください」
「──あんたたちッッ……!? さっきから、意味わかんないわよっ……!? 頭、おかしいんじゃないのッッ──!?」
「まったく……言っている事が、わかりません……」
「お願い、申し上げます」
ダメだ、まるで、ラチがあかにゃあ。
何なんだ、この6人はよォ……。
「なんで、こうなっちゃったかなぁ……!」
「配下って……子分の事ですよね??」
どちくせぅ。
吊るされたハム共を、
オシオキする趣味は、実はない。
仕方がないので、天吊りから降ろしてやり、
歯車と金属で、簡素な椅子を作ってやる。
口から、魂が抜けそうだ……。
マイスナも、私と同じような、
何とも言えないツラをしてる。
ちくせぅ……昼間っからの、きちょーな、
マイスナとの、イチャイチャがぁぁ……!
「意味が……わかんない、ワケ、わかんないぃぃ……」
「一杯だけ……飲み物を出してあげます。出来るだけ簡潔に、要点を説明しなさい」
「「「「「「 はッ 」」」」」」
6人の銅の皆さんは、
どうやら、敵意だけは無いらしい。
実に姿勢よく、全員が座った。
私とマイスナは……、
二人でベッドに腰掛け、
この不法侵入者どもの話を、
聞いてあげる事にする。
*^-^*
(・・) くゆーっ!
(﹀)シ
「「──……」」
『────…………なるほど☼』
『>>>そういうことか』
ひと通り、話を聞き終え。
あぁ……そゆこと、と、事情は理解する。
「にょきっとな?」
「くゆーぅ!」
「えーっと……つまり、要約すると……」
「妹さんと、あなた達の故郷が、ものすごく、助かった……?」
「「「「「「 はい 」」」」」」
ぁ────……。
つまり、だ。
私たちがあげた、
ローザの汁・由来のエリクサーが、
とんでもぬぁー効果を、発揮しちゃったらしい!
妹さんの"呪い"がとけて、
呪われた土地が、"浄化"された?
ホンマか……。
さっすが、精霊王の汁である。
つーか、そのまんまの濃度で、
使っちゃったのかぁー……。
ハイポーションでも、眠くなるって言うし。
ぶっ倒れても、おかしくないわよ……。
「……アレ、濃いママで使うの、けっこう危ないんだかんね? 私、水で薄めて使うように言わなかったっけ……?」
「妹は、重度の呪いにかかっていました。問題なく全快し、残った聖薬は、土地の邪気を全て祓い飛ばし、我らの故郷は救われました」
「……! それは……まぁ、とても良かったと思うけどサ……」
「──判決ッッ! 妹さんと一緒に、どっかで幸せになってください! 以上っ!」
マイスナが、手を上げながら、
ぴしゃんと言った!
うん……私も、マイスナと完全に同意見である。
こういうの、ハッキリ言ってくれるので、
とっても助かる!
なして、私たちの下僕を志望するのか、
イミがわからぬ……。
そーゆーのは、いいんだってば。
「──いえ。それでは……私たちの気が済みません。どうか、下僕なり護衛なり、好きに我ら6人をお使いください」
「……──護衛、ですって?」
「大きく、でましたね──……」
少し、カチンとくる。
アンタら、私にぶっ飛ばされたの、忘れた?
「あのさぁ……。もう、バレてるから言うけど、アンタたち6人が束になっても、私たち片方にも勝てやしないわ?」
「自分より弱いと分かっている者に、護衛など任せる気はありません」
「至極、承知しています。しかし、先ほどのように、お二人・共に、鎧を着けておられていない時や──休息時の護衛など……やれる事は、あるはずです」
こっ、コイツらぁぁあ……!!
覗いてたんじゃ、ねっだろうなぁぁ……///。
「て、てめぇら、よくも、ヌケヌケと……!//////」
「あっ……/// アンティと私は、ふたりだけで、十二分に生きていけます! あなた達は、必要ないです! どうか、お引き取りください!」
「そうは……参りません。この大恩、返さずにはいられません」
イヤに、食らいついてくるわ。
ええーぃ、ややこしくなってきた!
ベッドで足を組みながら、言う!
「もーっ!! あんた達が私たちに、もんのっっっすげぇ感謝してんのは、よォーく、分かったわよ! でもねぇ、私たちにだって、自分たちだけで生きていきたいっていう、欲? みたいなモンがあんのよ……! さっきの……その……/// プライベートの事だって、その……困るし! あなた達が助けてくれるような事は──たぶん、私たち二人だけでも、問題なく行える。そうでしょう?」
「「「「「「 …… 」」」」」」
暗殺職のクランだけど、
ここまで義理堅いとは、思わなかった。
悪人では無いと、よく分かるわ。
だからこそ、言ってやる。
「──運が良かったと割り切って、いーんじゃない?」
「「「「「「 ……ッ! 」」」」」」
「妹さんも、あんた達も……五体満足で、元気! なによりじゃない! 神様が、ちょっとした気まぐれで、サービスしてくれた……そう、思えばいいわ。一所懸命に生きてきて、思わぬ幸運に、ブチ当たった。人生でさ……そういう日があって、いいじゃない」
「「「「「「 …… 」」」」」」
別に、勝手に私たちが、やった事。
ボールを投げて、たまたま当たった。
恩を返してもらう義理なんて、
まるで無いのだ。
「気にする必要なんてない。全て忘れて、やり直せる。そうでしょう? ちゃんと、幸せになれ── 」
── ガ タ ア ァ ァ ア ア ン !!!
「「 」」
このセリフを言い終わる前に、
真ん中にいた、銅のヨロイが、
すンごい勢いで立ち上がり、
イスが、ぶっ飛んだ。
「じぶんたちが何をしたのか……わかっておいでなのですか?」
「「 」」
私とマイスナは、呆気にとられた。
目の前の彼女は、唸るように、
せきが切られたように、喋り出す。
「死にものぐるいで……生きてきました。他人から見たら大して美しくもない、あの故郷のため……生き残った家族を救うために、全てを捨てて生きると、かたく、誓った……! どんな汚い仕事も、法に触れるギリギリの事も、全て、行いました……! 全ては、あの呪われた地から、育ててくれた両親の骨を探し出し……! あの醜くなった、可愛い妹を救い出すために……!! 何度、殺してやった方が楽かもと、考えたことか……!! 忘れた方が、どれだけ幸せかと……! だが、それは、永遠に無理だと、分かっていました……!! 忘れる事など……全てを忘れ、幸せになる事など……永遠に、ない! だから、私たちは……選んだ! 全てを賭し、金をかき集め、せめて、妹だけでもと……! 大神官を買収し、身体を売り、私たちの過去を取り戻す──そういう、計画を立てた!」
「「 ……、…… 」」
「それが……どうだ!! あなた達は、何をした! 斬りかかって来た無法者の傷を癒し、神秘の霊薬を与え、気にしなくていいから、とっとと忘れてくれ、と言うッッ……!! 信じ難いことです……!! 今、あの腐った血まみれの内臓をブチまけたような土地は、見たこともない綺麗な花畑で、一面を覆われている……!! この気持ちが、わかりますかっ!! わ、私たちは……確かに見た! 大地が浄化され、光り、輝く中で──父さんと母さんが、こちらを見ながら笑って、天へと消えていった──……!」
「「 …… 」」
「五日ほど前に、墓を建てましたっ……! ささやかですが、見渡す限りの花畑の中に建つ、なんと美しい墓か……! 妹は、すっかり美しい身体になって、夢を追いかけはじめた! どうだ……さぁ、私たちを見ろ!! 全ての私たちの悪行は、ぜんぶが、無かった事にはならない! だが、どうだ! 身体は清いままで、金は、全て残っている……!! 全てを汚す覚悟で来た私たちが、やり直すための全てを、今、持ってしまっている!!!」
「「 …… 」」
「ふ、ふ、ふざけるな……。そうでは、ない。そうであっては……ならないのです……。気まぐれでは……済まされない。あなたたちは、自分たちが成した事の……大きさを、わかっていない」
「「 …… 」」
「忘れる事は……できない。のうのうと、幸せに、なる事など……。貴女たちは……そういう、そういう事を、したのだ……」
「「 …… 」」
銅のヨロイの肩は震え、
声は、泣いているようだった。
私たちは、態度を改める必要がある。
これは……困ったことになった。
「……わかった。ちょっと待って……。ちょっと、考えさせて……」
「ぅーん……」
どうやら、私とマイスナは、
ガッツリと、やらかしたようだ。
つまり……私たちは、
この人たちの覚悟や誇りをブチ壊し、
永遠に、忘れる事のできないほどの……、
理不尽な規模の大恩を、
お届け、しちゃったのだ────。
こ、これは……本当に、困ったな……。
いや、しかし、でもなぁ──……。
「……むむぅー……」
「ど……どーする?」
「にょきっとなー☆」
「かんかんくるぅ?」
金の仮面を手で押さえ、
どうしたもんかと考えていたが、
何を言ったらよいのか、
まるで、出てこにゃい……。
悩んでいると、
銅の お姉さんの一人から、声がけがあった。
「貴女方のクランは、存在するのですか?」
マイスナが答えてくれる。
「レター・ライダーズという……クランとして活動しています」
「それに、ぜひ私達も参加させていただきたい」
「それは……できないわ」
私が、反射的に即答する。
すぐに、お姉さんの一人から、返事がくる。
「是が非にも、お願いしたい。私たちは、貴女達の助けとなりたい。伝わったでしょう。いただいたモノが……大き過ぎるのです」
んぁー……。
出来るだけ、穏やかに伝える事にした。
「聞いて……。これは、感情だけで言ってるんじゃない。私たちには……あなた達が思うより、ずっと……人には言えない秘密が多い。だからこその、二人だけのクランなの。誰かをクランに入れるとなると──私たちに目をかけてくれている人の心労を……安易に増やす事になってしまう」
ヒゲイドさんの采配は、
思いやりからきている。
裏切るという選択肢は無い。
「……ご安心を。どのような秘密も、命に替えても、お守りします。先ほどの逢瀬の事も、決して他言は────ぶえっ」
「──にょきっと♪」
うさ丸を顔に投げつけ、黙らせる。
「ばっ、バーカっ……/// ……いいッ? これは、信用の問題なのよ。ぜったいに……クランメンバーは増やさない。私たちに恩義を感じているなら、これは……理解してちょうだい」
「「「「「「 ……、…… 」」」」」」
マイスナが、続けて言う。
「ブロンズワークスというクランは……残っているんですよね? それは、絶対に無くさないでください。あなた達がキワドイ仕事をしてきたなら……次にクランを作り直そうとしたら、許可が降りないかもしれません」
マイスナさすが。
その観点は無かった。
銅のお姉さんたちは、
不服そうだが……飲み込んだようだ。
「「「「「 …… 」」」」」
「……承りました。ですが、私たち一族は、これより貴女様方の家系を見守ろうと、決めております」
まーた、すげぇこと言い出したで!
この褐色おねぇさんはぁ──……!!
「ほ、本気で言ってんの……!?」
「……、一生、という事ですか……?」
「はい、本気です。両親の魂を救い、故郷を清め、家族を助けていただいた──。とても、一代で返せる御恩ではありません」
「いや、そんな……あんた達、どうすんの。おばあちゃんになっても、ずっとそんな事するつもり……??」
「適当な男と子を作り、教育します」
「バカやろぉー……!! ぁ、あのねぇ!! 考えなしに恩を売った無責任さは、そりゃ認めるわよ! けどさぁ……せっかく、やり直せるベースがあんだから! 適当に身体ゆだねるなんてマネは、ぜったいにやめなさい……!」
「好きな人ができたら、それが、いちばんですから」
「はい。善処します」
「……、……だいたい、私たち一族って……、一代で終わる可能性大、だし?」
「多分、血の繋がった子供は無理だと思っていますから」
ギギ、と、六つの銅のヨロイに、
わずかな動揺が走った。
「「「「「 …… 」」」」」
「それは……男性と結婚しないという意味ですか?」
は……、わかってんじゃないのよ。
「ぁー……カンチガイしないでよ? 別に、男性に嫌悪感があるとかじゃないの」
「アンティ、見せた方が早い」
──ぐっ。
……!
マイスナに唇を奪われ、
お互いのおへそに、紋章が現れる。
肌に、根を張られる感覚。
熱い、直線で構成される流路に、
頬くらいまで侵食されながら、
そのまま、しゃべった。
「「「「「「 …… 」」」」」」
「……訳あって、私たち二人は多分、一生……離れられない。それに私は、この子を心から愛してる。たとえ、どんな事があったとしても……添い遂げたいと思っている」
「どうしても子供を育てたくなったら、養子を貰おうと考えています。私たちは、私たちで終わります。未来に……残るモノは、保証できない」
「……血を残そうとは、思わないのですか?」
「そりゃ、血の繋がりは大切だと思う。でも、家族である、という事の、ぜったいの条件では無い。そうでしょう?」
「「「「「「 ……! 」」」」」」
「血が繋がっていなくても、大切な家族になっている人たちは、たくさんいると思う。私たちのように」
「「「「「 …… 」」」」」
「……、心から、その御意見に、賛同します」
──?
なにやら含みのある返答だった。
でも……銅のヨロイの上からも、
ずいぶん、深く納得しているように見えた。
「未来の事は、さておき──お仕えする、お許しはいただけますでしょうか?」
「ぃ、いや、お許しって……」
「ぁの、ぶっちゃけ、困るのですが……」
んぅー……、弱った。
私はモチロン、マイスナもだが。
つまり、どうも、
真っ直ぐな意見に弱いのだ。
誠実な思いには、誠実に返す。
食堂娘として育った、接客魂の基本だ。
くそったれ、身から出たサビってやつか。
さいきん、ヒミツの流出がヤバぃ……!
でも、正直に対応するしか……ないか。
どっちくしょう……!
「……困惑は、おおきいわ。掻き回さないで欲しいとも、思ってる。それは……わかるわね?」
「「「「「「 ……(コクリ) 」」」」」」
銅のお姉さんたちは、頷く。
はぁ……だが、それでも。
引き下がれない恩義を感じているという事を。
私たちの方も……理解してしまった。
妥協……しなくちゃ、いけない、か──……。
「んぅ〜〜……。──いざと言う時は、助けてもらうかもしんない! 今日の所は……それで、カンベンして」
「久しぶりの、お昼おうちデートなんです……。察してください!」
「「「「「「 畏まりました 」」」」」」
銅チーム、いっせいに、音も無く、立った。
さ、さすが、暗殺職……つーか、
ホント、どうやって侵入されたのよ……。
「愛を育んでいらっしゃる時に、申し訳ありませんでした」
マイスナの方を見ると、
この子も、赤面していた。
ほんっと、かんべんすれ……。
「本日の最後に、ひとつだけ……よろしいでしょうか」
「「 な、なんですかっ!? 」」
先頭の銅お姉さんが、
自分の鎧の胸を辺りを触りながら、
そっと言う。
「この……造り直していただいた、素晴らしい銅の鎧ですが……流石に、ここまでの鎧を自分たちで手入れする自信は、毛頭ないのです。どこか……腕の良い、行きつけの鍛冶屋など、御紹介願えませんでしょうか?」
「む"っ……」
「それ、なんか、光ってますね」
マイスナの言うとおり、
6人おそろいの銅ヨロイは、
何故か……所々、
淡く、青く光っていた。
……??? なんだ、アレ……。
まさに、"青銅"──って感じだ。
「どうやら、祝福の効果が永続的にかかっているようなのです」
「そうなの!?」
「加護つきのヨロイ、という事ですか?」
私たちならメンテナンスできるかも、
と思ったけんども!
なんか、ヨロイが進化しちゃってる……!?
流石に、食堂娘には手があまるってぇ!!
それに、毎回、ヨロイの整備のために、
私たちの聖域に踏み込まれる……?
そ、そにゃコトがあって、
なるものかぁぁああああ──っ!!!//////
「ちなみに、私たちは半分、お尋ね者のような者ですので……」
「できれば、ワケありの者にも、寛容な鍛冶屋など知っておられたら、とても……有り難いのですが──」
む、難しいコト、言いやがってぇぇ……!!
ヨロイに詳しくって、
ワケありの客でも、
大丈夫なトコロ、ですって……!?
──そ、そんにゃの!!
アソコしか、ないじゃない、のッッ──!!
「「 ……っ、…… 」」
「……? アンティ様? マイスナ様?」
くっ……ダメだ!
他に、思いつかねぇ。
し、しかたねぇ……。
アソコなら、肌着もぜんぶ、
そろうだろうし……。
私とマイスナは、顔を見合わし。
うむむむむぅ、と考えた後、
意を決して、教えてあげた!
「う"っ、腕はいいけど──かぁ、なぁ、りぃ、店主に難がある……お店なら、紹介できるわ……ッ!?」
「腕は素晴らしいですが、初見さんには、キビしいですよ……」
「……と、仰いますと?」
「「 まず……隠す、面積が少ない…… 」」
「「「「「「 ??? 」」」」」」
もういい。
地図、書いてあげた。
超・正確。
「ほっ、ほら──!! これ、持っていきなさい!! つーか、その店が無理だったら、他は知んないからっ、あきらめなさいよっ!!?」
「さあ、出て行って!!! もう、出て行ってくださーいっ!!!」
「……! 有り難く存じます」
「「「「「 では── 」」」」」
「「 ……! 」」
姿が、掻き消える。
うっそぉ……。
コレ、やられる側は、
こんな感じなのね……。
「にょきっとなぁあああああ!!」
「かんかん? かんかんくる」
少しの、静寂の間。
まだ、高い太陽の位置。
私たちは────身悶える。
「──ぬぁぁぁぁあああああぁぁぁ〜〜〜〜ッッ……/////////」
「──ばかばかばかばかばかぁぁぁ〜〜〜〜ッッ……/////////」
『────ご:ご愁傷様です……☼』
『>>>……これ、ヒゲイド氏には、なんて言うんだぃ……?』
う、うるしゃ──い!!
これ以上、心労かけて、どーすんだぁ!!
モチっ、だんまりだっ、だんまりィっ!!
バレるまでは、ゼッタイ、
言わないもーんぅ!!!
「もー!!! 神様の、バカぁぁああああ──!!!」
「私たちが、何したって言うんですかぁああ──!!!」
『────す:すみません……☼』
あ、そうでしたね。
「……えぇーい!!! 服脱げ、マイスナぁああ──!!! 記憶がトぶくらいぃ徹底的に、トコトン、やってやらぁあああ──!!!」
「うぇーい!!! 敵味方、ドッキングぅううううううう──!!!」
──ギャォオオオオオオオンンン!!?
──キュウウイイイイイィィ──!!?
記憶を消し去る努力をするため、
私たちは、全力で布団を被った!
(・ω・ )次回、超たのしみじゃん。










