零絶のチカラ
前話では、たいへんなマチガイ誤字を
してしまい……(^_^;)(笑)
✕ 四絶 ⇒ 〇 反絶
魔刃のスキルは、4つのうち、
3つが消滅しています(´இωஇ`)
ドニオスに帰ってきてから、
もうすぐ、一週間?
色々あったん。
とりあえずヒゲイドさんに捕まった。
「来たな。冒険者たちから、そこそこの大きさの岩山が崩壊している場所を見つけた、と報告があったのだが……お前たち、なんか知らんか?」
「「 知りましぇーん…… 」」
「今なら怒らんぞ」
「「 しっ……、知りましぇーん……ッ!! 」」
「……ほぉー、そうか。なら、コレを見ろ。ついさっき、俺のギルド水晶球に届いたメッセージだ」
「「 へっ……? 」」
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from:リビエステラ
to:ヒゲイド
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突然の長文メッセージに驚かれるでしょうが、
まずは、御礼を言わせてください。
先日は失礼な態度をとったにも関わらず、
アンティ・クルル、マイスナ・オクセン両名を
派遣して頂き、誠に有難うございました。
正直な所……お姉さま御二方が居なければ、
このホールエル……今も存在していたか、
わかりません。
大変、心苦しくはありますが、
そちらの意向に沿い、
功績は、全て隠蔽することに致しました。
民衆たちは上手く、他のプレミオムズの方と、
恐れ多くも私の手柄と思っているようです。
審議局の噂は もう耳にしているでしょうが、
審議官第一席であるエコープルを、
私が勝手に匿っていることについても、
今回、譲っていただいた名声が、
上手く働いているように思います。
この御恩は、何らかの形で、
必ず お返し致します。
ホールエル・ギルドマスター
リビエステラ
P.S.
このような長文機能が解放できようとは、
正直……驚きました!
やってくださった、お姉さま御二人には、
厚く、御礼お伝えくださいっ!
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「「 ……(ダラダラダラ……) 」」
「こんな長い手紙をもらったのは、生まれて初めてだ」
「 そ、そですかぁ…… 」
「 ヨカタデスネ 」
「お前ら…………水晶球の術式を、書き換えられるのか?」
「「 (´・з・`;)ひゅ〜〜、ひゅ、ひゅ〜〜♪ 」」
「ふんっ!」
──がっしぃいいい・ズォオオオオオオオ──!!!
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ヒゲイド・ザッパー の
ダブル・ヘッドクロー!!▼.*・゜
アンマイ の ほっぺた は
ホールド された!▼
アンマイ は 天 たかく
もちあげ られている!◉▼◉.*・゜
アンマイ は おへそ を
見せながら ジタバタ したッッ!▼
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「 ──へぼぼぶへぶっあああああああ──ッッッ!!? 」
「 ──ふみゅみゅみゅみゅみゅぶぶぶ──ッッッ!!?」
「き、キサマらァァァぁああああ──!!! こんな便利な機能があったら、俺からも!! 詳細な状況確認やら、細かな指示やら!! 色々ッッッ、できただろぉがァァァァァあああ────!!!!!」
「「 ごごごごごみぇんなしぁああああああい!!!!!」」
「ん? アンティ! おまえ……少しだけ重いような……? ふとったのか?」
「──ち"が"う"も"お"お"お"お"お"お"ん"ん"ん"!!!」
「──か、かおっ、はなしてぇーっ!」
地上に降りた後、
ヒゲイドさんの水晶球の通信制限を解放した。
リビのアホぉ……。
次に会ったら、オシオキだぁ……。
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from:ヒゲイド
to:リビエステラ
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ふん、とうとうバレてしまったな。
だが、そちらが無事で何よりだ。
訳あって、このふたりには、
なんの組織にも囚われぬよう、
自由に行動させている。
俺の独断に近い状況だが、
今は……秘密裏にしてもらえれば、
非常に有難い。
君も察するとおり、
この長文機能を知るものは少ない。
"光の手紙"……を欲する者は、
後を絶たない、用心しろ。
秘匿は願いたいが、
何か相談事があれば、
気軽に話し合える関係が望ましい。
君は世間に思われるより、
ずっと頼りがいがあるように思えた。
何かあれば、連絡する。
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────PON☆
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from:リビエステラ
to:ヒゲイド
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感謝に堪えません。
なるほど……そういう事ですのね。
……"光の手紙"の件、
承りました。
どうやら、あなた様も、
巷で聞く武勇伝よりは、
ずいぶんと お優しい御様子。
ふふ……世間の噂など、
アテにならないものですね、ミスター?
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「……俺って、他の街で、けっこう怖がられてる?」
ヒゲイドさんは、ドニオスのお父さんですよ、
と、言っておいた。
+ ∩ ∩ にょきっとな!
●(ฅ˙꒳˙ฅ)●
実は、元・岩山、今は砂利道から逃げた後、
色々と試してみた。
新しいシゼツの武器──"シゼノリボルヴ"は、
やはり、ヨロイを着たら、
同時装着されるみたいだ。
余談だけど、
少しだけ大きさを変えられる事が分かった。
小さくも……大きくもできるみたい。
「大きくって……これ以上重くなるのヤなんだけど……」
『────小さくすると:重量も減るようです☼
────良かったですね☼』
『>>>ドラゴンの装甲とか、きみの歯車と同じように、質量変化をするようになってる。多少は大きさの融通が利くね! 相変わらず、トンデモ装備だよ……ははっ!』
腕のレンコンを、まぁまぁ大きくしていると、
ギルドの木製の床が、ミシミシ言った。
……乙女としては、中々フクザツである。
使わない時は、
できるだけ小さめにしておくことに決定。
まぁ、レンコンの見た目に変わりはないけどね!
『────チャンバーを:
────レンコンと呼称するのは:
────アンティくらいですよ……☼』
『>>>やはり、"魔刃シゼツ"、だった時の四つのスキルの内、三つは消えてしまっているね……。"斬絶"、"王絶"、"心絶"は、二度と使えないようだ……。その代わり、"反絶"は引き継がれていて、新しく──"零絶"というスキルが増えてる。ま、選択肢が少ない方が、いざと言う時の判断が早くなることもあるさ』
シゼツのバージョン・アップ(?)は、
多少の頭の切り替えは必要みたい。
私的には……気配を消せる"王絶"は、
チョット心強かったんだけども……。
"心絶"は……ほぼ、使わなかったなぁ。
相手を惑わす効果があったんだっけ?
"斬絶"は……まぁ、元々、サキのチカラで、
食べ物になる以外の魔物を斬るのは反対だ。
「……"反絶"はともかく……新しい"零絶"ってスキルの事を、把握しとかないといけないわよねぇ……」
「今日の配達が終わったら、お祭りまで自由にしていいって、ヒゲさん言ってたよ!」
また、近くの森へ入り、
"零絶"を試してみることにした。
*^-^* くゆくゆ!
(・・)
(﹀)シ
右手のレンコンを大きくし、
前へと構える。
以前のシゼツの能力と同じく、
炎を食わせないと、
私とマイスナの命が無くなってしまう。
『────計算上は:炎の消費量は:
────完全に把握していますが──:
────:一応:少しだけ多めに:
────ふっかけておきます☼』
『>>>最低限の炎だけ消費するように仕向けるけど、小さな魔物が復活する可能性が高い。動いたら、大小関係なく、速攻で仕留めろ』
……"ランダムで接触した死体を蘇生するチカラ"。
いや、ヤバくない?
ヤバいよね。
試す前に、けっこう怖くなってきた。
そもそも……セカイの道理に反しているでしょう。
死んだのを生き返らせるって、何?
……今まで、かなりの魔物を倒してきた。
「……カニの女神モドキとか、復活しないよね?」
『────ご安心を☼
────そこまで大量の炎を消費させる気は:
────毛頭ありません☼』
『>>>ま、きみの心配は、もっともだ。炎の消費量によっては、レイドボスすら……復活する可能性がある。だから、きみ達の生命が脅かされず、なおかつ最低限の消費量を把握する事が目的だ。昨日、クラウンちゃんと徹夜でシミュレーションした。十割、大丈夫な数字でやる。信用してくれていい。失敗したら、仮面、壊しな』
そこまで言われちゃあ、信じたくもなる。
私は意を決して、空の弾倉を構え直した。
『────アンティのタイミングで:どうぞ☼』
「いくわよ」
──── ダ ァ ア ア ア ン ン !!
──にょきっ。
目の前の地面に、ニンジンが生えた。
「にょんやぁ♡」
うさ丸が喜んだ。
その後、続けて3発ほど撃った。
結果。
2回目:キャベツ。
3回目:生きた小魚。
4発目は、炎の消費量の計算が、
ほぼ、予測通りだったので、
ほんの少しだけ多めに火を食わせた。
4回目:小さなフォレストウルフ。
「とりゃー!」
『 FOBGHIhgiiYYAAA──!!? 』
──ずどーん!
マイスナが、雷をおとして一瞬で狩った。
ちょっと可哀想だった。
ウルフ型の消し炭ができた。
よく燃えそうだ。
『────やはり:魔物も蘇生対象に入りますか……☼』
『>>>だいたいの感覚は分かったよ。次は、3発目と4発目の中間の炎量で撃ってみよう』
5回目:ノーマル・ラビット。
「にょきっとなぁ……」
可哀想なので、そのまま逃がした。
「……もしかして、ものっそい食費、浮く……!? か、神か……ッ!? やったあああああああああ」
「タダ飯ばんざーい! ふぉーう!!」
マイスナと喜んだ。
『──え"っ、そぅいぅ方向なの……私?❖』
< あんらぁ〜〜? 安ちん、もぉ炎・操るの、終わりかぇ〜〜? じゃ、晩御飯の支度しますぇ〜〜♪ こっちきぃ、シゼっちゃん♪ >
『──あ、あなたはぁ! 火の神様の自覚、もうちょっと、持ちなさ──っい!!❖』
と、いいつつも、昨日お昼寝した時に、
シゼツが箱庭の居間で、
美味しそうに、ご飯を食べていた。
私が見てるのに気づいたら、
恥ずかしそうにしてたけど。
どうやら問題なく、
新居と仲間に馴染めそうだ。
『>>>……わかってると思うが……死んだ人間を生き返らせる、っつーのは……』
「そこまで……浅はかじゃないわよ。しかも、ランダムなんでしょ? わきまえるし……思い留まるわよ。ボスキャラが復活したら、シャレになんないし」
『>>>……なんだか、すまないな』
つーか……まだ、
大切な人が亡くなった事は……ないし。
……。やはり、かなり強烈な能力ではある。
考えたくもないけど、もし……母さんが、
いきなり死んじゃったとして。
魔物を生み出し続けていいなら、
このレンコンで、空撃ちしまくっていれば、
いつか会えるかもしれない。
「……怖さは、よく分かる。でも、我慢しなきゃいけない。そう思う」
『────あなたの美徳は:
────その精神にあると思います☼』
その日の夜、マイスナと一緒に、
ベッドの中で、アッパーのドライブを見ていた。
「……シゼツのチカラで、ゴーレムである、この子も……生き返るのかな?」
「わからない。でも……この子の意志とチカラは、ここにあると思う」
" アッパードライブ "の起動は、
一度も……成功していない。
" すべてをかけてアッパーする "という、
謎の能力。
『────然るべき時が来たら:
────起動:するのでしょうか……☼』
『>>>わからない。でも、シゼノリボルヴを安易に使用したら、彼と共に倒した……あのレイドボスさえ、復活するかもしれない。そんな事は……彼に申し訳がたたないだろう?』
当然だ。
あの土のバケモノが復活したら、
なんのために、アッパーが頑張ったか、
わからなくなる。
この日、マイスナと、
"零絶"の極大使用は、
永遠に封印しようと、話し合って決めた。
「また、アッパーと会えればいいね……」
「うん……」
アッパーのドライブと、心臓の宝石は、
今も、私たちの中にある。
生きていれば、
いなくなった人たちが、
真に、死ぬことはない。
最近、やっと……、
その意味が、わかってきた気がする。
「アンティが死ぬまでは、私が覚えておいてあげるね……」
「……ふふ、ありがとぉ」
そういえば、
アッパーの心臓のカケラで作った、
あの、カトラリーセット……。
王女様は、大切に使ってくれているだろうか──。
『────私たちは……:
────とても:幸運なのかもしれませんね☼』
私たちが眠る前に。
クラウンが、ポツリと言った。
(´இωஇ`)しっとり回だったぬ!