壁ドンガチャ さーしーえー
今日はアンちゃん視点だね!( ๑•̀ω•́๑)+
『──……ぶぅ❖』
いくら目の前の子が、
元・神様だって言われても。
ウチの食堂の客席でスネてる、
近所のガキンチョと変わりゃーしないわ!
「可愛いおべべね、シゼツ?」
『──……どうせアンティも、私の事……滑稽だと思ってるんでしょぅぅ……❖』
「んなこたぁー、誰も言ってないでしょおぅ?」
何やら両肩と両太ももだけが大きく露出した、
けったいな服装になったイタズラっ子。
ジロリとコチラを向きながら、
不機嫌そうな眉毛をして。
着替えただけにも──見えるけれど。
よく見ると、デコのツノが四つから、
ふたつになって……、いや。
そもそも、角じゃーなくなってるわね。
なんか……トんがってない。
……貝柱みたいな?
「金属の乳首みたいなツノだね」
「にょっ……!?」
「かんかん」
『──……、……ぐ、ぐぶぅぅううっ……!❖』
嫁、素直。
……。
……。
……笑わぬ。
わたし、笑ってない。
肩、揺れてにゃい、ゾっ。
「……、……、、……」
『────アンティ:耐えてください☼』
『>>>がんばれ、主人公ぉー』
時に真実は残酷であり、
困ったことに……耐え難い。
私はジト目の元・神様に、
笑みを噛み殺しながら、語りかける。
「はぁー。後で好きなだけ愚痴は聞くわ。今からやること……わかってるわよね?」
『──……前と同じ武装形態には、なれないと思う❖ ずっと積み上げて来たことが……もう、何も無い❖』
「私は今まで、アンタが守ってくれた火で料理をしてきた」
『──私は……幽霊みたいなもの❖ もう……なんの意味も無く、漂っているだけ❖』
「世の中の全てに、意味があるもんか。だから……自由に決められる。そう、思えるようになった」
『──……❖』
「ヒントをちょうだい、シゼツ。あんたも私も、ここでは終わらない」
『──……❖ ジュンヤとサンドマンが"序列"をズラした事で……私たち、ダンジョン・サーバーは多かれ少なかれ、歪んでいたわ……❖ 私はソレを、ずっと利用してきた……❖ 私は目覚めるために、負の連鎖を信じたの』
「大量の"死"を……"目覚まし時計"の代わりにした。そう……言ってたわね?」
『──ふふふ、アンティ……❖ この世界にも、私たちの時代にも、もう……目覚まし時計なんてないのよ❖ ずいぶんと、仮面のお兄ちゃんの知識が根付いたみたいだね……?❖』
「はん……それくらい、ふてぶてしい方が、アンタらしいわ。何故、"お着替え"したの?」
『……! ……❖ 概念を……積み上げていたのよ……まさに、積み木みたいにね……❖ "四"は、"死"を連想させ……"四"は、"一"と"二"と、"三"の次……❖ そういう、バグの、抜け道を多分に利用して──❖』
「……試験で満点を取れそうにないわ?」
『──きひ……この世界の人たちに、プログラミング言語の講義はキビしいよ、アンティ……❖ 私は……"四"の言葉遊びを利用して、基礎言語に干渉した……❖ でも……私の本来のナンバーは、"三"──。だから、今更……こんな事になるなんて……❖』
「……。イニィさんと……サキと、ダイ姉の身体は、もう借りられないのね?」
『──そうよ! あのニコニコした、新しい火の神様に、言ってやって!❖ あの人ったらぁ……! 今、"カッポーギ"を着て、お風呂を掃除しているのよ! 信じらんないっ……!❖ あの人の概念が、もし無くなったら、火が……この世界から、全て無くなるのに!』
「えーっと、カッポーギってなんだっけ?」
『──和エプロン!❖』
「ワエプロン?」
『──アンティぃぃぃ〜〜……❖』
「やー……それで怒らないで、御先祖様ぁ……。今の状態で武器化したらどうなるか……それは、試したい。だけど、アンタの存在が失われるなら……魔刃なんて一生いらない」
『──! ……❖ どうなるか、本当に……わからない。安定はしているのよ!❖ ナンバリングは本来の状態なんだもの、構成は……しっかりとしてる❖』
「……試してみても、いい?」
『──きひ……❖ もし、壊れたって、どうせ世界になんの影響もないわ……❖』
「次、同じことを言ったら、あだ名、デコ乳首にすっかんな……。いいから、こっちに来なさい──」
『──ぉ……横暴な、子孫だぁ……!!❖』
うるせぇ。
先祖なんざ、関係ない。
今のコイツは、投げやりチビだ。
「アンタは……ぜったいに、私たちにとって大切な隠し味になる。もう、お役御免だなんて勘違いはやめて」
『──あら、そうね、自由の身だし……❖ 可愛い子孫のために、傭兵のように働きましょうか?❖』
「お風呂掃除の後には、お菓子食べ放題でもいい。箱庭にプールを作ってもいいし、私が毎日あっちでご飯を作ってもいい」
『──ぁ、わ、わるかったわよ……!❖ 必要以上にスネるのは止めるから、子供扱いはよしてっ……!❖ もうっ……❖』
「こっちにおいで。怖くなんてない──」
『──優しいやつって、厄介だわ……❖』
近くに来たシゼツは、
死の神様なんかじゃない。
むしろ……活き活きしてるとさえ思う。
おまえ、初対面で、
裸の私に水鉄砲くらわしたの、
一生、忘れてやらねぇかんな。
ぜってぇ、やり返してやるから、
自暴自棄になんてなんな。
近くに来たシゼツは、
不安そうな目で私を見ている。
「緊張してるだろうけど……あまり怖がらないで。"どらいぶ"に変換できたら、"むねあて"で起動してみるわ。苦痛を感じたら、すぐに言いなさい。アンタには……ざぶとんに座って、みんなと晩御飯を食べるくらいの未来は待ってる」
『──う、うん……❖ 勘違いしないで、ずっと……信頼はしてる❖』
「……おし。クラウン!」
『────レディ☼
────最優先は:彼女の人格の保護です☼
────これは覆ることの無い方針です☼』
『>>>是非も無い。子供に殺す価値なんて無い。永久にだ』
『──むーっ!❖』
「カッコつけてるトコ悪いけど、子供扱はNGだっつの……。ホレ、おいでっ」
『──ぅんっ❖』
しょぼんとした、お着替え後のシゼツは、
私の手の中で──"はぐるま"へと成っていく。
──光。
──何も聞こえない音。
「光にとけた」
「にょやーっ!?」
「くゆっくゆぅ!!」
「……" シゼツドライブ "……」
燃えるような、はぐるま。
うさ丸にあげた、赤いはぐるまに似ている。
でも──その輝きは、
うさ丸には悪いが、段違いのソレだ。
"炎"を生み出すかのような、
白熱の……"どらいぶ"。
「──クラウン!」
『────いつでも:いけます!☼』
"どらいぶ"を、むねあてに、
セットしようとした、その瞬間──……!!
「 な ── ・・・!? 」
おもむろに、光が爆散した────……!!
「──シゼ──ッッ……!?」
『──だ、大丈夫! 意識はあるっ……❖』
目の前に、予想不可能な光景が表示される。
……は?
──────────────────────
♬︎
♪ ♪*゜
◇ ◆
◆ ◇ ♬︎
◇ ◆
◆ 〖 武装ガチャ 〗 ◇
『→→→HAHAHAHAHAHA!!!!!
→→→SSR確定:GODガチャあああ!!!』
◇ 〖まわす〗 ◆
◆ ◇
◇ ◆
◆ ◇
♪
♬︎ ♪
♬︎.*・
──────────────────────
「 ……………… 」
──……。
シバかれてぁか、
このチャラ男がァぁあぁ……。
『──私も……、けっこう、驚いてる……❖』
…………目の前で。
ペラッペラの、金髪のサイボーグの絵が、
ピコピコと点滅していやがるのだわ。
すんげぇ、高笑いボイス、
聞こえるや『→→→HAHAHAHAHAHA!!!』……。
ははっ、ハラたつわー。
見てよ、この金キラ……。
どっかの、スキル寝取り義賊に、
クリソツじゃんよぉー。
『>>>いや、似てるのって、髪型だけだろ……』
『────ぁ:分析完了……☼
────ぶ……:"武装ガチャ"……???☼』
シゼツが変化した"どらいぶ"は、
光になって霧散してしまい、
ハイテンションな、
サイボーグのペラペラ絵が、
カクカクと動いていやがるだけ。
なんだ、この〖まわす〗って……。
誰か食堂娘にわかるように説明すれ。
『────久しぶりに見るツラです☼』
『>>>これ……スマホゲームとかの、ガチャ画面……だよなぁ?』
『──しっ、信じらんなぁいぃぃ……❖ 私のデータ……武装ガチャと、連動してるのぉ お お お …… !? ❖』
ガチャってなんなの。
わたくし、情報弱者なん??
「そろそろ食堂娘にも、わかるように言ってくんなぃ?」
『────おそらく:ですが……☼
────そのボタンを押し込むと:
────ランダムでシゼツの武装形態が:
────選出されるのだと予測されます☼』
『>>>くじ引きというか……ねぇ。多分だけど。ぼく達の時代のゲームの、ポピュラーな賭け事のカタチというか!』
「おーっ♪ つまりギャンブルかぁー♪ よぉ──しッ♪ 次にキングマンに会った時ぁ、ぜってーシバくぞーっ♪♪.*・゜」
わたしゃー、ギャンブルって、
キレぇーなんだぁわぁぁー。
金はな、汗水たらして、稼ぐもんだぁー。
あはは♪ ゆるさんぞ、キングマン。
くるみ割り人形みたいなボディしやがって。
────────────────────
♬︎.*・゜
♪.*・゜
『→→→HAHAHAHAHAHA──!!!
→→→さぁ!! はやく運命の──
→→→ボタンを押したまえよ──♪♪
→→→READY? HAHAHAHAHAHA!!!』
♪.*・゜
♬︎.*・゜
────────────────────
「ッぜーぇ♪ こんの、なっつかしいチャラさ……あはは、マジありえねー。つーかコイツ……ナマで しゃべってんじゃねーだろーなぁ──?」
『────流石に……:
────それは無いと:思いますが……☼』
「ふぅーぅ……わかった。 おいッッッ、ざッけんなよ……、──出てこいゴルぅああああああああぁぁぁ!!!」
──ドンッ!! ドンっっ!!!
──バキゴッッッ。
──ガッ!! ──ガキィン!!
──────────────────────
『→→→HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!!
→→→あらぶってるねぇーLADYYYYY?』
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「アンティ、おこったねー」
「にょんやぁぁぁ……」
「かんかん……」
『────アンティ☼
────流石に:非推奨行動です……☼』
『>>>後輩ちゃん……? 故郷のお父さんとお母さんが、悲しむよ……?』
──はっ……!?
ちょ……ちょっと冷静さを失ってた。
よ、よーし……。落ち着いて、
『ガチャ』とやらのボタンを押しましょ……!
── ド ォ キ オ ン ン ッッ !!!
『────……☼』
『>>>蹴んなよ……』
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チャラララララww♪.*・゜
チャラララララララww♬︎.*・゜
トゥントゥントゥントゥントゥン・・・!!♪.*・゜
HAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHAHA──!!!
(SE)
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なんか、クルクル回るエフェクト。
なに踊っとんのじゃ、キサマ。
わかったぞ……勿体ぶられてんな。
「ぁ? やくしろよ……」
『────アンティ:耐えるのです……☼』
『>>>パチンコの演出みたいな音だな……』
「まぶしー」
「にょんやぁー」
「くゆっくゆくゆくゆくゆくゆくゆくゆくゆゆゆゅゅ──っっ……!?」
『──あ────……❖』
──── ポ ン っっ ☆
Newシゼツの姿は……!?