表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/1216

クラウン様は、家政婦さん?


 3人で塔の中に入ると、前に入った、クルルカンの隠れ家の迷宮跡を思い出した。

 ま、こっちのほうは、白っぽいレンガ造りだけどね。


 中は空洞だったんだね。

 大きいな。

 一辺10メルはあるんじゃないの?

 四角い空間の壁際に、螺旋の階段が張り巡らされている。

 ちょこちょこ光を入れるスキマがあって、ガラスもしっかりはめられているみたい。

 後ろの出入り口から、風がピュオピュオ入る。


「うぅ……私、この階段を見ただけで、足がすくみます……」

「夜はかなり暗くなる。気をつけろよ」

「あ、多分、大丈夫です」


 階段は使わないし(・・・・・・・・)

 火は手持ちがある(・・・・・・・・)


「……嘘ではなさそうだ」

「ええ〜〜っ! アンティさん、大丈夫ですかぁ〜〜!」

「大丈夫ですって……」


 はやく!

 はやく1人にして!

 ()飛べないでしょ(・・・・・・・)!!


「……床材ふくめ、基礎の素材には、かなり高度な保護魔法がかけられている。……だが、汚れはそれなりだぞ?」

「うっ……それは、がんばる……」


 うわぁ、まずお掃除だなぁ……。


「少し、様子を見たら、1度、ギルドに顔を見せるよ」

「その時に毛布を渡そう。床だけは、今日、掃除を終わらせろ」

「ありがとうございます!」

「む…………」






「あ、しまった! ギルマス! 私、アンティさんに、明日からの仕事の内容を言うの、すっかり、忘れてました!」

「……後にしろ。降りてくると、言っていただろう」

「いや……でも、疲れているでしょうから。後で言うのは結構可哀想というか……戻って、先に伝えちゃいます!」

「……キッティ」

「? はい?」


「……俺の予想では、もうアイツは(・・・・・・)部屋に着いている(・・・・・・・・)


「……はい? ギルマス、何、言ってるんです? あの塔の高さは(・・・・・・・)4()0()メルもあるんですよ(・・・・・・・・・)? まだ、階段の途中ですって……」


「……止めはせん」

「?? は、はい」




 タッタッタッタッ……




「まさかね……2フヌも、経って……」


 ガチャコン!


「アンティーさ────ん!! いますかぁ──────!?」



 かぁぁ────────?

 かぁ────……

 かぁ──……



 ────────────……。



「う、そ……。ほんとに…………?」







「くらっ! カビ臭っ!!」


 ボッ!!

 ボボッ!!

 くるる〜〜!


 ミニ山火事、浮遊。


「うわああああ、粉っぽいぃぃい!」


 砂か? 砂なのか!?

 こんな高い所にも、風とかで運ばれるのか!?


「うううう……(ほうき)とかどこ〜〜」


 1人部屋にしてはまぁまぁの広さがあるけど、幾分間取りがわかんない。

 ミニ山火事を増やそうかな……。


「うぇええ……カビくさい……あ、ここ、シャワーかな……?」


 お、おそろしい。

 中を見たくない……。

 逃げよう……。


「うわあああん!! こんなの1人で無理だよううう!!」


 今晩、こんなカビ臭い所で寝ろってか!

 ……頭さげて、下界(ギルド)で寝ようかな。

 こんなカビ臭い隠れ家、どっかに見えない場所にポイしたいわ……。



「……ん?」


 見えない場所に、ポイ?



「……クラウン。"汚れ" "隔離格納"」

『────レディ(準備完了)。』


 きゅる、

 きゅるる、

 きゅきゅきゅきゅ!

 ………………。


 ────ぶぉぉぉおおおおおおおおおん!!!





 バ、バ、バ。


「────バッグ歯車さま! きたァァアあああ!!!」


 す、すごい! めっちゃ汚れ吸い込んでる!!

 わあああああああああい!

 やったあああああい!!!

 最低の"時限結晶"の使い方だぁあああああ──!!!

 ひゃっほう─────!!!!!!


「あ、でも、カビは生き物だからムリか……」

『────案。適量の"カーディフの火"と水で、煮沸消毒しながら死滅させた後、格納可。』

「何それ、やって!!!!」


 ぐぉおおおおおおおん!!!


「おお……!」


 2重になった歯車のスキマから、オレンジの熱気がでている。

 おおっ! あっちは、なんか水蒸気を吹き付けてるぞ!

 あれ!? カビ臭く……ない!?

 おっ? おっ?

 はやいぞ!!

 すごいぞ!!


『────確認。"身体"、"衣服"はどうされますか?』

「……はい? どゆこと?」

『────"身体"に含まれる該当対象。』

『脂、歯垢、垢、汗、頭髪等の汚れの殺菌、格納。』

『────"衣服"に含まれる該当対象。』

『肌着、クルルスーツ、クルルカンの仮面等の殺菌、汚れの除去。』



「…………」



 ……それってさぁ。


 お風呂も、

 歯磨きも、

 洗濯も、


 ぜぇんぶ、歯車で出来るって事じゃないの……。


 マジっすか……。



「……お願い致します、クラウン様……」

『────敬称はおやめ下さい。実行中。』





 きゅうううううん────────!!






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『今回の目次絵』

『ピクシブ百科事典』 『XTwitter』 『オーバーラップ特設サイト』 『勝手に小説ランキングに投票する!』
『はぐるまどらいぶ。はじめから読む』
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ