べそべそせんぞ? さーしーえー
マンガ最新話、せくすぃーでしたね!(笑)
負けてらんねぇ……!((((;゜Д゜)))).*・゜
「おはよう」
「うん」
箱庭で起きる時。
いつも、嘘だと思ってしまう。
これが、夢のはずがない。
それは、当たっているように思う。
「ちょっと、寒いね」
「うん」
夏の終わりのはずなのに。
木造の城の天守は冷たく。
肺の中を洗い浸すような。
無風の空気を孕んでいる。
広がる朱色は、
花を売るための名残りらしい。
「「 …… 」」
はたして彼女は、花か、客か──。
「「 ……ふふ 」」
どっちでも、いいこった。
「「 すぅ──、ふぅ── 」」
深呼吸をして、
空気が美味しいと思う時点で、
色々とアウト……なんだろう。
足が、はみ出した時に、
畳の感触がするのも、悪くない。
大きな、空飛ぶ船の上とは、
思えないよな……。
「……夜なのに、こっちで起きると、挨拶に迷うね♪」
「えへへ……♪」
『────夜分に:すみません☼
────などは……どうでしょう☼』
「「 あっ…… 」」
襖から、ひっそりと半身が出たクラウンは、
申し訳なさそうに、覗いている。
ふふふ……なんだか、おかしい。
『────紙のドアのノックの方法が:
────まだ:分からないのです……☼』
「きひひ。難解ね?」
「おはようございます、クラウンさん」
『──……出直しましょうか?☼』
ずいぶんと、恐る恐る、クラウンはたずねる。
あ……そうか、服か。
「いや、いいわ。ちょっと待ってて?」
「用意します。すみません」
ぶあさっ、と
布団を、ひっぺがすと────?
「「 ──ぅおあっ・・・!? //// 」」
な、なんじゃ、こりゃあぁー……ッ!?
何故か、マイスナも私も、
裸に、ロングソックスだった……。
え、エロぃし……。
なんでやねんな……。
へっ、変態じゃないんだから……。
「そ、そっち引っ張って……!///」
「は、はぃっ……///」
まだ、お布団に座っていたので、
脚を相手の方に向け、
太ももから、なっがい靴下を、ひっぺがし合う。
なんか恥ずいので脱ぐし。
──────────────────────
黒のニーソックス(ホログラム) × 2
を 手に入れた!▼
ちょ、あ、あかんて!▼
そ、そのポーズは……!▼
で、電気アンマィぃい……!?≧▼≦;.*・゜
──────────────────────
「なぜに、こんなモン、はいとんのじゃ──いいい!!」
「ふみっ♡」
『────??☼
────ど:どうかされましたか……?☼』
なんでもないすー。
そばにある、
木の、物干し竿みたいなのに掛けてあった、
美しい、着物を羽織る──。
紅と、蒼。
テキトーに、オビる。
「かみ、しばりあいっこしよ?」
「きひひ///」
『────そ:その帯は……強度不足です☼
────手伝います☼
────よろしいですか☼』
トン、トン、トン──。
とっ、とっ、とっ──。
たっ、たっ、たっ──。
木の廊下を裸足で歩くのは、
相変わらず、気持ちがいい。
着物の裾が、床を拭き掃除しちゃうほど長いので、
少し汚れが気になるけど……ま、大丈夫だろう。
箱庭の通路は、いつもでも、ツルツル、ピカピカだ。
今更だけど、
こんな床が実際の世界にあるとしたら、
とんでもない、高級旅館に違いない。
ナトリの街の中は入った事ないけど、
こんな建物が、いっぱいあるんだろうか……。
相も変わらず、
少しクラクラする、赤と黒の内装が流れていく。
でも、やはり、照る提灯は幻想的で。
それは、目の前を歩くクラウンの、
美しい髪を輝かす。
「なんか、金髪だけど……たまに、虹色に光ってる!」
「きれいですね。とても──」
『────……!?☼
────ぁ///:ありがとう:ございます……☼』
たじたじしているクラウンは、
何とも言えない気恥しさを含んでいる。
『────カネトは:
────気に入ってくれるでしょうか……☼』
「うるせぇぞ人妻め。きひひ、知らんがな!」
「男性の好みは、わかりませんっ」
神秘的、ってのは、
今のクラウンには、ピッタリの言葉だ。
しばらく、静かに3人、歩き──。
ポツリと言われた。
『────……もう少し:
────落ち込んでるかと:思っていました☼』
……。
「……たぶんね。本能的には……わかっていたのよ。あんな風に……なるって事」
「……」
『────"77"は:
────絶対的な数字では:ありません☼』
「「 ! 」」
ひどく、無駄がない切り出し方だった。
『────最も限界距離に影響を与えるのは:
────あなた方の心情や……体調面です☼
────たった一回の実験で……:
────神聖化できるような数値では:ありません☼』
「……っと。もしかしなくても、はげましてくれてる?」
「……クラウンさんの……言う通りなのかも、しれません。ですが──」
『────……?☼』
マイスナは、決して投げやりではなく。
しっかりと、受け止めているように話した。
「私の……"狂い"が……全ての、元凶だとも、思うんです」
「っ、マイスナ……」
『────……☼』
「アンティが……それと、皆が、私を救ってくれた。でも、私の狂いは、あの2年──うぅん……、アンティに初めて会った日から、ずぅっと……育っていました。あのしびれを……あの、恍惚を。絶望の中にある狂気を──。私は……よく知り過ぎています」
「……」
『────……☼
────感情の爆発は:
────使い方さえ違わなければ:
────素晴らしい機動力になります☼
────あなたの激情に……:
────救われたケースは:確かに存在する☼』
「ふ、ふ……機動力、ですか。面白い変換ですね?」
「こりゃークラウン。私の嫁、動力扱いかーっ?」
『────ほ:本当に:思ったより:
────ずっと冷静ですね……☼
────ぁの……正直に白状するのですが……☼
────暴走する直前まで:
────この程度の距離では暴走しないと:
────タカをくくっていました……☼』
「そうなの?」
「少し、意外です」
『────申し訳:ありません……☼』
……ま、結果的には無事だったんだけど。
なぜ、そんな見積もりが甘くなったんだろ……?
『────あの距離の短さは……:
────まったく予測していませんでした……☼』
クラウンは、
虹色に光る金髪を、なびかせながら、
ショボン・オーラを出しつつ、説明をはじめる。
『────先に報告しておくと──☼
────あなた方が:
────今まで:最も離れた距離は──:
────"244メルトルテ"──です☼』
「「 ── え"っ! 」」
……!?
に、にゃっ……!?
『────その:前例があったので……☼
────当初は:500メルトルテ程までは:
────大丈夫だと予測していたんです……☼』
「え、え、いつ、いつ?」
「わ、わたし、そんなにアンティと、離れましたか!?」
『────はぃ……?☼
────ぇ:あの……" インボリュート "を:
────撃った時に──……☼』
「「 ……────!! 」」
そ、そういえば──……!!
あの、カニメガミさまっ、
けっこう、高身長……だったよね!?
わたし……アレに、飛び蹴りかましたったわな……!?
「そ、そうだ……! あん時、けっこう……離れてる!?」
「わ、わたしっ、アンティが、こぅ……ばびゅーん!! って、ナナメに空からキックするの、地面で見てました!」
『────は:はい……☼
────アレのせいで:箱庭勢は:
────完全に油断していました……☼』
な、なるほどぉ……??
244メルも離れていたなら、
77メルトルテなんか、
そりゃ、警戒はしないわよね……?
「……、でも、だったら……?」
「……なぜ、77だったんでしょう」
『────先程の繰り返しになりますが:
────距離は:重要ではないと予測します☼
────心と:体のコンディション……☼
────例え:ゼロ距離でも……:
────条件さえそろえば:
────あなた方は:暴走はすると仮定されます☼』
「「……っ、……」」
『────心当たりが……あるのでは?☼』
……、……ありまくりである。
変な夢を見た時。
愛を、互いに刻みあった時。
怪異に、愛する人の頬を、傷つけられた時──。
「なんか、色々と……あったような……制御不能、っつーか……?」
「寝起きに、アンティと……。歯車と鎖を、お互いの身体に撃ち込みあったことも、ありましたね……」
『────北東の森で:
────謎の怪異に頬を傷つけられた時も:
────:一瞬ではありますが……:
────暴走状態だったと言えるでしょう☼』
「「っ……」」
そう、あの時も……カッとなって……。
『────心身が……何よりも優先される☼
────そこは:明確なのです☼
────逆に言えば……それさえ安定すれば:
────距離は:かなり伸びると予測しています☼』
「そう……なのかなぁ……?」
「その、私……けっこう……緊張していたんだと思います。プレミオムズの皆の前で、明るく、振る舞い過ぎて……」
『────申し訳ありません☼
────そこを:私たちは予測すべきだった☼』
前を歩くクラウンは、
何か……思い詰めてるようにも見えた。
……。
みんなの前で、自我を失う手前まで行った。
それは……間違いない。
暴走状態の私たちは……お互いを見て。
「「テキ?」」と、尋ねたのだと言う。
「「 …… 」」
──ダメだ。
もう、この子と戦っては、ダメ。
何故だろう、安心さえ、するんだ。
互いに、自分を殺せるのは、
この子だけだと、信じている。
「「……」」
たぶん、狂った私たちは……。
安心して……殺し合うことができる。
何か、常識が、狂い出す。
実感している。
どこかで、
この子になら──殺されてもいいと、思ってる。
「「 ……、…… 」」
それは……狂っていて、
誰にも、止められない。
「どうしたら……いいんだろう?」
「キモチで距離が変動するとしたら……なんで、今回は……」
『────実は……身体的な事についても:
────明確な理由が:
────判明は:していまして……☼』
「えっ」
「そんなものが?」
限界距離が、短くなった……、
身体的な理由??
『────実を言うと……:
────それが今回の実験で:
────:一番の収穫といいましょうか……☼」
「もったいぶんなよぅ、クラウン。教えといてよ」
「私たちの身体に、異常がありますか?」
『────あーぅ……☼
────後で:いいですか……?☼』
なんでやねんな!
てか、あーぅ、って言いました……?
「やっ!? 今、言いなさいよッ!?」
「……?? 私たちが変に緊張していた以外に……身体に、どんな理由が……?」
『────その:ですね……うーん☼』
「もったいぶんわねーっ!」
「ヒントください、ヒント」
クラウンは、前を歩きながら、
あざとく、頬に指をあて、
上を向きながら考え────。
『────…………つ、月:一回?☼』
「「……、……//////」」
わかったった。
ヒントっつーか、モロじゃねぇか……。
そういえば……そろそろだ。
『────お二人共:始まりかけていまして☼
────その辺りのコンディションが:
────こ:今回の限界距離短縮に:
────繋がったのでは:と──☼』
「「 ……////// 」」
おんなのこの日に、
キレやすくなるってことじゃねーか!!
「ほほほほほほほほんとうなのソレェ//////」
「おおおおおおおお腹イタイ日は、ずっとアンティと一緒にいる……!!」
『────たいへん:推奨します☼
────とことん:一緒にいてください☼』
「「 ///、/// 」」
『────まだ:羞恥心は:
────お持ちだったのですね……☼』
あっ、あたりまえじゃいッッ!!
私らを……ナンだと思ってんのよっっ!?
『────ついでに言ってしまうと:
────あと数日で本格的に始まるので:
────さっさとドニオスに帰った方がいいです☼』
「で! でりかしぃい──!!///」
「こ、心持ち、身体に、重みが……///」
『────あはは……☼
────同性なので:ご容赦ください☼』
太陽神は、ほがらかに微笑みになられた。
「なんか、えらい俗っぽい理由だったわねぇ……!?///」
「///……こ、この後、キューキューさんの所へ……いくんですか?」
『────……! いえ……☼
────実は:まだ彼女は眠っています☼
────てっきり:お酒のせいだと:
────ガッツリ断定していたのですが……☼
────どうやら元々:
────かなり疲弊していたようです☼
────シーニャが:かなり強引な:
────ボディの改造をしていたようでして……☼
────今:クニャウンズ達が再調整を:
────行っています☼』
「……なんだ、そう……なのね?」
「てっきり……このあと、"昔話"を聞きにいくんだと思ってました。前の……水の神様、なんですよね……?」
『────……肯定します☼
────今は:ギンガ殿に権限が移っています☼
────まるで:カネトのように──……☼』
「「……」」
先輩も、金曜日の神様を引き継いでる。
それも、知らないうちに……うやむやに。
旧い水の神様から、話を聞きたいのは。
クラウンだけじゃ……ないはずだ。
『────大丈夫ですよ☼
────私の旧友は:ここから逃げられません☼』
「「……」」
クラウンは、にやり、と笑った。
はは……さすが、肝っ玉母さんスキルだ。
少し、こちらも微笑み返した。
「……わかったわ。で……? じゃ、私たちは今、どこにラチられようとしてんの?」
「わーっ。てごめにされるーっ!」
『────あ:すみません☼
────私:旦那さん一筋なので「「いらぁ……」」☼
────実は:少々:
────"平和的な異常事態"が:
────発生しておりまして……☼』
……???
「……それさぁ? まさかのイニィさんの健康診断と関係ある系?」
「やっぱり、具合……悪いんですか? 悪魔さん……」
『────するどいですね☼
────まさにそうです☼
────ぁ……ご安心を☼
────彼女の体調は:至って健康でした☼
────箱庭基準で:ですが──☼』
「んー? なら、いいんだけど……」
「?? でも、なんで、そんな事を、急に……?」
『────同じ健康診断を:
────ダイさんとサキさんにも:
────受けていただきました☼
────御二方共……これまた問題なし☼
────さて:ここで、ナゾナゾです☼
────何が起こっているでしょ──か……♪☼』
「な、なん、だと……?」
「あざといかわいい」
生まれたばかりの純粋無垢な人妻を返せ。
『────ぷっ:ぷっ:ぷっ:ぷ──ん☼』
「「 いらっ 」」
その首の動きやめろ。
あとで先輩なぐろう。
『────本人は:
────"序列が変わったせいだ"と:
────言い張っているんです☼』
「クラウンさーん! 話が見えないわよぉー!?」
「本人って、誰ですか????」
『────あ:もうすぐです☼』
…………ゴゴゴゴゴ・・・ガ・チン・・。
箱庭の四角い廊下が、
まるで、カステラに包丁を入れたように、
ガコン、と、通路ごと、入れ替わる。
……! 少し、下の船体が見えた。
あらっ……箱庭フォートレス、
けっこう、壊れてるなぁ……。
『────今回の件で:
────見事に:"天福が転覆"いたしました☼』
「まさに、シャレになんないわね……」
「なんか、尾翼の形……変わってませんか??」
まぁ、自動修復してくれれば、
別に、どんな形になっても、いいんだけどサ?
クラウン達の、お家みたいなモンだかんなぁ。
ぶっ壊れるのは、しのびない。
今は普通に航行してるし、
いきなりテンプク、なんて事はないと思うけどね!
「アンティ、また、通路が組み変わるよ」
「ぉとと……摩訶不思議、"輪切りロード"よ──」
積み木の玩具のように、
朱赤の空間は連結され。
クラウンの目的地へと、
通路が、導かれていく。
「あれっ……? こっち、居間だよね??」
「箱庭で、ご飯たべる所だ!」
『────肯定します☼』
開け放たれた障子の部屋に、
ズカズカと入る、私たち。
【 ──おっ、来よったか! 】
< おかえりぃー♪ 安ちん、舞ちん♪ >
{{ あぁ……待ってたわ。この子、何とかしてあげて }}
おなじみの、三人の、お姉さんたち。
座布団に、みんな座っている。
へ……?
誰か、泣いてる──……?
『──うっう、ぐすん……うぅっ!❖』
「「 ──!? 」」
『────いい加減:泣きやみなさい……☼』
こ、この子っ……!?
いつもと、服が違うし……!
頭に、四本角もないけど……!!
このっ、私そっくりの、顔は……!?
『──ぶ、ぶぁぁあああああんんんっっ!❖』
「ちっちゃい、アンティ……!?」
「まさか──── シ ゼ ツ ぅ ッ ! ? 」
バージョンアップした、ご先祖さまがいた。
シゼツ絵まにあわんかった(笑)
次回冒頭ですね(*´ω`*)+
マンガ版・第二巻、
よろしゅうで〜〜っす!٩(>ω<*)و.*・゜