森での実験
連投です。
挿し絵ないと これはこれで
はぇーんだコレが(*´ω`*)
幼官:「やっぱり、近くで見たら、おっきいね……」
聖女:「すみません……じゃあ、お願いします」
金娘:「オっケ。ま……コレほっといたら、腐って、えらいことになりそうだもんね?」
銀娘:「くさるの、もったいないねー」
銃侍:「ふむ──こちらヒナワでござる。この光の地図を参照する限り──そこから周囲、半径100メルトルテ圏内の森林地帯には、誰もおりませぬ。街で企画した"カニ鍋祭り"に、上手く集まってくれたのであろう──」
萌殺:「──よぉ、マジ・こっちもだ。今、上空から見てっけどよ──冒険者は森に、まったくと言っていいほど寄り付いてねぇ。あのカニ、マジ美味かったからなぁ……マジみんな、昼から宴会で盛り上がってるだろうよ。チッ、ああくそ……やっぱり魔王様の杖の方が、マジで飛びやすいな……新しいホウキ、マジ・どうしよっかなぁ……」
獣王:「ガオガオ。ガオガオガオガオガオガオガオー」
熊神:「──おぅい!? オメーはメッセージ機能使え! 何言ってっか、サッパリ分かんねぇぞ!? ……おーし。一度、巨大カニさんの前に集合だァ! 実際に……見てみねぇとな──」
金娘:「……」
銀娘:「大丈夫だよ、アンティ。この人たち、わるい人たちじゃない」
……ん、そうだね。
そろそろ腹、すえていかないと。
今、私たちは森の中に戻ってきている。
目の前には、ある魔物の死骸がある。
デカい。
あの、砲台を持った巨大ガニの、
七体の内の──ひとつである。
熊神:「おい、おいっ! オシハ! いいかげん、離せおま、おゥぃ……!」
姉乳:「うううぅぅぅ……!」
妹乳:「ぶるぶるぶるぶるぶ……!」
金娘:「あはは……なんかすんません」
銀娘:「じごうじとくだーっ!」
私たちの隣にいるベアさんには、
何故か、オシ姉が しがみつき、
そのオシ姉に、ヒキ姉が しがみついている。
金娘:「あはは……ちょっと、やり過ぎたかな?」
銀娘:「そーぅ? 50回でも良かったよ?」
は、ははは……。
まぁ、私たちなら平気かもだけどね……?
姉乳:「ううぅ、ごめんなさぁいぃぃ……! ずみまぜんでしたぁぁ……!」
妹乳:「ブルルルルルルルルルルルメェェェエ……!!」
銀娘:「次、なんかしたら、50回だからね?」
金娘:「こ、こらっ、もう、よしなって……」
乳乳:「「 ──ィ、イエス、アイッ、マム!!! 」」
熊神:「おぃおぃ……先輩プレミオムズを、調教するんじゃねぇよ」
ははははは……。
今後、オシ姉とヒキ姉には、
「10回な?」と言うだけで、
心の奥底から恐怖を与えられそうだ……。
みんなが集まる間、
山のような巨大ガニの死骸を見上げながら、
ベアさんが、しんみり話しかけてきた。
熊神:「……悪かったな、今回の件」
金娘:「もう……いいですよ」
熊神:「わかっちゃいると思うが、全員、黙っておくつもりだ。言い方はワリィが……おれ個人としては、おめーらみてぇな子供が戦いに利用されるなんざ、まっぴらゴメンだと思ってる」
金娘:「あはは、本当に言い方……わるいですね」
熊神:「だが……お前たちの実力なら、正規で試験を受けても、確実にSランクに合格できるとも思う。ほら……王女様に誕生日プレゼント贈ったんだろ? アレ、王女様、すげぇ気に入ってるらしいぜ?」
銀娘:「そうなの? よかったー!」
熊神:「人格的な面でも……王族が、おまえらをハジくとは思えない」
金娘:「まぁ……そうかもなんですけど。そうも、いかない事情がありまして……。今から、お見せしますから──」
熊神:「……。あぁ……すまねぇな」
白童:「お待たせしました!!! 今日は少し、涼しいですね!!!」
萌殺:「マジ、おまたー」
銃侍:「──ヒナワ・タネガシ、ここに!」
熊神:「そろったな」
金娘:「 マイスナ 」
銀娘:「 うん── 」
私とマイスナが集中すると、
高さ100メルトルテはあるであろう、
巨大なカニの化け物の死骸の──、
足元に、巨体な銀の鎖の輪っかが。
天空に、巨大な金の歯車が、姿を表す。
少し、髪が発光しているみたい。
陽神:『────格納を開始します☼』
きぃぃいい・・・ん。
ギィィァァ・・・ン。
天と、地の、黄金と、白銀。
それぞれ、反対に、ゆっくりと回転し。
ハンバーガーのように、閉じていく──。
────イッツァ、マジック。
ごごごごごごごごぉぉぅ────・・・。
聖女:「 …… 」
幼官:「 …… 」
玉兎:「 にょきっと 」
花狼:「 くゆーっ! 」
銃侍:「 …… 」
萌殺:「 …… 」
白童:「 …… 」
獣王:「 ガォ…… 」
妹乳:「 …… 」
姉乳:「 …… 」
熊神:「 ……すげぇな 」
陽神:『────格納を:完了しました☼』
怪異は、全て、飲み込まれ。
金と銀は、煙のように消失する。
熊神:「容量は……まだあるのか?」
金娘:「あはは、余裕ですよ。なにせ、太陽まで入っていますからね?」
銀娘:「中で、時間を止めて分類されるんだよ」
熊神:「……ヤっベェなぁ」
金娘:「そうなんですよ。しかも、生き物も入れられるかもしれなくて」
白童:「それは……ヤバいですねぇ」
巨大カニさん、コレクト完了。
お昼ご飯は、森でカニ飯おにぎりと洒落こんだ。
私はどうかな? と思ったメニューだったけど、
皆は、とても気に入ったようだ。
ユッ君が、静かな感じで言った。
白童:「隠していたのは、ボクは英断だと思いますね。時限結晶持ちが、ふたりもいるんだ。組織に管理されるようになったら、自分の人生なんて、おくれませんよ。特に、本人に良心があるなら、尚更だ」
熊神:「……。しつこく確認するようでワリィけどよ……レイズさんは……その王冠とティアラの時限結晶のこと、知ってんのか?」
金娘:「……わかりません、何も……」
銀娘:「ふみゅぅ……」
白童:「いちばん警戒すべきは、彼女たちが精神的に支配されることですね。昔の術式は、色々あるから……もし操られたら、国のひとつやふたつ、すぐに滅びますよ。でも、彼女たちはユニークな方法でソレをガードしている」
金娘:「へっ?」
銀娘:「……??」
白童:「──あれっ? お二人のおヘソにある、相互隷属の紋章って……そのために入れてるんじゃあ、ないんですか?」
金娘:「へ? ぁッ、え?」
銀娘:「えっと……?」
白童:「確かに禁法ですが……とても有効な手段だと思いますよ。それは、お互いの体の全身の流路に根付いていますから……。ヘタな奴隷魔法なんか、全て弾き返してしまうでしょうし。なかなか考えましたね」
金娘:「そ、そうなんですか!」
銀娘:「アンティも私にも、効かない魔法があるの?」
白童:「……??? ええ。お互いが、お互いの奴隷みたいなものですから。しかし……思い切りましたね」
姉乳:「……」
妹乳:「……ユユユ殿。やっぱり、それを解除することは……」
白童:「──無理でしょうね。発光している所を拝見しましたが……あんなに深く、全身に広がっている紋章路をみたのは初めてです。一生、消えることはないでしょう」
乳乳:「「 …… 」」
金銀:「「 …… 」」
白童:「あぁ……失礼。その……確かに恐ろしい術式ですが、それと同時に、恐ろしく綺麗な流路束だとも思いました。ほぼ、直線で構成されていますし……それは凄いよ、神様が書いたみたいだ。まんべんなく全身に拡がっているので、負担が一箇所に、かかりにくいはずです」
銃侍:「少なくとも、今は体調を崩しているようには見えぬが……」
熊神:「……副作用はあるのか?」
白童:「身体的にも精神的にも、かなり繋がっているはずです。そういえば……就寝時に髪の毛の先が繋がってましたね」
熊神:「どうなんだ?」
金娘:「……」
銀娘:「どちらかがケガをすると、もう一人もケガしちゃうんです」
熊神:「……ッ!」
萌殺:「マジで言ってんのか」
金娘:「……片方が死ねば……もう片方も、死ぬと思います」
銀娘:「うん」
姉乳:「……!」
妹乳:「そん、な……」
白童:「──危ないですね。仮に、お二人が違う組織に別々に囲われた場合など考えると……最悪の奪い合いに発展しかねません。それに……本人たちも、どのようなコンディションになるか分かりませんし」
熊神:「繋がり、か……。体調的に、寝る時は髪を繋げる必要があるのか? 離れ過ぎると、どうなる?」
金娘:「……、……わかりません。怖くて……離れ過ぎたことがないので」
銀娘:「いつも、アンティのそばにいたい」
熊神:「……試してみるか?」
金銀:「「……!!」」
銃侍:「少しずつ離れていき──もし、倒れるような事があっても、某たちが抱きかかえ接近させる」
萌殺:「マジバカ、倒れる前にゃ止めるんだよ」
金娘:「「……」」
陽神:
『────伝達します☼
────箱庭側の投票によって:
────正式に"アンマイ隔離実験"が:
────プレミオムズに依頼されました☼』
熊神:「念には念を、だ。アンティには、おれが付く。マイスナの方にはゴウガのダンナで頼む」
獣王:「ガオッッッ!!!」
姉乳:「……私たちで、等間隔に線を作ってればいいのね?」
白童:「ボクは片方の流路を観測したいな」
萌殺:「大丈夫だとはマジ思うけどよ……マジ・いつでも飛行して運べるようにしとくぜ」
銃侍:「では、某も中間組に」
妹乳:「前に……二人が離れそうになった時は、炎と氷が噴き出していました。ぜひに注意を……!」
熊神:「マジカ。そん時ぁエンチャント頼む」
萌殺:「マジか」
陽神:『────伝達です☼
────皆様の視界に:
────ベアークラッチ・デバイスを:
────転送中です☼
────そのデバイス越しに地面を見ると:
────正確なメモリによって:
────メルトルテ距離が確認できます☼』
熊神:「うおっ……なんだ!?」
銃侍:「透明の……眼鏡?」
萌殺:「マジすげぇ……土の上に、直接・文字が書いてあるように見える……」
白童:「これもまた、便利ですねーっ!!!」
熊神:「なぁ、なんで、ベアークラッチって名なんだ? クマ?」
陽神:『────クマに後ろから掴まれているような:
────デザインのゴーグルですので☼』
聖女:「はぁ……私はもう、驚き疲れました。私はここで、地図を確認してお姉様方を見守ります」
幼官:「エコも、ここにいるね!」
玉兎:「にょきっとにょんにょん♪」
花狼:「──くゆっ!」
熊神:「よし……やるか。どっから、やる?」
金娘:「……、……じゃあ、20メルくらいから──」
銀娘:「うん──……」
陽神:『────実験を中止します☼
────デバイス:操作不能☼』
熊神:「──ダンナッッ!! 抱えろっ!!」
獣王:「── グ ガ ッ、オ ッ……!? 」
白童:「ミスリルのトゲがッッ、噴き出した!!!」
姉乳:「地面が……ここまで霜が降りてきてる……!!」
萌殺:「湿った木って、マジ燃えねぇんじゃねぇのか……!?」
熊神:「鎧の体積が……倍近くになってやがる……!!」
妹乳:「アンティ、アンティ……!!」
熊神:「──マジカ!! おれの腕を凍らせろ!! 躊躇すんなッッッ!!!」
萌殺:「ちぃぃぃぃぃいッッ──!!!」
銃侍:「── さ が れ ッ ッ !! 我が炎腕にて持っつ!!!」
白童:「背中はダメだ!!! ゴウガさん!! 腕にこれを!!」
獣王:「 ガ 、 が お ぅ う う !!! 」
聖女:「お姉様……!! お姉様っ……!? 大丈夫ですの!?」
幼官:「66……54……41……」
熊神:「ぐおおおおおおおおお!! マジカは消火だ!! 聖女ォオ!! エコを連れてソコから離れろおおおおおお!!! そこはっ、合流地点だぁあああああああ!!!」
銃侍:「なんだ、あの球体は……! 触れた所が無くなるぞ」
白童:「避けろ、絶対に駄目だ。あれはおかしい」
姉乳:「ヒナワ、背中のミスリルが帯電した。走り抜けて」
幼官:「もう少し……もう少し……」
聖女:「エコっ!!! バカっ!!! こっちの木のかげに!!」
妹乳:「新しい腕が……形成されてる……!」
萌殺:「──クマ!!! マジ食われんなよ……!?」
熊神:「ぐおおおおおおおおお!! ヒナワああああああああぁぁぁ!!! あわせろぉおおおおおおおおお!!!!!」
銃侍:「はははは……これが恐怖というやつか」
白童:「はなせ、もたない」
──── ガ ガ 、
──── ギ、ギ、
──── き ィ ィ ん ん ・・・!
金帝:
銀帝:
『『
テ ・ キ ?
』』
(ギゴォオォォオオオオオオンンン──)
(グゴォオアアアオオオオオンンン──)
熊神:「かんべんしろよ……」
妹乳:「姉さま……? ダメですっ!! 姉さま!!!」
────ガシッ!!
姉乳:「──敵じゃねぇだろ。よく近くで見やがれ。アンティ、マイスナ、目を覚ませ。目の前にいんのは……大切な人でしょう」
金帝:
『
ME - I - / SS - NAAA …?
』
銀帝:
『
AAAAAAA - AN - / TI i …?
』
陽神:『────大丈夫です……:
────大丈夫です☼
────意識レベルが戻ります☼
────意識が:戻ります☼』
聖女:「ひぃ……、」
幼官:「怪物になっちゃった……」
白童:「いける。戻ってる、戻ってる──」
萌殺:「マジ、キモが冷えるぜ……」
熊神:「バカやろー、オシハ……!! おま、両腕……血まみれじゃねぇか!!」
姉乳:「……ま、こんくらいはね。これ以上、迷惑かけられる?」
銃侍:「何なのでござろうな、あの属性は……」
妹乳:「アンティ……アンティ! マイスナさんっ!? 大丈夫ですか……大丈夫、ですか?」
金娘:「だ……大丈夫、だいじょぶ、ごめん……」
銀娘:「からだ、ひっくり返ったみたい……」
陽神:『────:……☼
────実験の協力に:感謝します☼』
熊神:「──ッッ、、あんた……ッ、そんな言い方は無いんじゃねぇのかッ……!?」
陽神:
『 ──── 私 が ッ !!!☼
──── こ の 子 達 の こ と :
──── 大 事 で は :
──── な い と で も :
──── 言 う の ッ ッ !!!☼ 』
熊神:「ッ、── 悪、かった……。おれの……配慮不足だった……。……すまねぇ……」
白童:「……もうひとつ、最悪のパターンを想定していませんでした。この二人が、77メルトルテ以上、離れると……Sランクのモンスターが二体、生まれてしまうかもしれません。再び、再会した時に、互いを敵だと認識してしまったら……誰も、止められなくなりますよ。絵本の最後のページみたいに、まっしろになっていくかもしれません」
玉兎:「にょんにょん……! にょんにょんやぁあ……!」
花狼:「かんかん……」
聖女:「……ヒゲイド氏の思惑が、見えてきましたわね……」
幼官:「……マザーも、これを……?」
姉乳:「……気分は、どぅ?」
金娘:「きひひ……借りにしとくわ」
熊神:「……おまえらと結婚するダンナさん、
双子とかが、良いかもだぜ……?」
銀娘:「えへへ……それは、大丈夫だもんっ♪」
アンマイを引き離してはいけません。