東の冒険者と森の守護者たち
そのころ東の街のみんなは……?(*´ω`*)
「なんだ……この死骸の大きさは……。本当にヨロイガニなのか?」
「ぉ、おっかねえぇー……っ!! こんなの……オレ達じゃ、即・オダブツだったろうぜ!!」
「うわ、もう岩じゃん。ハンパな魔法、効かないでしょ……」
「こわぁー……これ、動いてたんですよね?」
「すげーんだなァ……プレミオムズってのはよぉおお……!!」
「なぁ。コレ、ほんとに食べれんのかな? なんか、いー感じの身は見えてんだけど!」
「ヨロイガニ系は、けっこう美味いって聞くよな?」
「イエロークラブも、かなりイケるんだぜ!」
「おっ!? ここの装甲……こりゃあ、いい盾になるんじゃねぇか!?」
「……?? なんだ、このカニの形をしたパンは……? また、あったぞ! 2つめだ……」
「──おい、見ろよ!」
「ウッキキ!?」
「──木の上にバールモンキーがいやがる!」
「ほんとだ!」
「ぁ、あれがそうなのか……。俺、実は初めて見るんだ」
「枝に座ってるわね。……どうします?」
「いや……でも、ギルマス聖女さんは、放置しとけって言ってたじゃん?」
「よくわかんねぇけど、今回は、猿どもが助けてくれてたんだろ? ちょっと信じられねぇけどよォー」
「ここから見る分には可愛いですね?」
「……よぅ! お前には何もしねぇよ。安心しな!」
「……ウッキ!」
「……!! 尻尾を振り返したぞ」
「挨拶を返したのかな?」
「マジかよ」
「あはは」
「──ウッキ! ウッキキ!」
「ん……なぁ。ついて来いって言ってるように見えねぇか?」
「あ。私もそう思いました」
「おいおい、大丈夫かよ……」
「いっかい行ってみましょうよ」
「ウッキ……、ウッキキ……ウッキ!」
「なんだこりゃあ……!?」
「え? なにが? ……ッ!? こ、こ、これ、これ、カニ!?」
「……。でけぇ……」
「これが……聖女様の言ってた、"ギガンティック級"ってヤツかよ……!?」
「有り得ねぇって……!! マジかよ……!?」
「ウッキー……ウッキウキー」
「な、なるほどぉ。この巨体だ……お前たちだけじゃ、こりゃー運べねぇわなぁ……!」
「こんなのが住処に転がってたら、そりゃあ困りますよね……」
「この猿……本当に俺たちに助けを求めてんだな!」
「ツルハシとかで分解するしかねぇ! すげぇ大仕事になるぜ!?」
「ぁ、おい! また、カニのパンがあったぞ……! 3つめだ! なんなんだ……?」
「えーっと、一度、拠点に報告しに戻りましょうか?」
「そうしよう。バラす道具がいる」
「──ウッキウキ、ウッキ! ウッキ!」
「うぉぉ!? いつの間にか、そばにいやがる!」
「こんな近くで、初めて見たぜ……」
「尻尾、本当にバールなんですねー」
「ウッキー、ウッキキー……」
「わ、わかったよ! 俺たちで何とか運び出すから……服のすそを引っ張らないでくれ! これ気に入ってんだ!」
「ふふふ、バールモンキーのことも報告した方がよさそうですね」
「うーん、変な感じだぜ。魔物なのになぁ」
「よう! そっちは、どうだったよ!!」
「いやぁ……どうしたもこうしたもねぇよ……。そっちと同じだとは思うけどよ」
「あの山みたいなの、お前も見たか」
「ああ……。ギルドじゃもう、その話題で持ち切りだ!」
「アレは夢に出るよな……死骸でも、身震いすらぁ」
「わかります。あんなのが、私たちの生きてる世界にいるんですねぇ……」
「ほんとになァ……。ぉ、それとよぉ。森の中で、バールモンキーがバンバン目撃されてるってよ。オモシレぇのがな、どうも、カニの死骸がある場所に案内してくれるって話らしいぜ?」
「ああ! 俺達も会ったぜ! まさか、あんな人懐っこいとは……」
「はっ、ホントかよ! オレも見たかったぜ」
「私、バールモンキー、狩れなくなりそう……」
「ギルドで今、キキちゃんがカニ素材の回収クエストを正式に取りまとめてる。デカさに合わせてランク付けされるらしい! 忙しくなるぜぇ」
「ま、宝の山には違いないよな?」
「ああ。これで薬草の量も戻ってくれたらいいが……」
「プレミオムズが全員、関わってくれたんだ。他の街も放置はしないだろう」
「そうだな……そう願うよ」
「彼らは休んでいるのか?」
「ああ。聖女サマの教会だ」
「やぁ、君たちも来たんだね! バールモンキーには会えたかぃ?」
「ん? おぅ! もう友達みたいなもんさ!」
「うーん、王都に送る金属素材、少しツルハシに回した方が良さそうですねぇ……」
「キキ! 荷車の借用書、ここ! まとめとくよ!」
「はぁい! ランク分けは3段階でいいかな……。しばらくは、このクエストで手一杯だろうし」
「キキさん! 教会の前にヨロイガニの死骸が積まれてる件、なんか知ってる?」
「ええっ!? それは知りませんね……どういう事でしょうか?」
「ま、冒険者の皆が、お礼のつもりで置いてるんでしょ! ホラ、今回の件で──"聖女様、見直した!"って人、多いしさ?」
「大丈夫かな……教会の前にカニの盛り合わせなんか置いて……」
「あはは! まぁ後回しでいいと思うわよ?」
「そ、そうですね。うん、このまま街のメインクエストにしようと思います! おっきなカニさんは、まず中の身を出来る限り早く回収して……ふぅ、外甲の方は時間かかるだろうなぁ……」
「そうねぇ。なんか、すっごい大きいらしいよ!? あと、バールモンキーも困った顔で見てたんだってさ!」
「ははは……めちゃくちゃ邪魔そうですもんね。……これ、もうバールモンキーの討伐クエスト、ぜんぶ剥がしちゃいましょうか」
「それがいいと思うわ。話きいてっと、みんな今、バールモンキーを狩ろうなんて考える人、いないわよ!」
「そうですね。掲示板のスペースは、有効活用しないと……よいしょ!」
「それとさァ……、森ん中に、カニの形したパンが落ちてるって報告が、チラホラされてくんのよね……。キキさん、どう思う?」
「へ……?? パンって、小麦から作るパンですか??」
「ウッキキ」
「あ! バールモンキーだ!」
「バナナ食ってやがる!」
「おお! 手招きしたぞ!」
「しっぽじゃね?」
「こまけぇこたぁ、いいんだよ! ホラ、ついていくんだ! カニで鎧作って、父ちゃんに自慢すんだからっ!」
「ゲンキンねぇ……」
「私、鍋がいいです。ジュるり……」
「食いしん坊ねぇ……」
「いそげっー!!」
「稼ぎ時だぁーッ!!」
「ウッキィイー!」
回収しそびれたカニさんは
薬草の苗床になりそうだよね(笑)(´∀`*)