天蟹伝承
今回の語りが琵琶法師口調なのは、
決してツシマを遊び倒していたからでは
ないでござるよ。
(( ಲ ཫ ಲ ))
まだ日見えぬ早朝に闊歩する巨大な神像、
天を貫くが如く美しさあり。
抗う者、自らが誤ちでは、と、
見紛うほどなるや。
──否。
即ち、小さな者の劣想なり。
この神意、捨ておけば。
蹂躙、悪夢の狼煙と為らざらんや────。
聖女:「あんのっ……バっカやろ……ッッ!!」
聖女、眼前に肝を冷やす。
巨大なる兎の王、
頭に小さき同胞を乗せたまま、
聖怪を殴り上げ貫き、
響き、雷の如く遅れ轟く。
──どぉおおおおんんん・・・!!!
六の巨爪、刹那、わずかに大地より浮き、
盾の如く片鋏、砕け割れ散り、地を揺らせり。
聖女:「──駆けて!! あのバカウサギの元へ!!」
花狼:『『 ──クルルォォオオンン!!! 』』
乙女に応え、霊狼、
宙に生み連なる結晶、駆けたるや、
火を噴き構える兎に走り寄り行く。
聖女:「──あなたっ……バカなのッ!? 死ぬ気ですか! 落ちたらどうするの!!」
幼官:「えっ……! でっ、でも大丈夫だよ! うさ丸の毛玉に、足がギュッ、って……」
聖女:「いいからこっちに来なさい! もうっ……!」
聖女、幼き神官を母猫の如く摘み上げ、
自らが跨る霊狼の膝元へと抱き寄せり。
幼官:「わ、わっ……と!」
聖女:「っ、まったく信じられませんわっ! このウサギ!! 子供を乗せたまま火を吹いて空を跳ぶウサギなんて、何処の絵本から出てきたんですの!!」
玉兎:『『 にょ!? にょ、にょきっとにょ…… 』』
幼官:「じ、じぶんだって、子供なのにぃ……」
聖女:「なにか、言ったかなぁぁ……!?」
玉兎:『『 にょ、にょきっとやんな…… 』』
聖女:「ちっ、反省は後でいいですわ! ほら、行きなさい!! ウサギなのに、パンチがお得意なんでしょう!?」
花狼:『『 カンカーン…… 』』
聖女の剣幕に耳、恐るるも、
兎の勇者、怒涛の拳闘を繰り出せり。
破速、火の流星の如く残像を成す。
天蟹、堪らず歩みを止め受け、
同士、世界の広さに魂消たり。
熊神:「う、浮いてんじゃねぇか……?」
獣王:「ガオー」
白童:「すっごいですねー。アレ、単騎じゃボクら、負けますよ……?」
姉乳:「休んでんじゃないわよっ、くま!! 手ぇ出しなさい、あほーっ!!!」
妹乳:「でやあああああああああああああああぁぁぁ!!!」
銃侍:「ほーぅ、蟹も空を飛ぶのでござるな」
玉兎:『『 に"ょきっとな"ぁあ"あ"あ"ァァ──!!! 』』
聖女:「こ、こんな、お気楽な奴らが、プレミオムズだったなんて……!」
幼官:「せ、聖女さま、そんなに抱き寄せなくても大丈夫だよぅ……!」
聖女:「バっっカ、言いなさいな! 見なさい!? 空!! この尻尾ふりふりギツネも、お空を走っているんですのよぉ!? あなたみたいなチンチクリンが、ここから落ちたら、あっという間に、お空の流れ星ですわ!」
花狼:『『 ク、クロンクロォン…… 』』
幼官:「え、ちょと……わ! ぅわわっわ……!」
聖女の光の手綱、
自らと審議官とを括り付け、
同胞、共に瞳髪、輝きを増しにけり。
聖女:「……!? 聖女の力が共鳴している……! ……。やはり、素質があったのね」
幼官:「ぁ、あの、えと……」
聖女:「えぇい! 私のギルド球は弓として使います! あなたは私の前で、その真偽球の光の地図を使ってサポートなさい!!」
幼官:「──! は、はいっ!!」
聖女:「頼みましたわよ……花の狼よ! 進路は任せます! どうせ物凄い知能なのでしょう──!?」
花狼:『『 ──! カン! カン!! クルルォォオオ──ンンゥゥウッッ!!! 』』
二人の聖女、互いの温かさを感じながら、
霊狼、結晶の道を跳び駆けり。
近づく、天蟹の女神の尊顔。
手の届くが如くに錯覚せり。
聖女:「魔物のクセに、神様みたいなツラしてんじゃないわよ……!」
聖弓、極光の神気を纏い得る。
聖女:「 " ──殉教の乙女の調べとなるがいい…… " 」
今代の聖女の術。
幼さに留まらぬ事、知らずんば──。
聖女:「 " バリスティック・オブ・ジャンヌ……!! " 」
生まれる直連の光矢、圧巻なり。
物見の幼子、思はず感嘆を漏る。
幼官:「すごい……!」
聖女:「はぁ、はぁ……! 感激してないで、ちゃんと地図と仲間の位置を見ておきなさい! あと、あんまり前で動かないでねっ! お腹がっ、あつくるしいんですからぁぁー!」
幼官:「なっ……し、しばったの、聖女さまじゃないですかぁぁー!」
玉兎:『『 にょきっと──、、、な"あ"あああああああああいいいっっっ!!! 』』
──どおおおんがァァしああああんんんんん・・・!!!
連撃、残る盾鋏を地に砕き割り、
天蟹の胴、全ての護りを失えり。
魔王:{{ ──いまよ }}
萌殺:「──ほんそれ」
逆さ十字の杖の魔女、
魔の鎌、死神の如く。
萌殺:「 マジ、ブッコロ酢……!! 」
魔王:{{ ──ガルン!! ブースト!! }}
黒鰐:『『 ガルルぉぉおおおおおおおんんンンン!!! 』』
刈り抜く刹那、
魔の鎌、黒にて膨れ上がり、
瘴気、巨悪の武装と成りにけり。
──ザァァァァァアアアンンン!!!!!
──ぶしゃぼぉぉぉぉああああ!!!!!
萌殺:「……子供ん時いまの見たら、マジ泣きすんわ……」
魔王:{{ 斬撃でも、魔法属性なら効くみたいね! でも、闇属性にも耐性アリ、と……。ああぁっ、ほんとに面倒だわっ!! あんなの私が実体化できたら、ズパんと一撃で、ボロキレに……!! }}
萌殺:「……魔王、マジこえぇ……」
黒鰐:『『 ガルンガ ルンルン…… 』』
幼官:「こ、この、しゃべってる人、ホントに魔王なのかな……?」
聖女:「しっ、知るもんですか!! 私の攻撃も光属性ですから、思うように相手に通りません!! もうっ! なんで耐性が光と闇なの!?」
熊神:「ユユユ!! おれの盾、投げろ!! その浮いてる腕ならできんだろ!! いくぞ!! 地面からいっぱい生やすからよォおおおッッ!!!」
白童:「はははーっ!!! 前代未聞の作戦ですねぇええええ!!!」
熊神:「こまけぇこたァ、いーんだよおおおおおおおおおおお!!!」
獣王:「ガオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
銃侍:「ふん、某は真下から、関節の弱い所を潰すでござるか──縁の下の、なんとやら、ぞ──……!! まいる!!!」
姉乳:「ヒキハ、ちょっとあの脚のぼるか」
妹乳:「いいですわね」
選ばれし猛者たち、
様々に巨怪に立ち向かい、
まさに怒涛の如く攻め続けたり。
天蟹、まるで意に介さず進み、
その不気味さ、もはや生命に非ず──。
幼官:「聖女さま……! あの蟹さんのバリア、カウンター型だと思うんです!」
聖女:「はぁ、はぁ……どういう事!?」
幼官:「無効化型じゃありません……! さっきから、聖女さまとマジカちゃんの魔法の何割か、弾き返されてて……!」
聖女:「だから、なんなの……!?」
幼官:「見て……あの蟹のおなか、亀裂が入ってます!」
聖女:「──!」
天蟹の腹を護る盾鋏は既に散り、
縦割れの鎧指さし、幼きは言う。
幼官:「あそこに入れたら、たぶん、なかで弾けます!」
聖女:「……ははは。あなた、ろくな大人にならないかもね?」
幼官:「そ、そんなことないもーんッッッ!!!」
聖女、片上より、聖弓を天に構えけり。
聖女:「──さぁて、お着替えしましょうか?」
狙い、寸も違わず。
爆光、天蟹の甲羅、裂壊せり。
肉身、美味そうな鮮赤を彩る。
神意は聞こえり──。
日神:『────第一エンジン:
────ソルトアマイザー:接続完了。』
月神:〘------第二エンジン;
------ヘビアアラウザー;接続完了-☪︎〙
水神:〘#……よいぞ〙
金神:『>>>こっちもだ』
金娘:『 G・Y・A・A ─ O O O O o o o・・・!!!!! 』
銀娘:『 I・U・R・I ─ H Y Y Y y y y・・・!!!!! 』
真近にて見た魔女いわく。
それは、双の直線であったという。
日神:『──── ソル・レイ 。』
月神:〘------ ルナ・セロ ☪︎ 〙
双の咆哮の閃熱の覇道、
天蟹の胴では止まらず。
女神の乗る脚ごと全て、
殴るように消しにけり。
ブレス出しよったー!!(((;゜Д゜)))