X&BBB さーしーえー
いやー! 四連休マジ忙しかった!!
お待たせしました(●´ω`●)♪
────さるが、倒れていた。
さるは、みんなと、
ちょっと違う、さるだった。
細長い手足。
小さな顔。
とても長い、背丈と尻尾。
さるは、不安だった。
でも、今は、そうじゃない。
違う体でも、認め合えるのだと、
さるは、もう、わかったのだ。
だから、逃がした。
仲間を全て。
さるは、ひとりで戦った。
さるは、皆のリーダーだけど、
それが、残った理由ではない。
たとえ、自分が、やられても。
仲間はずれが、消えるだけだ。
リーダーなんて、誰でもいい。
だれかが、必ず、意志を継ぐ。
もうひとりの、変わり者には、
申し訳ないが……。
あいつらは、生きていける。
さるは、傷だらけだ。 ゴ
毒を、喰らったらしい。 ォ
血は、苔と土に染みだし。 ォ
寝転び、空を見ている。 ォ
暖かい空気と、冷たい四肢。 オ
死が、近づいていた。 オ
さるは、覚悟を決める。 オ
自然に、受け入れる。 オ
意識が、遠のき、 オ
息を、吐き── オ
!!
この、音、は……?
「アニキ……!」
「……!?」
さるは、驚いた。
目を開けると、
よく知った、変わり者の弟分がいる。
覗き込んだ彼とは、別の手により、
さるは、抱き起こされていた。
黄金と、白銀。
光のふたり。
左右の輝きに、さるは目を丸くする。
辛うじて掴む輪郭に、
覚えが、あった。
ふたつの、ヒトガタ。
まさか、あの時、助けた……?
「……」
左右の眩しさに戸惑ううちに、
傷は、みるみる塞がっていく。
毒に侵された手は、まだ痺れていたが、
黄金の君が、さるの顔に手を当てると、
すぐに手の痺れが消えていく──。
「……!!」
魔法、ではない。
何か……装備の効果だった。
さるのアニキフェイスには、
エックスのメガネが、
こうこうと、
金と銀の光を反射している──……!!
──アイテムが 譲渡されます!▼
──"エックスメガネ" が 装備されました!▼
──全ての状態異常効果は半分こだぜ!!▼
──バルニキ の 毒状態が マシになった!▼
「アニキ、これ……!」
「……!!」
両腕が、ツメのさるが、
毒消しの草を、差し出していた。
さるのアニキは、驚く。
この、小さな変わり者は、
薬草の豊富な知識を、学んでいたのだ。
「……──」
さるのアニキは、頷き、受け取る。
苦い草の味を、噛み締める。
発光せし乙女たちは、
さるの、さいごのケガを治療する。
尻尾だ。
尻尾と、バールが、わかれていた。
「ぁ、アニキの、バールが……!」
「……」
治療した後で、金と銀は、気づいた。
尻尾とバールは、ちょうど、
肉と、金属の境い目で、切れていたのだ。
肉の傷口は塞がり、
バールと尻尾は、別のものと、なってしまう。
さるは、構わないと思った。
「……──」
少し戸惑う、光のふたりから。
さるは、バールを受け取り、
ボロボロのバンダナを、持ち手へと巻く。
不思議な事が起きた。
傷だらけの巨大なバールが変形し、
ジュウジュウと音を出しながら、
ピカピカになっていくのだ。
回る金色の輪が削り、形を整え、
それは、全く別のバールとなった。
持ち手は、まるでバナナのヘタのよう。
それは、奇跡の一振りである。
──装備の強化 に 成功しました!▼
【 アニキバール 】
▼ ▼ ▼
【 ブラザーバナナブレイカー 】new!
★高密度ミスリル銀繊維と、星の熱量に
よって精製された、バナナの実を模した
最強のバール。その独特の重心と構造は
使い手によって恐るべき威力を生み出す。
どんな硬い物でも防御を貫通して殴れる
アニキバールの最終強化形態。
「アニキ! それ……!」
「……!」
自身より切り離された、
唯一無二のバール。
さるは、ふたりを見た。
前に会った時の、
弱々しい雰囲気など、微塵も無い。
傷は、癒えている。
まだ、戦えるのだ……!
さるは、立ち上がろうとし、
グラりと、ふらついた──。
「──アニキ!」
両腕爪のさるが、大きな頭と尻尾を使って、
器用に彼を支える。
まだ、体に力が入らない。
そっと、さるの両手に、
金と、銀の、手が触れる。
さるは、ふたりの眼を見た。
その全身と、たがわぬ光の目を──。
「「 LEAVE IT TO US 」」
さるは、言葉は、わからなかったが、
心は、確かに伝わった。
さるは、理解している。
コイツらは、戦友なのだ──。
金と銀は、凄まじい速さで飛び立つ。
それは、流れ星のようであった。
「アニキ……!
マチザルは、おいら達と守ってくれるよ!」
「……ああ」
エックスのメガネ越しに、
弟分に、支えられながら。
さるのアニキは、
ふたりが飛び立った、
白む夜空を見ていた。










