表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
824/1216

X&BBB さーしーえー

いやー! 四連休マジ忙しかった!!

お待たせしました(●´ω`●)♪






 ────さるが、倒れていた。





 さるは、みんなと、


 ちょっと違う、さるだった。


 細長い手足。


 小さな顔。


 とても長い、背丈と尻尾。


 さるは、不安だった。


 でも、今は、そうじゃない。


 違う体でも、認め合えるのだと、


 さるは、もう、わかったのだ。


 だから、逃がした。


 仲間を全て。


 さるは、ひとりで戦った。


 さるは、皆のリーダーだけど、


 それが、残った理由ではない。


 たとえ、自分が、やられても。


 仲間はずれが、消えるだけだ。


 リーダーなんて、誰でもいい。


 だれかが、必ず、意志を継ぐ。


 もうひとりの、変わり者には、


 申し訳ないが……。


 あいつらは、生きていける。


 さるは、傷だらけだ。       ゴ


 毒を、喰らったらしい。      ォ


 血は、苔と土に染みだし。     ォ


 寝転び、空を見ている。      ォ


 暖かい空気と、冷たい四肢。    オ


 死が、近づいていた。       オ


 さるは、覚悟を決める。      オ


 自然に、受け入れる。       オ


 意識が、遠のき、         オ


 息を、吐き──          オ


                  !!



 この、音、は……?






「アニキ……!」

「……!?」





 さるは、驚いた。


 目を開けると、


 よく知った、変わり者の弟分がいる。


 覗き込んだ彼とは、別の手により、


 さるは、抱き起こされていた。


 黄金と、白銀。


 光のふたり。


 左右の輝きに、さるは目を丸くする。


 辛うじて掴む輪郭に、


 覚えが、あった。

 

 ふたつの、ヒトガタ。


 まさか、あの時、助けた……?




「……」




 左右の眩しさに戸惑ううちに、


 傷は、みるみる塞がっていく。


 毒に侵された手は、まだ痺れていたが、


 黄金の君が、さるの顔に手を当てると、


 すぐに手の痺れが消えていく──。




「……!!」




 魔法、ではない。


 何か……装備の効果だった。


 さるのアニキフェイスには、


 エックスのメガネが、


 こうこうと、


 金と銀の光を反射している──……!!






 ──アイテムが 譲渡されます!▼


 ──"エックスメガネ" が 装備されました!▼


 ──全ての状態異常効果は半分こだぜ!!▼


 ──バルニキ の 毒状態が マシになった!▼







「アニキ、これ……!」

「……!!」




 両腕が、ツメのさるが、


 毒消しの草を、差し出していた。


 さるのアニキは、驚く。


 この、小さな変わり者は、


 薬草の豊富な知識を、学んでいたのだ。




「……──」




 さるのアニキは、頷き、受け取る。


 苦い草の味を、噛み締める。


 発光せし乙女たちは、


 さるの、さいごのケガを治療する。


 尻尾だ。


 尻尾と、バールが、わかれていた。




「ぁ、アニキの、バールが……!」

「……」




 治療した後で、金と銀は、気づいた。


 尻尾とバールは、ちょうど、


 肉と、金属の境い目で、切れていたのだ。


 肉の傷口は塞がり、


 バールと尻尾は、別のものと、なってしまう。


 さるは、構わないと思った。





「……──」





 少し戸惑う、光のふたりから。


 さるは、バールを受け取り、


 ボロボロのバンダナを、持ち手へと巻く。


 不思議な事が起きた。


 傷だらけの巨大なバールが変形し、


 ジュウジュウと音を出しながら、


 ピカピカになっていくのだ。


 回る金色の輪が削り、形を整え、


 それは、全く別のバールとなった。


 持ち手は、まるでバナナのヘタのよう。


 それは、奇跡の一振りである。






 ──装備の強化 に 成功しました!▼



     【 アニキバール 】


        ▼ ▼ ▼



挿絵(By みてみん)


  【 ブラザーバナナブレイカー 】new!


  ★高密度ミスリル銀繊維と、星の熱量に

  よって精製された、バナナの実を模した

  最強のバール。その独特の重心と構造は

  使い手によって恐るべき威力を生み出す。

  どんな硬い物でも防御を貫通して殴れる

  アニキバールの最終強化形態。


 

 

「アニキ! それ……!」

「……!」




 自身より切り離された、


 唯一無二のバール。


 さるは、ふたりを見た。


 前に会った時の、


 弱々しい雰囲気など、微塵も無い。


 傷は、癒えている。


 まだ、戦えるのだ……!


 さるは、立ち上がろうとし、


 グラりと、ふらついた──。




「──アニキ!」




 両腕爪のさるが、大きな頭と尻尾を使って、


 器用に彼を支える。


 まだ、体に力が入らない。


 そっと、さるの両手に、


 金と、銀の、手が触れる。


 さるは、ふたりの眼を見た。


 その全身と、たがわぬ光の目を──。





「「 LEAVE IT TO US 」」





 さるは、言葉は、わからなかったが、


 心は、確かに伝わった。


 さるは、理解している。


 コイツらは、戦友なのだ──。




 金と銀は、凄まじい速さで飛び立つ。


 それは、流れ星のようであった。






「アニキ……!

 マチザルは、おいら達と守ってくれるよ!」


「……ああ」








 エックスのメガネ越しに、


 弟分に、支えられながら。





 さるのアニキは、


 ふたりが飛び立った、


 白む夜空を見ていた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『今回の目次絵』

『ピクシブ百科事典』 『XTwitter』 『オーバーラップ特設サイト』 『勝手に小説ランキングに投票する!』
『はぐるまどらいぶ。はじめから読む』
― 新着の感想 ―
[良い点] バルニキ無事だったか。 やっとアンマイ戦線復帰ですね。 [一言] あれだけ、ばれた後でだし、自重無しでやらかす事になるかな。 隷属紋章の強制もあるから、どれだけの事がおこるか。 しかし世…
[良い点] (ノ≧ロ)ノ<アニキぃー Xメガネとブラザーバナナブレイカーは、サル達の間で、語り継がれるですね。 ヒーローは…いや、配達人達は希望を、勝利を届けにかけてくる
[良い点] 蟹殲滅オーダーでてっきり理性ゼロの破壊神になってるかと思いきや バルニキを救出して色々やらかす程度には理性的で良かった ・・・ってバルニキが正式名称なんすかJK!? 星型グラサンでアニキ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ