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復習するは父にあり(誤字)

漢字って難しいよね(笑)




 身体の奥。


 まるで、小川の音。


 水の流れを感じるような。


 ()()った金色の熱が、


 少しずつ、剥がれていく────。




Q3:〘++++++──いいわ。流路が基準値に戻ってきてる〙


水神:〘#……まだ、よく分からないのだ。マイスナの凍結現象は、どのように……?〙


Q3:〘++++++……心して。貴殿は、"水"になった。凍ることも、沸騰することもできる〙


水神:〘#……! "温度"を御する、ようになった……という事か……! うむ、では──〙



 ん……。


 冷たい、気持ちいい水の流れと、

 暖かな、お風呂みたいな気持ちよさが、

 同時に全身を包み込む。

 これは……マイスナの感覚も流れてきてる。


 オーバーヒートと、オーバークール。

 どちらの流路の暴走にも、

 新しい神様は強いみたいだ。


 よかった……マイスナの方も、

 必要なケアはされている。

 先生が──。




Q3:〘++++++うん、上手い。氷は、いつか融けるもの──〙


水神:〘#……。……私が、引き継いだ、という事になるのかね。その……カネトキのように〙


金神:『>>>…………』




 先程から……先生のチャット表記は、

 "水神"に統一されている。


 食堂娘でも、わかる──。

 私たちは、"二代目"なのだ。




金神:『>>>──後で……聞きたい事がある。本当に……山ほどだ』


Q3:〘++++++……。分かっているわ。でも今は──この子達を"再起動"させる事が先決。そうでしょう?〙


金神:『>>>っ、機械のように……言うなよ! きみは……今まで何を見てきたんだぃ?』


Q3:〘++++++……失言だったわ。ごめんなさい〙




 先輩が、またキレないか、

 ちょっとヒヤッとした。

 すると──。



「ウキウキ!」



 視界に可愛いおサルさんが覗く。

 木の上の、小さなボディーガード。

 ふふ、癒される。



「ウッキッキ? キッキ?」



 ん?

 もぅ、だいじょぶだってば。

 私、身体は強い方なんだから。


 視界のメンテナンス情報を見ると、

 髪の通信ケーブルは一部、

 正常化してるらしいわね。


 よっし──。

 ひと握り、愛しの怨敵と、接続する──。



 ──シュルル──……!


 ──きぃぃいんん……ギィィぃいんん──。

 



( マイスナ、どう? )

( うん、眠くは なくなったね )




 そうだね。

 くそ、身体さえ、動いてくれれば──……。




水神:〘#……取り急ぎ、聞いておきたい。この"レイドクエスト"の内容を、キミ……は把握しているのかね?〙


Q3:〘++++++──……! 〙




「……ゥキッキ……? ウキッキ、キッキー」


 ……! 痛い所?

 それは無いの、動かないだけ。

 ふふ、心配症ね。




Q3:〘++++++……。──"私達"が構築した従来の"レイドクエスト"では……難易度が段階的に設定されていたわ。本来ならば、適正レベルに合わせて受けられるクエストが制限されて然るべきなのよ〙


金神:『>>>……!! 胴体部分の流路が復旧した……! おっけ……! "水"の力で、こんな事ができるのか……!』


猫一:『C1:心拍数は安定していますにゃ。全身に修復系プログラムを感染させますにゃ』


金神:『>>>頼む。主要な筋組織を優先的に──』


水神:〘#……続けてくれ。プレイヤーに合わせられるという、クエストの難易度……しかし、"1000の敵のお出迎え"というのは……明らかに鬼畜が過ぎる。そうだろう──?〙




「ウッキぃー」


 

 む、クローザルが、

 手の甲を使って、くしくし、

 マイスナの顔の汚れを拭いている。


 え? 猿は一生、食べないって?

 ふふふ、そりゃ助かる。




Q3:〘++++++……この森林のクエストが発生したのは、今回が初めてよ……。ごめんなさい、何故このクエストが発生したのかは、私にもよくわからないの……。でも、最初の難易度をクリアしないかぎり、最も難しい難易度には到達できない。そう、設定されているのよ……〙


水神:〘#……む? ……カネトキ。四肢のロックを解除できた。再起動を試してほしい〙


金神:『>>>本当ですかっ!? これは……──しめた! よし、よし……。……んで? 一番カンタンな難易度のはずが、何でこんなクソみたいなゲームバランスになってんだぃ? "初見殺し"ってやつなのかな? ホラ、しょっぱなは絶対に勝てないキャラとか?』


水神:〘#……洒落にならんぞ、カネトキ──〙





 ん……指が、じんわりと動くようになった。

 うひゃあ、正座した後の足みたい。

 ちょっとずつ、血が通って行く感覚──。



( じんじんする )

( かんべんしてほしーわねー )



 くち……くちを動かしたい。

 操作系を──。




Q3:〘++++++……ひとつ、心当たりがあるの。レベルは関係なく……クエストの初回発生時には、その場で……クエストの"プレムービー"が始まる設定なのよ──〙


水神:〘#……ムービー?〙


金神:『>>>──あっ!? マジかッ……!? じゃ……、そ、そんなのアリかぁ……!?』


水神:〘#──? ……済まないカネトキ。私も、それなりに年寄りなのでね。ゲームの知識や感覚には……少々うとい。説明を願えるか──〙




( マイスナ、腕、動く? )

( こそばゆくて死にそう )



 あはは、いっしょー。

 ニャッチ、情報を網膜に詳しく表示して。

 敵の残数が知りたいわ。




金神:『>>>はぁ……つまりですね。──"クエストの解放イベント"なんですよ、これは……ッ!! そう……! 開始する前の、"イベントムービー"なんだ……! まったく、くそったれな話だ、頭沸いてんじゃないかっ……!?』


水神:〘#……どういう事なのだ?〙


Q3:〘++++++ええ……その通りよ、オウノくん。この世界のベースになっているのは、世界投影式の体感型ゲーム……。初回のイベント発生時には──、"どのような敵が待ち受けているのか"、"どんな楽しいイベントであるのか"。それを……全てのプレイヤーに、見せつけなくてはならない〙


水神:〘#……、……まさか……〙


Q3:〘++++++私達が製作したリアルタイム投影型のイベントムービーでは、" はぐるまどらいぶ "の機能で、現実世界に敵モンスターのホログラムが流用され、まるでそこに居るかの様な敵が投影されるわ。このレイドクエストのムービーでは……全てのランク……つまり、最終難易度のボスも、最初のムービーで登場するように組まれていた〙


金神:『>>>ははは……! カニのCMを流してたら、テレビからカニが出てきちまった! ──そういうこったろ!?』


水神:〘#……、やれやれ……。"コマーシャル"でカニが食えたなら、それを流す意味は無いだろう──〙




 あっはは。

 カニがいっぱい出るイベントですって……?

 ……。

 カニが……もう少しチンマかったら、

 食堂娘にとっては、タイっヘン嬉しゅう、

 ござぃマシタんですケドねぇええええ──っっ!!!




Q3〘++++++ムービーであるはずのホログラムが、今、この世界では……"モンスター"として認識されてしまっている〙


水神:〘#……それは……"バグってる"、というやつか?〙


金神:『はははっ……! プレイ序盤で、ラスボスがご挨拶に来るようなもんだ……! 途中でお帰りいただけるならゲーム的にナットクだが……、今回は街に向かっちまってる!!』


水神:〘#……ハァ……。誰か番組を始めたまえ──〙




 しーえむ……ってアレか。

 前に箱庭で見たボロテレビのコマーシャル。


 " ケンカも愛も、お湯に流そう! "

 " 箱庭最古の混浴温泉・金の宮! "

 " 日曜、金曜はスベスベ薬草湯! "

 " 天然ひのき風呂にごり湯完備! "

 " 機械っ娘、イレズミ義賊OK! "

 " タオルはせくすぃーNGです! "

 " 箱庭最古の混浴温泉・金の宮! " 


『────ぶ──ッ!!!。』


 湯のみのお茶を、

 ほぼ全部ぶちまけるクラウン。 

 そばで見てた先輩のセリフ。


『>>>ははは、テレビ買い換えようか』


 ……おっ!

 変な事、思い出してる間に、

 足首も動くようになった!

 はやく、はやく──……!




Q3:〘++++++私達は確かに、この世界の基礎を作ったけど……この世界は、私達の予測を遥かに超えて、独自に進化してしまっている。ムービープログラムで、敵が動き出すなんて、ないはずなのに……〙


金神:『>>>──なぁ、悪いんだけど、お前はバカなのか? 最悪の事態に備えないで、今、こんな事になってる! さっさと開示しなきゃいけない情報を言ってくれよ!』


水神:〘#……キミには悪いが、私もカネトキに同意しよう。このままでは……、一番の大物が網にかかってしまいそうだ〙


Q3:〘++++++わかってる、わかってるわ……! でも、納得できない! 私達は、最善を尽くして、この世界を"整備"してきた! なのに……、こんなバグが、なんで……〙




 ……。




金娘:「あなた達が世界を変えてくれた事、私は感謝してる」

銀娘:「そうだね。じゃなきゃ、アンティには逢えなかった」


Q3:〘++++++──! あなた達……〙


金神:『>>>……! 声帯も戻ったね。後は──』


日神:『────:::::::。』


水神:〘#よし……二人共に、意識はハッキリしているようだな。もうすぐ流路の最低限のメンテナンスは終わる。私でも……力になれたようだ〙


金神:『>>>……ふたり共、ごめんな。ぼくが、気づいてやれてたら──』


金娘:「ふふふ、先輩 聞いてたわよぉー? キレすぎだって! ま、嬉しかったケドさ?」


銀娘:「ちょっと、カッコ良かったです」


金神:『>>>……はは、きみ達にゃ、敵わないさ?』




 ちょっと、どーゆーイミよぉ。

 女の子に、しつれいねぇー。


 ……さて。




金娘:「ヘィ 新しい神様さん? あなた、地下の研究室にいた──"腕いっぱいの花嫁ゴースト" さんよね?」


Q3:〘++++++……〙


金娘:「ふふ──後で歓迎会は開いてあげる。だから……今は"敵"の事を教えて」


Q3:〘++++++……! あ、あなた……〙


金娘:「今は落ち込んで悔やんでいても、しょうがない。時間は待ってくれない。そうでしょ?」


Q3:〘++++++──……それは……もちろんよ〙


銀娘:「いうたれ いうたれー」


金娘:「私も……やるわ。何のご縁か、私の頭の上に、神様がいるもんでね」




 ローザの言ってる事が本当なら、

 この人は、昔のクラウンの事を知ってる、

 大切なトモダチだ。

 



Q3:〘++++++……。……本当は巻き込みたくなかった。私の手の中だけで、解決してしまいたかった〙


金娘:「……──でも、あなたは待っていた。あの地下の水びだしの研究所で、私とクラウンを──」


Q3:〘++++++ ぁ── 〙







    ヒ サ シ ブ リ ──── 。







 忘れたとは、言わせねぇ──。


 あん時、このヒトは、


 私とクラウンに会いに来て。


 何かを、頼りにきたんだ────。







金娘:「最近……わかるの。けっきょく、頼り頼られなのよ」


Q3:〘++++++……?〙


金娘:「頼るために生きてて、頼られるために生きてる」


Q3:〘++++++……! ……わ、──わた〙


金娘:「さいしょは、あんたに、ゆずったげる」





 だーから、とっとと。


 カニの、お料理のやり方をですね。


 言いやがってください、


 ませんか、





 ねぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!





銀娘:「あいつらぜんいんれいとうほぞんだ、末代まで食ってやる」


金娘:「カニなんぞにヤられてタマるか、食堂娘のプライドがユルさねぇわぁぁ……」


Q3:〘++++++……えーっと〙


金神:『>>>……きみ達、実はキレてるだろう』


水神:〘#……やれやれ〙




 いーやーぁ? キレてねっすよぉー?


 薬草とどけてー?

 夜、覗かれてー?

 レベル下がってー?

 クラウンお寝んねしてー?

 カニに、しこたま襲われただけじゃん!


 きひひ、あははははははははははははははははははは!!!




金神:『>>>こ、こえぇ……』




 まぁ、あによ。

 女の子に、失礼ねぇー。



「ウッキャー??」



金娘:「──とりあえずアレだな!! カニぜんぶ鍋だな、茹でるのイチバンだし! カニ全滅させてヒキ姉のおっぱい揉もう。自白で許すと思うなよあんのチチ……あ、イライラしてきたぁー!! せや、オシ姉も揉もう、復讐はチチにあり」


銀娘:「おっぱい1号も揉むの?」


金娘:「前にヨロイの中に手ぇ突っ込まれてね」


銀娘:「ケケケ、おっぱいのヒキ肉が確定したなー」




 いや、それ妹のほうよ?

 まぁ……口から香草でも、オシ込むか……。




Q3:〘++++++……あなた達。先人として、この子達の教育はしっかりするのよ?〙


水神:〘#……難しい、お年頃でな……〙


金神:『>>>──おい! まだ本調子じゃないんだから、調子には乗るなって……! その調子じゃあ、調子が悪い所も、まだあるだろう──……!』




 チョーシチョーシうっさいわよ!

 いや、わかった。

 カニとおっぱいは、ゆるさん。

 おし、これで行こう。


 ──きっひゃははは!

 何と輝ける私の活力よ。

 マイスナも満面の笑みだ。

 ああなったらこえーぞぉ。

 口が三日月みたいんなってる。

 おっぱいが四つ、私達の手も四つ。

 姉と妹、どちらをシメるか相談せねば……!



金神:『>>>あのなぁ……何人かシメるのは賛成だけど、その身体じゃさぁ──』




(──マイスナ、先輩、油断してる)

(──うん、今だね)




 口と、腕は、もう完全に動かす事ができる。


 女にゃ──やらにゃあいけない時がある!




 私達は──互いを指さす。


 顔と、顔。


 叫ぶ────。






金娘&銀娘:

「「 ── " オーダー " !!! 」」






金神:『>>>──!?!? バッ……!!?』




猫一:『C1:"相互隷属紋章"、ON──── 』








 おへそから全身に流れる、


 熔岩のような熱量。


 冷たいのか熱いのか、わからない、


 温度の神様に、掴まれたかのような。






 ああ、実に楽しい。


 楽しく、なってきた────。







金娘&銀娘:

「「 ──" カニ共を、殲滅しろ──!! " 」」








 互いの声が、脳に叩き込まれ。


 私たちは────笑っている。






 全身を、ラインが蹂躙(じゅうりん)した──。






 コ オ オ 。










 ────オートモードが選択されました ▼|








 

(・Д・)ボーゼン

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『今回の目次絵』

『ピクシブ百科事典』 『XTwitter』 『オーバーラップ特設サイト』 『勝手に小説ランキングに投票する!』
『はぐるまどらいぶ。はじめから読む』
― 新着の感想 ―
[一言] 水産業の一角滅びた?
[良い点] 奴隷紋の使い方をわかっていらっしゃる。 [気になる点] アンマイが激オコ末代食い死ん坊になっていらっしゃる。 [一言] 次も楽しみにしています。
[一言] 色々と開示しちゃって気にする必要なくなった上で復活、さらにマジギレオートモード…… 弱体化している&対象がカニだけに絞られてなかったら世界が終わりそう((((;゜Д゜)))
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