仮面の忠告
先輩ブチ切れ回( •ꙍ•́ )✧
追記:誤字修正感謝です!
めちゃくちゃ間違ってましたね^^;
金神:『>>>聞こえるか、ド畜生共──』
先輩の第一声は、中々、辛辣なものだった。
ははは……落ち着いて、ね?
絵本の英雄が、
そんな言葉づかいじゃ、アレだってば。
ちなみに私たちのプレミオム・アーツからも、
バッチリ、先輩の声は聞こえている。
アップグレードと流路同期は、
完全に成功していた。
熊神:「うおぉ──!? 今ッ、アーツが喋ったのか!?」
白童:「いや、これは……音声での通信、でしょうか……???」
銃侍:「ベア殿とユユユ殿の声も、聞こえたでござる! 会話の内容が、宙の窓に箇条書きになっておるぞ!」
萌殺:「ままままままッ、マジで、なんなんだコリャー!! マジで、誰か説明してぇぇえええー!! この肩に乗ってる"ゴールド・キャット"は!? マジ、わかわかわかわかわからーぁぁあん!!!」
獣王:「ガオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
姉乳:「……金の神、ですって?」
金神:『>>> だまれよ 』
おおぅッ……おっ、おさえてぇー。
せんぱぁーい、こわいよぉー……!?
殺気、出てんわよぉー。
奥さん失神して、
激おこなのは、わかるけんどもおおお!
ふぅ……。
音声通信と、チャットログ機能は、
正常に反映されたみたいだ。
これで、プレミオムズの皆さんとは、
赤裸々に遠距離通信ができるわけね……。
先輩は、全く絵本の主人公っぽくない、
殺伐とした口調で続けていく──。
金神:『>>>さきに言っておく。ぼくは、きみらが彼女達にした事を、決して許さない。ぼくの手で……きみ達を一人一人、くびり殺してやりたいぐらいだ』
水神:〘#……カネトキ、今は──〙
金神:『>>>きみ達のせいで、アンティとマイスナは今、行動不能になっている。死んではいないが、身体が全く動かせない状態だ』
熊神:「──!! おい、おま……!? 今、アンティとマイスナのそばに居んのか……ッ!?」
萌殺:「じゃ、じゃあ、ウチがホウキで回収して街まで……ん!? クマ! おまえ……"熊の神サマ"、ってなってんぞ! てかウチ、もえころ……、ぉ、おいこの表示マジなんなんさっ!?」
銃侍:「其方や……この招き猫くんは、アンティ殿の、お仲間なのでござるか?」
姉乳:「あなたは……あの子たちの何なの?」
金神:『>>>黙れと言った。おまえ達に質問は許さない。この状況は、おまえ達が作った。ブチ殺されてえのか?』
熊神:「おま……。誰かは知らねえが、落ち着いてくれ」
姉乳:「……っ、……みんな、静かに」
おっほぉぅ……。
先輩、おーさーえーてぇー。
なんか、仮面が熱いわよぉー。
うぇーい。
金神:『>>>だが……。大変、癪だが……。ぼく達は、この状況を改善するために、きみ達の協力が必要だと判断した。現状を説明する。二度は言わない。よく聞きやがれ──、クソッッッ、タレが……ッ!!』
銃侍:「うぅ、む……。怒髪天、というやつでござろう」
萌殺:「ま、マジギレしてんじゃねーかよおぅ……!」
喧嘩腰の先輩は、
プレミオムズの皆さんにも容赦がにゃい。
ん? なに?
最終許可? ……いいよ。
ちゃんと説明しないと、分かんないでしょ?
おら、言ってまえ。
金神:『>>>、……よし。アンティとマイスナのスキルは、それぞれ意思を持っている。きみ達の言語では"インテリジェンス・スキル"という表現が分かりやすいかな』
熊神:「──なっ!! そんなスキルが……!?」
姉乳:「っくま! 今は……黙って聞いて……」
熊神:「あっ、あぁ……」
金神:『>>>"意思を持つスキル"のコンディションは、概ねスキルレベルに依存する。おまえ達が無断でスキル経験値を4段階も消費したせいで、彼女達のスキルは意識を失った』
姉乳:「……っ!! ……っ、……」
熊神:「スキルが……"停止した"、って事か?」
萌殺:「マジかよ……マジやべぇやつじゃん」
金神:『>>>スキル上限の下降と、サポートをするべき人格の不在……はっ。こちら側のスタミナ管理は、見事に失敗したよ。おまえ達のせいで、彼女たちは戦場の真っ只中で、ピクリとも動けなくなったのさ──』
こらこら先輩、
あんま威圧的にならないの……。
姉乳:「……、……。力を……使い過ぎると、行動不能になるのね……?」
白童:「これは……、彼が怒るのも、ゴモットモですねぇー!!!」
獣王:「ガッ、ガオオオオオオオオオオオオ──ッッッ!!」
ま、なんとか意識は……あるわぃや。
マイスナ、だいじょぶ?
え……? 冷やしゃぶ食べたい?
ふふふ……。
あっ、ツメザルが木ぃ登ってきた。
やるやん。
金神:『>>>今、この森では、バール・モンキーとブレイン・イーターって化け物ガニが、総力戦を始めている。猿は味方だ。人間と街と、森を守ってる』
萌殺:「マ……!? 猿……って、マジか!? だって……バール・モンキーだろ!?」
姉乳:「ん……マジカ。ヒキハが、クルルカンちゃん達のそばでバール・モンキーの子供を見たって言ってるわ」
銃侍:「なんと。では……やはり、この表示の敵の残数は、正しいのでござるな?」
白童:「いやぁー!!! 確かに、これは"レイドクエスト"と言えますねぇー!!! こりゃー、このままの頭数じゃ、けっこーマズイですよぉー!!?」
熊神:「……教えてくれ、カネトキさん、とやら……。おれ達は、何をすりゃーいいんだ……?」
金神:『>>>気安く名前を呼ぶなよ。今はまだ、"ザコガニ"と"リーダー級"しか確認していない。が……こちらの予想では、もうすぐ──"グランテス級"が出てくると考えている』
──うん……。
これは──新しーく、おいでなすった、
"水の神様"の情報だったりする。
大量討伐の"レイドクエスト"は……、
徐々に、敵が強くなる設定だとか何とか。
つーか、あの裸ネコは、
いったい何処まで行ってきたんだか……。
熊神:「──ぐ、グランテス級、だと……っ!? それはっ……」
姉乳:「……っ、は……、勘弁してほしいわね……」
萌殺:「せっ、説明求む!! マジ、求ぉーむ!! ウチ、そゆーの!! わからんからぁああああ!!」
熊神:「……。ただ単純に……デカいんだよ。"グランテス級"の"ヨロイガニ"、だと……? はっ……まったく、くまった話だぜ……。ヘタしたら、ホワイトバーグベアよりデカいかもしんねーぞ……?」
萌殺:「マッ……!? そんなの、ほとんど、ガイア・ゴーレムみたいなモンじゃねーかぁー!!! うわーん!!! ままま、マジ無理イぃぃー……!!!」
銃侍:「洒落にならん話でござるなぁー」
金神:『>>>まだ、一体だけならいいんだがな? 今回は1000体だ。下手すりゃ、数体は出現する。きみ達だけで、やれりゃーいいがな』
銃侍:「…………本当に、洒落にならんでござる」
白童:「ははは……国で対応するレベルですかね」
山みたいなカニを倒すのは、
いくらプレミオムズの皆さんとはいえ、
ゼッタイに大変だと思うわけで。
でも、もし私とマイスナが、
フルパワーでやれたなら、
あるいは────……!
熊神:「……へぃ、金の神様よ。話が吹っ飛んでるぜ。さっきアンタは、状況が改善できる、って言ったろうよ?」
金神:『>>>そうだね』
熊神:「おれ達は……何をすれば助けになれる?」
金神:『>>>……。もし、こちら側が万全の状態なら、でかいカニなんて屁でもないんだよ』
言 い す ぎ ぃ ー !!!
なんつーこと言ってくれやがりますかな、
我が大先輩は。
金神:『>>>パーティ登録をした事によって、きみ達が倒したカニの経験値は、こちらにも流れるようだ。さて、もうわかるだろう? やる事は、サルでもわかる単調な作業さ──』
熊神:「……っ! なるほど、シンプルだな……」
白童:「やる事は、見えてきましたねー!!!」
姉乳:「……つまり、私達は──」
金神:『>>>強敵は無視しろ。できるだけ、ザコを大量に殺せ。もし……こちらのスキルレベルが上がったら、クラウンは目を覚ますかもしれない──』
萌殺:「マジか! そうすりゃ、クルルカンと狂銀ドレスも……」
銃侍:「動けるようになるやもしれぬな?」
獣王:「ガオオオオオオオオオオオオ!!!」
金神:『>>>いいか──殺せ。できるだけ、たくさん殺せ。迅速にだ。その猫たちは、ぼくの家族だ。助けて欲しいことを言え。武装、回復、何でもいい。まず、要望しろ。現状で可能な最大限の戦闘補佐をするように言ってある』
熊神:「ま、待てよ……! 要望ってのは、どういう──」
金神:『>>>後は直接、彼らに聞けよ。口は、ちゃんと付いてんだろ? 今、そちらのマップ機能をいじっている──終わった。これで敵の位置情報、きみ達の位置情報も表示される』
姉乳:「……っ! プレミオム・アーツの流路術式を……改造したの……?」
熊神:「おま、何者なんだ……」
金神:『>>>……死人だよ。それなりに有名な、な──。さぁ、殺せ、殺すんだ。あんた達の手に、ぜんぶ、かかっている──』
先輩が説明し終えると、
目の前に、黒い女騎士が浮いていた。
{{ ……どうすればいい? 貴女達を守るか、それとも── }}
『 がるるぅ…… 』
今の私たちじゃあ、
シゼツの刃は扱えない。
なら……イニィさんには、
即戦力になってもらった方がいい。
超強いもん、イニィさん。
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や、できるだけ敵を狩って
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わたし達、平気ですから
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「うっ……ウキっ!? ウッキぃー!!」
ふふふ……。おサルさんの護衛もいるわ。
大丈夫よ。
{{ ……。私もイイとこ、見せなきゃね── }}
『 ガルルルルォォオオオオオオ──ンンン!!! 』
十字杖が、真っ黒な鎌に姿を変える。
こえぇ。
暗黒の鎧。
漆黒のドレス。
深紅の目は、金の三つ目の仮面になった。
{{ 今夜くらいは……魔王らしいこと、しましょうか }}
『 ガルルロロロォォオオオオンン──ンンンッッッ!!! 』
魔剣士と化したイニィさんは、
黒の森へと、溶けていった。
イニィさん、出撃ッ!( •ꙍ•́ )✧