足掻キノ戦艦 さーしーえーまーつーりー
今回は箱庭サイドです。
お楽しみください<(_ _*)>。
『>>>しまった……! ぼくが……気づくべきだった……!』
『────ぅ……。』
─ ─ ─ドカァァァァァンンン・・・!
>>> 爆発音がする。
死後のセカイにしては、
ずいぶんと、腹に響いてくるやつだ。
【ERROR】
【ERROR】
【ERROR】
【ERROR】
【ERROR】
【ERROR】
【ERROR】
【ERROR】
【ERROR】
【ERROR】
【ERROR】
『>>>わかってんだよ、どちくしょうがッ……!!』
ホログラムのコックピットのモニターに、
バカバカと、次々に表示される、
様々な"ERROR:Code"のポップ:アップたち──!
オペレータールームにいるクニャウンズから、
焦りを含んだ報告が、次々と入電する……!
『C2:だっ……第二集光装置が爆散! 起動不能になりましたみゃ!!』
『C7:格納コンテナ浮遊島、4-7区間の武装デバイスが使用不可能判定!! どーなってるんにゃーッ!!?』
『C3:起動したデバイスの誘爆を確認! 貯蔵庫の第5ブロックが自動で閉鎖しましたみゃ! プレスタート中の補助デバイス、全ての空間解凍を一時停止!』
『C5:デバイスが……壊れていっているのにゃ……!!』
目の前のウィンドゥに溜まっている、
デバイスの破損報告は──……。
明らかに、歯車で構成されたパーツの、
動作不良を意味するものだ──!!
間違いない……!
デバイスに組み込まれた歯車が……、
それも、かなりの数が、
止まってしまっている──!!
『>>>くそっ……! 精密機械の中に、いきなり小石をバラまいたようなもんだっ……!』
『────ぅ:ぐ……。』
ざっとエラーを確認する!
こ、これは……! 起動準備をしていた、
熱量を扱うデバイスの、ほとんどが……!
誘爆、していやがるっ・・・!!
なんてことなんだ、こんチクショウっ……!!
『>>>壊れたデバイスが、ソルギアの出力に耐えられるはずがない……!』
今もカニさんと鬼ごっこしてる後輩ちゃん達から、
現状を確認する通信が入った──!
「──ちょ、ちょっとクラウン、先輩!? どーなってんの!? ぜんぜん身体が動かなくなったわよ!?」
「──骨が、人形みたいに固まっちゃったみたいです。今、風力バーニヤを操作してるのは、カネトキさんですか……?」
「ウッキャキャー!?」
メインカメラの映像に、
でっかい、夜のバケモノが表示される!
──ズドンッ・・!!
──ズドンッ・・!!
──ズドンッ・・!!
[ GPRAAAAAA-GSHIHHHAAAAAAAAAA──!!! ]
オオオオオオオオオオォォオ──・・・!!
大砲のような足音を響かせながら、
後輩ちゃんズと、おサルさんを追う、
映画に出てきそうなカニのバケモノヤロウ……!
さっきのヤツらより、体がデカイ!!
おそらく、小さな群れのリーダーなんだろう!
映像から解るように……今、後輩ちゃんたちは、
後ろ向きに風力バーニヤで飛行している!
ぼくが、まるで……、
飛行ドローンを操作するように、
逃走させているんだ!
説明を、しなければ……。
ぼくは、彼女たちに話しかけた──!
『>>>──聞いてくれ! 今、きみ達の体内の、"インビジブル・フレーム"が、完全に機能を停止してる!』
「──!? それって……"ゴールド・フレーム"のコトよね……!? な、なんだって、そんな事になってんの!!」
「──身体がカチカチで、勝手に空を飛んでいます」
「ウッキャキャ──!!?」
彼女たちのボディの前面に露出した、
複数の風力バーニヤを操作しながら、
ぼくは言う──……!
『>>>後輩ちゃん!! 今回の件は……きみ達の不調が、原因じゃない!』
「「……っ!?」」
「ウッキぃ……」
くっそ……実に簡単な、
カンタンな、事だったんだ……!!
ぼく達は……思い込み過ぎていた!
何か、"不調"があれば……、
"彼女"が、気づかないはずがない、と──!
そう……思い込んでいたんだ、
ちくしょう──……!!
『>>>──ついさっき、クラウンちゃんが気を失った! 発熱している様に見える……まるで、風邪っぴきみたいだ!』
『────む:ぅ……。』
「なんですって!?」
「クラウンさんが?」
『>>>……今回の不調の原因は、
>>>────"クラウン"なんだ……!!』
[ GPRAAAAAOO---GSHIHHH A A A A A──!!! ]
振り上げられた、巨大な左のハサミを、
装備型の、バッグ歯車の風力のみで、
回避する────!!
──ずどおおおおおおおおんんん!!!
月明かりが、土煙で見えなくなった・・・!!
あんなの食らったら……地面にめり込んじまうっ!
「──ウッキキ"ャー!?」
「ぅ、うッへえー!! せ、先輩ぃぃ!? クラウン、何とかならないのッ!? 原因はッ、何なのよぉぉおお──ッ!?」
「身体が動かなければ……対処のしようがありません」
『>>>す、少しだけ……時間をくれ……! 箱庭側の損害がどれだけか、ざっくり把握しなきゃあいけない……!』
〘#……──ローザ!! おい、ローザ!? しっかりするのだ!?〙
〘------すやすや……;;のんのんのん……☆.*・゜〙
──……っ!
ローザは、クラウンちゃんと同じく、
気を失っちまってるみたいだ!
これは……マズイ…!
もし……ありとあらゆるデバイスを構成している、
"ギア"と"チェーン"が、ストップしたら……──!!
ッ、──ド・ド・ォ・ォ・オ・オ・ン・ン……!!
『>>>……!? うおぁッ──!?』
『────ぐ……。』
コックピットが、大きく揺れた……!
ここまで振動が伝わる、"衝撃"──!?
『>>>っ……! 今の揺れは、なんだぃ!?』
『────:……。』
『C6:こ、こりゃー! やっちまったにゃー!! 箱庭フォートレス、第一エンジン・ソルトアマイザー、第二エンジン・ヘビアアラウザー、共に機能停止! すっ、推力減退!! こ、高度がドンドン、下がっていくにゃー!!』
『>>>──……!!』
──ガ・コ・ォ・オ・オ・オ・ン・ン………。
── く ぉ お お お ぉ ぉ お ん ……!
う 、 お 、 ぉ 、 お ・・・!!
全長が200はあろう、巨大な幻影の船が、
おおきく、左側に傾き出す……!!
『C1:箱庭フォートレス、アナライズ積層空域に落下を開始。アナライズ積層度:マイナス30、32、35……現在も減少中。疑似火災の発生を確認。消火用ナノマシンを構成完了。エンジンルームのプログラムに感染させますにゃ。父さん……次の指示を────』
──ドカァァァァァァァァンンン・・・!
再び、大きな爆発音──!
箱庭フォートレスのエンジンに使用されている、
歯車と鎖が……止まっちまったんだ!!
く、くそっ……!
まるで、魚雷で撃ち抜かれたみたいだ!
まったく冗談じゃないよ、ホントに!!
いやーな、浮遊感が、ある!!!
グラリと、ジェットコースターの、
テッペンにいるような感覚がくる。
このままじゃ、ヤバい──……!
『────ぐ:ぅ……。』
『>>>ちっ……──"両翼"の滑空を試す!! イニィさん!! ガルン!! "黒翼"の方を広げてくれ!』
{{ わ、わかったわッ!!! }}
『 がるるるるるうぅうううんんん──!!! 』
箱庭フォートレスの巨大な船体には、
後方の左右に、大きな翼のようなモノが接合されている。
左側には"白翼"。右側には"黒翼"。
これは、自然に発生・構成されたものだ。
何故かは良くわかっていないけど、
"白翼"は、ローザの意識に、
"黒翼"は、イニィさん達の意識に、
深く関係してる事が、わかっている。
『>>>せっ、先生!! ローザは……!! "白翼"も、広げないとダメだ……っ!!』
〘#……い、今、彼女の流路に、物理的に介入した! 何とか、やってみよう!! カネトキは、皆に指示を出せ──!!〙
〘------ぅ;きゅんっ……☆.*・゜〙
──ばさぁぁあああ あ あ あ──・・・ !
──くぅぉぉお・・・ !
『>>>い、いけてる……動作してる!』
"黒翼"に続いて、ワンテンポ遅れて、
"白翼"が、ゆっくりと開きだす──……!
──くぅぉぉおああ あ お お──・・・ !
『C3:せっ、船体の落下速度が回復! 滑空現象を確認したみゃ! 』
よ、よしっ!
船体の傾きが、少しずつ戻ってきている……!
『C7:にゃー!! 安心するのは早いですにゃ! 箱庭船内でデバイス崩壊によるダメージが増加傾向! 船体を維持するために、船底と推進器の補修を優先して再プログラミングを開始! なんとか持ちこたえさせますにゃッ!!!』
くそっ……! 今度は、家ん中が火事ってか……!?
"時限結晶"の中は、白い宇宙空間のようになっている……!
ぼくらの住処でもある、
この、"夢の宇宙戦艦"が……、
花火みたいに、ぶっ壊れたらと思うと……!
流石に背筋がゾッとする──……!
「──ヘイ! ヘイッ! 通信でソッチもヤバいってのは伝わってんだけどさぁー!? こっちの体内のフレームも、はやくバラしてくんないっ!? 撤去だけなら、すぐにッ、できるでしょーよおッ!?」
「カチンコチンで、動けません。自分の意思で飛んでいないので、気持ち悪いです……」
「ウッキャキャー!?」
『>>>ま、待てっ!! そんな単純な話じゃないんだ!!』
「なっ、何がよォぉお!? つーか、なんで私の意思で消せないのっ……!? 身体の中にあるの、歯車なんでしょう!?」
「たーすーけーてー」
「ウキッ……」
『>>>い、いいかぃ……!? きみ達の骨格フレームは、ただ体内に入っているだけじゃないんだ! 戦闘時には……フレームの骨格芯から、ヨロイの内側の装甲に向かって、無数の支柱のような物が打ち出されてる!!』
「な、なにそれ!?」
「初耳です」
『>>>デバイスの身体接続だけが用途じゃなくて……枝を伸ばすように、体内から全体の強度を上げていたんだよ! その構造は、非常に複雑なんだ!!』
「だっ、だから何ぃいッッ!?」
「うぇーい」
『>>>今、順番に、それらのパーツをバラしていってる! きみらも知っての通り──そのフレームには、"幽霊の歯車と鎖"が使われてる!!』
「わかっとるっちゅーねん!!」
「肉体を透過する歯車と鎖ですよね?」
『>>>ああ、そうだよ!! ぼくが今、恐れてんのはな……その歯車と鎖が誤作動して……いきなり"実体化"することだ!!』
「「 は…… 」」
「ウキ?」
『>>>体内で……"金属のスケルトン"が、突然、"実体化"でも、してみろよ……! R指定、まっしぐらだぞ、くそったれぇぇ……!!』
「か………、かんべんしてよ……」
「まだ、死にたくないです……」
急に体内のフレームを消せないワケを、
後輩ちゃん達も、理解したみたいだ……。
何百という歯車と鎖で出来た、
幽霊のロボット・フレーム……。
一気に消そうとした時……ひとつでも、
"誤作動"したら……"致命的"だ……っ!
『>>>いま……そうならないように、確実に、少しずつフレームを解体してる……!! もう少しだけ、耐えるんだ!!』
「なっ……なるはやでねぇええええ!!」
「任せます。頼みます」
「ウッキャキャー!!」
[ DUUUYYUUURSHAAAAAAAAAAA──!!! ]
デカいカニは、しつこく追いかけてきて、
今も、硬直した後輩ちゃん達は、
横向きのロケットみたいに、
森の木の間を縫って飛行している・・・!!
{{ く……! 箱庭の"黒翼"……! ぜんぶ開いたわよ!! さぁ、私とガルンを召喚して!! はやく、ピエロちゃん達を助け、・・!? きゃ──── }}
──ズドドドォォオオンン!!
『>>>──!? イニィさんっ!? 大丈夫かっ!?』
『C7:箱庭内部の13-18区画が崩壊! 防護壁プログラムはアナライズ依存で作動確認! 大丈夫にゃ! 自動で衝撃から守る仕組みにゃ!』
{{ ちょ、ちょっとー!? なんか、隔壁みたいなのに、閉じ込められちゃったんだけどぉーっ!? }}
『 がるがるがるーぅん──!!? 』
『C7:大丈夫にゃ、イニィちゃん! 今、こっちで解除して…………あ……ぁにゃっ!?』
『C5:──!! 作動した防壁のプログラムに……アクセスできなくなったにゃ! 解除申請を、受け付けないにゃっ……!』
な……!? イニィさんが、
何処かに閉じ込められたって事かぃ!?
『>>>──その封鎖区画に、転送用のバッグ歯車が侵入できるか試せ! すぐにだっ!!』
『C7:りょ、了解にゃ! トライ:1……!! ──し、失敗!! にゃ、にゃん、、、で……!?』
『C2:そ、そんな……! 防壁封鎖区画に、歯車が座標指定できないみゃ! 侵入不可能! 転送も不可能判定!』
『C7:防壁は、歯車じゃなくて……アナライズカードなのににゃ……! にゃんでにゃんにゃあぁぁ……!?』
ちくしょ……そんなの、決まってる!
『>>>船内の防壁のアナライズカードは……ぼくの作った"黄金色"のものじゃなくて、クラウンちゃんが担当してた……! 彼女の不調の影響が、そっちにも出ているんだ……っ!』
『────ぅ:::ぐ……。』
{{ ちょ、ちょ、ちょ……と待って……!? もしかして私たち……こんな所で……カンヅメ、ってワケじゃ、ないわよねぇええ──ッッ!!? }}
『 が、がるるるぅううん……!?!?!? 』
は、ははは、まずいぞ……。
ぼく達の生活が、
いかに、クラウンちゃんのチカラに、
依存していたか……。
とても、よくわかるってモンだよな……?
奥さんが、ちょっと、お熱を出しただけで、
この有り様だ……。
まったく、笑えてくるよ……ははは……。
少し呆然としてしまった時──。
──先生の声が響いた!
〘#──花殿!! なんとかイニィ君の場所まで行って、"爪"を使い、防壁を破壊できぬか!!〙
【 あいよぉ、せんせぇ……。もう、はじめとるけぇなぁああああ!!! 】
……──!!
そ、そうかっ……!
サキさんの"爪"は……!
"絶対断絶"という能力を持っている……!!
"どんなモノでも斬り裂ける"──。
ある意味、イチバン反則な能力だ……ッ!!
【 ──くそ! ナスビっ子の場所がわからん!! 誰か、何処に居るか、案内しりゃんせぇ!! 】
< わっちは花と一緒におったぇ! 盾ぇつこうて、守りながら参りゃんすっ!! >
{{ うえーん!! 私はここよぉおおおー!! }}
『 がるがるがるがるがるがるー!?!? 』
ほ、放心している場合じゃない!
全員の力を合わせて、
はやく後輩ちゃん達の戦闘に、集中しなければ……!
『>>>ちっ──! ミャーツとニャーナは後輩ちゃん達の体内フレームの解体を急げ!! ニャーゴとネコロクは、ダイさんとサキさんを、イニィさんの所までナビゲートしろ!! 崩壊してる箇所の表示も忘れるな!! ニャッチとミャナミは箱庭の崩壊箇所の補修と、進行方向の障害物を確認、舵取りしろ!! 途中で炎上しているデバイス保管庫なんかが浮いてる可能性があるっ!!』
『『C2-7:りょ、了解!!』』
『C5:了解したにゃ。』
『C6:ニャー!! イエッサー! マイ・ファーザァぁあああああ!!!』
『C1:了解、父さん』
『C3:わ、わかりましたみゃー!!』
【 ──おぅらぁああああ!!! うぉ……!? 】
< はな!! はよ、ふせぇ──!! >
ド──ォォオオオオオォォオオンン!!
『>>>だ……──ダイさん、サキさん、大丈夫かぃ!? 今、凄い音が……』
【 だ、大丈夫やぃ……! 大姉が、盾で守ってくれよったきに! 】
< わっちの"盾"は、広げたら六尺くらいはありんす! 守りは任せときぃ! >
──! "絶対拒絶"か……!
よ、よし……、イニィさんの救出は、
二人を信じるしかない……!!
【 これは……燃えとるぞ……! 俺っちにはわかる……! 透明の、四角い、吹き出るような、けったいなやっちゃがな──…… 】
< ……うん。これは、"炎"や。間違いないぇ……! >
{{ うわーん!! はやくぅー!! }}
『 がっ、がる──ん!!??? 』
『C5:みっ、ミス・ヨトギサキ……! そっちは船底だ、穴を開けたら取り返しのつかぬことになるにゃ……!』
『C6:イニィさーんの方向をゥ、マーカーしますにゃ!! イェアー!!』
『C7:ゴールド・フレームの解除率……58パセルテルジ!!』
『C2:シルバー・フレームの関節ロック解除まで……予測:あと18秒……!!』
「ぃ、いそげぇええ!! ニャーナぁああああ──ッ!!!」
「動けるようになったら……カニはゆるさんぞ」
「ウゥウッッキャー!!!??」
[ GUBHGPGGGXXYXHHAAAAAAAAAA──!!! ]
『────ぅ:ぅ……。』
『>>>だいじょうぶだ……ぼく達は、ひとりじゃない』
さぁ────、
────正念場だ……ッ!!
●▼●.*・゜
▼活動報告に『マジカTシャツ』情報追加!
▼comicジャルダンにて『第三話』配信!










