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ゴート・スリーパーズ さーしーえー

ニコニコ静画の第2話も更新されてましたね!

((o(。>ω<。)o))




□□□□□



「なんであんな事をしたの」

「……」

「……」

「正直に言いなさい」

「……いやだ」

「うぅ……」

「あなた達の血の事を、誰かにバカにされたの?」

「っ……、」

「……、……」

「だからって、突き飛ばすのはダメだわ」

「……」

「……ごめんなさい」

「あら、ヒキハは素直ね」

「……。ねぇ、マザー」

「……」

「なに? オシハ」

「赤ん坊の私たちを、教会に連れてきたのは……"魔物"だって、ホント?」

「っ! うっぅ……」

「……。なるほど。よく分かったわ」

「ねぇ、マザー。ホントなの?」

「ほ、ホント、ですか……? わっ、私たちの、そんな……!」

「……。……本当よ」

「っ!!」

「っ!!」

「でも、心配ないわ。その魔物は、とっても弱い魔物だったの」

「じ、じゃあ……! やっぱり、私たちの本当の親、は……」

「う、うぅ……!」

「……。よく、聞きなさい……。私はね? アンタ達に、優しいウソを言って慰めるつもりはないの。どんな綺麗事を並べても、世の中の半分は、クソみたいなヤツで埋まってるわ。うぅん……どんな素晴らしい人にだって、悪魔みたいな心は、必ずある。アンタ達は、これからも……色んな人にバカにされる。必ずね──」

「……」

「……、……」

「──それでも。私はアンタ達のお母さんの代わりに……なれたらって、本気で思ってる」

「!」

「! マザー……」

「ホラ……とっとと立ちなさい。いつまで二人で、しゃがんでるつもり?」

「……それ、信じていいの……?」

「っ! ぉ、お姉ちゃん……!」

「──きっひひ、バカねぇ。そんな簡単に、信じていいわけ、ないでしょう」

「っ!」

「ええっ……!?」

「だから、私たちは……長い時間をかけて、共にいる事が大切なのよ。ほら……はやく。オシハ、ヒキハ、立ちなさい?」

「……、ぅ……」

「ぉ、お姉ちゃん……」

「そら、いくわよ! 言ったヤツの所に案内しなさい!」

「……! は……、はぃ……」

「……謝りに、いくんですよね?」

「え? なんで?」

「……えっ?」

「あの、え……? だ、だって、突き飛ばしたりしたから……」

「バカねぇ! 突き飛ばすくらいじゃダメよ! 追加でボコって、川に沈めるに決まってるでしょう!」

「ああぁぁああ、あなた! 本当に大司教なの!?」

「うわーん!!」

「るんるんるんるるぅ〜〜ん♪♪♪」





□□□□□□□□□□



「今回の治療はどうだった?」

「別にー。滞りなかったわ」

「ずいぶんと気遣われました」

「きひひ……ま、私の養女だからね。目まいは?」

「うん。もう、日光の下では、ほとんど大丈夫」

「ええ。肌がピリピリする感覚は、もうありません」

「あら、すごい。それはアオカに、お礼をしなきゃいけないわね?」

「……」

「……」

「ん? あによ」

「あー……うん」

「おっ、お姉ちゃん、ヒヨらないで……!」

「なんだなんだ。このマザー・レイズに、ドンと聞きなさい!」

「……。じ、じゃあ、聞くけど……」

「ご、ごくり……」

「はぁい。なぁに?」

「──さっ、先に言っておくけどねっ!? 私たちは、今さらアナタに噛み付く気はないからね! そっその、育ててくれた事は感謝してるっつーか!? 色々と裏の仕事はさせられるけど、それもまぁアリっちゃ、アリっつーか!?」

「──うんうんうんうんうんうん!!」

「 は よ 言 え 」

「うっ……。じゃ、言うけど……。私たちを教会に捨てた魔物が……」

「……まだ、生きてるって、ホントですか?」

「……………………………………」

「ご、ごきゅっ……!」

「ま、マザー……?」

「……アオカ。次回遭遇時、スリーパーホールド決行」

「ぃ、いや……。確かに、アオカから聞いたけどさ……」

「あ、あの方も、悪気は無かったといいますか……?」

「"しまった!" ……って顔してたでしょう?」

「……すごいしてた」

「……してましたね」

「うん、やっぱ電気アンマだな」





□□□□□□□□□□□□□□□



「昨日襲撃した、あの横領ボケ貴族の資産、回収終わったわ。ご苦労さま」

「あ、うん。まー、昨日のは楽だったわ」

「あの後、あの方はどうなったのですか?」

「ん? 地元の漁師さんに引き渡したわよ? 今頃、海の上」

「あーららぁ……。貴族から、一本釣り漁へ強制参加、か……」

「あはは……自業自得とはいえ、何とも数奇な運命ですわね……」

「バカねぇー。守るべき民のお金、あんだけチョロまかしてたのよ? ケッ、命があるだけ感謝してほしいくらいだわ?」

「それを本気で思ってるから……」

「マザー・レイズは恐ろしい……」

「いやいや、私、世界一優しい大司教。きらっ☆」

「……昔、いじめっ子を川に沈めてたわよ?」

「"貴族殺し"って呼ばれてたような……。で、その手の本と……布?? そちらは日記帳か何かですか?」

「あーぁ! そうそぅ。アンタたち、コレあげるわ!」

「えっ……ナニコレ。……っ! この服……軽装鎧……?」

「──あっ! これ、あの貴族の寝室に飾ってあった!」

「ええ──。何でも、伸縮力の非常に高いヨロイらしいのよ。オッパイがメロンサイズでも大丈夫! こちらの貴族のクソ日記によると……『 かかかかか……! ワシはやっと、KKシリーズ、" ゴート・スリーパー "を手に入れたぞ……!! しかもふたつだ! ワシ、超勝ち組!! 世界最強……!! 』と、あるわねぇ」

「か、勝ち組……。いまや、漁師さんの下っぱなのに……」

「ご、"黒山羊悪魔の眠り(ゴート・スリーパー)"とは? いや……"史上最高の影の者(ゴート・スリーパー)"、かな……?」

「ま! ちょうど、双子装備みたいだから、アンタ達にピッタリだわ! どうやら悪魔系の魔物の素材が多用されてるみたいね……。しっかし、なんだか……見たことがある造形のような──……」

「いやいやっ、マザー……!? コレ、あの成金ジジィが収集してた、鎧コレクションの中の、ふたつなんでしょ……!?」

「あの……勝手に持ち出して、いいんですか?」

「大丈夫よ。母は強し」

「あっ、コレ……何人か殴ってるわ……」

「殴ってますわね……」

「ええから着てみぃ」

「──うわっ! 何コレ!? ほとんどボディ・スーツじゃん!? 乳! 乳がコレだめ! ピッタリふぃっと!?」

「こっ、これは……体のラインが、モロ見えですわ!」

「はぁ……ホントに世界の終わりみたいなオッパイねぇ……。まったく、何食べさせて育てたっけか……」

「はーい、マザー。この鎧、エロ過ぎまーっす!!」

「こんなの、剣士仲間の前で着れませんわ!」

「せやな。ま、それだけ薄地の装甲なら、普通の鎧の下に着込めるでしょう。セットのヘッドギアもあるわよ。ホレ、御丁寧に、巻き角の意匠」

「あ、それは可愛い」

「えぇ〜〜、そうかなぁ〜〜……?」

「アンタ達、それ、卒業祝いよ。今日から聖兵(クレリア)、やめなさい」

「「──えええええええええええ!?」」

「おっぱいの大きな子は、隠密に向きませんっ。しばらくは剣士に集中なさい! おっぱいスラーッシュ!!」

「「こ、このマザー……!」」




□□□□□□□□□□□□□□□□□□





 ────────────────────

  ▼▲▼▲▼ クエスト情報 ▼▲▼▲▼

    残 852 / 1000

  ▲▼▲▼▲        ▲▼▲▼▲

 ────────────────────





 姉妹は、舞っていた。



 大振りのアイアンソード。


 砕ける、魔物の外甲。


 そして、彼女たち自身の、(まと)う、鎧。 


 あらゆる破片が、夜に沈む。


 吸血鬼の呪われた血を宿す彼女たちにとって、


 剣は、使い捨ての道具に過ぎない。


 ミスリル銀の剣は、彼女たちの力を殺し、


 やむをえず使う、鉄の剣は。


 血の腕力に耐えきれず、欠損する。


 なんとか、なんとか剣を壊さぬように。


 チカラを込めて、敵を()ぐ……!


 が、超人的な肉体は、


 鎧ですら、内から壊した──。




「は……。見た目だけなら、ボロ雑巾ねぇ……?」

「く……! お気に入りの、ドレスの(すそ)が……!」




 敵の攻撃ではなく、


 自身たちの過剰なチカラが、


 羊たちのヨロイを、崩壊させていく──。



 ── 敵は、待ってはくれなかった。





[ GYBA・BAAAAAAAAAA──!!! ]


「「──ふっ!!」」




 ──カァィインン──・・・!!!




 傷だらけのアイアンソードが、

 重なり、巨大なハサミを止める。




「「だっらァァァぁああああああ──ッッッ!!!」」




 ──ズシャァァアアアアア──・・・!!!




 カニモドキは、四つになった。


 そして────。




 ──ベギャギ……。




「「 あっ…… 」」




 剣の音ではない。


 鎧の音だ。


 ふたりの姉妹の装甲が、限界を迎える。




「この、紙切れが……!」

「姉さま、お口が悪くってよ……?」



 ビギキ、バキキ、と。

 鎧を伝う亀裂は、止まらない。

 装甲は裂け、ベルトは千切れ、

 編み込まれた革と(びょう)は、

 グズ鉄へと成り下がっていく────。



「あ、ムリだわ、胸んトコ」

「なんて事なの、ヒップが……」



 ──バルるンっっ──・・・!



 姉妹の豊満な胸と腰のプレッシャーが……!

 ヒビだらけの、ゆで卵のカラのような鎧を!

 弾け、飛ばしていく────……!



 ──ぼぉぉおおおおおおおんんん──……!!!



 それは、爆発に似ていた。





 ──破片、舞い散る中。


 羊の姉妹は、踊り立つ────。






挿絵(By みてみん)


「まさか、これで戦う日が、来ようとはねぇ……」

「ああ! 誰かに見られたら……死にたくなりますわ!」





 ────" ゴート・スリーパー "──……!!




 Aランクの魔物……!


 " バフォメット "の素材で組まれし、


 全てが謎に包まれた、漆黒の姉妹ヨロイ──!!




「これ……外側に着てた鎧が、アレだけ砕けたのに……まるで(ほころ)びがないんだけど」

「ホント……。こんな薄い布地に見えますのに……どうなっているんですの?」




 それは、黒いピッチリとした、ボディ・スーツ──!


 表面に重なり合う、幾重もの、しなやかな装甲・・・!


 豊かな、女性特有の、ボディ・シルエットには!


 美しい筋組織に沿い、


 紅いラインが走り流れている・・・!


 姉妹、おそろいの巻き角のヘッドギアは!


 まるで、魔族のような印象を、


 見た者に……鮮烈に与えるだろう────!!




「……なんか、娼館のプレイで、そーゆーのありそー」

「わっ、わたくしを見て言わないでくださいまし! お姉ちゃんも、おんなじ見た目ですからねっ!?」




 手に握られた、


 傷だらけのアイアン・ソードとは対照的に、


 謎の漆黒のヨロイは、黒い輝きすら(はな)っている……!




「はん、いくわよっ! ヒキハ!」

「──!! はいっ!!」




 剣士の姉妹は、走り出す──!


 月夜の森を、


 漆黒の乙女たちが、駆け抜ける──!!





「──ぁ、あれっ? 私……これ、あの紅い肌着、つけてるわよね? まるで……裸みたいに、抵抗が無いんだけど……」

「──えっ、そのハズですわ。本当ですわね……。何故か、この真っ赤なランジェリーと、この鎧……? やたらと、馴染みが良いような……?」




 駆ける──!


  駆ける──!


   駆ける──!




 奇しくも、全てを活かす鎧姿となって! 


 羊雲姉妹(ツインフェルト)は、風になる!


 まだ、血のチカラの全ては、使っていない!




 ──が、通り過ぎた残り香は。


 "血風"を、孕んでいた────!




「──……ヒキハ。二手に別れましょう!」

「──!! お姉ちゃん、それは──……」

「──ダメよ。どうやら、この鎧は大丈夫そうだけれど……剣が持たないわ」

「……!! ……」

「見なさい。ボロボロよ……。ストックも合わせても、そのうち"(にえ)(けん)"を使わなけりゃいけなくなる」

「……はい」

「私達なら、すこし離れていても、血の気配で合流できるわ。私もクルルカンちゃん達を見つけたら、アンタを探すから──」

「──わかりましたわ!」




 森、駆ける中、

 姉妹は少しの間、無言で見つめ合い──。




「──ご武運を!」

「──は、互いにね!」





 ────ダンっ・・!!



  ────トォオオンッ・・!








 黒き魔の姿の姉妹は、


 活路を見い出すのだ!






(((;゜Д゜)))……け、KKシリーズ……?

ま、まさか、KIRA-KIR……

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― 新着の感想 ―
[良い点] やはり、良きおっぱいですな。もみたい。もみしだきたい。 あ"あ"ー"(断末魔) [気になる点] あとは剣だけか…。 贄の剣… きっと消耗が大きいんだろうな。 贄の剣を省エネ化する剣が…
[良い点] 完全にアブノ印ですね デザインはともかく、性能はピカイチですね [一言] 何だかんだでアンティ達とは共通点がありますね。 いっそのこと、ヒキ姉もアブノさんのところに案内したらどうなることか…
[良い点] アブノさん、ナイスせくしぃ [気になる点] 人間(NPC)と魔物の境って結構あいまい? [一言] この2人にボンテージなイニィさんを混ぜてみたい
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