シールド・ロード さーしーえー
今日もノリですごめぬ。<(_ _*)>.*・゜
ある時、くまが産まれた。
母熊は冒険者と相打ち、
くまは、小さなタテを拾う。
『知性発達:Lv.5』という、
はずれスキルがついていた。
人にとっては、つまらぬスキル。
だが、くまにとっては、大きい。
子ぐまは途方に暮れながらも、
見よう見まねで、タテを使う。
タテを使う子ぐまは、
ギルドで噂となった。
くまが少し大きくなり、
森で出会った冒険者が。
かの有名な、"天の壁"──。
ジョン・タテミチ・ライオルトである。
小くまは、説得した。
「お、ま、まて、おまー! おれは、たたかうき、ねぇんだ!」
「いやあああああああ!!! くまがしゃべったああああああああ!!!」
ジョンは、それなりにイケメンを憎み、
鉄壁のガードで独身を貫いていた。
が、数奇な運命に心綻んだか、
しゃべる小くまを連れて帰り、養子とする。
双方にとって、幸運であった。
「おまえの名前は……"ベアマックス"。ベアマックス・ライオルトだ!! ベア……おまえはくまの中のクマだっ! おのれの中のクマを、超えていけッッッ!!」
「おま……中っつーか、外もクマだぞ?」
「ちなみに名前な、クマシールドと迷ったんだが」
「だっせぇー!!」
「なんだとォォ!? このくまあああ!!!」
──時が経ち、
くまは、全てを、受け継いだ────。
今、目の前の暗き森には、
人外のバケモノガニが、
ひしめいている。
くまとエルフは、出会った。
[ GELUGELUGELU……! ]
[ GUBAWAAAaaaー……! ]
[ QUO,QUO,QUOOOFUSHAAA──……!! ]
「ちっ……思ったより、デケぇ……!!」
「いやー!!! まいりましたねー!!!」
「ユユユ……まずは支援中心で頼む。お前も、さいしょっからアレ、やりたくねぇだろ?」
「ははは!!! じゃあお言葉に甘えましょうかねぇー!!? いきますよー!!! ──"勇ましき者の守りを固めよ"! "ディファインガード"!!! "羽根のような動作を与えよ"! "クイックステップ"──!!!」
エルフの青年の放った補助魔法が、
森のくまさんへと、浸透する……!
ユユユは、静かに聞くことにする。
「……ベアさん。最初っから、"シールドロード"、マックスですかね?」
「おま……ぜんぶで千体だぞ。やりたかねぇが……スピードもいる」
「あ、ちなみにもうすぐ、900体を切りますよ!!!」
「えっ、そうなの!? ゴウガのやつかな……」
[[[ GAGAGAGAGAGAGAGA・・・!!! ]]]
「うわー、威嚇してますねー!!! てゆーか……もちますか?」
「……だいじょぶだ、一晩くれぇ。はん……くま、舐めんなよ?」
「ははは!!! じゃ、お願いしますよ!!!」
回復職は、シュタッ、と後方へと距離を取り、
くまは、前へと、一歩でる。
カニ達は、迫っていた──。
「親父……使わせてもらうぜ。"天の盾"──」
──ガシィ・・・コォオン!!
くまは自らの胸元の前に盾を、構える。
その盾の色は、その首から下の鎧と、
まったく、同じ色をしていた。
そう──盾は。
いつも、鎧と共にある。
──かつて。
ジョンが己の盾を砕いた時。
くまは、父を、問い詰めた。
「おま……なんでだ、親父! ソレを砕いちまったら──」
「砕いたわけではない。解体しただけだ」
「バッ……。神に与えられた……とまで言われた、伝説の盾を、か……?」
「はっは、ベアよ。これは所詮、ダンジョンドロップウェポンに過ぎん」
「な……何故なんだ!? アンタは……それが無くっちゃ……」
「──ベアよ。重盾職とは、なんだと思う?」
「……ぁん?」
かつての思い出が、くまの脳裏に過ぎる
バケモノ共のプレッシャーと、
地響きが、そこまで来ている。
「ちっ……、走馬灯で無いことを祈るぜ」
かつての、ジョンの言葉を思い出しながら、
ベアマックスは、"盾"のチカラを解放する。
「──"天の盾"、"シールド・ロード"──!!」
[[[ GSHAAAAAAAAAAA────!!!!! ]]]
"天の壁"と呼ばれた"至高の重盾職"、
ジョン・タテミチ・ライオルトの持つ盾は、
完全無欠の盾と言われた。
"天の盾"──" シールド・ロード "。
金属の板が、放射状に配置された、
蒼く輝く、魔法の盾。
能力発動時には、地面より障壁が生まれ、
どのような地形でも、連なる壁を作りだす。
それは、"天まで届く防御"とまで言われた、
完全無欠・唯一無二の防御の形。
ジョンは、全てを使いこなし、
理解した。
「……ベアよ。俺たちの役目は、"盾を作る"事じゃない。"盾に成る"ことだ」
「タテに、なる……?」
「俺は……この盾が嫌いだ。コイツのせいで、俺は……"壁を作る"ことを、極めるしかなかった」
「……。親父……」
「盾は……"守るために動く者"なり。ただ、壁を作るだけでは、それは……真実の盾とは言えん。守ってばかりでは……"盾に成る"ことはできん。永遠にな──……」
「親父、さっきから、何言って……!」
「ベアよ。俺はな、盾に成りたかった。だが……力が無かったのだ。ふふ、例えではないぞ? 純粋に……パワーが足りなかったのだ! だがな、ベア──!!!」
「……──!」
「お前は……その屈強な体の、お前なら……!! 俺はな、この盾で……"盾の鎧"を作ろう!! お前のパワーなら……!! お前は、"盾を作る"だけではなく、"盾と成る"だろうっっ!!! お前なら、お前なら、やれるはずだ──!!!」
「なに、をッッ……!? その盾は……、親父は、どうすんだよ……!!」
「ふふふ、ベアよ。俺は──」
「……!」
「──俺はな。せがれに引き継ぐ、喜びを知った」
[[[ GAABAAAAAAAAAA──!!! ]]]
カニ共が襲いかかり、
しかし、その爪は遮られた。
森の大地より、盾が"生えた"のである。
──ずしゃァァァアアアアア──・・・!!!
──ドドドドドドドドドドド──・・・!!!
突如、クマの姿を隠す、幾重の壁・壁・壁。
地面の凹凸など、関係ない。
それらは、内と外を遮り。
バケモノガニの爪や、ハサミは通らない・・・!
だが、その防御は、永遠ではない。
やがて、盾は燃えるように白化し、
土へと還っていく────。
──しゅぅぅぅぅ──……。
──バラ、バララ────。
[ GI・GIBABAaaaa────!!! ]
カニは再び攻撃をしようとする。
──だが、遅い。
哀れなカニ共が見たのは──、
「ゥオオオオォォォォ──」
────回転する、何かだった。
大砲の弾のようなソレは、
触れた物を食らい、道とする。
突進、突進、突進──。
それは、盾でありながら、豪気。
ぶぅぅゎあぉぉぉぉんんンンンンンン──!!!
激しく回転する何かが、
カニ共を、すり身へとかえた時。
宙に舞い散る外殻、地に落ちる前──。
クマは、回転を止め、いきり立つ。
鎧と盾は、一つなり。
姿は、騎士の如くなりて────。
「 ゥオオオオオオォォオオゥゥ・・・!!! 」
彼の攻めは、魔物に似ていた。
とある熊の魔物は、
全身の鋭毛を硬化し、
勢いよく森を転がり、
蹂躙するのだ。
それは、道。
熊の、道。
相手を還す、攻めの道。
だが、今の彼の体躯に、
毛皮が見える所など、一部もない。
彼は、盾だった。
「いやー!!! いつ見ても、はげしいですねぇー!!! でも、まだ一匹、残っていますよー!!?」
「ウォ……ウォォォォオオオオ・・・!!!!!!」
ジョンは、自らの盾を解体し、
盾と合体する、鎧を作った。
盾の力を解放する時、
鎧は呼応し、"盾と成る"──。
[ GA・GH……! ]
──ズンっっっっっっっ。
臆病なカニの後ろに、
いつの間に"盾"ができた。
[ GA・BA……!? ]
「ゥ──オオオオォォォォ……!!!」
後ろには、盾。
前からも、盾。
右にも、盾。
左にも、盾。
壁に囲まれたカニさんは、
逃げ場など、ないと知る。
迫りくる、"盾"は。
たぶん、クマさんのカタチをしていた。
──ぶぅぅゎあォォオオオんんンンンンンン!!!
[ GUaa…… ]
── 、
カニは、突進する重騎士によって、
藻屑となった。
まえまわりの、くまは、たつ。
くまさんの、みちが、できている。
──ズズぅん・・・。
「……ゥオオオオオオオオオオオ!!」
全身鎧の、重騎士となりて。
しかし、野生は鳴り止まず。
「ゥォオオオオアアアアアアアァァァァァ──!!!!!」
"盾の大帝"は、蹂躙する。
(((;゜Д゜)))うぉらあああー!!










