防犯グッズと奇跡の再会
(●´ω`●)連投です。
ご存知の通り、挿し絵がないと
やたら速いですぬ(笑)^^;
オシハとヒキハを見た二人の神官は、
明らかに動揺しよった。
「はぁい、お二人さぁーん♡」
「まさか、本当に礼装服を持っているとは……」
「「……、……!?」」
たじろぐ、小さな神官たち。
ワシは、言いかける。
「で、どうなのじゃ。おっぱい共。こやつら、顔見知り──」
──ヴォおン!
オシハが腕で、神官のひとりのフードを、
はね上げようとしよる──!!
「──ッ……!?」
すんでで、神官は跳び退きよった!
「へぇ……いい反応するじゃない」
……オシハが、悪い顔になっとるわ。
「やれやれ。このような所で鉢合わせるとは……」
「……ヒキハ。こやつらは──」
「お待ちになって、すぐに分かります──」
──ダダっ!!
──!
二人の神官は、店の出口へと向かった。
逃げる気か……!?
すると、ワシの目には映らぬスピードで、
王都一位・二位の剣技職の姉妹は、
回り込みよる……!
──ザンっ……!
「逃がすと思う?」
「大人しくなさって」
「「ぐ……!」」
……どうやら、聖兵の偽物なのは、確実なようじゃな。
じゃが、ワシの目の前にある、この薬は……?
今、オシハ達は剣を持っておらぬ。
鎧も外しておる。武装がない分、
とても身軽と言えよう。
オシハとヒキハが、体術でニセモノ達を、
抑えに、かかる──……!!
「ふっ──」
「やれやれ──」
「「……ッ、── 」」
──しゅっ……!
──ぱぁん……っ!
掴みかかる姉妹の腕を、
神官の格好をした者たちは、
器用に受け流しよった……!
足を払われようとするが
小さく跳び、見事にかわす……!
「──ふぅん。その下、鎧をつけていないのね」
「──結構、腕周りはピッチリしていますから」
「「……っ、ぐ……」」
ニセモノの聖兵にしては……よう、上手く逃げよる!
相手は、名高い"羊雲姉妹"だというに。
「……くっくっく。俄然、楽しくなってきたわねぇぇ〜〜♪」
「……お姉ちゃん? それどころではありませんわよ」
「「……」」
店の棚に置いておる大量の薬瓶は、
ひとつも倒れておらぬ。
ワシは、内心ヒヤヒヤしながら、
四人のやり取りを見ておった。
うむむ、あまり長引かせるではないぞ……?
と、その時──。
── とん、とん、とん。
階段からの、足音。
この"生富屋"は、
老夫婦が店じまいした宿屋を改築しておるため、
二階には客室が残っておる。
騒ぎを聞きつけた宿泊者が、
一階に、降りてきよったのだ──……!
「う〜〜ん、オッシー。ヒキハちゃん。どーしたの? くまさんが、呼んでるよぉ……えっ?」
「「 あっ 」」
「「 っ!? 」」
少し寝ぼけた、"真実の乙女"……!
審議官、" エコープル・デラ・ベリタ " ──!!
──まずい!!
賊やもしれぬ者たちの手前じゃ!
審議官を危険に晒す訳にはいかぬ!
「あれっ……? く、"聖兵"さん……?」
「「 」」
「エコープル! そいつら捕まえて!」
「ちょ、ちょっとぉ!? お姉ちゃん!?」
ばっ、バカ者、オシハっ、おぬし……!?
とち狂うたか……!?
「え? え? あのっ?」
「エコープルや、こっちに来なさい!!」
ワシは慌てて、幼き審議官を呼び寄せる!
謎の神官たちは、今までで一番はやい立ち回りで、
店の出口を目指した。
「はん、させないって──」
「──言ってますでしょう!」
──ブォンン──!!!
「「くっ……!」」
羊雲姉妹の回し蹴りを、
二人の神官たちは、側転にて、すんでで避ける……!
な、なんと身軽な者たちなのじゃ……。
只者ではあるまい。
──む! 今の動きで、
深いフードの中から髪が流れ出よった!
窓の外からの陽光が、キラキラと反射しよる。
あれは……"金髪"と、"銀髪"──?
再び距離が開き、二人と二人は、睨み合った。
「……観念して、お縄についたらどーぅ?」
「……今なら、優しく取り調べてさしあげますわよ?」
「「……、……」」
「あの、リスクおじいちゃん……?」
「……エコープルや、静かにしておいで」
ワシは、カウンタ下の、
防犯グッズに手を伸ばす。
チャンスは、必ず、くるぞぃ──……!
「……ひとりでは無くなったのですね、アンティ」
「──!! ぐっ……」
その時を、ワシは逃さんかった!!
「そぉぉおおおおお────いっっ!!!!!」
「「 えっ 」」
「「 ────っっ……!!? 」」
ヒュ────、ぱぁん……!!!
ワシの投げつけたジェムは、
見事に神官たちに命中し、
小さな破裂音を、響かせよる……!
魔法と薬のオリジナルブレンド、
食らうがよいわぁあ……!
「ぇ、うぁ…… ─ ─ 」
「ふみゅぅ…… ─ ─ 」
────どたんっ。
────ばたりっ。
「くぅ──Zzz……」
「すぅ──Zzz……」
よっしゃあ……!
ニセ神官ズ、うちとったり……!
「……ちょっとぉ。リスクの爺さん?」
「あの、今、お投げになったものは……?」
「ワシ特製、睡眠のジェムぢゃっ。ブィっ」
「ね、眠っちゃったね……」
魔法薬剤師、舐めちゃあいかんよ。
ジェム練らしたら、王都一じゃて。
「! リスクのおじいちゃん、なにか動いてるよ!」
「むむっ──!?」
──もぞもぞ、ごそごそ……!
ほ、本当じゃ!
倒れて寝ておる神官たちの、大きなフードが……!
何やら、モゾモゾしておるではないか──!
「おい、おっぱい共!! なんじゃ、そのフードのは!?」
「うわっ、なによアレぇ」
「その服に、そんな機能はありませんわよっ!?」
何か、フードの中に隠れておるのか……!?
ワシは警戒し、老体を幼き審議官の前に踏み出し、
盾となる……!
やがて、それらは、
それぞれのフードから、
姿をあらわしたのじゃぁああ────……!!!
── バ ッ 。
「 に ょ き っ と な ぁ ー …… !! 」
「 く ゆ っ く ゆ ー ぅ …… ? 」
「 あ っ !!! う さ 丸 だ ぁ ── !!! 」
う、うさぎと……わんこ??
「にょきっと、にょんにょん!」
「くゆくゆーぅ?」
「あっ、でたな。この丸うさぎメェー」
「まぁ、そんな所に入っていたんですの……?」
「わぁぁぁあ──♪♪♪」
「お、おい待たぬか、エコープル……!」
たたたたた──。
──ぎゅむぅ……!
エコープルが走りだし、
ラビットを抱き上げてしまった!
「ほ、本物の、うさ丸だぁ……! 久しぶりだねーっ♪♪」
「にょおぅ。にょきにょき! にょんにょんや♪」
「かんかーん? くゆぅ?」
「ふふふ……♡ ふわふわだぁ……」
「よしゃー、ヒキハちゃん。その子ら、上に運ぶわよ」
「……やれやれ。リスク殿。この睡眠のジェムは、どれくらいの効果時間なのですか?」
「む、む? け、けっこう強力なやつじゃから……数時間は……」
「じゃあ、夜ご飯には間に合うんじゃない?」
「では、一緒に食べましょうか。よいしょっと……」
オシハは金髪を。
ヒキハは銀髪を持ち上げる。
おお、流石の筋力じゃ……。
ん? ご飯を一緒に食べる……?
エコープルは、丸いラビットを、
愛おしそうに、抱き抱えておる。
なんと……まん丸なラビットなのじゃあ。
「にょっきり!」
「えへへっ♡ わっ……。わんちゃんもいる……」
「くゆくゆ!」
「うっ、うさ丸のこと……、食べちゃダメだよ……?」
「くゆぅー?」
「てなわけで、リスクの爺さん! 二階、引き続き使わせてもらうわよーっ♪」
「……こちらの子も、軽いですわねぇ」
「──ちょ、ちょっと待たんか! 結局その二人は、賊なのじゃろうか……?」
オシハとヒキハは、一時、立ち止まり──。
「──ええ。とっておきの賊よ。
子供たちの誰もが知っている、ね──♪」
「はぁ……どうやら、
そのライバルさんも居るようですが──」
「むむむ……??」
わ、わけがわからぬぞ?
階段を、スタスタ登っていく、おっぱいズ。
エコープルに持ち上げられたラビットと、
それを追う、わんこも続く。
「うっ、うさ丸は美味しくないよ……?」
「くゆぅー?」
「にょきっと……」
「ほらー。エコープルも行くわよー」
「ベアさんは、なんと言っていたのですか?」
「「 くぴーZzz…… 」」
「……???」
ワシ、ポツンと、ひとりぼっち。
……ちょっと待って。
お爺ちゃんにも、ちゃんと説明して??
【朗報】熊神様もいらっさるʕ•͡וʔ










