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"銅の刑死者"(ブロンズ・ワークス)

(*´ω`)今日も

何も考えずにかきました。.*・゜






   その盗賊は生きるために盗んだ。


   命だけは盗まないと決めていた。


   とある日、彼の盗んだモノには。


   七人の肌黒の姉妹が入っていた。












「────」


 「「────」」


  「「「────」」」







 乙女たちは、駆ける──。











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 ────" 銅の刑死者(ブロンズ・ワークス) "── 。





 全てが、Aランク暗殺職(アサシン)


 全てが、女だということ。


 全てが、人形のような鎧。



 全てが、謎に包まれしクラン。 



 得体の知れぬ、その刑死者の行いに。


 罪人たちは、震え上がった。

 




 その通り道は。  凄惨に尽きた。


 罪人を見つけ。  噂をばら撒き。


 餌を引き寄せ。  根こそぎ狩り。


 醜い金を奪い。  屑の顔を潰し。


 躊躇など無く。  また繰り返す。




 迷いなど、無い。







「においがする」

「ええ」






 駆けろ。


 賭けろ。


 翔けろ。





 少しずつ。


 壊れても。


 長い道を。







「見えたわ」

「ああ」






 恐らく親戚であろう、七人の奴隷の姉妹。


 それを盗んだ、盗人の夫婦。


 やり直そうとした者たち。



 故郷を、欲した者たちが。






「……かわらないね」

「そうだね──」






 刑死者たちは、


 森を抜け、降り立つ────。





 ────ドゥォンン・・・──。






「「「「「「  」」」」」」





 生まれ変わった銅の鎧に、


 低い、着地音が反響(ひび)いた。


 望む景色が、歪む。


 燃えているのではない。





「「「「「「 …… 」」」」」」





 かつて、盗人が長をした村。


 (ささや)かな願いが、やっと生んだ故郷。


 バカが持ち込んだ、呪われた本が。


 大地を、焼け(ただ)れた肉にした。





「……、……」





 銅の六人は、忘れられぬ故郷に、帰還する。


 大地を、グチャり、


 グチャりと……踏み潰しながら。


 立ち昇る、穢れた霧。


 未だ腐敗する、肉の岩肌。


 その色は、銅に似ていた。




「……」




 呪われし忌み地の、中央に。


 唯一残る、荒屋(あばらや)が見えた。


 赤黒い木が、屋根を貫き、


 辛うじて、支えている。





「「……」」

「「……」」

「「……」」






 ドアなど無い。


 入った。


 朽ちた弾力のある床は、


 穢らわしい、腐った甘い匂い。




 キュイーヴルは……語りかける──。






「……ただいま」



 " ヴォ…… "







 妹だったものは、


 ベッドに、へばりついていた。







「ただいま、(ユー)(ビー)──……」



 " …… "






 不完全な術書は砕け、


 村を狙う、野盗諸共、


 全てを、飲み込んだ。




 父と母となった盗っ人は、


 娘たちを逃がし、崩れた。


 家族も、野盗も、腐って死んだ。


 姉妹たちは、唸るように泣いた。


 自らが築き上げた、美しい村が。


 赤い、肉の焦げたような場所に変わった。


 光る小川が、世界一美しい場所だったし、


 野花が、歌い出すような緑だった。


 ささやかな、綺麗な泉のある広場。


 今は、見る影もない。




 姉妹のひとりが、呪いから逃げ遅れ、


 ベッドに寝かすと、へばりついた。


 姉妹は、呪った。


 神への……怒りに、近い。


 殺そうか、迷って。


 六人とも、どうしても、出来なかった。


 動ける姉妹は、罪を誓った。


 周りの……動く死体を、殺さなくては。





 呪われた地で。


 命を繋ぐ────戦いが、はじまった。






 過去。


 過去。


 過去だ。





 ────今は、ここにある。






「……ユー・ビー。……お薬を、貰ってきたの」


 " …… "







 キュイーヴルは。


 いや……他の姉妹も、だ。




 末の妹に会う度に、


 " 殺してくれ "と言うのを、


 我慢しているように……思えていた。




 限界だったのかもしれない。


 眼だけは、昔のままだ。





「ほんとはね……」





 キュイーヴルは、優しく。


 優しく肉塊に、語りかける。





「ほんとは……聖女が無理なら……、バカな神官を雇おうと思ったけど……、……ごめん、ごめんね……。今はもう──。ほとんど……そんな悪いヤツは……、居なく、なってしまったから……」


 " …… "




 肉塊は、静かに聞いている。


 瞳だけは、まだ。




「これはね、ユービー。……ふふ。ある義賊さんから貰った薬よ」


 " …… "


「……なんでも、精霊王の祝福つきのエリクサーですって。ふ、ふふ……」


 " …… "





 六人の姉妹たちは、


 誰もしゃべらない。


 どの仕事よりも、残酷だった。





「回復魔術じゃないから……飲まなきゃいけないから、もしかしたら……呪われた貴女は死ぬかもしれない」




 妹は、静かに聞く。


 姉たちも、察していた。




 間に合わない。


 間に合わないのだ。


 変わり、続けていた。



 人の、限界が近い。


 まだ、妹の瞳には、


 知性が宿っている。




 だから、希望が与えられて。


 姉達は、戻るしかなかった。






「これが……きっかけに、なる。終わりと、始まりの──」



 " …… "






 期待など、無い。


 キュイーヴルは、


 誰が、妹の後を追い、


 誰が、全てを忘れて生きるか。


 それは、聞かなかった。




 もう、子供ではない。


 好きにしたらいいし、


 誰も、恨まない。




 タイミングは、


 今しかない。


 私たちは──" 姉妹 "だ。

 






「……。ごめんね、ユー・ビー……」


 " …… "


「「「「「 …… 」」」」」







 小瓶の蓋を開けると。


 空気が、バキバキと、


 割れ始める────。




「ぇ……?」




 "御伽話"が、唸り出す────。










 禁 書 が 呪 っ た 大 地 に 。




 酒 飲 み の 月 の 女 神 の 。




 濃 縮 液 が 、 引 火 し た 。









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 キュイーヴルは、驚いた──!



 まさか、瓶の蓋を開けただけで、


 周囲が、光に包まれるとは思っていない。


 いや……これはもう、噴き出ている──!



 瓶を持つ銅の手が、滑りそうだ。


 キュイーヴルは、眩しさを我慢し、


 必死に掴む……掴む!




「こ、ん……!」




 ここで、この瓶を落とせば。


 それこそ、神を恨み、


 自分を殺さなくてはならない。




 私は、姉で。


 これは、妹だ。


 瞳など、潰れるがいい────……!







「 く っ …… ! 」







 キュイーヴルは、液体のような光に呑まれる中、


 小瓶を、異形の口元へと寄せた。


 一歩、一歩、確実に。


 以前の鎧なら、弾かれていたかもしれない。


 これなら……こんなモノなら!


 綺麗に、消し去ってくれるかもしれない……!


 今までで……最も重い罪になるだろう。


 背中を押す、感触があった。


 そうだ……私たちは、姉妹だ。


 そうだとも・・・!








 そして。





 ──" 祝福されし精霊王の万能薬 "は。









 ご 、 く り ── 、 、  。
































「 …」


「ひさしぶり」


「うわあああああああぁあぁぁあぁ」


「……なんだこれ」


「けしとんで、いるわ……」


「あ、あの、か、かわも……はなも……いずみも!」


「どうなって、いるんです……?」







 驚く姉妹たちの前に、


 人外なる人影が浮かぶ。




 それは決して穢れた者ではなく。


 光の影が集まったような。


 長い癖毛の、神々しき、女人であった。



 開く、白翼。


 白銀の輝き。




 


 キュイーヴルは、つぶやいた。







「…………"精霊王"、"ヒューガ、ノウン"……、……」




〘------────☽.*・゜〙








 エリクサーに篭められし神意は、


 虚ろな聖なる瞳を以て、女神の形を成す。


 大地の銅など、とうに祓い成している。





 故郷は無くなった。


 だが、かつての風景が、蘇る。


 小川が輝き。


 花々が踊り。




 盗っ人の夫婦が、


 手を振って、消えた。






「ぁ……」






 ─────  ──  ─   。








 全てが霧散し、温かい日光の元。


 小鳥たちが鳴く中で。


 やっとして、言葉が出た。







「……」


「わぁぃ」


「いや、おぉいぃぃ……。金が、神官やらを雇おうとしてた金がよ!! ……丸々、あまってんだぜ……?」


「あの花……あの、はなだわ、ほら、昔、みんなで──」


「これ。夢、じゃないよね……?」


「やっ、た……! やっ、たんだ、わ……!」


「メチねぇ、いたいよ」






 キュイーヴルは、自分の手を見る。


 両眼で、輝くメイルを。


 銅の鎧には青銅の光が流れ、


 何らかの祝福が成されているのは、明白である。



 傷一つ……ない。


 穢れた道など、忘れ去られたようである。


 カタカタと、震えながら。


 キュイーヴルは、空を見た。





「……ユー・ビー」


「はい、イヴねぇさま」


「今まで稼いだお金を……ぜんぶ、あなたにあげます。人生をやり直しなさい」


「いやです。それは、ねぇさま方みんなのお金。私はそんな事は望んでいません」


「みんな……忘れる事ができます。お金もあって……健康な体もあって……」


「イヴねぇさまは、どうするのですか?」


「私は……手を汚し過ぎました」


「ちょっと、イヴ!」


「んなこと言ったら、私たちも一緒だろーが!」


「"銅の刑死者"は、本日をもって解散です。独り占めが嫌なら……お金は等分といたしましょう。各自、好きに……自由に生きても、私は何も言いません」


「?? ねぇ、イヴ。あなた──」


「イヴ? どった?」


「私も……好きにやります。近くの街までは一緒に行きましょう。それからは、別行動です」


「イヴねぇさまは……私たちと一緒に暮らすのが、嫌なのですか?」


「……そういう事では、ないのです」


「──! はっ……! はっは、読めたぜ、イヴ──!」


「? ハルコねぇね……?」


「あっ、まさかぁ……イヴ」


「イヴ、おまえ……"ドニオス"に行くつもりだろう」


「「「「 ……! 」」」」


「……」


「なんで別行動とりたがんだよー、おぉっ? なぁイヴ……。お前がひとりで今、そんなにやりたい事って、何なんだぁああ、えぇーっ? なぁ、姉キぃ──ちょっと、このハルコ様に聞かせてみろやぁ──……水くせえぜッッ……!」


「確かに、そうだねぇー♪」


「……? メーチねぇね?」





 ……。


 …………。


 …………………。






「あの小娘共に、思い知らせてやるのです」





 キュイーヴルは、唸るように言った。





「全てを救われた者が、どのように変貌するかを」





 銅の仮面は開き、


 爛々と光る、瞳を持った乙女が(うた)う────。







「 ── (たい) (おん) 、 () が

     (しゅう) (しん) に (まさ) る べ し ────  」








 大きな借りを与えた者を。


 刑死者は、許しはしない。






「──そうだねぇー……」



 メーチが言う。



「あの子たちは……どれだけのものをタダでくれたか、よく分かってないみたいだし──」



 にこにこと。



「ちょっと、人生でも捧げてみよっか♪」



 ハルコが、継ぐ。



「ははっ──いーじゃねぇか! イヴ……そーいう話なら、私も乗るぜぇ?」




 笑顔が見えた。




「あー、私もさんせーですかね。皆と離れるのイヤですし。故郷を浄化していただいた……お釣りは体で支払わないと……」


「こ、こ、こ、こ、こんなの御礼言わないとやってられないわーっ!!!」


「ふーむ……。ぽんぽん困った人を助ける方たちには、影ながらお支えする人が居てもいいのでは?」




「……! 良いのですか、あなた達……」




 表情は、変わらない。


 輝く若緑の大地で、青銅の鎧が輝く。


 七の銅が、華やぐ。




「私の飲んだ薬をくれた人は……ドニオスという街の冒険者さんなんですか? じゃあ私、その街のギルドで働こうかなー?」


「「「「「「 えっ 」」」」」」









 ────かくして。



 故郷に輝きを取り戻し七人の乙女は、


 末っ子に合わせ、ゆっくり、ゆっくりと、


 西の王凱都市、ドニオスへ向かうこととなる。







 緩やかなる、穏やかなる、銅の旅路。





 そして、その先で待つ、


 とある敵味方・百合ップルは。





 んなこたぁー、知るよしもないのであった。









⸜( ´ ꒳ ` )⸝

ユー・ビーちゃん、

キッティ後輩枠。

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― 新着の感想 ―
何周回だろうと目から汁たれる......エリクサーか?✨www(っω<。)大好きだよコンチクショー!!✨
[一言] いまさら読み返してるけど、やっぱり面白い! 酒飲女神の濃縮液……アルコール度数96%くらいありそう( ˙-˙ )
2023/11/28 10:57 お米で出来た麦茶
[良い点] 救われて良かった。゜(゜´Д`゜)゜。 [気になる点] え?ドニオスに来るの? ドニオスは、百合ップル筆頭に個性的な奴らが多い魔境だぞ? [一言] 店長との邂逅がセクシーワクワクである(*…
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