母の強さと北東の森 さーしーえー
韓国のファンの皆さんに、ひと言いいたい……。
──ッ、石焼きビビンバがッッ……!!!
超・食いたくなっただろぉォォオがァァァぁああ"あ"ああああああああああああ"あ"あ"あ"あああああああ──ッッッ!!!!!!!
(;✧ཫ✧) カッ!!
「ボボッボボボァ、ボボボボボボォアァッ・・・!!」
「……」
「……」
東の森は、私たちの配達ルートから外れてるので、
普段、まるで通らない未知の世界だ。
なので、ステキな出会いもある。
今も、ホラ────。
「ボルッッッっっ!! ボォオンンッッッっっ!!
ボォォオオオオオオオオゥゥゥウウウォオオオオオオオ──ッッ!!!」
はぁーぃ、こんちは。
「ボルルルルッッ、ボンッッ──っっ!?
ボァァアアアアア"ア"ア"ア"ア"アア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァ!!!!!」
「……」
「おこってるね」
あの羽根の構え……拳法の使い手、かな……?
『────やはり:母鳥のようです。』
『>>>いやー、必死だねぇー』
生、ボルボンボ・コッコ鳥さんに、
現在進行形で、ご挨拶されてる私たち。
ご機嫌麗しゅう、マダム。
「ボボッボボボッッボルボルルルルルぅぅ……」
……おっ?
「ボオォ……──ッッ、ルボンボォォオ"オ"オ"オ"オ"オオオオオオオオオオ──ッッッ!!!!!」
……うん、威嚇だな。
「情熱的ね……」
「うまそう」
〘------たまご;守っとるのんなぁ☆〙
〘#……母とは、種に関係なく強いものだ──……〙
目の前の母ボルボンボは、
卵を背に隠し、
必死に私たちにメンチを切っていらっさる。
「ボッボボ、
ボォォオオオァァアアア"ア"ア"ア"ア"──!!!」
……。
『────アンティ……。
────彼女の健闘に免じて:
────ここは見逃して差し上げては:
────如何でしょうか……。』
『>>>そーだそーだぁ。蓄えはあんだからさぁー。鶏肉も卵も街で買えばぁいいじゃないかー!』
「くっ……!」
「アンティ、ここで泳がせとくのも手だよ。育ったら肉が増える」
〘------なんてこと;言うのんなぁー……☆〙
〘#……す、少しは母性に敬意を払わぬか……〙
「ボボッ、ボボボ、ボボボ……、……!!」
「……」
「じゅるりぃ……」
よく見ると、
母ボルボンボ鳥は、少し震えているみたいだ……。
「ボルっ、ボンっ、ボォオオオ……、……っ!!!」
──ぶるぶるぶるぶるぶるぶるぅぅ──……!
だっ……ダメだ!
可哀想だわっ……!!
「──ち、ちくせぅっ……! 命拾いしたなっ、このチキンめぇっ……!!」
「えーっ!」
鶏肉と卵を、あきらめる事にした。
「さ、さらば、天然食材ッッ──……!!」
「みらいで、わたしたちは待っている──」
「ボォ……」
子宝を守る、勇敢なママ鶏と別れた。
迷いを振り切り、森の中を、かっ進む。
「──ふッッ……!」
──きァぃぃ────ぃぃぃぃンンン・・・
「──たぁー!」
──ギィぃ──ゥゥゥォオオオンンン・・・
──────・・・ン" !!!
木を蹴りつける金切りの二重奏が、
夏の森の空気を、打ち鳴らす。
景色は風のように過ぎていった。
「こっちで……いいんだよね?」
「方向は、あってる。こっちじゃない」
そう──。わざと、間違えている。
──。
昨日の夕方から、今日の朝まで。
色々あった。
仮面つけたままマイスナと、
ゆっくりお風呂ん入ってたら、
カーテンに隠れてた聖女に気づいて、
お湯ぶっかけたり。
2人で仮面のまま寝てたら、
何故か忍び込んできた聖女をふん捕まえて、
ダブルラリアットかました後で、
モナリーさんの部屋まで引きずってったり。
朝に何故か台所が爆発していたので、
ベトベトになった聖女ちゃんを、
何故か私たちが洗ってあげたり。
ちな、うさ丸とカンクルが今いないのは、
地獄絵図と化した教会の台所の、
お片付けヘルプ要員となってもらったからである……。
──。
「にょきっとぉおおお!!!(雑巾しぼる)」
「くゆくゆくゆぅぅううう──!(割れたお皿を掃く)」
「た、助かります……! ほ、ホントに助かりますぅぅぅう……!!」
「く、クルルカンとオクセンフェルトの従獣は、なんて万能なんですのぉぉ……ッッ!?」
「モナリーが、感動して泣いているのですのぉ……ッッ!!」
「げせぬ……。何故お姉様方に朝ごはんを作ろうとしただけで、キッチンがヘドロまみれになったのかしら……、──ハッ!! よもや、悪魔の仕業──っ……!?」
「にょにょや……」
「かんかーんっ!」
──。
「はぁ……色々騒がしかったから、朝ごはんも作れなかったわね……うあー! なんか……ヤキモキするぅー!」
「ぜんぶ、作り置きで食べちゃったねー」
調理済みのランチをシコタマ格納してるとはいえ、
一定期間、料理自体をやらないのは……、
何だか、むず痒い感じがするわっ……!
『────食糧備蓄は豊潤です。
────少々:調理をお休みする行動は:
────問題なしと判定します。』
『>>>この前も調べたけど、ちょっと多すぎるよ……。ホラ、配達途中で"仕入れた"食材とか、調理済みも含めて、かなりの量になってるし』
先輩の言ってる"仕入れ"は、
つまり、"現地調達の野菜やお肉"のことだ。
森をつっきる配達スタイルの私たち。
その……自然と食材は集まる。
格納は、無限だ──。
「そ、そりゃーそうだケドさ……?」
「老後はアンティとお店ひらくんだー♪♪」
ま、また凄いこと言い出したわね……。
まだ15歳よぅ。気がはやぁーい!
森を、ひたすら進む。
「……! 少し、寒くなってきたわね?」
「ホントだね。カンクル連れてきたらよかった……」
色ボケ聖女リビィからは、
何とか、依頼内容を聞く事ができた。
やはり、ホールエルの街の南東、
つまり……地図で言うところの、
"街の右下を調べてほしい"、
──というのが、
彼女の依頼だったワケで。
──でもね。
私は……いや、マイスナもだろう。
気づいてしまった。
聖女リビエステラは──、
何かを、言い淀んでいた。
" そう、ですね……街の南東の森を──調べてきていただけたら、結構ですわ── "
"" ………… ""
理由は、よくわかんない。
でも、直感はキレイに働いた。
コイツ……私たちに、
他に頼みたい事あるんじゃね?
……。
やめときゃいいのに、義賊よろしく。
私は歳下のおチビちゃんに、
お節介を焼いたのだ。
" ……ねぇ、アンタ "
" ? "
" 言って後悔できる相手、増やしてみる気、ある? "
" ──! "
歯が浮くセリフを吐いてやって。
すると、聖女は悩んで──、
しかし、言ったわ。
" ……"北東"の様子も、見てきていただけませんか? "
──んで。
今に至るワケだ。
「お節介、過ぎたよなぁー……」
「ふふっ♡ でもそれがアンティのイイトコだよねっ♪」
「よせやぃ」
私たちが今いる所は、
ホールエルの街から見て北東──、
つまり、地図の右上の森の中だ。
当初、薬草不足の調査をするのは、
南東──右下の森であるべきなはず。
マイスナが、私と同じスピードで、
森を駆けながら言う。
「──なんで、北東も……なんだろーね?」
「わからん……それは教えてもらえなかったわ」
" ……異常が無いかだけ、見てきてもらえませんか? "
リビエステラは、そう言っていた。
「……含みアリまくりの言い方だったわねぇー」
「見るだけだし、大丈夫だよ!」
北東に向かい、進む。
ボルボンボコッコ鳥の巣があった所は、
夏らしい森の蒸し暑さがあり、
緑も豊かだった。
──が。
北東に進むにつれ、
森の様子は、恐ろしいほどに様変わりした。
「……」
「……」
"霧の森"……といったような場所だろうか。
木々の葉はなく、
か細い、真っ黒の幹が、乱立する世界。
神秘的でもあり、でも……不気味な場所────。
『>>>……奥に、来すぎたんじゃないかぃ?』
……先輩の言う通りだと思った。
浮遊している簡易マッピングを見ると。
かなりの距離を、
ホールエルから北東に進んだらしい。
「……ここら辺で、やめとこっか?」
「っ、うーん……」
判断をしあぐねていると、
──声が響く。
{{ ──!! 止まりなさいッッ……!!! }}
──!? イニィさん……!?
──きぃいん・・・!
──ギィィン・・・!
ふたりで、急停止する。
霧の森の地面は、モロモロの落ち葉で、
砂のようだ。
「どうしたの?」
「……?」
{{ この森の空気……わずかに瘴気を孕んでいる…… }}
「「 ……! 」」
イニィさんだからこそ、わかる事のようだわ。
{{ 闇の魔素が、濃いのよ……気をつけなさい。肺に吸い込むと少しずつ心をヤラれるわ── }}
「「っ……」」
『────確認しました。
────イニィ・スリーフォウの発言は:
────真実です。』
『>>>こちらで空気中の成分をスキャンした。
>>>確かに、濃度が濃くなっている……。
>>>助かったよ。早期に気づけたな』
「「……」」
あの桃色聖女が気になってた異常、ってのは、
この森の事──……?
「イニィさん……これ以上進むのは、まずい?」
{{ 過去の経験から言うと……オススメはしないわね。でも、対策はできるわ──……! }}
『 ──がるんっ♪ 』
「「──……!」」
回転音と共に、歯車から出現する、
十字架を模した杖。
──" 魔杖スリーフォウ "。
その上には、ちっちゃくなったガルンが乗っている。
『 ──がぁああるぅぅううううんんん──っ♪ 』
──バフゥッ!!
──っといって黒い霧状になったガルンは、
瞬く間に、黒煙となって
私の白金のマフラーマントと、
マイスナの白銀のコートを覆いつくす──!!
ふたつの白が、暗黒へと染まった──!!!
「こ、これは……っ」
「わぁー、まっくろ!」
『 がるんがるんがるんっ♪ がるがるぅーん♪ 』
──────────────────────
装備アイテムの特性が変化しました!▼
──【 白金の劇場幕 】▼
▼ ▼ ▼
──【 虚空の劇場幕 】▼
■ 発動スキル ■
●〔燃焼防止〕
●〔暗黒防御〕-NEW!
───────────────────────
{{ ガルンはね……この空気に含まれているモノも、大好物なのよ。貴女たちが肺に吸い込む前に、漆黒のマントとなったガルンが、気体の闇の魔素を喰らい尽くすわ──!! }}
イニィさんは、いつの間にか、
十字架のペンダントとなって、
私の首元に、引っ付いてる!
私とマイスナのピカピカボディを、
揺らめく漆黒のマントが、
温かく包みこんだ──・・・!!
『────闇属性攻撃に対して:
────レジストが発動するようですね。』
『>>>例の地下鉄に乗った時に、一度なったことのあるスタイルだね。この森では、とても有用だと思うよ』
〘------のんのん☆
------ちょっとだけウチの聖属性と反発するけど;
------まぁ問題ないのんっ☆〙
〘#……くくく……ダークヒーローのようだな。二人とも、よく似合っているぞ──〙
あはは……先生、その褒め方はどうなの。
{{ 貴女に任すけど、用心はしなさい }}
「……わかったわ。マイスナ、もう少しだけ、行ってみよっか」
「うん!」
「たのむわ、ガルン」
『 ──がるんがるんっ♪ 』
黒霧が湯気のようにでるマントで尾を引きながら、
もう少しだけ、霧の森を進む。
暗い。
日が落ち初めているのだろうか。
ここいらが、限界かもしんない。
『────わずかにずつですが──:
────北東へと進むほど:
────闇の魔素の濃度上昇が確認できます。』
『>>>潮時だ。後輩ちゃん、紫電ちゃんも。街で泊まりたいだろう?』
「……はぁ。ここまでにすっか」
「暗いの、けっこー怖いねー」
『 がるぅー! 』
{{ ふぅ……その方がいいわ。この森、あまりいい気はしません。ピエロちゃん達の速力なら、日が落ちるまでには街に帰れるわ── }}
うん……闇の魔素の溢れる森、か──。
闇と光のぶつかり合いで、
故郷が滅びたイニィさんにとっては、
複雑な気持ちが溢れる場所なのかもしんない。
心配されてるのが目に見えてるので、
マイスナと街に戻ろうとした──。
『──────震音探知。』
くそったれ。
「"ベアークラッチ"を展開しろ」
「どこ?」
『────不明。
────複数です。
────間違いありません。
────接近中。』
『>>>──クニャウンズは、オペレーションルームに突っ込め!! はやくしろっ!!』
〘------回復援助モードに移行するのん☆.*・゜〙
〘#……放射系を射出した。視認できん! 何処だ──!? 〙
視覚が360ドになり、
音だけの異物を感覚で捉える。
『────はい。そちらからです。
────足音と判定。
────視認できません。』
{{ 私を使いなさい }}
「待って、聞こえてきた」
────っ、っ、っ、っ、っ、・・・、
──ザッ、ザッ!
──ザッ、ザッ、ザッ──!
────ザザっ、ザッ、ザッ・・・!
──────ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、
──ザッ、ザッ、ザッ、ザッ──!
「アンティ、間違いない、足音」
「だな。先輩、防御たのむ」
『>>>任せろ。積層する──』
〘#……放射系に反応が出た! ──近いぞッ!!〙
姿は、見えない。
「マイスナ、気ぃ、引き締めな」
「敵なら殺すよ」
全身の、歯車が──回り出す。
なにかが、くる。










