表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
760/1216

母の強さと北東の森 さーしーえー

韓国のファンの皆さんに、ひと言いいたい……。


──ッ、石焼きビビンバがッッ……!!!

超・食いたくなっただろぉォォオがァァァぁああ"あ"ああああああああああああ"あ"あ"あ"あああああああ──ッッッ!!!!!!!

(;✧ཫ✧) カッ!!





「ボボッボボボァ、ボボボボボボォアァッ・・・!!」


「……」

「……」




 東の森は、私たちの配達ルートから外れてるので、

 普段、まるで通らない未知の世界だ。

 なので、ステキな出会いもある。


 今も、ホラ────。





挿絵(By みてみん)

「ボルッッッっっ!! ボォオンンッッッっっ!!

 ボォォオオオオオオオオゥゥゥウウウォオオオオオオオ──ッッ!!!」




 はぁーぃ、こんちは。




「ボルルルルッッ、ボンッッ──っっ!?

 ボァァアアアアア"ア"ア"ア"ア"アア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァ!!!!!」



「……」

「おこってるね」



 あの羽根の構え……拳法の使い手、かな……?



『────やはり:母鳥のようです。』

『>>>いやー、必死だねぇー』



 (ナマ)、ボルボンボ・コッコ鳥さんに、

 現在進行形で、ご挨拶されてる私たち。

 ご機嫌麗しゅう、マダム。



「ボボッボボボッッボルボルルルルルぅぅ……」



 ……おっ?



「ボオォ……──ッッ、ルボンボォォオ"オ"オ"オ"オ"オオオオオオオオオオ──ッッッ!!!!!」



 ……うん、威嚇だな。



「情熱的ね……」

「うまそう」


〘------たまご;守っとるのんなぁ☆〙

〘#……母とは、種に関係なく強いものだ──……〙

    


 目の前の母ボルボンボは、

 卵を背に隠し、

 必死に私たちにメンチを切っていらっさる。



「ボッボボ、

 ボォォオオオァァアアア"ア"ア"ア"ア"──!!!」



 ……。



『────アンティ……。

 ────彼女の健闘に免じて:

 ────ここは見逃して差し上げては:

 ────如何でしょうか……。』

『>>>そーだそーだぁ。蓄えはあんだからさぁー。鶏肉も卵も街で買えばぁいいじゃないかー!』


「くっ……!」

「アンティ、ここで泳がせとくのも手だよ。育ったら肉が増える」


〘------なんてこと;言うのんなぁー……☆〙

〘#……す、少しは母性に敬意を払わぬか……〙



「ボボッ、ボボボ、ボボボ……、……!!」


「……」

「じゅるりぃ……」



 よく見ると、

 母ボルボンボ鳥は、少し震えているみたいだ……。



「ボルっ、ボンっ、ボォオオオ……、……っ!!!」



 ──ぶるぶるぶるぶるぶるぶるぅぅ──……!



 だっ……ダメだ!

 可哀想だわっ……!!



「──ち、ちくせぅっ……! 命拾いしたなっ、このチキンめぇっ……!!」

「えーっ!」



 鶏肉と卵を、あきらめる事にした。



「さ、さらば、天然食材ッッ──……!!」

「みらいで、わたしたちは待っている──」


「ボォ……」






 子宝を守る、勇敢なママ鶏と別れた。


 迷いを振り切り、森の中を、かっ進む。






「──ふッッ……!」


  ──きァぃぃ────ぃぃぃぃンンン・・・



「──たぁー!」


  ──ギィぃ──ゥゥゥォオオオンンン・・・





 ──────・・・ン" !!!




 木を蹴りつける金切(かなぎ)りの二重奏が、

 夏の森の空気を、打ち鳴らす。


 景色は風のように過ぎていった。




「こっちで……いいんだよね?」

「方向は、あってる。こっちじゃない」





 そう──。わざと、間違えている。





 ──。





 昨日の夕方から、今日の朝まで。

 色々あった。


 仮面つけたままマイスナと、

 ゆっくりお風呂ん入ってたら、

 カーテンに隠れてた聖女に気づいて、

 お湯ぶっかけたり。


 2人で仮面のまま寝てたら、

 何故か忍び込んできた聖女をふん捕まえて、

 ダブルラリアットかました後で、

 モナリーさんの部屋まで引きずってったり。


 朝に何故か台所が爆発していたので、

 ベトベトになった聖女ちゃんを、

 何故か私たちが洗ってあげたり。


 ちな、うさ丸とカンクルが今いないのは、

 地獄絵図と化した教会の台所の、

 お片付けヘルプ要員となってもらったからである……。





 ──。





「にょきっとぉおおお!!!(雑巾しぼる)」

「くゆくゆくゆぅぅううう──!(割れたお皿を掃く)」


「た、助かります……! ほ、ホントに助かりますぅぅぅう……!!」

「く、クルルカンとオクセンフェルトの従獣は、なんて万能なんですのぉぉ……ッッ!?」

「モナリーが、感動して泣いているのですのぉ……ッッ!!」


「げせぬ……。何故お姉様方に朝ごはんを作ろうとしただけで、キッチンがヘドロまみれになったのかしら……、──ハッ!! よもや、悪魔の仕業──っ……!?」


「にょにょや……」

「かんかーんっ!」






 ──。






「はぁ……色々騒がしかったから、朝ごはんも作れなかったわね……うあー! なんか……ヤキモキするぅー!」

「ぜんぶ、作り置きで食べちゃったねー」



 調理済みのランチをシコタマ格納してるとはいえ、

 一定期間、料理自体をやらないのは……、

 何だか、むず痒い感じがするわっ……!



『────食糧備蓄は豊潤です。

 ────少々:調理をお休みする行動は:

 ────問題なしと判定します。』

『>>>この前も調べたけど、ちょっと多すぎるよ……。ホラ、配達途中で"仕入れた"食材とか、調理済みも含めて、かなりの量になってるし』



 先輩の言ってる"仕入れ"は、

 つまり、"現地調達の野菜やお肉"のことだ。

 森をつっきる配達スタイルの私たち。

 その……自然と食材は集まる。

 格納は、無限だ──。

 


「そ、そりゃーそうだケドさ……?」

「老後はアンティとお店ひらくんだー♪♪」



 ま、また凄いこと言い出したわね……。

 まだ15歳よぅ。気がはやぁーい!

 森を、ひたすら進む。



「……! 少し、寒くなってきたわね?」

「ホントだね。カンクル連れてきたらよかった……」



 色ボケ聖女リビィからは、

 何とか、依頼内容を聞く事ができた。


 やはり、ホールエルの街の南東、

 つまり……地図で言うところの、

 "街の右下を調べてほしい"、

 ──というのが、

 彼女の依頼だったワケで。


 ──でもね。


 私は……いや、マイスナもだろう。


 ()()()()()()()()


 聖女リビエステラは──、

 何かを、()(よど)んでいた。




 " そう、ですね……街の南東の森を──調べてきていただけたら、結構ですわ── "


 "" ………… ""




 理由は、よくわかんない。

 でも、直感はキレイに働いた。


 コイツ……私たちに、

 他に頼みたい事あるんじゃね?


 ……。

 やめときゃいいのに、義賊よろしく。

 私は歳下のおチビちゃんに、

 お節介を焼いたのだ。




 " ……ねぇ、アンタ "


 " ? "


 " 言って後悔できる相手、増やしてみる気、ある? "


 " ──! "




 歯が浮くセリフを吐いてやって。

 すると、聖女は悩んで──、

 しかし、言ったわ。






 " ……"北東"の様子も、見てきていただけませんか? "












 ──んで。

 今に至るワケだ。




「お節介、過ぎたよなぁー……」

「ふふっ♡ でもそれがアンティのイイトコだよねっ♪」

「よせやぃ」




 私たちが今いる所は、

 ホールエルの街から見て北東──、

 つまり、地図の()()の森の中だ。


 当初、薬草不足の調査をするのは、

 南東──()()の森であるべきなはず。


 マイスナが、私と同じスピードで、

 森を駆けながら言う。



「──なんで、北東も……なんだろーね?」

「わからん……それは教えてもらえなかったわ」



 " ……異常が無いかだけ、見てきてもらえませんか? "



 リビエステラは、そう言っていた。




「……含みアリまくりの言い方だったわねぇー」

「見るだけだし、大丈夫だよ!」



 北東に向かい、進む。


 ボルボンボコッコ鳥の巣があった所は、

 夏らしい森の蒸し暑さがあり、

 緑も豊かだった。


 ──が。


 北東に進むにつれ、

 森の様子は、恐ろしいほどに様変わりした。






挿絵(By みてみん)


「……」

「……」





 "霧の森"……といったような場所だろうか。


 木々の葉はなく、

 か細い、真っ黒の(みき)が、乱立する世界。

 神秘的でもあり、でも……不気味な場所────。



『>>>……奥に、来すぎたんじゃないかぃ?』



 ……先輩の言う通りだと思った。

 浮遊している簡易マッピングを見ると。

 かなりの距離を、

 ホールエルから北東に進んだらしい。



「……ここら辺で、やめとこっか?」

「っ、うーん……」



 判断をしあぐねていると、

 ──声が響く。





{{ ──!! 止まりなさいッッ……!!! }}





 ──!? イニィさん……!?



 ──きぃいん・・・!

  ──ギィィン・・・!





 ふたりで、急停止する。

 霧の森の地面は、モロモロの落ち葉で、

 砂のようだ。



「どうしたの?」

「……?」


{{ この森の空気……わずかに瘴気を孕んでいる…… }}


「「 ……! 」」



 イニィさんだからこそ、わかる事のようだわ。



{{ 闇の魔素が、濃いのよ……気をつけなさい。肺に吸い込むと少しずつ心をヤラれるわ── }}


「「っ……」」


『────確認しました。

 ────イニィ・スリーフォウの発言は:

 ────真実です。』

『>>>こちらで空気中の成分をスキャンした。

 >>>確かに、濃度が濃くなっている……。

 >>>助かったよ。早期に気づけたな』


「「……」」



 あの桃色聖女が気になってた異常、ってのは、

 この森の事──……?



「イニィさん……これ以上進むのは、まずい?」


{{ 過去の経験から言うと……オススメはしないわね。でも、対策はできるわ──……! }}

『 ──がるんっ♪ 』



「「──……!」」



 回転音と共に、歯車から出現する、

 十字架を模した杖。


 ──" 魔杖(まじょう)スリーフォウ "。


 その上には、ちっちゃくなったガルンが乗っている。



『 ──がぁああるぅぅううううんんん──っ♪ 』



 ──バフゥッ!!


 ──っといって黒い霧状になったガルンは、

 (またた)く間に、黒煙となって

 私の白金のマフラーマントと、

 マイスナの白銀のコートを覆いつくす──!!


 ふたつの白が、暗黒へと染まった──!!!



「こ、これは……っ」

「わぁー、まっくろ!」


『 がるんがるんがるんっ♪ がるがるぅーん♪ 』



 ──────────────────────


  装備アイテムの特性が変化しました!▼


   ──【 白金の劇場幕 】▼


        ▼ ▼ ▼


   ──【 虚空の劇場幕 】▼



   ■ 発動スキル ■

    ●〔燃焼防止(フレアオフ)

    ●〔暗黒防御(ダークレジスト)〕-NEW!


───────────────────────




{{ ガルンはね……この空気に含まれているモノも、()()()なのよ。貴女たちが肺に吸い込む前に、漆黒のマントとなったガルンが、気体の闇の魔素を喰らい尽くすわ──!! }}



 イニィさんは、いつの間にか、

 十字架のペンダントとなって、

 私の首元に、引っ付いてる!


 私とマイスナのピカピカボディを、

 揺らめく漆黒のマントが、

 温かく包みこんだ──・・・!!



『────闇属性攻撃に対して:

 ────レジストが発動するようですね。』

『>>>例の地下鉄に乗った時に、一度なったことのあるスタイルだね。この森では、とても有用だと思うよ』


〘------のんのん☆

 ------ちょっとだけウチの聖属性と反発するけど;

 ------まぁ問題ないのんっ☆〙

〘#……くくく……ダークヒーローのようだな。二人とも、よく似合っているぞ──〙



 あはは……先生、その褒め方はどうなの。



{{ 貴女に任すけど、用心はしなさい }}


「……わかったわ。マイスナ、もう少しだけ、行ってみよっか」

「うん!」

「たのむわ、ガルン」


『 ──がるんがるんっ♪ 』




 黒霧が湯気のようにでるマントで尾を引きながら、

 もう少しだけ、霧の森を進む。

 暗い。

 日が落ち初めているのだろうか。

 ここいらが、限界かもしんない。



『────わずかにずつですが──:

 ────北東へと進むほど:

 ────闇の魔素の濃度上昇が確認できます。』


『>>>潮時だ。後輩ちゃん、紫電ちゃんも。街で泊まりたいだろう?』



「……はぁ。ここまでにすっか」

「暗いの、けっこー怖いねー」


『 がるぅー! 』

{{ ふぅ……その方がいいわ。この森、あまりいい気はしません。ピエロちゃん達の速力なら、日が落ちるまでには街に帰れるわ── }}



 うん……闇の魔素の溢れる森、か──。


 闇と光のぶつかり合いで、

 故郷が滅びたイニィさんにとっては、

 複雑な気持ちが溢れる場所なのかもしんない。


 心配されてるのが目に見えてるので、

 マイスナと街に戻ろうとした──。





『──────震音探知。』



 くそったれ。



「"ベアークラッチ(視覚域拡張野)"を展開しろ」

「どこ?」


『────不明。

 ────複数です。

 ────間違いありません。

 ────接近中。』


『>>>──クニャウンズは、オペレーションルームに突っ込め!! はやくしろっ!!』


〘------回復援助モードに移行するのん☆.*・゜〙

〘#……放射系を射出した。視認できん! 何処だ──!? 〙



 視覚が360ドになり、

 音だけの異物を感覚で捉える。



『────はい。そちらからです。

 ────足音と判定。

 ────視認できません。』


{{ 私を使いなさい }}


「待って、聞こえてきた」




 ────っ、っ、っ、っ、っ、・・・、


  ──ザッ、ザッ!

         ──ザッ、ザッ、ザッ──!

  ────ザザっ、ザッ、ザッ・・・!


 ──────ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、

  ──ザッ、ザッ、ザッ、ザッ──!



「アンティ、間違いない、足音」

「だな。先輩、防御たのむ」


『>>>任せろ。積層する──』


〘#……放射系に反応が出た! ──近いぞッ!!〙




 姿は、見えない。


 


「マイスナ、気ぃ、引き締めな」

「敵なら殺すよ」




 全身の、歯車が──回り出す。










なにかが、くる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『今回の目次絵』

『ピクシブ百科事典』 『XTwitter』 『オーバーラップ特設サイト』 『勝手に小説ランキングに投票する!』
『はぐるまどらいぶ。はじめから読む』
― 新着の感想 ―
[良い点] ふむ… 無事騒動は終息したようだね。 ラグナロクは延期かな。 [気になる点] 聖女ちゃんはカーテンに隠れてましたけどね。 僕はちゃーんと正面から堂々と全裸になって屈伸運動しながら覗こうとし…
[良い点] >「さ、さらば、天然食材ッッ──……!!」 >「みらいで、わたしたちは待っている──」 コイツらの欲望ダダ漏れな台詞、大好きですw 咄嗟に魔素の感知から対策までやってくれる イニィさんと…
[良い点] 簡単にタマ獲らせる思わんことやっ!アンタら覚悟しいやっ!! ぐらいの啖呵切ってそう、ボルンボ リビたんのポンコツ化が止まらない >#……くくく……ダークヒーローのようだな。 おへそに淫紋と…
2020/02/19 22:20 ズブロッカ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ