-Q3- しゃーしーえー
きたでぇええ!(ノ*>∀<)ノ.*・゜
────ゆらめいていた。
無限の母なる海。
その中の、私という、存在が。
やがて、覚醒める──────。
── 对 / 没 |
── 对 .
──[ 中天流水帐联盟系统 ]──
── system-check・・・/
── all-completed .
── standing-by .
[■■■■■■■■■■■■■■ ]
── Wake-up .
── good-morning / Wednesday .|
『++++++──……』
生きている。
私は……生き続けている──。
『++++++──……ここ、は──?』
視覚領域が復帰し、
クリーチャー・アイが、像を捉えた。
ここは、どこだろう。
『++++++──……』
手を、動かす。
すぐに気づいた。
『++++++──……ッ!?』
──ウィン……ウィンゥ──、ギギ。
私の手は、六本だったはずだ。
二つしか、ない。
『++++++……っ! 転送に、失敗している……!?』
──ジュンヤ、は。
"何処かのダンジョンに転送する"。
そう、言っていた。
迅速に……外傷を確認すべきだ。
私は、生きねばならない。
私が死ぬと共に、
この世界の水は、
消えるのだから。
『++++++……! 、……?
++++++なぜ……腕が四本も破損したのに、
++++++エラーが表示されていないの……?』
思わず、独り言が漏れる。
残った一対の腕は、問題なく可動する。
……皮肉にも。
まるで、人だった頃に戻ったかのような。
『++++++はぁ……祸不单行……。
++++++む。やはり、発声が詰まらない……。
++++++リソースの上限はどうなっている──……?』
私が依存していた『はぐるまどらいぶ。』の、
ステーションサーバーユニットでは、
使える容量は限られていた。
なにせ、宇宙に浮いていたのだ。
太陽光だけで、ストレージが増えるはずも無く。
アップルのネットワークがなければ、
どうなっていたことか……。
ふふ……神がジリ貧とは、情けない。
最低限のリソースで、
カタコトで喋る事には、
とうに慣れていたのだが────。
今、私が流暢に喋れているという事。
それは……。一定のリソース容量が、
コンスタントに確保できている、という事になる。
確認……してみよう。
リソース/コンソールを表示できた。
──ヴォン。
────────────────────
capacity:/『 ∞ 』
────────────────────
『++++++……ッ!? ど……っ!?
++++++………………ッ!?
++++++……、……どう、なって……』
容量が無限……!! し、信じられない。
これは……夢なのだろうか。
『++++++私は、何処へ転送された……?
++++++ここは……。
++++++っ! ジュンヤ達の、リソースは……!?』
流石に取り乱し、身体が揺れた。
──グラ、り。
『++++++──!? ぅおわっ……!』
意図せず、胴が傾く!
……な、なんだ?
バランスが……上手く取れない。
……私はベッドに寝ているのか?
改めて自分の身体を視認し、
──唖然とした。
『++++++──ッ! "足"が、ある……っ!』
私が延命措置のため、
クリーチャータイプへと形質転換した際。
表皮は硬質化し、
腕は六本となり、足は消失した。
浮遊型の、ユウレイのようなバケモノ。
それが、つい先日までの、
私の姿だったはずなのだが──。
『++++++……ッ。残っている腕も、爪のデザインが全く違う……! 指が丸みを帯びているし……まるで別物じゃないか! な、なぜ……?』
恐ろしい鉤爪は跡形も無く、
何とか女性の手に見える形状をしていた。
有り得ない。
有り得ない、が……。
スぅ────……。
足を……さすってみる。
ぅ……。足の指も……動く。
手の感触も……正常だ。
痛覚が麻痺している訳ではない。
『++++++……、……。
++++++外傷扱いに、なっていない……?』
二本の腕と、二本の脚。
人間に近い形に……戻っている?
呆然と……。
いやダメだ、現状を把握しないと。
『++++++──』
──……。
やはり、丸いベッドに寝ているようだ。
奇しくも……前時代的な、
ファッションホテルのような場所だと思ってしまう。
『++++++っ、天井が鏡になっているのか……』
いよいよ、それっぽくなってきたな……。
実に……妙な空間だ。
宇宙にいた水の女神が、
知らぬ間に、ホテルに連れ込まれている、
などと……、笑うに笑えない冗談だ。
『++++++……! 顔、が……?』
天井に映る自分自身に、
さらに、違和感を感じた。
少し離れた壁際に、
天井とは違う、化粧用のようなミラーが、
設置されている。
『++++++っ……。ある、く……というのは、
++++++ずいぶんと……。久しぶりだわ……、……』
足の裏には、ご丁寧に、
衝撃吸収剤のような物が形成されている。
……まるで、クリーチャーのサイボーグ。
いけない、コツを忘れている……。
『++++++む、くっ、……』
ソロり、ソロりと──歩く。
私自らの姿を、確認しなければ。
鏡は……すぐ目の前だ。
壁に……手を付き。
ミラーに映る、
水の化身を、覗き込む。
はっきりと、目線が合った────。
『++++++…………う……そ…………』
ぁ、有り得ない……っ!
『++++++わ……" わたし "……だわ……ッ!!』
驚いた。
表情が、ある……!
顔が……復元されている!!
『++++++こんな、ことが……』
不可思議な模様などはあるし、
肌の色は透明感のある水色だが──。
瞳と白目の違いがわかるし、
口と鼻も形成されている!
……昔懐かしい、よく知る顔立ち!
そうだ……私は、こんな女だった!!
『++++++間違いなく──私の顔だ! はは……。どうなっているの? やはり、ジュンヤが……? 現在の……私のコンディションは──』
自身のパラメータ/ウィンドゥが、
観覧できないか試みる。
む、これか……?
ぁ……。
────ヴォン。
────────────────────
" QUICK-QUEEN-QUANTUM "
【 WEDNESDAY-SERVER mark:Ⅲ 】
system:code="Q3"
B.O.D.Y.:update/completed.
──改造履歴が更新されています▼
──改造履歴が更新されています▼
──改造履歴が更新されています▼
・
・
────────────────────
『++++++" クイック・クイーン・クアンタム "……!?』
クアンタム……"量子"、だと──ッッ……!?
なんだ!? これは……私の識別コードなのか……!?
『++++++水曜日サーバー……"参号機"っっ……!!!
++++++構成義体が……アップデート済み……!?
++++++識別コード──"〈Q3〉"──!!!』
私の体の構成素体が……!!
丸々、書き変わっているというのかっ……!?
ば、バカな……!
しかも、この……" 改造履歴 "──とは何だッ……!?
──ブォン……!
────────────────────
【 update-log 】
第一左腕部をパージ・・・▼
第三左腕部をパージ・・・▼
第一右腕部をパージ・・・▼
第三右腕部を分解・・・▼
左腕部を形式変換──左脚パーツの構成▼
右腕部を形式改造──右脚動力部の開発▼
左脚パーツを右脚動力部と同様に改造▼
腹部リソース貯蓄体を縮小改造▼
腹部マテリアルコネクトを受容体式に更新▼
サスペンション72箇所-追加移植▼
装甲より人工筋肉の生成-移植開始▼
胸部のサイズを微調整▼
両手首パーツの形質膨張開始▼
グラプトル機構内蔵型ハンドパーツの没入▼
両手首の構成二重上書き-及び形成▼
脚部のサイズの延長-構成フレーム骨格変形▼
両脚部歩行構造の調整-関節形成▼
バランシング-プログラムの注入▼
自動演算による全身骨格モジュール伝導▼
擬似ナノマシン-循環開始▼
頭部外皮骨格装甲-切開▼
身体系人工筋肉の培養完了▼
頭部内骨格ベースを尊重し筋肉系移植完了▼
皮膚モジュールの再生促進▼
表皮流路束を変質-質感調整▼
全面切開-不要筋組織の除去▼
発達消化器官系を再移植▼
触覚システムの打ち込み▼
味覚システムの打ち込み▼
聴覚システムの再調整▼
嗅覚システムの再構成▼
視覚システムに異常▼
新規格に合わせた眼球への取り替えを実施▼
全組織-正常可動を確認▼
基礎更新-完了▼
バージョン/クアンタムと命名▼
────────────────────
『++++++ぉ、おわ、ぅお、あわわあああぁぁぁぁ……』
結論────。
寝 て る 間 に 、
改 造 手 術 を 、
さ れ て い る 。
『++++++な、な、なんと、いうことをぉおおおおッッッ!!?』
プログラミング構築ではなく、
よもや……直接、なのかッ……!?
げげげげげっ、外科手術のように……!?
直に、ハードウェアを切開して、
改造された……!? えええぇぇぇ……っ!?
『++++++お、ぉぉお、
++++++おおお、なんじゃこりゃぁあああ……ッッ!!!』
も、もし失敗して、私が死んでいたら、
全ての水資源が滅んでいたのだぞ……!?
しししししし、信じられんっ……!
『++++++おおお、おおっ、
++++++お、おそろし過ぎるっ……!!!
++++++直接切開されたなどっ……!?!?』
こんな事をするヤツは、
よっほどのイカレポンチに違いない!
『++++++け、結局、なんなのだココはぁぁあっ!?
++++++ダンジョン内部なのでは無いのかぁ……!?
++++++未だに信じ難いっっ……!!
++++++ラブホで改造手術とか……!!
++++++私はB級ホラーのヒロインかあぁァッー!!』
くそ……何度、見回しても、
そういう部屋に見えるな……!
──あっ!
窓が、窓があるじゃぁないか──!
慌てて歩こうとして、
やはり、よろめき。
『++++++、っとっとわっ……!』
かしゃ──かしゃん、てんてんっ!
久しぶりに生えた両脚で、
何とか歩き方を思い出しながら!
丸い窓の側へと近づき、
外を、覗いた────。
────ごぉおおおおおおおおおおお。
『++++++──と……飛んで、いる……?』
このラブホ部屋は……飛行しているのか!?
『++++++第三改世界の空、か……?
++++++────いや……』
これは……違う。
フィールドの空ではない。
そう、言うなれば────。
『++++++……"白い宇宙"……?』
どこなの、ここは。
どうなってる。
……、……。
『++++++……ジュンヤ……。カオコちゃん……。
++++++私、どうすればいいの……』
私に……冒険なんて、いらない。
『++++++私は……"眠り姫"で、よかったのに……』
生きてさえ、いれば、それで────。
──カチッ。
──── ぎゅぅうういいいいいいんんん──!!!
『++++++ !! 』
……後ろから。
すっごい、やな音したけど……。
『++++++……、……』
衛星軌道上に居た頃、アップルが違法ダウンロードしまくった映画を良く女チームで観ていたのだが……。
この音は、アレだ──。
ホラー映画で、チェーンソー男が出てくる手前のシーン?
もしくは……前時代的な、歯医者さん──。
──ぎゅぅううおおいいいいいいんんん──!!!
『++++++…………』
いや、それよりかは、凶悪そうだ……。
だらだらだらだらだら……。
確実に、何かの機械が回転する駆動音。
何故だろう……私の脳みそが、
久しぶりに、冷や汗を出しまくっている……。
あれ、汗腺なんて、あったっけ……?
これが空想の物語なら、
私が振り向いた瞬間、
サイコ野郎が斬りかかってくる、
お決まりのシーンなのだが────。
柄にも無く、ビビっている。
くっ……舐めるな!
スリーカウントで、後ろを向こう。
いー……。
ある…………。
さん………………!
……………………………チラッ。
背後にいるのは、誰──……?
『C4:にゃー』
『++++++……』
──ぎゅぅぅうういいいいんんんんんん。
…………。
『++++++…………質問して、いいかしら?』
『C4:どーぞにゃー』
『++++++その……両手に持ってる、
++++++電動ドライバーと、モンキーレンチは……何?』
『C4:きんきゅーしゅじゅつにゃー』
『++++++……』
医者ではないのは、わかった。
『C4:まだ、動いちゃだめにゃー』
『++++++えっ、なんで』
『C4:りょーあし、かりどめにゃー』
『++++++か、かりどめ……?』
──ぎゅぅぅうういいいいんんんんんん!!!
ひ……ひぇっ……!
『++++++ぁ、あの……、ソレ、どうする気なんだっ!』
『C4:こーかーんーせーつー♪』
『++++++ぉ、おいネコ……! ぇ、ちょ……えっと、
++++++話ッ、はなし、きぃ……!?』
この半裸のネコ耳娘は何だ!!
ジュンヤの国の妖怪か!?
『C4:まーたーたーびー』
『++++++おい待てっ……!? こっ、こっち来んなッッ』
『C4:ねーこーまーたー』
『++++++うそっ、や……!?
++++++ひっ!? そこわだめっ……』
『C4:まーたーあーしーたー』
『++++++救命啊、啊啊啊啊啊啊啊啊ッ──(;A;)』
──ギュルるるるるガチチチ、どドドドドルルっオ。
“(´;ω;`)”あ"ーっ!!










