難攻不落の教会へ……? さーしーえー
前話に挿し絵を追加。(●´ω`●)
教会についた私たちを待っていたのは、
綺麗に装飾された鉄格子の門に群がる、
ホールエルの冒険者さん達の姿だった。
「おぅ──い!!! せめて顔くらい見せろよー!!」
「なんで私たち冒険者が襲われてんのに、助けてくんないのよー!!」
「あ、あの、やめましょう……? 出てきても、逆に気を使っちゃうし」
「バカ、何ビビってんのよ! 今回は絶対ギルマスの方が悪いって! だいたいいっつもギルドの職員に仕事ぶん投げて、いつも教会に篭ってんのが意味わかんないでしょ!」
「で、でもぉ〜〜……」
「おーい!! 俺たちも必死で街に貢献してきたんだぞぉー!! なんでクエストを取り消すんだー!!」
「やれやれ、困った事になりましたね……」
「お! よぉ、ギルドの職員チームも来てんじゃねぇか!! なんだ? オレ達を止めに来たってか?」
「いや、どうやら……そうじゃないようだぞ?」
「ええ……この度のクエストキャンセルは、ギルドで働いてる私たちも、思う所がありまして……」
「なんだよ!! お仲間ってことじゃねぇか! なぁ……、一応あんた達の上司なんだろう……!? 何とか"お目通り"できねぇのかよ……!」
ありゃりゃ。
たくさんの冒険者さんとギルド職員さんが、
朝の教会に詰め寄っている。
こりゃー、えらいこっちゃだわ……。
豪華な白い装飾門は閉ざされていて、
見張りの人は立っていない模様。
門は鉄格子状になっていて、
教会の敷地の中が見えるみたい。
敷地内には誰もいないみたいなので、
騒いでる側からしたら、無反応な対応に、
余計にヤキモキしてるのかもな……。
思わず、アフロ様に聞いてしまう。
「……ロメオさん、難易度、高くないっすか……」
「う、うむ……」
ふぇえぇ〜〜ん……。
今から私ら、あの門を突破しなきゃいけないのよね……。
「アンティ」
「……んぅ?」
なんすかマイさんや。
「義賊のお仕事、がんばって!(グッ♪)」
「かわいい」
思わず声にでる。
そのガッツポーズは卑怯ですわ、狂銀さんや……。
「くそー、やるかー。失敗しても恨みっこナシですよ、ロメオさん!」
「助かる……すまない」
「いくよ、マイスナ」
「うん、アンティ」
「にょおおおお……!」
「くゆぷー」
意を決して、門に群がる集団に近づいていく。
例の如く、足音は華麗に響いた────・・・!
キィん───・・・っ!
ギィん────・・・っ!
「「「「「 ……!? 」」」」」
目の前の人たちが、いっせいに振り向く──……!
さいしょは、ポカンとしていた。
そして──。
「「「 あっ……!? 」」」
「「「あの、ふたりは……!」」」
キィん───・・・っ!
ギィん────・・・っ!
昨日はヘソ見せて半泣きだったけど、
今の私たちは、堂々と近づいていく。
半分、ヤケだった。
「──クルルカンと──・・ 」
「──オクセン、フェルト──・・! 」
恐らく回復職の、
大人しそうな女の子たちが、ポツリと言う。
冒険者さん達とギルドの職員さんは、
口をつぐみ、目を開いてコチラを見ていた。
……ちょっと、人集りが過ぎるわよ。
今、あんま余裕ないかんね。
声をだす。
「 どいて 」
「「「「「 ……───……ッ!! 」」」」」
ザ ッ ・・・!!
っと、人の道ができた。
はい、どもー。
「き、昨日の嬢ちゃん達、だよな……?」
「すげ……なんか、堂々としてらぁ」
「よくよく見ると、ぶっとんだ鎧だなぁ……!」
「なんか、別人みたい……」
「昨日は、あんな可愛い感じで半泣きだったのにね……?」
泣くぞコラぁー。
「──アンティさん! マイスナさん!」
声の方を向くと、
受付嬢の、キキさんがいた。
駆け寄ってくる。
「おふたりとも! その……昨日は、誠に申し訳ありませんでした……! 酒場では、不愉快な思いを──」
「それは、もういいわ。おだちんはもらったから」
「へ……?」
面食らったキキさんに、問いかけた。
「ギルマスに、会えないの?」
「……! お恥ずかしながら……」
人が避け、顕になった教会の門は、
豪華堅牢といった言葉が相応しかった。
「ロメオさんの依頼を、正式に受けたわ」
「──!!!」
「かけ合ってみる。でも、期待はしないで」
お お ・・・!!
私の言葉に、周囲の空気の温度があがる。
「……アンティさん。なんてお礼を言ったらいいか……」
「期待しないで、と言ったわ。ほら、こんな集まってたらタイヘンでしょ。解散してクエストでも行ってきなさいな」
「そ、それはできねぇよ……!」
たくさんいる冒険者のお兄さんの一人が、
声をあげた。
──そちらを見る。
……?
何故か、お兄さんは、ひるんだ。
「う"……! ぁ、アンタさんに任せっきりで、おいそれと撤退! ってワケにはいかねぇさ! それに……薬草不足の今、気軽にクエストは受けられねぇ……」
「……私たちが届けた薬草は?」
「「「「「「「……」」」」」」」
な、なん……?
な、何故……こんな妙な雰囲気にっ……??
キキさんが取り次ぐ。
「……アンティさん。確かにアンティさん達が持ち込んでくれた薬草の数は、御二方にしては膨大な量です。でも、街全体をカバーする量としては、十分とは言えません……」
「……! ……セーブしてる、ってことか……」
「……ここは、オレ達の街だ。冒険者やってるオレらよりよ……まず街に住んでるヤツらに行き渡らないとなんねぇ……!」
「──」
中々、カッコイイこと言うわ。
ふむ……。
昨日は笑われてムカついたけど、
話してみるとやっぱ、いい人は多いわな。
となると、何とかしてあげたいけど──。
「キキさん。この門の中には、人がいないわね? いつもはどうやってギルマスと連絡するの?」
「……! けっこう、一方的な通達が多いんです。この街のギルマスはメイドさんやら雇っていますから、その方たちが、たまにギルド本部にいらして……」
「……ふむ」
こちらから呼ぶことは、ほぼ、ないってこと……?
マイスナが聞いた。
「この門の前で大きな音を出したら、ギルマスさんは出てきませんか?」
後ろから、アフロさんが返礼する。
「朝方から、この人数で騒いでいるが……効果は無いんだ」
あらー……。
大人しい回復職の女の子も答える。
「そっ、それに……相手の身分を考えると……そんなに無礼なことも出来ません……」
……?
ここのギルマスは、
そんなに恐れられているんだろうか。
「御二方に頼めるなら有難いですが、そもそも取り合ってくれるかどうか……」
「「「「「…………────…… 」」」」」
キキさんの言葉で、
冒険者さん達も、シーンとしてしまった。
意気消沈、というヤツである。
のぁー。
「……アンティ」
「うん──」
さて、どっしたもんかな……。
目の前の、高い門を見る。
7メルトルテくらい、あっか。
鉄格子の奥には、
リッパな教会の建物が見えている。
……。
この街でイチバンでっかい教会なのに、
門が施錠されてるってのが、ムカつくわね。
「……呼んでも、誰も来ない。か……」
…………。
………………。
………………………。
────── よし、決めた。
のりかかった、フネってヤツよね ── ?
「 マイスナ 」
「 うん 」
『────"力量加圧":起動。』
かがむ───、そして──、
ググっっ・・・!!
〘------YEAH---☆ A-C-T-I-O-N──☆☆☆〙
──── 跳 べ 。
キ、ギィィ──────んッッ──・・・ッ!!!
「「「「「「「 お お っ ・・・!? 」」」」」」」
バサリと──。
"白金の劇場幕"が靡いてから、
しまった、しまっとけば良かったな、と思ったけど。
まぁ、おそい。
金と銀の身体は、既に宙に、舞い上がっている。
となりで跳ぶマイスナを見ると、
銀のドレスが空に広がり、
とても、綺麗だった。
──着地する。
──きぃぃ──────んん・・・!!
──ギィィ──────んん・・・!!
ここは、教会の敷地内だ。
「す、すげぇ……」
「なに、今のジャンプ……」
「神様に、持ち上げられたみたい……!」
「ぱ……、パネェ……」
「……ただ者じゃないわ」
はいはい。
勝手に盛り上がってくださいな。
門のナカから、キキさんに言う。
「あのデカい建物まで行ってみるわ」
「ドア、ドンドンしてきます」
「ぁ……! アンティさんっ……! マイスナさんぅぅ……!」
ふふ……キキさん、嬉しそうだ。
アフロさんも、熱い視線を送ってきた。
「すまない……頼む!!」
──は。
朝ごはんが、高くついたこと──!
私は振り返り、軽口を叩く。
「ふふっ。不法侵入で、しょっぴかれたら、
かばってくださいよ?」
「じゃあ、いってきます」
そう言って、向かった──。
「やってくれるでしょうか……」
「……信じよう」
がんばって・・!(๑•̀д•́๑)キリッ










