勇者の制裁
考えるな、感じるんだ──。(๑•̀д•́๑)キリッ
ニンゲン、超・落ち込んでいてもですね。
ガッツリ寝たら、けっこー回復するもんですよ。
昔、学校で魔法つかえなくてバカにされて、
サドンデス鬼ごっこカマして、
疲労困憊で家に帰った、ある日。
父さんが言ってた言葉。
「アンティ。悲しい事があった時はなぁ、さっさと寝ちまいな! 疲れてるんなら、尚更だ! つかれとかなしみってのは、めちゃ仲良しでよォ……! 疲れてる時にずっと悲しい事ばっか考えちまうと、次に疲れた時に、まぁーた悲しみまで連れてきちまうもんさぁ! 大事なのは、疲れと悲しみってのは、まったく別のモンなんだって知ってることだ! まずは寝ちまって──起きてから悲しい事を考えなっ!」
これは今でも超ありがたい格言だと私は思ってるし、
寝て、起きたら頭スッキリして、
結構いろいろ冷静に考えられたり、
悲しさを忘れちゃったりする。
ま、それでも涙ちょちょ切れの日も、
あったんですけどね……?
あ、えーと。えっとですね。
私が、つまり。
なァーにが言いたいかと、いうとですねぃ……。
今、起きたてで、スッキリはしましたんで。
" ゆっくり考える時間をよこさんかい "
と、いうことなのよ────。
「………に"ゃ」
「「……」」
目線、合った。
黒髪のネコ耳さんが、私たちのベンチに。
忍び足で、接近チューでした模様──……。
「に"ゃに"ゃっ……」
いやこのヒト、絶対あの酒場いたわ。
髪通信、ソッコー。
(──マイスナ、逃げっわよ)
(──クロネコ回避)
私たちの逃走心を感じたのか、
黒ネコ耳の冒険者さんは、隠密行動をやめ、
我がおヒザ元に、飛びついてきた──・・・!
──しゅたぁ────はぐっ……!!
「に、に"ゃー!? 待っておくれよぉー……!!
昨日はごめんよぉー……!! あんた達が、
まさかプレミオムズだとは……、
知らなかったんだよぉー……!!」
「は、はなしなさい」
「アンティ、この子にくきうある」
あ、ほーんと。
プニプニか。
「Zzz……、にょ、にょきっとなぁー……!?」
「くゆぅー♪」
「あんたらには悪いことしたと思ってんだよぉー……!!
ほら、あんたらに声かけた、ロメオってヤツも、
かなり反省してたからよぉー……!!」
「ちょ、おへそに顔あてないで! み、耳が、ァっ……!」
「こ、こそっ、こそばいっ、こそばゆいです!」
くっ、黒ネコ耳……恐るべし……っ!
この娘、年下に見えるけど、
もしかしたら同じ歳くらいかもしんない。
『C7:に"ゃむむむむ……!? ワタシのネコ耳ポジションを"を"を"……!? にゃっふぅぅー!!!』
『C2:にゃーに、嫉妬してんの……いいから落ち着くみゃ……』
ウチのネコとは、また違う慌ただしさです。
「に"ゃわ〜〜!! 頼むよぉー……!!
昨日、"ある事件"が起こって……!!
あんた達の力を借りたいんだよぉおお〜〜……!!」
「んやっ!? ちょ、くすぐっ、……?
……"ある事件"、って……? あっ、そこはダメ……!」
「お、おへそにネコ耳っ、つっこまないで……」
────と。
ネコ耳へそテロリストを、
ガントレッド&アイアンクローで、
グイグイ押し返していると。
「…………──! スリーティア、見つかったのか……!」
「おおぅ、流石ネコ娘の勘じゃ! やりおるわィ……!」
正面から、男性が二人、歩いてきた。
──アフロと、ドワーフである。
「……」
「……」
「に"ゃー」
なにさ、あの髪型は……。
「……アンティ。ブロコロみたいな髪型だね……」
「ちょ、やめなさいよ。ブロコロ食べらんなくなるでしょ……」
「に"ょお"お"お"お"……に"ょお"お"お"お"……っ!?(ブルブルブルブルブルブルブルブルブル……!?)」
「くゆくゆ♪」
うさ勇者のバイブレーションを感じながら、
私はアフロさんが跪くのを眺めていた──。
「……昨日は、本当に済まなかった……!
この通りだ……!」
ブロコロの化身さんに、謝られた。
「だれすか」
「しゃべる野菜の知り合いはいません」
料理できません。
「に"ゃー、昨日、あんた達に詰め寄ったヤツだよぉー……」
………。
……………。
…………………。
「──ええっ……ッッ!? ゥソおっっ・・・!?」
「みちがえました」
こんな黒煙みたいな髪型してなかったでしょうよ……。
「に"ゃー、雷が落ちたんだよぉー……」
「「 雷 お ち た の !? 」」
……わ、私、雪山で何発か、
マイスナの雷くらったけど……。
こんなアフロには、ならなかった、よ……?
「済まない……本当に、済まない……」
「「……、……」」
「に"ょんや"ぁ"あ"あ"あ"……!!(ババババカクカクカクカクカクカクバババババ……!!)」
「かんかん?」
髪型が気になって、
謝罪が頭に入ってこぬ……。
うさ丸? そろそろ怒んで?
「お忍びで街の様子を探っている途中とは知らず……! 不躾な作法で問いただしてしまった事を、謝罪したい……! それに……少女ふたりを、あのような形で人目に晒させてしまった事は、私の浅はかな行動によるものだ……」
「「……! ……」」
「すまん、この通りだ……」
うーん。
いくら私がプレミオムズだとしても。
女の子ふたりに、だいの大人が頭を下げている。
悪い人ではないんだわ。
それに、"プレミオムズ"の私にだけでなく、
"女の子"の私に謝っている様が、
私は少し、気に入った。
マイスナのことも、ちゃんと気にかけてるしさ?
「……(どする……?)」
「……(うん。いーと思う)」
マイスナとアイコンタクト(&髪)して、
お互いに水に流そうかな、と確認しあう。
やれやれ、ま、こんなカッコしてるこっちも悪い。
「あの、もういいですから、顔をあげて──」
「──にょきっと・・・なぁぁああああああああああああああああああああああああぁぁぁ!!!!!」
……──っ……!?
────ブ ォ オ ン ン ・・・!!!
ガパンッ・・・!!!!!!!
「──ぐべ、ばっ………!!!」
「 」
「 」
「に"ゃっ……!?」
「なん、じゃ、と……ッ!」
うさ丸の、パンチは。
とある冒険者の体を。
アフロ・ハリケーンと、
化させたという──────。
ブォン、ブォン、ブォン────……。
── ず し ゅ う う う う う う ん・・・!!
「く、ふ、ぉ・・・」
ハリケーン・ロメオは──……!
手打ちウドンの生地のように──……!
地面へと、屠られたのであった・・・!
※ 半回転しながら止まる感じ
──勇者の雄叫びが、聞こえる……!!
「──にょっきにょきぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい──!!!!!!!!」
「──かんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかんかん──!!!!!!!!」
「に"ゃああああっあああぁぁ──ッッ!?
ろ、ロメオぉぉおおおおおおぉお──!!?」
「……ろ、ロメオよ・・・!!!
ワシは……しかと、見届けたぞぃ……ッッ!!!!!」
……いや、"ぞいっ"、じゃなくてですねぇ……。
「マイスナー、土下座だー」
「あいあいさー」
うさ丸、きさま。やりやがったな?
( ˙꒳˙ )oh...










